昨年度に続きオンライン開催となった、日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)の年次大会(開催:2022年 9月22日 ~12月9日)。今回は、「世代間、各地域、現在と未来、獣医療スタッフとご家族、人・動物・環境など、JBVPがテーマにしてきた様々なつながりをもう一度意識したい」(日本臨床獣医学フォーラム 年次大会実行委員長・山岸建太郎先生)との思いから、「CONNECT」をテーマに、前期・後期合わせてじつに185セミナーが用意された(Web LSアーカイブ、2021年年次大会、2022年WJVF再配信も含む)。

 同学会の恒例となった、登録のみで誰でも無料で視聴できる「一般(ご家族)プログラム」をはじめ、新企画「一般ショートプログラム」では、「肛門嚢のお手入れ」「お薬の飲ませ方」「ご飯を嫌がる犬猫への工夫」といった、知っていることで動物とご家族がハッピーになれる内容も盛りだくさんで、獣医療関係者だけでなく、動物とその家族にも貴重な機会となったと思われる。

 また、登壇者と参加者が対面でディスカッションする様子を収録した新企画「リアルセミナー収録」も用意された。竹村直行先生(日本臨床獣医学フォーラム会長、日本獣医生命科学大学)と学生が実際の症例について検討する「竹村研究室の心電図ゼミ 2022」、小笠原聖悟先生(アイデックス ラボラトリーズ(株))が1年目の若手獣医師をあつめディスカッションする「Dr.小笠原の臨床病理ラウンドテーブルディスカッション」はいずれも、視聴者も一緒にその場に参加しているような臨場感をおぼえる内容であった。オンラインでありながら、参加する楽しみを実感できるこうした新しい試みも本学会の魅力といえる。

 加えて、来年2月に行われる愛玩動物看護師国家試験の受験対策としても見ておきたい動物看護師向けプログラムでは、「感染症学」「麻酔・疼痛管理学」「血液病学」など、ますます幅広い内容が用意された。

 オンライン開催となって久しく、その手軽さから、学会に参加するハードルが下がったいっぽうで、学会に参加してこそ得られる満足感は感じづらくなっているのではないかと想像する。それでもなお、新たな試みで参加者の知的好奇心を刺激するこうした学会こそが、仕事以外の場で誰かの話を真剣にきいたり、なにかについて考え討論する楽しみを提供してくれていると感じた参加者は多かったのではないだろうか。

日本臨床獣医学フォーラムHP https://www.jbvp.org/

「Dr.小笠原の臨床病理ラウンドテーブルディスカッション」の様子

一般ショートプログラム「お薬の飲ませ方:猫編」の様子