2023年6月25日(日)、(一社)日本動物看護職協会は東京・明治記念館にて「ずっと一緒に ずっと元気に 動物看護の日2023 ~人と動物とヘルスケア~」を開催した。本記念イベントは本協会が国家資格「愛玩動物看護師」の誕生を機に愛玩動物看護師法の公布日6月28日を「動物看護の日」と制定したことにちなんで開催されたものである。
最初に、本協会の会長である横田淳子先生が開会のことばを述べた。続いて、愛玩動物看護師の誕生に大きくかかわった参議院議員の片山さつき氏が国家資格誕生の道のりと今後について熱く語った。
基調講演では、山﨑恵子先生((一社)アニマル・リテラシー総研)が「人も動物も幸せになる ワン・ウェルフェア(福祉は一つ)」と題して講演を行った。山﨑先生は「古代から動物は人の環境のバロメーターであり、動物が安心していられる場所は、人も安心していられる。動物が逃げようとしている場所は、人にとってもストレスのかかる場所であり、安心できない場所であるといえる。したがって、犬や猫の多頭飼育崩壊や動物虐待がおこっている場所は、人にとっても問題がおこっている場所ともいえる。獣医師と愛玩動物看護師のいる動物病院、人の病院、行政などが一つとなって、人も動物も幸せになれるような体制が必要である。人の医療ではソーシャルワーカーが問題の解決に重要な役割を果たすが、動物の医療では愛玩動物看護師はその役割を担うことができる」とし、愛玩動物看護師が果たす役割が大きいことを説明した。
その後、「動物看護の日」に合わせて募集された「My Family フォトコンテスト」および「私の動物看護エピソード」の最優秀作品が発表され、表彰式が行われた。
なお、基調講演と最優秀作品については2023年7月1日(土)~8月31日(木)までJVNA YouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/@jvna.vnca2022)でオンデマンド配信される予定である。また、同チャンネルでは、本イベントの協賛企業である物産アニマルヘルス(株)、ライオンペット(株)による「デンタルケア&猫の健康ケア」、(株)V and Pによる「シニア健康体操・犬の関節炎」も配信される。
学会・セミナーレポート
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(一社)日本動物看護職協会「6月28日 動物看護の日」記念イベント 開催される
2023/6/29
第48回獣医神経病学会2023 30周年記念大会 開催される
2023/6/29
2023年6月24日(土)、25日(日)、獣医神経病学会2023が日本大学湘南キャンパス2号館において開催された。今大会は第48回であるとともに30周年記念大会でもあり、新型コロナウイルス感染拡大後、開催中止からオンライン開催を経て、約3年ぶりに会場開催された大会でもある。参加者は会員を中心に約160名、16社の企業協賛があり、当日も11社の企業展示であった。
2日間とも午前中にTexas A&M UniversityのProfessor Nicholas D. Jefferyが「胸腰部椎間板ヘルニア」をテーマに、1日目は「減圧術のタイミング」、2日目には「ヘルニア後の硬膜切開の効果」について解説された。
さらに両日とも教育講演、内科系と外科系の一般演題も講演された。COVID-19が5類感染症扱いとなってからの会場開催ということもあり、参加者同士が熱心に意見交換を行って知見を広め深める大会となった。
教育講演と一般演題のプログラムは以下のとおり。
教育講演2題:
「神経超音波Neurosonologyの獣医学領域における可能性」笹岡一慶先生
「犬と猫の認知機能不全症候群」小澤真希子先生
一般演題10題:
「急性進行性の対麻痺/対不全麻痺を発症し、起源不明の髄膜脳脊髄炎と臨床診断した犬6例」左 享祐先生、「食欲不振および疼痛を認めた犬の特発性肥厚性硬膜炎の1例」金城綾二先生、「脊髄歩行を達成できた第11-13胸椎領域に重度脊髄損傷を負った犬1例ーヒト理学療法戦略の獣医療への活用ー」吉川和幸先生、「脳梁離断術を実施した薬剤抵抗性てんかんの犬猫の追跡調査」浅田李佳子先生、「小脳ヘルニアで呼吸停止してから手術した猫の3症例」安部欣博先生、「MRIで手術困難な頭蓋底髄膜腫と診断された犬において放射線治療も実施しなかった場合の予後に関する回顧的調査」田村慎司先生、「グルテン除去食の給餌によって改善を認めた犬の発作性ジスキネジアの1例」松尾芽衣先生、「長期生存しているネコX連鎖筋ジストロフィーの1例ー新規DMD遺伝子バリアントの同定ー」武藤陽信先生、「MRI検査にて脊髄くも膜憩室内の脳脊髄液の流れを評価した犬の1例」野池 聡先生、「小脳虫部背側の髄膜腫に対して脳外科手術前のMR-3D-phase contrast法が有用であった犬の1例」大島綾華先生
獣医神経病学会ホームページ https://shinkei.com/
犬と猫の5-ALA研究会 第7回セミナー 開催される
2023/6/29
2023年6月25日(日)、東京・明治安田生命昭和通りビルにて犬と猫の5-ALA研究会第7回セミナーが開催された。今回は講師に金井一享先生(北里大学)を迎え、「犬のぶどう膜炎と5-アミノレブリン酸(ALA)~基礎研究から考える5-ALAの可能性~」と題し、オンラインとオフラインのハイブリット形式にて行われた。本研究会会長の後藤正光先生(菊水小さな動物病院)の開会の挨拶のあと、動画配信の形でセミナーがスタートした。
講演の構成は、抗炎症作用や抗酸化作用、抗ウイルス作用、抗発がん作用など多くの報告がある5-ALAに対して、ぶどう膜炎における抗炎症効果を検討するため、実際に講演者である金井先生が研究した「5-ALAを用いた抗炎症効果の再現性確認(In vitro試験)」「ラットのぶどう膜炎モデル(EIU)を用いた5-ALA経口投与の抗炎症効果」「EIUモデルを用いた5-ALA/クエン酸第一鉄Na(SFC)経口投与の抗炎症効果とその機序について」「犬前房穿刺モデルを用いた5-ALA経口投与の血液房水関門破綻予防的効果」の各研究方法およびその結果が紹介された。とくに「EIUモデルを用いた5-ALA/SFC経口投与の治療的抗炎症効果」「EIUモデルを用いたドラッグデリバリーシステム(DDS)を応用した5-ALA点眼剤の抗炎症効果」は現在進行中の研究であり、その発表が待たれるところである。
これまでの研究結果より、5-ALAの経口投与が抗炎症に対し、予防的および治療的に使用できる可能性が考えられるとして、その1つとして免疫介在性疾患と考えられている水晶体起因性ぶどう膜炎(LIU)をその候補に挙げた。水晶体蛋白質の曝露により発症する本疾患は犬の白内障手術のスクリーニング検査では71%に確認されており、白内障のステージがすすむと潜在的な血液房水関門の破綻の発生率が高くなるという点から、血液房水関門破綻予防的効果を期待できる5-ALAが使用できるのではないかとのことであった。
また、先述の犬前房穿刺モデルの研究結果より、眼内手術の術前および術後に5-ALAを投与することは治療的もしくは補助的療法として有効であるかもしれないと解説された。
そのあと、会場の参加者およびオンラインセミナー受講者に質疑応答の時間が設けられ、抗酸化作用にかかわる網膜関連への5-ALAの使用に関する質問があがった。本会会長である後藤先生は「サプリメントの成分でこれほどエビデンスのあるものは多くないと考えている。今回のぶどう膜炎も含め、本会の活動により、5-ALAの使用が広がることを期待したい」と述べた。今後、5-ALA含有のサプリメントの台湾での発売も決定しており、日本を越えて海外への活動も視野にある本会の活動が、多くの動物や飼い主にとっての幸せにつながることを期待したい。
なお、本セミナーはVETS TECHにて2023年7月17日(月)~同年8月20日(日)の期間、無料WEBINARとして配信される。また、2023年12月には第8回セミナーが開催予定である。
第106回日本獣医麻酔外科学会学術集会 開催される
2023/6/27
2023年6月16日(金)~18日(日)、大宮ソニックシティ(埼玉県)にて(一社)日本獣医麻酔外科学会主催による2023年度第106回日本獣医麻酔外科学会学術集会が開催された。
獣医麻酔外科学の最新の知見や技術を学べる本学術集会は、新型コロナウルス感染症への配慮から第100回は中止、第101~104回はオンラインでの開催であったが、前回2022年度第105回の福岡での学術大会からオンライン・対面のハイブリット方式で実施。今大会は、同様の方式での学会開催ながら、一部のプログラムを除き、大幅に対面方式へシフトし展開することとなり、整形外科委員会、軟部組織外科委員会、麻酔疼痛管理委員会の各専門委員会がパネルディスカッション、シンポジウム、教育講演など充実したプログラムを提供した。
とくに今大会では「男女共同参画に関する」企画として「獣医麻酔外科領域における男女共同参画チームの実現に向けて」と題したパネルディスカッションが、パネリストに福原美千加先生(みかん動物病院)、武内 亮先生(ネオベッツVRセンター)、野村幸世先生(東京大学消化器外科)、柴崎 努先生(日本マイクロソフト)、座長に岩井聡美先生(北里大学)、秋吉秀保先生(大阪公立大学)を迎え、麻酔・手術への意欲が高い獣医師にとって性別に関係なく参加しやすい環境づくりについて意見交換が行われた。女性の就労割合が増加の一途をたどる獣医業界において非常に大切なテーマと本学会はとらえている。
また今年8月からスタートする「動物麻酔技能認定医制度」についての説明会も実施され、「動物麻酔技能認定医」の認定により日本での動物麻酔疼痛管理分野の発展と安全性向上を目指すとともに、動物の麻酔疼痛管理学に関する広範な知識と技能、実践能力を備えた臨床獣医師の育成を目指す。説明会の様子はWEBでも視聴可能。
各講演に熱心に耳を傾ける参加者、登壇者と会場の活発な質疑応答などの姿がみられ、対面方式ならではの熱気あふれる3日間となった。
また、6月17日(土)に実施された本学会の定時総会では、前期に続き秋吉秀保先生が会長として選任された。情報交換会では、秋吉会長自ら「理事会の仲間です」と、副会長、理事、監事、相談役を一人ずつ紹介され「このメンバーとは今日から2年間一緒に日本獣医麻酔外科学会を先頭に立って運営することとなりました」、「これからの2年間、男女が共同で参画できる手術チーム、そして麻酔チームを目指すとともに、若い人もベテランも楽しみながら学術の発展に貢献できる学術団体として運営していきたいと思っております」と意気込みを語った。
今大会では会場へは715人、オンラインでは378人が集った。また日本獣医内視鏡外科研究会、獣医顎顔面口腔外科研究会も同時開催された。一部の講演は大会Webサイトからオンデマンド配信され視聴可能。見逃し配信は開催後、2週間を予定。
詳細は下記より。
https://www.jsvas.net/ezm/2023-106/index.html
次回の第107回本学術集会は12月8日(金)~12月10日(日)名古屋コンベンションホールにて開催。これからも本学会が日本の獣医療界に果たす役割がますます期待される。
シンポジウムの様子。各専門委員会からパネルディスカッション、
シンポジウム、教育講演など魅力的なプログラムが提供された
大会長 田中 綾先生(東京農工大学)。今大会ではほとんどのプログラムを対面方式で実施することとした
情報交換会にて。秋吉会長自ら、副会長、理事、監事、相談役の先生方を
壇上へよび、これからの2年間、本学会を牽引する「仲間」を一人ひとり
紹介した
2023年5月12日(金)、岡山理科大学今治キャンパス(愛媛県今治市)にて「疫学講座公開セミナー 獣医師の多様な職域を考える-先輩獣医師に聞くキャリア形成-」が開催された。本講座は岡山理科大学獣医学部疫学講座のセミナーとして、ロイヤルカナン社の協力のもと、獣医学科の3年生136名(その他希望者を含む)を対象に実施されたものであり、講師として、企業の社員、公務員、臨床獣医師、そして大学教員とそれぞれの職域で現在活躍されている獣医師が参加し、各々の立場から当人だから知り得る情報をもとに講義が行われた。
司会進行は同大学の深瀬 徹先生、そしてパネルディスカッションのファシリテーターとして太田亟慈先生(犬山動物総合医療センター)を迎え、当日15時から開始となった。
第1部「様々な獣医師の職場の紹介(講演)」では、はじめに「データからみる獣医学部学科学生の就職」と題し、氏家貴秀氏、尾身衛祐氏(ともにロイヤルカナン ジャポン)からは、獣医学生の希望進路や意識調査など就職に関する具体的なデータが、グラフを活用して紹介された。
次に「製薬企業で働くということ 共立製薬の場合」では、現役の社員である豊田一秀氏(共立製薬(株)営業企画部CA学術課)から、実際の業務内容や職場の環境、自身が転職をした動機やその流れなどが紹介された。
そして、「国家公務員の仕事 -農林水産省獣医系技術職員を例にして-」では、森口優佳氏(農林水産省動物検疫 神戸支所)から国家公務員を目指したきっかけや農林水産省の採用区分、採用試験の内容および採用実績、実際の公務員獣医師の業務やその魅力について紹介された。
さらに「私はどうして小動物臨床を希望したか」では、村山果穂先生(JASMINEどうぶつ総合医療センター)が、新卒1年目の立場から、小動物臨床への就職を決めるまでの流れとその決めた理由を具体的に紹介された。
最後に「小動物臨床の仕事 -個人病院から二次診療施設、大手企業病院まで、私の勤務経験をもとに-」では、中村有加里先生(岡山理科大学獣医学部)から、動物病院の経営スタイルについて、実際に勤められた計5つの動物病院のそれぞれの診療数や1日のスケジュールなど、多様なスタイルの病院の具体的な勤務実態が説明された。
第2部「獣医師のキャリア形成のために(パネルディスカッション)」では、太田亟慈先生をファシリテーターに、第1部の講師の方々が壇上に上がり、キャリア形成に必要だと思われるテーマに沿ってディスカッションが行われた。太田先生のこれまでの経験や考え方などを中心に議論は展開し、その途中では会場から質問を受け付ける機会が設けられた。学生からの「どのような人材が望まれるか」という質問では、挨拶、コミュニケーションスキル、リスクアセスメント、また周りとの調整能力などの回答が返された。
第3部では、将来の仕事に関する個別相談会が開かれ、第1部の講師陣1名ずつに個別の部屋が設けられ、話をききたい講師の部屋を学生が巡るスタイルで行われた。加えて、第1部の講師のほか、地方公務員獣医師としての仕事を稲谷憲一氏(愛媛県農林水産部農業振興局畜産課)、田坂紀博氏(愛媛県保健福祉部健康衛生局薬務衛生課)の話がうかがえる部屋が設けられ、計5部屋が準備された。
取材した印象としては、学生の意識も様々であり、進路は未定だがとりあえず話をきいてみようという学生、野生動物に関する仕事に就くための就職先を知りたい学生、転職によるキャリア形成への影響についてききたい学生など、それぞれの悩みが多様で、非常に興味深いものであった。また、参加者は3年生だけでなく4年生や6年生もおり、学年ごとに悩みの内容も異なると思われた。
会場の学生に現在の希望進路を挙手にて尋ねる機会があり、印象的には小動物臨床を考えている学生が比較的多いようであった。ただ、セミナー内のデータでは小動物臨床を選ぶ学生は、現在、全体の約40%との説明もあるなど、臨床現場への就職者が減少している事実は否めない。ただ、ポジティブに考えれば獣医師の職域の広さを表すものであるともいえ、単なる取材で参加した弊社にも積極的に声をかけてくれた学生もいた。獣医学生の未来は幅広く、そして明るいものであると感じた次第である。
そして、岡山理科大学の獣医学科は来春、初の卒業生を輩出することとなる。学生および先生方は注目を浴びていることを感じながら、より高い意識で卒業、そして国家資格取得に向けて準備をすすめているといえる。獣医療の未来をつくるのは、今の学生たちであり、岡山理科大学の学生だけでなく、全国のすべての獣医学生が希望する未来に向かってつきすすんでくれることを願うばかりである。
会場の様子
2023年5月28日(日)、日本獣医生命科学大学において日本獣医輸血研究会第8回学術講習会および第57回小動物臨床血液研究会が開催された(見逃し配信期間:6月5日(月)〜7月2日(日))。今回は、日本獣医輸血研究会と、1993年に「小動物臨床における血液病学の発展と普及を目的」として発足した小動物臨床血液研究会とによる共催であり、このはじめての試みは両研究会にとって、また両研究会会員にとって意義深いものになったと思われる。
また、前回同様、対面セミナーと見逃し配信によるハイブリッド形式で開催された。ようやくCOVID-19に対する懸念が弱まり、対面式のみの開催に踏み切る学会も増えるなかでの配信について、輸血研究会会長・内田恵子先生は、「東京の会場にどうしても足を運べない地方の先生や動物看護職の方が、参加できることをとても喜んでくださっている」とお話しくださった。
セミナーは、日本獣医輸血研究会による「輸血副反応」(久末正晴先生、麻布大学)、「輸血に関連する院内システム」(鈴木裕子先生、Pet Clinic アニホス)をはじめ、小動物臨床血液研究会による「血が止まりません―どうする鑑別と治療」(高橋 雅先生、鹿児島大学)、「再生性貧血の原因には何がありますか?」(森下啓太郎先生、北海道大学)といった充実した講義に加え、輸血前に欠かすことのできないクロスマッチ検査についての手技を一つひとつ丁寧に解説する「クロスマッチ手技」(中村知尋愛玩動物看護師、日本小動物医療センター)、各病院で実際に行われているクロスマッチの方法を発表する「実践クロスマッチ!うちはこうしている」といった、参加者が誰でもすぐに検査できるようになることを念頭に企画された講演も見どころであった。
当日は、昨年末に行われた第1回JSVTM認定輸血コーディネーター認定試験の合格者も発表された。今回、認定者は8名の獣医師、愛玩動物看護師であり、認定委員長の呰上大吾先生(東京農工大学)から、「皆さんとても優秀な成績でした」と素晴らしいお言葉が贈られた。
配信による受講は7月2日まで可能。
【セミナー内容】
●日本獣医輸血研究会
1. 輸血副反応(認定プログラム7)
久末正晴(麻布大学)
2. 輸血に関連する院内システム(認定プログラム8)
鈴木裕子(Pet Clinic アニホス)
3. クロスマッチ手技(教育講演)
中村知尋(日本小動物医療センター)
4. 実践クロスマッチ!うちはこうしている(ワークショップ)
菊田 基(浦安中央動物病院)
長島 友美(苅谷動物病院グループ)
大塚 真子 (山陽動物医療センター)
座長: 荻野直孝(ALL動物病院 行徳)
●小動物臨床血液研究会
1. 血が止まりません―どうする鑑別と治療
高橋 雅(鹿児島大学)
2. 再生性貧血の原因には何がありますか?
森下啓太郎(北海道大学)
3. 赤血球の形態観察 再生性貧血の鑑別はほぼこれで完璧です
井手香織 (東京農工大学)
日本獣医輸血研究会HP https://www.jsvtm.org/
小動物臨床血液研究会HP https://dourinken.com/forum/ketsuken/
(一社)日本獣医再生医療学会(JSVRM)第18回年次大会 開催される
2023/6/5
2023年5月28日(日)、日本獣医再生医療学会(The Japanese Society for Veterinary Regenerativee Medicine:JSVRM)第18回年次大会が、横浜ワールドポーターズ(神奈川県)で開催された。
今回の大会は「エビデンスをもとにした再生医療 何が真実か?」をテーマに展開。午前中のシンポジウムでは「MSC血管内投与を用いた椎間板ヘルニアの治療:どこまでがエビデンスなのか」と題し、座長を本大会長の枝村一弥先生(日本大学)と原田恭治先生(日本獣医生命科学大学)が務め、「①オーバービュー」原田恭治先生(日本獣医生命科学大学)、「②犬の脊髄損傷に対する幹細胞治療の開発:基礎エビデンスを中心とした解説」藤田直己先生(東京大学)、「③臨床研究データから見る犬椎間板ヘルニアに対するMSCの可能性」福田 威先生(PARM)、「動物用再生医療等製品〈ステムキュアⓇ〉の開発と供給」永原俊治氏(住友ファーマアニマルヘルス(株)※6月1日より物産ファーマアニマルヘルス(株))の4名が発表した。続いてパネルディスカッションが実施され、治療のメカニズムや治療戦略、ベネフィットとリスクのバランスを中心に意見交換が行われた。
午後の基調講演では、人における再生医療について、世界と日本とのちがいや、免疫チェックポイント分子阻害薬の現状、および免疫チェックポイント抗体の臨床研究データの発表の他、獣医内科系疾患領域への再生医療の期待や、ChatGPTによる回答も交え、獣医再生医療領域におけるエビデンスの構築について紹介され、獣医再生医療が社会的信頼と実績を積み上げていく道筋が示された。
その道筋を大きく前進させる「獣医再生医療認定医制度」が今年(2023年)に設立され2025年には第1回認定試験がスタートする予定であることが今大会長を務める枝村一弥先生(日本大学)から発表された。
また本大会では、北米獣医再生医療学会からAmir Kol先生を招き、感染症やMSCに関するランチョンセミナーが開かれ、(一社)日本再生医療学会の常務理事で2024年に大会長を務める寺井祟二先生(新潟大学)による基調講演「間葉系幹細胞および細胞外小胞(エクソソーム)の肝疾患に対する応用」も実施された。この他、大会の最後では、優れた発表者(ポスター発表者を含む)3名が選ばれ、表彰された。
午前9時~午後6時まで実施された本年次大会会場へは100名以上が集い、オンラインでも40名以上が参加し、本分野への期待と関心の高さがうかがえた。
来年第19回は5月開催予定。本学会の今後の活動への期待が高まる。
※6月5日~7月3日まで、要参加登録にて一部プログラムを
オンデマンド配信中。詳細は下記より。
https://www.jsvrm.org/18thannualconference
パネルディスカッションの様子。
左から原田恭治先生、藤田直己先生、福田 威先生、永原俊治氏
北米獣医再生医療学会のAmir Kol先生による講演
今大会長の枝村一弥先生から指針・届出についての解説や、
「獣医再生医療認定医制度」の設立と第1回認定試験について紹介された
今大会も、優秀な発表者3名が選ばれた。本学会理事長の横山篤司先生から
アワードを授与