小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

キャリアユニバーシティ 先輩に聞く卒業後の多様なキャリア in 北里大学 開催される

 2025年6月3日(火)、北里大学十和田キャンパス(青森県十和田市)にて「キャリアユニバーシティ 先輩に聞く卒業後の多様なキャリア」が開催された。本講座はロイヤルカナン社の協力のもと、獣医学科の4年生約120名を対象に実施されたものであり、講師として、農林水産省および環境省、企業、小動物臨床、国際協力機構(JICA)など、それぞれの職域で活躍されている獣医師が主に登壇し、具体的な職域についての講演が行われた。
 はじめに「輝く未来の獣医師に向けて 獣医師としてのキャリアを考える」と題し、ファシリテーターである太田亟慈先生(犬山動物総合医療センター)が本講座の意義、そして将来に向けての職業の選択についての考え方を、臨床の立場、そして雇用する立場から解説した。
 その後、レクチャーパートとして、農林水産省大臣官房秘書課係長の小川 倭氏から農林水産省獣医系技術職の業務紹介、環境省地域政策課の末永珠佑氏から自然系を中心とした環境省の業務紹介、JICA経済開発部の平 知子氏から国際協力における獣医師の活動の紹介、ロイヤルカナン ジャポンベテリナリー事業部の萩原ひかる氏から療法食の取り扱いを通しての業務紹介、小動物臨床医としてこなか動物病院(青森市)の兒玉一希先生から小動物の臨床現場の実情の紹介、そして小動物臨床専門出版社の立場でファームプレスの担当から現在の獣医療と編集業務について紹介があった。
 このあと、講演者が一堂に会してのディスカッションや個別の相談会などの時間がとられ、将来を検討する学生にとって有意義な機会であったといえる。参加者には学生のうちに将来についての考えを重ね、すべての学生が活躍できる未来を期待したい。


会場の様子


ファシリテーターの太田先生

VETONSと東京都獣医師会による災害互助システム協定締結式 開催

 2025年6月3日(火)、東京都・新青山ビル西館にて、(公社)東京都獣医師会(株)VETONSは「獣医療業界における災害互助システム構築に関する連携協定」を発表した。
 本協定は(株)VETONS(代表取締役:羽田和政氏)と(公社)東京都獣医師会(会長:上野弘道先生)が、災害時における獣医療支援体制を迅速に実現することを目的とするものである。
 (株)VETONSが開発した獣医師専用災害互助システム「RIMOT」により、平時からの防災に留まらず、発災時には愛犬愛猫の飼い主家族が必要とする同行避難・同伴避難に関する情報や近隣で対応可能な動物病院の情報など、被害状況と支援要請を可視化した情報を入手することが可能となる。発災時は人命優先であることはもっともであるものの、飼い主家族にとっては愛犬愛猫を置き去りにすることに強い抵抗を感じる人が多い。「発災時から5日間の正しい情報の共有や飼い主家族が心身ともに孤立しない状況を提供することが大切」と上野先生はいう。
 また年内には飼い主向けにも同様の機能をもつアプリケーションを発表予定で、獣医師専用アプリケーション「RIMOT」と双方向の情報交換も可能になる。正しい情報を互いに得やすくなるとともに、各避難所の現状情報のタイムラグも解消されることが見込まれる。「“向こう三軒両隣”という意識をもつことが大切です。また発災時は被災地以外のエリアにいる獣医師の助けが必要となります。東京都獣医師会だけでなく、他府県にもこうしたシステムが普及し、獣医師・飼い主家族双が万が一に備える一助となればと思う」と上野先生(前出)は話す。本締結式には東京都議会議員として20年間防災の現場に携わってきた早坂よしひろ氏も臨席し、東京都としても今後の展開に大きな関心を寄せていると述べた。


締結式に臨む上野先生(左)と羽田氏(右)


臨席した東京都議会議員 早坂よしひろ氏


獣医師専用災害互助システム「RIMOT」の画面