小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

第43回動物臨床医学会年次大会 開催される

 2022年11月19日(土)、20日(日)、大阪国際会議場グランキューブ大阪にて、第43回動物臨床医学会年次大会が開催された。新型コロナウイルス蔓延防止のため、2020年、2021年はオンラインでの開催となったが、本大会は感染対策を施したうえで3年ぶりの対面式での開催となった。

 以前と比べて開催日が1日短くなり、規模は縮小されたが、分科会ごとのセミナー、パネルディスカッション、特別講演など盛りだくさんで、症例検討、一般口演、ランチョンセミナーのほか、小動物臨床血液研究会、小動物臨床栄養学研究会および動物のいたみ研究会の講演、動物病院スタッフセミナー、ポスターセッションなど、その内容は充実していた。講演も立ち見が出るほど盛況なものもみられ、講師と参加者の間で活発な意見の交換があった。

 久しぶりの大きな対面式の学会で、あちこちで参加者同士の再会を喜ぶ声がきこえた。また、出展者にとっても、製品に興味をもった獣医師の先生方と直に話せる機会となり、対面式での開催は待ちわびたものであった。

 対面式のみの開催に際し、理事長の山根義久先生は、「確かにオンライン学会は、経費や時間が短縮し、大変合理的のようにみえるが、何かしらさみしい気持ちになったのは私一人ではないと思う。やはり、人生何事も合理的ばかりがよいとは限らない。」と述べた。

 本大会の参加者総数は、1,561名(獣医師900名、動物病院スタッフ158名、学生130名、企業関係者373名)、協力企業数は112社であった。成功裏に終わった本大会は他の学会が対面式になる道しるべになると思われる。

 次回、第44回年次大会は令和5年11月18日(土)、19日(日)に同会場にて開催予定である。

歓迎交流会で挨拶をする山根義久先生

講演会の様子

第21回 アジア獣医師会連合(FAVA)大会 および第40回 日本獣医師会獣医学術学会年次大会 開催

 2022年11月11日(金)~13日(日)の3日間にわたって、「第21回 アジア獣医師会連合(FAVA)大会」がヒルトン福岡シーホークにて「アジアからワンヘルスアプローチ~動物と人の健康は一つ。そして、それは地球の願い。~」をテーマに開催された。本会は公益社団法人日本獣医師会およびアジア獣医師会連合が主催し、福岡県および福岡市が共催した。農林水産省、環境省、厚生労働省、文部科学省、日本学術会議、公益社団法人日本医師会、公益社団法人日本獣医学会、世界獣医師会(WVA)も後援し、大会長は公益社団法人 日本獣医師会会長の藏内勇夫先生が務められた。さらに、第40回 日本獣医師会獣医学術学会年次大会(令和4年度)が連携開催され、令和四年度日本獣医師会獣医学術賞の受賞者への授与式が大会3日目に実施された。
 参加対象は、獣医師会会員をはじめ、医師・歯科医師・薬剤師・看護師・作業療法士・理学療法士・言語聴覚士などの医療関係者、関連学校の学生。同伴者などを含み、13の国と地域を含む国内外から約2,000名の参加登録を得た。
 大会では、特別シンポジウム、招待講演、記念講演として、COVID-19などの感染症対策、産業動物・小動物・野生動物などに関する最新の研究報告、アニマルウェルフェア、環境問題および公衆衛生など多岐にわたる専門的プログラムが組まれた。加えて、Welcome PartyやGala Dinner、開催地である福岡県と福岡市のPRコーナー、協賛企業展示など、参加者が楽しめるおもてなしが多く提供されていた。最終日には、人と動物の共通感染症対策や、ワンヘルスアプローチによる国際連携、動物と人が共生する社会構築に取り組むなどとしたアジアワンヘルス福岡宣言を採択し、盛会のうちに幕を閉じた。

会場内のフォトスポット

会場の様子

第28回北海道小動物獣医師会年次大会 開催される

 2022年11月6日(日)、ロイトン札幌(北海道)にて、第28回北海道小動物獣医師会年次大会が開催された。
 今回は獣医師プログラムとして学術セミナーが2題行われ、「X線が読めるようになるための、たった一つのポイント」と題し、北海道大学の新坊弦也先生が登壇。また、「『肺が白い』で終わらずに、原因に近づくための診断プロセス」と題し、同じく北海道大学の中村健介先生が解説された。また、獣医師ランチョンセミナーでは、中島尚志先生(HJS)が「非専門医のための整形X線診断〜1時間で極める、1時間で人生を変える〜」と題し、X線検査をなぜするのかを解説された。
 動物看護職プログラムでは、ランチョンセミナーとして、宮下ひろ子先生の「変化にうまく対応する~これからの動物病院スタッフに求められること~」の講演のあと、「~国家試験を受けるならここまでは知っておいて欲しい基本の麻酔の授業~」(伊丹貴晴先生、酪農学園大学)、「愛玩動物看護師に動物病院内で求められること!」(宮庄 拓先生、酪農学園大学)の2題のセミナーが行われた。
 紅葉がきれいな小春日和のなか、今回ははじめてハイブリッド型で開催された。とくに獣医師プログラムは現地開催とライブ配信のみとなり、同じ時間をより共有できる構成となった(動物看護職プログラムは登録者のみアーカイブ配信予定)。会場には多くの企業も出展し、参加者からも久しぶりの展示会場に来られて嬉しいとの声もきかれた。同日、同じ札幌市内で愛玩動物看護師国家試験の予備試験も開催されており、獣医療界にとって熱い一日となった。

北小獣会場の様子