小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

横浜動物救急診療センター(VECCS Yokohama)内覧会開催される

 24時間診療の救急動物病院として、今年(2022年)6月1日に、横浜動物救急診療センター(VECCS Yokohama)が開業した。京浜急行線の黄金町駅から徒歩30秒にある当センターでは、開業に先立ち、5月30日と31日に内覧会が開催された。
 「救急対応をすべてワンフロアで行いたい」という当センター院長の杉浦洋明先生の考えのもと、来院した患者はすぐに処置できるよう、センター入口とエマージェンシーエリアの導線を短縮し、さらにX線検査室、超音波検査室、手術室、ICU、入院室など、当センターの入るワンフロアにその救急救命の機材類が集約され、フロアの中央に立てば、センター内での救急対応の状況が即座にわかる配置となっている。また超音波検査装置は画質が良いだけでなく素早い移動が可能な機種を選ぶなど、救急時の迅速で確実な対応を可能とする工夫が随所に施されていた。いっぽうで、3つある診療室のうちの1つは同フロア内で独立し、センター玄関から直接行き来することができる。悲しい結末を迎えた愛犬愛猫とその飼い主が、待合室の他の飼い主と遭遇しにくいように配慮されたつくりとなっていた。
 会計はセルフレジを導入することでオペレーションを省力化し、金銭受け渡しにまつわるトラブルを回避するとともにスタッフが動物の診療・看護に専念できるよう意識している。
 当センターは、かかりつけ動物病院の休診日や夜間の無獣医時間をカバーする「救急に特化した病院」をコンセプトとし、ワクチンや避妊・去勢手術、予防業務、ペットホテル、トリミング、フードの販売は行わない。症例の容態によっては緊急手術や数日間の入院管理を行うこともあるが診療終了時には詳細な診療記録を飼い主に渡し、かかりつけ動物病院でスムーズに継続治療ができるように飼い主へしっかりと案内もするという。
 「横浜の小動物救急体制を少しでも支えられるように、日本の救急獣医療に少しでも貢献できるように努めたい」と杉浦院長。
 詳細は横浜動物救急診療センターまで。
TEL045-341-0856 https://veccs-yokohama.jp


当センター入口。青色をポイントにしたロゴは、
「緊急時にも冷静に」を意識したデザイン。
センター内も青を基調としている


手前のエマージェンシーエリアはカーテンで仕切ることができる。
フロア中央に配置された青い棚(写真奥)を起点に
スタッフが動くことにより、救急対応の進行状況を素早く
把握できる


シート内のQRコードを通して、かかりつけ動物病院に登録をいただくと、
救急対応後、血液検査結果などの文字データを送付。
かかりつけ動物病院での継続治療の充実を図る

日本臨床獣医学フォーラム 春の合同地区大会2022

 昨年度につづきオンラインにて合同地区大会として開催された「日本臨床獣医学フォーラム 春の合同地区大会」。先行で無料公開された竹村直行会長(日本獣医生命科学大学)の「竹村道場」をはじめ、「春のホルモン祭り」「春の外科祭り」「春の尿石祭り」など、楽しい雰囲気が伝わるタイトルが並ぶ。
 たとえば「春のホルモン祭り」では、「膵炎診断のためのエコー:「膵臓を出す」は入口に過ぎない」(中村健介先生、北海道大学)、「雌雄生殖器に関連した疾患」(山﨑真大先生、岩手大学)、「犬のクッシングの診断治療・最新情報」(西飯直仁先生、岐阜大学)、「CKDの新しい治療指標としてのFGF-23」(宮川優一先生、日本獣医生命科学大学)、「犬と猫の副甲状腺疾患」(石田卓夫先生、JBVP名誉会長、赤坂動物病院)、「猫の甲状腺機能亢進症」(佐藤雅彦先生、どうぶつの総合病院 専門医療&救急センター)、「猫の糖尿病」(松木直章先生、まつき動物病院)と、そのカテゴリー名に偽りない充実したセミナーの数々が用意された。
 また、来年春に迫った愛玩動物看護師の国家資格試験に向けたコンテンツ「愛玩動物看護師国家資格の情報」では、左向敏紀先生(日本獣医生命科学大学 名誉教授)が、日々少しずつ情報が更新される現状を踏まえ、「今わかっていること」をわかりやすく解説された。
 各地区のフォーラムが企画したコンテンツもまた充実したラインナップが揃った。獣医師向けコンテンツの1つ、「胸部X線読影フラッシュカード道場」(柿崎竹彦先生、北里大学)は、まずは基本となる正常な状態のX線画像はどういったものか、その基本画像と異常のある画像をフラッシュカードのように交互に見比べることで、どこがどのようにちがうのかを、視聴者がその場で見極められるようになる工夫がなされた内容であった。
 動物看護師向けでは、「食欲不振動物の栄養管理」(鳥巣至道先生・佐野忠士先生、酪農学園大学)といった動物看護の基礎〜応用を網羅したセミナーをはじめ、「知って得する眼のお話,あなたの眼科知識をアップデート-基本的な解剖から臨床的な疾患まで-」(藤井裕介先生、上杉動物眼科クリニック)、「動物看護師に必要な会話力 -ご家族との会話がみんなを幸せにする-」(吉田祐樹先生、まつおか動物病院)、「スタッフの知っておくべき「なんとなく」ではないペットロスの知識」(木村祐哉先生、ヤマザキ動物看護大学)といった、ここでしかきくことのできない講演が用意された。
 学会のオンライン開催に主催者側も参加者側も慣れ、それぞれの工夫や楽しみ方がますます広がっているように感じられた今大会。リアルであれオンラインであれ、学会がこのように自由で楽しい発想にあふれた場所であることを再認識された先生方も多いのではないだろうか。
 つづく「WJVF ONLINE第13回大会」は 7月8日~ 8月14日、オンラインにて開催予定(https://www.jbvp.org/wjvf/)。
 「日本臨床獣医学フォーラム 第24回 年次大会 2022」は、9月22日~12月9日、オンラインにて開催予定(https://www.jbvp.org/forum/)。

会員登録しなくても、誰でもみられる無料コンテンツとして公開された春の竹村道場「其の壱―CKDの特に診断について―」の様子

動物看護師向けセミナー「食欲不振動物の栄養管理」(鳥巣至道先生・佐野忠士先生、酪農学園大学)の様子

日本獣医再生医療学会 第17回年次大会開催

 5月15日(日)、日本獣医再生医療学会 第17回年次大会が、横浜ワールドポーターズで対面、およびオンラインによるライブ配信にてハイブリット開催された。
 主催は(一社)日本獣医再生医療学会(JSVRM:The Japanese Societey for Veterinary Regenertive Medicine)。「獣医再生医療の新たな幕開け」をテーマに掲げた本大会は、久々の現地開催を迎え、新型コロナウイルス感染症への万全な感染予防対策がしっかりと施された会場には、80人近い参加者が集い、犬と猫の再生医療についての最先端の知識を共有した。
 午前のプログラムでは、枝村一弥先生(本学会副理事長、日本大学)、平野由夫先生(本学会副理事長、ひらの動物病院)を座長にシンポジウムを展開。西田英高先生(大阪公立大学)による「椎間板ヘルニアの疫学・病態・診断」、原田恭治先生(日本獣医生命科学大学)による「椎間板ヘルニアの標準治療・治療方法の選択」、長坂佳世先生(D&C Physical Therapy)による「椎間板ヘルニアのリハビリテーション」、佐藤秀之氏(住友ファーマアニマルヘルス(株))による「犬(同種)脂肪組織由来間葉系幹細胞製剤 ステムキュアⓇ」の講演が行われた。続くパネルディスカッションでは、今後の獣医療における再生医療発展のため、どのようにエビデンスを積み重ねていくか、慎重に安全にそして正確な情報を提供していくことの大切さなどについて、積極的な意見交換が行われた。
 ランチョンセミナーに続く学術発表会・症例検討会ではいずれも3演題ずつが発表され、午後の教育講演では久末正晴先生(本学会常務理事、麻布大学)、萩森健二先生(本学会理事、かもがわ動物クリニック)を座長に、原田雅充氏(ヒューマンライフコード(株))による「臍帯を利活用した同種慣用系幹細胞移植医療の開催と展望」、水野拓也先生(山口大学)による「癌免疫療法のいまを正しく理解する」、中島 亘先生(日本小動物医療センター)による「犬の慢性腸症とIBDの病態・診断・治療のいま」、石田卓夫先生(赤坂動物病院)による「医学と獣医学の協同-猫のウイルス学分野」が講演された。参加者たちは最後まで熱心に聴講していた。
 昨年2021年には、ステムキュアⓇ(住友ファーマアニマルヘルス(株))が薬事承認・上市され、ますます獣医療における再生医療への関心が高まるなか、正しい知識の情報提供、慎重な手続き、そして飼い主への確かな理解を築き上げていくことの大切さなど、これからの獣医再生医療の未来への展望について、演者も聴講者も熱いやりとりを交わしており、あらためて獣医再生医療への関心と熱量の高さを実感する1日となった。
 本学会がますます大きな役割を果たすことが期待される。
 本年次大会は、5月23日(月)~6月27日(月)に、挨拶・一般演題・表彰・質疑応答を除くすべてのプログラムがオンデマンド配信される。
https://www.jsvrm.org

※お問い合わせ:本学会事務局
http://jsvrm.jp/
TEL:090-8830-7612


会場での質疑応答の様子。演者と会場で熱心な質疑応答が展開された

双方向性セミナー「一枚の症例写真から読み解く 眼科 + 疾患」開催される

 1枚の画像から参加者と講師によるディスカッションによって診断名に到達し、さらに治療方針に関しても全員で検討する双方向性セミナー「一枚の症例写真から読み解く 眼科+疾患」が2022年4月22日に開催された。講師はどうぶつ眼科Eye Vet代表の小林一郎先生が務め、(株)Life & Tailが主催し、千寿製薬(株)と(株)メニワンが協力して、毎年夏頃から翌年の春までに年間を通して数回に分けて開催される。
 本セミナーでは先に「どうぶつ眼科をマスターしよう-基礎編-」「Eye Vet基礎セミナー」を受講済みであることが参加資格となり、ディスカッション主体にすすめられることもあって定員は12名に限定されている。だからこそ、それぞれの知見・経験も含めて濃密に情報交換することができ、新たな考え方やみすごしていたことなど、より実践的な多くの気づきを得ることができる。どこに注目して、どこが正常と異なっているのか、どこに違和感があるのか、どのような視点で眼科症例をみていけばよいか、自然と身についていくのである。
 講師の小林先生が提供する写真から何が読み取れるかディスカッションすることでセミナーはすすむが、実際に参加者が診察していて経過観察中の症例の写真を全員で検討することもある。今後の治療方針についても意見交換したあと、飼い主の意向を踏まえると方針転換も生じたりする。ひとりで孤独な判断を強いられる日々の診療において、多くの意見を取り入れながらよりよい方向を模索する場を得て、それを実際の診療に活かせることは大きな財産となり得る。通常の講演は講師から一方向で情報を得、客観的に知識を蓄積できる利点がある。いっぽうで、本セミナーのようなディスカッション主体の双方向性スタイルのセミナーの今後の展開にも期待したい。



 今回の講演は、手指消毒、空気清浄機、アクリル板の設置など、新型コロナウイルス感染症対策を実施した上で開催された

日本獣医皮膚科学会 学術大会・総会・アジア獣医皮膚科学会2022年度共催 開催される

 3月27日、満開の桜が咲き誇る東京都両国・国際ファッションセンタービルで、第25回 日本獣医皮膚科学会 学術大会・総会が開催された。昨年度までオンラインでの開催を余儀なくされたが、今年度は現地会場およびWEB配信(開催:3月18日〜4月27日、4月1日〜27日で会場講演の見逃し配信も実施)によるハイブリッドでの開催が実現した。今回はまた、加納 塁先生(日本大学)が新会長に就任されてはじめての大会であり、アジア獣医皮膚科学会(AiSVD)も共催される記念すべき大会となった。

 同大会のメインテーマは、皮膚以外の臓器疾患に由来する皮膚病変の概念を意味する「デルマドローム」。そのため講演は、「科学講演〜痒みと神経〜」(岡田峰陽先生、理化学研究所)をはじめ、「内科医の視点から診る犬の副腎皮質機能亢進症と甲状腺機能低下症」(佐藤雅彦先生、どうぶつの総合病院)、「腫瘍の皮膚転移 / 腫瘍随伴症候群」(原田 慶先生、日本小動物がんセンター)など多岐にわたる内容となった。

 会場での講演への参加は、コロナ禍である現在の状況を鑑み、皮膚科学会会員かつ事前登録者のみとされ、また、会場の収容人数を半分以下に設定する、参加者に「健康チェックシート」の提出を呼びかけるなど、最大限の予防措置が取られた。主催者側のそのような努力もあり、久しぶりの学会会場に足を運ばれた先生方の多くは、新しい知識を得る時間を心置きなく楽しまれたのではないだろうか。

 オンラインによる学会開催の魅力は、この2年で多くの先生方が実感するところとなったと思われる。いっぽうで、今回のように実際に会場に足を運び、志を同じくする参加者と肩を並べて講演を聴くという経験は、やはり貴重なものであろう。今後はこのようなハイブリッド開催が学会開催の主流になり、参加者が自分のスタイルで楽しめる学会が増えることを期待したい。
次回、第26回学術大会の開催情報が待たれる。

アジア獣医皮膚科学会
(Asian Society of Veterinary Dermatology:AiSVD)

 2003年、アジアを一単位とした専門医制度の設立を目指し設立。AiSVDの事業の一つとして、アジア獣医皮膚科専門医協会(Asian College of Veterinary Dermatology:AiCVD)を立ち上げた。国際専門医協会により承認された、皮膚を専門に診察するスペシャリストである獣医皮膚科専門医を擁する。また、日本獣医皮膚科学会主催の皮膚科講習を修了し、所定の基準を満たしたホームドクターは、日本獣医皮膚科学会・認定医となる。



会場の様⼦

【ニュース】富士フイルムVETシステムズと東京大学犬や猫のリンパ腫※1の解析手法に関する共同研究を開始

 富士フイルムVETシステムズ株式会社(本社:東京都三鷹市、代表取締役社長:藤原清隆)は、東京大学大学院農学生命科学研究科獣医病理学研究室(所在地:東京都文京区、准教授:内田和幸)と、犬や猫のリンパ腫の解析手法に関する共同研究を開始したと、2022年1月12日発表した。本研究は、より多くの抗体を用いて詳細な免疫表現型を検索し、リンパ腫を細分類する解析手法を構築することが目的とされている。将来的には、本研究を用いた、リンパ腫の新たな診断サービスの展開を目指している。

 犬や猫の死亡原因の第1位※2はがんによるものと言われている。がんの中でもリンパ腫は、全身のリンパ腺の他に消化管や皮膚などさまざまな部位で発生する。リンパ腫の研究が進んでいる人の場合では、発生した部位やがん化したリンパ球の種類、組織構造などによって数十種類※3に分類される。それぞれ進行の仕方や効果的な治療法が異なることが分かっており、それに合わせた効果的な治療方針を選択することが可能になってきている。しかし、犬や猫の場合は、人と比べてリンパ腫の解析手法の研究が進んでおらず、リンパ腫をどのように分類し、どのように治療するかについての指針が定まっていない。

 富士フイルムVETシステムズは、国内10か所に検体検査所を持ち、全国の動物医療施設に対して動物検体の受託検査サービスを提供している。東京大学大学院農学生命科学研究科獣医病理学研究室は、犬や猫のリンパ腫の解析手法の研究において、国内トップクラスの知見を有している。

 今回の共同研究は、富士フイルムVETシステムズが持つ検体検査のノウハウと、東京大学大学院農学生命科学研究科獣医病理学研究室が持つ国内トップクラスの知見を融合させ、犬や猫のリンパ腫の解析手法の研究をより大規模に、よりスピーディに行い、リンパ腫を細分類する解析手法の早期構築を実現させ、犬や猫のがん治療に貢献していくことを目指している。また富士フイルムVETシステムズは、この共同研究を通して東京大学大学院農学生命科学研究科獣医病理学研究室と更なる連携を深め、現在受託しているリンパ腫の病理組織診断・免疫染色サービスの質を向上させていくと発表している。

※1 白血球の一種であるリンパ球ががん化する病気。リンパ球は、体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体を攻撃し、体の免疫力を維持する役割を果たす。
※2 犬50%以上、猫40%弱ペット保険会社調査
※3 WHO分類(2017)

●本件に関する問い合わせは、富士フイルム VET システムズ株式会社(TEL:0422-26-7129)まで。

『国際★どうぶつ祭』『大宮国際★どうぶつ祭』開催

 2021年11月20日(土)、21日(日)の2日間、『国際★どうぶつ祭』(東京都世田谷区)と『大宮国際★どうぶつ祭』(埼玉県さいたま市)が開催された。
 毎年恒例のイベントであるが、昨年に引き続き新型コロナウイルス感染症対策として一般公開は行われなかった。在校生の保護者および入学希望の高校生のみを対象に完全予約制とし、マスク着用、付き添い1名まで等の感染対策がとられた。
 動物関連業界での仕事を目指す学生たちにとって、コミュニケーション能力を身につけることは重要であり、特に卒業対象クラスが中心となって実施する『どうぶつ祭』は大きな経験となる。学園全体で徹底した感染対策を講じることで、学生たちの貴重な学びの時間が可能となった。

 大宮国際動物専門学校では各学科ごとに、さまざまな形で学んできた成果の発表が行われた。
 動物看護系学科は、クイズを解きながら動物看護を体験したり、ゲームに参加しながら動物の体について学べるブースなどを用意。参加者は楽しみながら動物看護の内容に触れることができた。
 トリマー系の学科では、犬たちと一緒のファッションショーや、ふれあいコーナーを実施。愛犬や学校犬とお揃いの洋服を身にまとってステージをウォーキングし、個性あふれるファッションショーとなった。
 動物飼育系学科ではアニマルショーやアクアリウムツアー、ドッグトレーナー系学科ではドッグトレーニングショーやふれあいコーナーなどを開催した。どちらの学科も、人前で話すパフォーマンス力が披露されると同時に、日頃から動物たちと築いた信頼関係を参加者に示す機会となった。

 『どうぶつ祭』は、学生たちにとって日頃の学びの成果を表現する大切なイベントであり、楽しい思い出づくりでもある。またそれだけでなく、社会に出るまでに身につけるべきコミュニケーション能力、協調性、表現力などの、“人間力”を伸ばす貴重な機会となった。











日本動物看護職協会 第11回 動物看護大会 開催される

 昨年2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により中止を余儀なくされた動物看護大会。今年はオンデマンド配信とし、10月11日~10月24日(後に好評につき11月7日まで延長)にて開催が実現した。

 今回の大会は、『愛玩動物看護師 明日への一歩 ~最新情報とスキルアップ~』というテーマのとおり、実施が2年後(令和5年)に迫る愛玩動物看護師の国家試験に向けたセミナーが多くを占めた。横田淳子日本動物看護職協会会長による「めざせ、愛玩動物看護師 ~愛玩動物看護師法の最新情報~」をはじめ、水越美奈先生(日本獣医生命科学大学)による「愛玩動物看護師と適正飼育」、難波信一先生(マーブル動物医療センター)による「愛玩動物看護師が知っておくべき血液検査」、荒川真希先生(ヤマザキ動物看護大学)「愛玩動物看護師へ一歩踏み出す!動物臨床栄養学」といった、これから受験勉強に入るすべての学生、動物看護師の力となってくれるであろう内容であった。

 また、コロナ禍においてさらに拡大したSNSを通して、動物病院と看護動物のご家族のコミュニケーションについて考察する口頭発表「コロナ禍の動物病院における非対面でのご家族への情報共有に関する取り組み~ SNS活用後のご家族の情報理解とスタッフとの対話の変化検討~」(藤田 郁動物看護師、クラウン動物病院)においては、実際に動物病院スタッフがSNSを運用するにあたり大いに参考となる発表となったと思われる。

 来年、2022年には、既卒者・在学者に向けた所定の講習会もはじまり、いよいよ愛玩動物看護師の国家試験に向け本格的に活動し始める方も多いであろう。同大会が、受験生のよい刺激となるとともに、臨床で働く動物看護師の日々の診療の糧となったのではないかと想像する。

 同大会を主催する日本動物看護職協会・横田会長にはMVM No.202(2022年1月号)から3号にわたり、愛玩動物看護師の国家試験にまつわるコラムをご執筆いただいている。ぜひそちらも合わせてご参考いただきたい。


横田会長によるご講演の様子

日本獣医再生医療学会 第1回ホームタウンミーティング in Autumn 「犬のがん治療と現状の症例」 開催

 2021年10月24日(日)第一回ホームタウンミーティング in Autumn (主催:一般社団法人 日本獣医再生医療学会(JSVRM)、協賛:株式会社J-ARM)が、オンラインで開催された。

 テーマは「犬のがん治療の現状と症例」。平野由夫先生(本学会副理事長、ひらの動物病院)の開会挨拶にはじまり、横山篤司先生(同副理事長、さくら動物病院)の進行のもとプログラムが展開された。
 「がん免疫療法の現状と課題」 萩森健二先生(同理事、かもがわ動物クリニック)、「活性化リンパ球療法のエビデンス」三谷康介先生(J-ARM)、「免疫(活性化リンパ球)療法の症例紹介」プログラムでは、『外科療法・化学療法・免疫療法を併用して長期生存した甲状腺濾胞癌犬の1例』宮本結佳先生(藤井動物病院)、『肛門周囲に発生した皮膚メラノーマに対してDC-CAT療法およびインターフェロン療法を行い腫瘍の退縮が認められた犬の一例』松永耕平先生(刈谷動物病院グループ市川総合病院)、『犬皮膚肥満細胞腫(stage3)の術後治療としてCAT療法を用いた3例』正岡久典先生(志村坂下動物総合医療センター)、『活性化自己リンパ球移入療法(CAT療法)のみを用いて良好な経過が得られた乳腺癌の猫の1例』重本 仁 先生(王子ペットクリニック)、『活性化リンパ球療法を併用し治療した猫の全身性肥満細胞症の1例』宮﨑 務先生(ダクタリ動物病院 品川ウエルネスセンター)が紹介された。

 続くパネルディスカッション(座長:牛草貴博先生、関内どうぶつクリニック)では、「がん治療における免疫療法の有用性」と題し、パネラーとして横山篤司先生、平野由夫先生、萩森健二先生、三谷康介先生、宮本結佳先生、松永耕平先生、岡久典先生、重本 仁先生、宮﨑 務先生が参加し、免疫療法の開始・終了のタイミング、飼い主への啓発方法、QOLスコア、投与部位と効果、コスト面など、具体的で活発なディスカッションが展開された。
今後の免疫療法を行ううえでの、技術面、飼い主対応面などのヒントが凝縮された、ミーティングであった。

 本ミーティングは、11月10日(水)まで下記のYotubeリンクより限定公開配信される。
https://www.youtube.com/watch?v=2B2NPStU4Jk

 ※お問い合わせ:本学会事務局
http://jsvrm.jp/
   TEL:03-6279-3296

来年(2022年)5月15日(日)にはハイブリット日本獣医再生医療学会が開催。患者のQOLを高める治療の選択肢として、本学会の担う役割はますます大きくなる。


パネルディスカッションの様子

第24回日本獣医療倫理研究会(JAMLAS)・日本小動物歯科研究会(SADSJ)合同シンポジウム開催される

 2021年10月24日、グランドニッコー東京 台場にて、第24回日本獣医療倫理研究会(JAMLAS)・日本小動物歯科研究会(SADSJ)合同シンポジウムが開催された。

 本シンポジウムでは《無麻酔での歯垢歯石除去による併発症とデンタルケアを目的に与えた製品の歯の併発症を考える》をテーマとし、5名の先生方による発表が行われた。幅田 功先生(センターヴィル動物病院)「無麻酔による歯科処置の弊害」をはじめに、本田 洋先生(本田動物病院)「無麻酔での歯垢・歯石除去とデンタルケアを目的とした製品による歯の併発症に関するアンケート結果」、藤田桂一先生(フジタ動物病院)「無麻酔での歯垢・歯石除去による併発症を考える」、網本昭輝先生(アミカペットクリニック)「デンタルケアを目的に与えた製品による歯の併発症を考える」、江口徳洋先生(Vets Dental and Oral Surgery Office)「適切な歯周病治療とデンタルケアの概要」をテーマに行われた。それぞれの先生方の報告では、動物関連施設における無麻酔の歯科衛生処置や、リスクの高いデンタルケアグッズ使用の実例や、適正な治療およびケアについて解説された。また、そうした実態改善の啓発を行う必要性について言及された。

 発表に続くパネルディスカッション《無麻酔での歯石除去とデンタルケアグッズによる併発症に対する法的立場からの見解》では、春日秀文先生(春日法律事務所)ほか4名の弁護士の先生方により、歯石除去が診療行為にあたるかどうかの問題や、デンタルグッズ改善についての適法な手続きについてなどが考察された。

 なお本シンポジウムは、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が解除されたことにより、獣医療関連研究会としては久しぶりの現地での開催となった。会場は広く、参加者同士の距離が十分にとられ、マスクや手の消毒など感染症対策が励行されていた。約150名の参加者は再会を喜びつつ、熱心に聴講していた。
(本シンポジウムの発表内容は、MVM2020年7月号特集でも詳しく取り上げているため、ぜひそちらも参照されたい)

会場の様子

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