2023年9月14日(木)、恵比寿・ザ・ガーデンルーム(東京都)にてTeam HOPE 10周年記念記者発表会が開催された。2013年12月に発足し、ペットの予防医療の普及および啓発をテーマに活動を開始した本団体は今年で10周年を迎えた。賛同動物病院数も2,700を超え、現在の動物の予防医療に対する意識の向上に貢献している団体に成長したといえる。
本会副代表の西岡賢一先生(パル動物病院グループ総院長)の開会挨拶のあと、講演が行われ、「Team HOPEの理念と10年の歩み」では本団体Founderの太田亟慈先生(犬山動物総合医療センター代表)が登壇し、これまでの経緯に加え、現在の活動とこれからの展望を述べた。次に「これからの犬と猫の健康診断」では本団体学術顧問の石田卓夫先生(JBVP名誉会長)が登壇し、動物の健康が人の健康寿命の延伸を促し、人の医療費の削減につながることを解説した。そして「Team HOPEのこれからの10年に向けて」および「わんにゃん健康マニフェスト」では本団体代表の上條圭司先生(ゼファー動物病院グループ代表)が登壇し、より多くの動物に健康診断を受診してもらえるよう健康診断プロジェクトを発足し、オペレーション/学術チーム、宣伝・広報チーム、組織マネジメントチームの3つのチームによる体制の構築により組織化した予防医療啓発をすすめる構想を示した。また、通年での健康診断の実施、簡単に入力可能な健康診断報告フォームの構築(2024年秋以降を予定)、Team HOPE愛玩動物看護師会員の組織化や資格化などを説明した。わんにゃん健康マニフェストでは、10年後の目標として「日本の犬猫の平均寿命を1年延ばします」「健康診断の受診率を約60%に高めます」「動物病院をシックケアだけでなくヘルスケアの場にします」の3つを掲げた。
後半では、「Team HOPE健康診断優秀賞」の表彰式が行われ、オンライン参加を含む6家族14頭が受賞した。フォトセッション、質疑応答と続き、質疑応答で石田先生は「動物病院はこれまで消防車として活動していたが、これからは消防署としての見回り(予防)の機能をもつべきだ」と述べた。最後は、本会副代表の淺井亮太先生(動物医療センター もりやま犬と猫の病院院長)の挨拶で閉会した。次の10年の活動も期待したい。
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Team HOPE 10周年記念記者発表会 開催される
2023/9/20
第15回 日本獣医腎泌尿器学会 学術集会・総会 開催される
2023/9/12
2023年8月26日(土)、27日(日)に、第15回 日本獣医腎泌尿器学会泌尿器学会が「プロフェッショナル腎臓病診断学~腎生検の課題と未来」をテーマに開催された(大会長:小林沙織先生/岩手大学)
COVID−19の感染が拡大した後はオンライン開催やオンラインと現地開催のハイブリッドで行われていた学術集会・総会は、今回、1日目の日本腎臓学会合同企画シンポジウム「獣医療/ヒト医療から発信する腎臓病基礎研究とその敷衍」がリアルタイムでオンライン配信され、午後の「認定講習会を兼ねた教育講演」および2日目の基調講演、一般症例・研究発表が現地開催された。協賛企業は13社(うち会場展示11社)、会場には延べ約500名が参加した。
合同企画では、「糖尿病性腎臓病モデルマウスの確立~マウスで腎臓病研究を行う意義~」、「イヌはマウスーヒト間のミッシングリンクを埋められるか? ~腎生検によって膜性腎症と診断したフレンチ・ブルドッグの一例を通して~」、「腎臓再生の現状と課題~iPS細胞と異種移植とキメラ技術について~」、「猫の慢性腎臓病を取り巻く実情と展望~慢性腎臓病に対する5-アミノレブリン酸の効果」を研究分野の最先端で活躍される医師と獣医師の先生方4名がご講演された。さらに、医師による基調講演「人医における腎生検の実際と腎病理診断学」および、獣医師によるシンポジウム「腎生検および病理検査の現況と問題点、展望」、「腎生検の実際~腎臓の解剖、腎組織の採取と取り扱い」、「腎生検を実施した臨床例における治療と臨床経過」、ランチョンセミナーをはさんで18演題になる一般演題が発表され、2日にわたる充実したプログラムが展開された。
また、1日目の講演終了後には、アットホームな雰囲気で情報交換会が行われた。そのなかで、第14回学術集会の症例報告部門で優秀賞を受賞された前田憲孝先生(岡山理科大学)および第1期の日本獣医腎泌尿器学会認定医を取得された林 雄平先生(日本動物高度医療センター<大阪病院>)が受賞と認定医取得の喜び、学会への期待、今後ますます研鑽を積まれることなどをご挨拶された。
医学と獣医学が交差する基礎研究、卒後教育の一環でもある教育講演、臨床に活かせる基調講演とシンポジウム、一般演題という充実したプログラムに加え、500名近くになる現在の認定医制度参加会員に、認定医取得後の上級認定医には15名が申請しており、今後の学会の発展を予感させるとともに、参加者が学会活動へ抱いている期待感に満ちた大会となった。