小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

日本獣医再生医療学会 第1回ホームタウンミーティング in Autumn 「犬のがん治療と現状の症例」 開催

 2021年10月24日(日)第一回ホームタウンミーティング in Autumn (主催:一般社団法人 日本獣医再生医療学会(JSVRM)、協賛:株式会社J-ARM)が、オンラインで開催された。

 テーマは「犬のがん治療の現状と症例」。平野由夫先生(本学会副理事長、ひらの動物病院)の開会挨拶にはじまり、横山篤司先生(同副理事長、さくら動物病院)の進行のもとプログラムが展開された。
 「がん免疫療法の現状と課題」 萩森健二先生(同理事、かもがわ動物クリニック)、「活性化リンパ球療法のエビデンス」三谷康介先生(J-ARM)、「免疫(活性化リンパ球)療法の症例紹介」プログラムでは、『外科療法・化学療法・免疫療法を併用して長期生存した甲状腺濾胞癌犬の1例』宮本結佳先生(藤井動物病院)、『肛門周囲に発生した皮膚メラノーマに対してDC-CAT療法およびインターフェロン療法を行い腫瘍の退縮が認められた犬の一例』松永耕平先生(刈谷動物病院グループ市川総合病院)、『犬皮膚肥満細胞腫(stage3)の術後治療としてCAT療法を用いた3例』正岡久典先生(志村坂下動物総合医療センター)、『活性化自己リンパ球移入療法(CAT療法)のみを用いて良好な経過が得られた乳腺癌の猫の1例』重本 仁 先生(王子ペットクリニック)、『活性化リンパ球療法を併用し治療した猫の全身性肥満細胞症の1例』宮﨑 務先生(ダクタリ動物病院 品川ウエルネスセンター)が紹介された。

 続くパネルディスカッション(座長:牛草貴博先生、関内どうぶつクリニック)では、「がん治療における免疫療法の有用性」と題し、パネラーとして横山篤司先生、平野由夫先生、萩森健二先生、三谷康介先生、宮本結佳先生、松永耕平先生、岡久典先生、重本 仁先生、宮﨑 務先生が参加し、免疫療法の開始・終了のタイミング、飼い主への啓発方法、QOLスコア、投与部位と効果、コスト面など、具体的で活発なディスカッションが展開された。
今後の免疫療法を行ううえでの、技術面、飼い主対応面などのヒントが凝縮された、ミーティングであった。

 本ミーティングは、11月10日(水)まで下記のYotubeリンクより限定公開配信される。
https://www.youtube.com/watch?v=2B2NPStU4Jk

 ※お問い合わせ:本学会事務局
http://jsvrm.jp/
   TEL:03-6279-3296

来年(2022年)5月15日(日)にはハイブリット日本獣医再生医療学会が開催。患者のQOLを高める治療の選択肢として、本学会の担う役割はますます大きくなる。


パネルディスカッションの様子

第24回日本獣医療倫理研究会(JAMLAS)・日本小動物歯科研究会(SADSJ)合同シンポジウム開催される

 2021年10月24日、グランドニッコー東京 台場にて、第24回日本獣医療倫理研究会(JAMLAS)・日本小動物歯科研究会(SADSJ)合同シンポジウムが開催された。

 本シンポジウムでは《無麻酔での歯垢歯石除去による併発症とデンタルケアを目的に与えた製品の歯の併発症を考える》をテーマとし、5名の先生方による発表が行われた。幅田 功先生(センターヴィル動物病院)「無麻酔による歯科処置の弊害」をはじめに、本田 洋先生(本田動物病院)「無麻酔での歯垢・歯石除去とデンタルケアを目的とした製品による歯の併発症に関するアンケート結果」、藤田桂一先生(フジタ動物病院)「無麻酔での歯垢・歯石除去による併発症を考える」、網本昭輝先生(アミカペットクリニック)「デンタルケアを目的に与えた製品による歯の併発症を考える」、江口徳洋先生(Vets Dental and Oral Surgery Office)「適切な歯周病治療とデンタルケアの概要」をテーマに行われた。それぞれの先生方の報告では、動物関連施設における無麻酔の歯科衛生処置や、リスクの高いデンタルケアグッズ使用の実例や、適正な治療およびケアについて解説された。また、そうした実態改善の啓発を行う必要性について言及された。

 発表に続くパネルディスカッション《無麻酔での歯石除去とデンタルケアグッズによる併発症に対する法的立場からの見解》では、春日秀文先生(春日法律事務所)ほか4名の弁護士の先生方により、歯石除去が診療行為にあたるかどうかの問題や、デンタルグッズ改善についての適法な手続きについてなどが考察された。

 なお本シンポジウムは、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が解除されたことにより、獣医療関連研究会としては久しぶりの現地での開催となった。会場は広く、参加者同士の距離が十分にとられ、マスクや手の消毒など感染症対策が励行されていた。約150名の参加者は再会を喜びつつ、熱心に聴講していた。
(本シンポジウムの発表内容は、MVM2020年7月号特集でも詳しく取り上げているため、ぜひそちらも参照されたい)

会場の様子

オンライン日本臨床獣医学フォーラム(JBVP) 第23回年次大会 2021 開催

 竹村直行先生(日本獣医生命科学大学)の会長就任後、はじめて開催された「日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)年次大会」。新型コロナウイルス感染症発生の現状を鑑み、昨年に続きオンラインでの開催となったが、視聴期間が2つに分けられ(第1視聴期間:2021年9月19日~2021年10月31日、第2視聴期間:2021年12月1日~2022年1月10日)、最大で12週間もの期間楽しめるよう設定された。また、講演数は大会史上最多となる147にのぼり、参加者は、獣医師、動物看護師、学生といった立場に関係なくすべての講演が視聴可能となっている。

 細かな部分まで確認しながら学ぶことのできる手術手技や検査などが15~30分程度にまとめられた「手技動画特集」や、神経病学、整形外科学、皮膚病学、循環器病学、呼吸器病学、臨床病理学、臨床診断学の9つの分野の先生方が、問診の際の雰囲気づくりからはじまり、どのようにご家族と話をすすめていくか、どのように鑑別するかといった、その先生独自の問診のテクニックを詳細に説明していく「問診学」など、魅力あるセミナーが目白押しだ。

 また、同大会の魅力の1つである市民向け講座は、今大会はすべて無料で視聴することができる。伴侶動物についてのセミナーはもちろん、「マイクロプラスチックによる影響について」(重松賢行先生、環境省)、「気候変動により私達が受ける様々な影響」(岡野祥平先生、環境省)といった、今私たちが知り、取組むべき問題についてのセミナーも企画された。

 大会の恒例となった会長による基調講演の今回のテーマは、「生類憐れみの令は本当に愚策だったのか?」というもの。歴史好きを公言する竹村先生が、これまで愚策とされてきた「生類憐れみの令」と、その令を発した将軍・徳川綱吉について、同時代におきた赤穂事件とともに改めて紐解いていく。

 長引くコロナ禍のなか、学会の会場に足を運び、直接講演を聴くことは叶わなかったが、オンライン開催ならではの魅力を発信する同大会のような学会が、今後ますます増えていくことに期待したい。

 「オンライン日本臨床獣医学フォーラム(JBVP) 第23回年次大会 2021」は、12月1日より第2視聴期間がスタートし、2022年1月10日まで楽しむことができる。
https://www.jbvp.org/2021/

市民向けプログラムでは、「猫にとって快適なトイレ」(宮川優一先生、日本獣医生命科学大学)といった、親しみやすいテーマのセミナーも実施された

石田卓夫先生(前JBVP会長、現JBVP名誉会長)による動物看護師向けプログラム、「1時間で理解する猫の糖尿病」などの講演も行われた

第10回 HJS年次大会 2021/第7回 スキンケアベストプラクティス 2021 開催される

 2021年7月28日(水)、29日(木)の2日間にわたり、東京都立産業貿易センター 浜松町館にて、第10回 HJS年次大会 2021/第7回 スキンケアベストプラクティス 2021が開催された。

 初日の第10回 HJS年次大会 2021では、「診断エラー〜その病気は見つかりませんでした〜」と題し、代表の中島尚志先生をはじめ、計5名の専門家の先生が診断エラーをテーマに講演が行われた。なかでも、MVM問診特集でもご執筆の小野 啓先生(パル動物病院)の「臨床獣医師のための眼科診断エラー」では、問診特集記事とリンクする内容で診断の間違いや遅れ、見逃しがどのように発生し、どのように予防するかを解説された。

 2日目の第7回 スキンケアベストプラクティス 2021では、「再起動:犬の耳疾患の本質に迫る ~皮膚科学的診療から集学的診療への転換~」と題し、人医である高橋優二先生(井上病院総合内科)の「プライマリケアで一生使える耳鼻咽喉科診療(動画講演)」をはじめ、獣医界で活躍する3名の先生による耳疾患の最新知見が報告された。

 2日目の閉会のあいさつでは、中島先生が「耳の診療からたくさんの情報を取り出すことができる。人医では耳の診療に関しては多様性を高めることで、収益が上がることが証明されているので、同様に獣医療でもやらなければいけないことはたくさんある。今までの耳の診療のやり方をブラッシュアップしてすすめるのではなく、『再起動』して認識を新たにして、多様性と生産性を付加した市場価値のある耳の診療にあたってもらいたい」と述べ、講演を締めくくった。

 緊急事態宣言下のなかでのオンライン配信とのハイブリッドセミナーであったが、参加者の先生は各講演を熱心に聴講していた。企業展示ブースも並び、新型コロナウィルスとの共存の道が少しずつ開けている印象であった。

講演の小野先生

 

下記チケット販売サイトにてアーカイブ配信中
https://www.nsdrive.com/products/list.php?category_id=7
アーカイブ配信公開期間:2021年8月10日(火)22:00~8月25日(水)23:00
チケット販売期間:2021年8月8日(日)8:00まで

日本獣医輸血研究会 第4回学術講習会 オンラインにて開催

 小動物臨床における輸血療法をはじめとした血液療法の正しい知識と献血プログラムの普及、献血ネットワークの構築を目的とする日本獣医輸血研究会学術講習会。昨年2020年開催の第3回に続き、オンラインにて開催された。

 セミナーは、「献血に関する院内システム」(長島友美先生、刈谷動物病院)といった基礎から、外部講師として石田卓夫先生(赤坂動物病院)を迎えた「輸血の前に見直そう!貧血の理解を深めるための90分」や、「臨床輸血のアップデート。最新知見をご紹介します」(瀬川和仁先生、相模原どうぶつ医療センター)など、より専門的な内容にも及んだ。

 また、「献血ドナーの募集って大変。そんな課題を考えるためのワークショップ」で、輸血を行う病院で実際にどのようにドナー登録をすすめているかについて説明されたのち、ワークショップに参加された石原喜代司先生(渡辺動物病院)、鈴木裕子先生(Pet Clinicアニホス)、石田沙恵動物看護師(苅谷動物病院)による座談会も開催。ドナー登録の難しさや院内に供血動物を置くことについてなど、輸血療法の抱える問題点についても理解を深めることのできる内容であった。

 2022年5月には、「JSVTM(日本獣医輸血研究会)認定輸血コーディネーター」認定試験も実施予定とのこと。動物診療施設における安全な輸血の実施と、輸血に関する院内教育において指導的な役割を担うことのできる人材の育成を目的にした同制度の、今後の広がりに注目したい。

 日本獣医輸血研究会「JSVTM認定輸血コーディネーター制度設立のお知らせ」https://www.jsvtm.org/






総合討論(認定プログラムにおける質疑応答)の様子。同研究会会長の内田恵子先生(左)とプログラム委員の中村知尋動物看護師

超党派「愛がん動物を対象とした動物看護師の国家資格化を目指す議員連盟」第4回総会 開催される

 2021年4月8日(木)、超党派「愛がん動物を対象とした動物看護師の国家資格化を目指す議員連盟」第4回総会が開催された。

 最初に、同議員連盟の会長である鈴木俊一先生(自由民主党)が「一昨年の6月に愛玩動物看護師法が全会一致で可決され、農林水産省および環境省が中心となり、来年5月の施行に向けてカリキュラムの検討を鋭意進めていただいた。本格施行以降がより重要であり、よりよい充実した動物看護師の制度がスタートできるようにしていきたい」と挨拶をされた。

 続いて、伏見啓二氏(農林水産省)より「有識者からなる『愛玩動物看護師カリキュラム等検討会』を設置し、愛玩動物看護師の養成に必要な科目等について検討を進め、3月30日に報告書を公表した。今後、関係する制度の整備を進め、来年の施行に向けて引き続き準備を進めていく」、大森恵子氏(環境省)より「今年度は動物看護師の現任者に向けて、国家試験の正しい情報の普及啓発をしていきたい」と述べられた。そして、長田 啓氏(環境省)が愛玩動物看護師の施行に向けた検討状況として、愛玩動物看護師法の概要、業務範囲、施行スケジュール、愛玩動物看護カリキュラム等検討会、講習会の受講区分、大学および養成所において履修すべき科目(全31科目、1,800時間)、受験資格、国家試験および予備試験、現任者の範囲、主務大臣が「現任者と同等以上の経験」として認める期間、実務経験の換算方法および実務経験を有することの証明、名称独占について説明を行った。

 その後、遊座晶子先生(一般社団法人日本動物看護職協会副会長)が現任者の愛玩動物看護師国家資格免許取得支援として「動物看護師の勤務実態に関するアンケート調査」(2020年)および「愛玩動物看護師国家試験対策アンケート 集計結果」 (2021年)を元に、以下の5つを要望として挙げた。

①アンケート回答の3割が「職場の人間関係」で退職をしているので、実務経験年数を証明する際に所属していた施設・事業所・団体への連絡ができない者がいることが想定される。これらの者については、可能な限りの証明書類を提出させ、個別審査を実施するなど、寛大なるご配慮をいただきたい。
②年収240万円未満がアンケート回答の5割いる状況を鑑み、「講習会~予備試験~国家試験~登録」までにかかる費用全体を可能な限り低額に設定していただきたい。
③講習会はすべてをオンライン講習とし、オンデマンド配信としていただきたい。
④「認定コアカリと同等以上の教育の履修」について、公平な評価となるようご対応いただきたい。
⑤現任者の80%が愛玩動物看護師資格の取得を希望しているので、免許取得の環境が整うようご支援いただきたい。


 上記の内容を受けて、山﨑 薫先生(一般社団法人日本動物看護職協会 動物看護師国家資格化推進委員会委員長)も動物看護師の現状、他の資格の例を挙げ、講習会~登録までの金額を低額になるように重ねて訴えた。
 最後に、下薗惠子先生(一般社団法人全国動物教育協会会長)が愛玩動物看護師養成教育の質保証について、とくに養成所に関する要望を訴えた。

 遊座先生、山﨑先生、下薗先生からの要望を受け、赤池誠章先生(自由民主党)からは厚生労働省も関与させていく可能性があること、高木美智代先生(公明党)からは試験についての質問が寄せられた。

 法律の施行まで約1年、第1回の国家試験実施まで約2年。本総会では、今後の制度運用に向けて参考になる具体的な要望・意見が挙げられ、よりよい愛玩動物看護師制度に向けてたいへん意義のあるものであった。

総会の様子

今年度で終了!動物看護師統一認定機構主催2021年度受験資格取得講座 対策用参考書籍のご案内

ファームプレスでは、一般財団法人 動物看護師統一認定機構にて今夏開講予定の2021年度「受験資格取得講座」の受講希望者を対象に、参考書籍をご案内しています。科目となる「動物形態機能学」「動物病理学」「動物感染症学」「公衆衛生学」をフォローアップする下記の書籍で万全の準備をしてください。

●動物形態機能学
→動物看護コアテキスト 第2巻 動物のからだの構造と機能<第2版>
http://www.pharm-p.com/kango/nursing_181.html

●動物病理学/動物感染症学/公衆衛生学
→動物看護コアテキスト 第3巻 動物の疾病と予防および回復<第2版>
http://www.pharm-p.com/kango/nursing_182.html

その他にも、どうぶつ看護に関する書籍を多くとりそろえています。
→ファームプレス書籍 動物看護ページ
http://www.pharm-p.com/kango/a-kang_top.html

「受験資格取得講座」は、動物看護師統一認定試験の受験資格を有していない方を対象に、本受験資格を獲得するための救済措置として開催されます。2021年度をもって終了となりますので、まだの方はこの機会をご活用ください。なお、当講座にて愛玩動物看護師国家試験の受験資格は取得できませんのでご注意ください。くわしくは動物看護師統一認定機構ホームページをご確認ください。

●一般財団法人 動物看護師統一認定機構
《2021年度受験資格取得講座の概要》 https://www.ccrvn.jp/2021kouzagaiyou.html
お申込みは2021年6月16日水曜日13時00分まで
Webサイトからの受付のみ
お問い合わせは直接上記機構までご連絡ください

第23回日本獣医がん学会 オンライン開催される

 2021年1月26日〜2月16日、オンライン配信での開催となった第23回日本獣医がん学会。新型コロナ感染症拡大による緊急事態宣言下の開催となったが、メインシンポジウム「猫の口腔内扁平上皮癌」をはじめ、総合教育講演8科目、教育講演3演題、内科シンポジウム「骨髄増殖性疾患を理解する」など、例年通り充実したプログラムが展開された。

 メインシンポジウムの特別対談として開催されたのは、「飼い主として闘った猫の口腔内扁平上皮癌~家族目線の体験を振り返る専門医との対談~」(座長:高橋雅先生、鹿児島大学)。動物の飼い主であり主治医でもある大隅尊史先生(東京農工大学付属動物医療センター)が、飼い主かつ主治医の立場から、口腔内扁平上皮癌に罹患した猫の病歴と治療のすすめ方、そして当時の心境を語り、その治療内容に対して、がんの専門医である小林哲也先生(日本小動物がんセンター)が評価しアドバイスしていくという内容。がん治療がもつ様々な側面と主治医としての決断、その治療に立ち向かう動物と家族の奮闘、専門医が語る治療の難しさ――そうしたものが治療の時系列とともに語られた、じつに貴重なセッションとなった。

 また、メインシンポジウムの総合討論では、事前に視聴者から募集した質問に登壇者が答える形ですすめられた。座長である杉山大樹先生(ファミリー動物病院)をはじめ8名の先生方による討論は、多くの質問と答えが行き交う、オンラインであることを忘れるほど手応えのある内容であった。

 この総合討論をはじめ、多くのセミナー、セッションが予定時間を超えて行われ、講師の先生方、視聴の先生方の熱意が感じられた本学会。次回、第24回の日本獣医がん学会の開催日程などについては、日本獣医がん学会ホームページ(http://www.jvcs.jp/)にて逐次発表される予定。

メインシンポジウムの特別対談の様子

日本獣医輸血研究会 第3回学術講習会 開催される

 2020年11月20日(金)〜12月16日(水)、オンラインにて日本獣医輸血研究会 第3回学術講演会*が開催された。

 今回の学術講演会は、獣医師、獣医学生だけでなく、動物看護師、動物看護学生も視聴対象とされ、また、輸血の基礎から、獣医師、動物看護師がすぐに臨床現場で活用できる実践的な内容までを含む講習会となった。

 受講者の認定プログラムとして実施されたのは、「輸血用血液製剤」(講師:仙波恵張先生、日本動物医療センター)、「輸血準備 輸血量・速度の設定」(講師:荻野直孝先生、ALL動物病院行徳/(株)wizoo)、「輸血モニタリング」(講師:中村知尋看護師、日本動物医療センター)の3講座。実際に輸血を行うにあたり、使用する輸血用血液製剤はどのようなものが適当であるか、輸血前の準備の内容、輸血する血液量や輸血の速度の設定、そして輸血中のモニタリングは何に注意をすべきか――といった、輸血療法の一連の流れを知ることのできるプログラムであった。

 今回の講習会のトピックとして、輸血が重要な治療として活用される救急医療の現場で活躍される塗木貴臣先生(TRVA夜間救急動物医療センター)を迎え、「救急における輸血」についての講義も行われた。

 講習会の最後には、事前に本講習会の視聴者から受け付けた質問に答える形で総合討論が行われ、より理解を深めることのできる時間となった。

 長引くコロナ禍によりオンラインでの開催となった本学術講習会だが、輸血に対する知識の底上げを図り、よりよい治療に活かしたいという主催者、受講者両者の思いがしっかりと感じられるものであった。第4回学術講演会の開催の発表が待たれる。


*日本獣医輸血研究会 学術講演会
日本獣医輸血研究会では認定制度を設置しており、全4回の学術講演会の認定プログラムを受講することで認定試験の受験資格が付与される。
認定試験を受験するためには本研究会の会員登録が必要となる。
詳細は同研究会ホームページを参照のこと。
https://www.jsvtm.org/


仙波先生「輸血用血液製剤」の講義の様子


荻野直孝先生の講義では、実際の輸血中の様子も紹介された

第41回動物臨床医学会年次大会 オンライン学会 開催される

 2020年11月22日(日)~23日(月)の2日間(アーカイブ配信:当初、終了後1週間であったが、その後、好評につき2週間まで延長された)、第41回動物臨床医学会年次大会がオンライン配信にて開催された。前回、記念すべき40回目という大きな節目を迎えた同大会は今年度、長引くCOVID-19の影響からオンラインでの開催を与儀なくされたが、はじめての試みを盛況のうちに終了させた。

 2日間で28セミナーが開催され、「知っておくべき猫の整形外科疾患」(本阿彌宗紀先生)、「心臓病に対してどんな利尿薬をどう使うか―フロセミドからトルパプタンまで―」(合屋征二郎先生)ではLIVE配信で質疑応答も受け付け、リアルタイムで参加する魅力を感じられるセミナーとなった。加えて、水谷哲也先生(東京農工大学)、木村佑哉先生(北里大学)によるセミナー「臨床獣医師は新型コロナウイルスにどこまで気を配るべきか」は、すべての獣医師の先生に訴えかけるテーマであった。

 次回、第42回動物臨床医学会年次大会の開催については今後告知される予定だが、このコロナ禍での開催を経て、変化していくであろう同大会に大いに期待を抱かせる内容となった。

宮川優一先生(日本獣医生命科学大学)のセミナーのテーマは「慢性腎臓病の管理に重要なリン・カルシウム代謝異常とFGF-23」

« 前のページ次のページ »