2025年6月28日(土)、29日(日)、日本獣医生命科学大学(東京都・武蔵野市)にて獣医神経病学会2025が開催された。大会長は原 康先生(日本獣医生命科学大学)が務め、「小動物の脳神経外科」に関する内容を主体としたプログラムが催された。また、今回の会場は「獣医神経病研究会 第1回学術集会」が開催された場所でもある。企業展示に加えて、今回は新たにポスター発表も行われ、50回目の節目にふさわしい華やかな雰囲気であった。
会場には2日間で170名を超える参加者が集まり、最終プログラムの一般演題発表の時間でも席がほぼ埋まっており皆集中して聴講する様子がとても印象的であった。
次回第51回獣医神経病学会年次大会は、柄本浩一先生(えのもと動物病院)を大会長として2026年6月27日(土)、28日(日)に北海道札幌教育文化会館にて開催予定。
会場の様子
ポスター発表でにぎわう企業展示会場
学会・セミナーレポート
- 2025年6月 (6)
- 2025年5月 (3)
- 2025年4月 (4)
- 2025年3月 (7)
- 2025年2月 (4)
- 2025年1月 (5)
- 2024年12月 (1)
- 2024年11月 (10)
- 2024年10月 (4)
- 2024年9月 (5)
- 2024年8月 (5)
- 2024年7月 (4)
- 2024年6月 (3)
- 2024年5月 (1)
- 2024年4月 (4)
- 2024年3月 (2)
- 2024年1月 (3)
- 2023年12月 (2)
- 2023年11月 (2)
- 2023年10月 (6)
- 2023年9月 (2)
- 2023年8月 (5)
- 2023年7月 (5)
- 2023年6月 (7)
- 2023年4月 (2)
- 2023年3月 (6)
- 2023年2月 (3)
- 2023年1月 (3)
- 2022年12月 (3)
- 2022年11月 (3)
- 2022年10月 (2)
- 2022年9月 (3)
- 2022年8月 (5)
- 2022年7月 (4)
- 2022年6月 (4)
- 2022年5月 (1)
獣医神経病学会2025(第50回獣医神経病学会年次大会) 開催される
2025/6/28
犬と猫のサプリメント研究会 第3回セミナー 開催
2025/6/28
2025年6月28日(土)、東京大学農学部(東京都・文京区)にて、犬と猫のサプリメント研究会第3回セミナーが開催された。
当日は本会の第2回総会のあと、第1部として「犬の特発性てんかんに対するサプリメントを考える」と題し、東京大学の米澤智洋先生が、とくにオメガ3脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)の特発性てんかんへの関与と可能性について解説した。
第2部では「ペットの異常を『診て・食べて・治す〜生理活性脂質の応用〜」と題し、同じく東京大学の村田幸久先生が、獣医薬理学の観点から自身が研究する生理活性脂質の解析およびその解析から疾患の診断、病態の理解、治療や健康管理への応用について解説した。とくに生理活性脂質によるアレルギー性皮膚炎、膀胱炎、てんかんなど様々な疾患におけるマーカーの有用性について触れ、村田先生のグループが発見した生理活性脂質「5,6-DiHETE」の抗炎症作用について、腸炎や結膜炎、瘙痒や疼痛など多様な病態に効果がある可能性を示唆した。
他に多くの学会が開催されているなか、企業関係者を含め約30名が集まり、参加者は熱心に耳を傾けた。
本研究会会長である菊水小さな動物病院の後藤正光先生は「今回のように基礎研究の内容が臨床応用およびサプリメントの開発に直結し得るというスピード感は本研究会の特徴ともいえる。今後も参加者、講演者、企業関係者の輪を広げ、臨床現場の力になることに寄与したい。」と述べた。
会場の様子
2025年6月24日(火)、東京大学(本郷キャンパス)医学系研究科教育研究棟にて、日本医療政策機構(HGPI)、AMRアライアンス・ジャパン、東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室、国際薬剤耐性対策センター(ICARS:アイカーズ)主催による「One Health, One Planet-持続可能な未来に向けたAMR対策:人・動物・環境の健康と持続可能な解決策のつながりを理解する」が開催された。
本講座は低中所得国での薬剤耐性(AMR)対策をすすめる国際団体ICARSの科学ディレクターで獣医師であるKristina Osbjer氏を招き展開され、貧困や農業分野における取り組み、異常気象、労働、食糧、健康、インフラや生物多様性などの話を交え、AMRの最新トピックについて話し合われた。AMRは現代医療の根幹を揺るがし、感染症治療や公衆衛生の維持に深刻な影響を及す世界的な課題である。医学、薬学、獣医学領域でも昨今注目を集めており、プラネタリーヘルス(地球規模の健康)とも密接にかかわっていることが本講座で示された。耐性菌の増加は、環境破壊、持続可能でない農業慣行、汚染、気候変動など、医療・獣医療の枠を越えた様々な要因によって加速し、環境や社会全体の課題となっていると、本機構は考える。
Kristina Osbjer先生の講演の様子。獣医疫学の専門家であり、スウェーデン農業科学大学で獣医学、One Healthおよび人獣共通感染症に関するPh.Dを取得
参加者の方々
2025年度 第110回 日本獣医麻酔外科学会学術集会 開催
2025/6/20
2025年6月20日(金)~22日(日)、大宮ソニックシティ(埼玉県)にて第110回日本獣医麻酔外科学会学術集会、第27回日本獣医内視鏡外科学会が開催された。
「守・破・離 継承し未来へ」を大会テーマに掲げ、実施された今回の学術大会は、参加登録者数が1,200名を超え、また展示ブースの申し込みも71社と、これまでで最大規模の学術大会となった。
整形外科、軟部組織外科、麻酔・疼痛管理の各分野にわたる多くの講演が行われ、さらに基調講演として長田 理先生(福井大学医学部器官制御医学講座 麻酔・蘇生学領域)による「静脈麻酔薬自動投与制御システムの開発秘話」、開催準備委員会・ICT委員会の企画による実践的な手技を学ぶ「ハンズオンセミナー」、日本獣医麻酔外科学会・日本獣医内視鏡外科学会の合同企画シンポジウム「エネルギーデバイスの有害事象を知り防ぐ」、ハートウォーミング企画では「ハートウォーミングパネルディスカッション 共に助け合い、みんなが輝ける環境とは? ―ライフとワークの意識改革―」、小動物外科専門医企画による患者の受入状況やレジデント制度等、各施設での状況をふまえたグループディスカッション「FIRESIDE 2025 in Omiya」など、充実したプログラムが展開され、参加者たちは思い思いの会場へ足を運んだ。
21日(土)の情報交換会では、新会長として高木 哲先生(麻布大学)が紹介された。また日本小動物外科専門医の資格授与式が行われ、新たに3名の認定医が誕生した。各分野のアワードの授賞式も実施され、情報交換会会場は大いに盛り上がった。
「守・破・離という、“道を究める者が師からの教えを身につけ技術を研鑽し発展させる心構えを示した、日本古来より尊重されてきた概念”を大会テーマに掲げたのは、昨今の獣医療を取り巻く環境が技術の発展のみならず働き方改革や経営体制など、多岐にわたり急速に変化するこのような時代において、守・破・離の考え方に基づき獣医師としての道を進むことが重要と考える」と今大会長を務める関東地区委員長の小林 聡先生(One for Animals)は述べる。
過去最大の規模となった第110回の学術集会のオンライン配信は、これまでの大会より延長し、2025年8月末までを予定とする。日本獣医麻酔外科学会のますますの発展が期待される。
今学術集会の大会長を務める小林 聡先生
前会長の秋吉秀保先生(右)、新会長に就任した高木 哲先生(左)による
挨拶
日本小動物外科専門医の授与式。新たに3名の認定医が誕生した
アワード授賞式の様子
2025年6月3日(火)、北里大学十和田キャンパス(青森県十和田市)にて「キャリアユニバーシティ 先輩に聞く卒業後の多様なキャリア」が開催された。本講座はロイヤルカナン社の協力のもと、獣医学科の4年生約120名を対象に実施されたものであり、講師として、農林水産省および環境省、企業、小動物臨床、国際協力機構(JICA)など、それぞれの職域で活躍されている獣医師が主に登壇し、具体的な職域についての講演が行われた。
はじめに「輝く未来の獣医師に向けて 獣医師としてのキャリアを考える」と題し、ファシリテーターである太田亟慈先生(犬山動物総合医療センター)が本講座の意義、そして将来に向けての職業の選択についての考え方を、臨床の立場、そして雇用する立場から解説した。
その後、レクチャーパートとして、農林水産省大臣官房秘書課係長の小川 倭氏から農林水産省獣医系技術職の業務紹介、環境省地域政策課の末永珠佑氏から自然系を中心とした環境省の業務紹介、JICA経済開発部の平 知子氏から国際協力における獣医師の活動の紹介、ロイヤルカナン ジャポンベテリナリー事業部の萩原ひかる氏から療法食の取り扱いを通しての業務紹介、小動物臨床医としてこなか動物病院(青森市)の兒玉一希先生から小動物の臨床現場の実情の紹介、そして小動物臨床専門出版社の立場でファームプレスの担当から現在の獣医療と編集業務について紹介があった。
このあと、講演者が一堂に会してのディスカッションや個別の相談会などの時間がとられ、将来を検討する学生にとって有意義な機会であったといえる。参加者には学生のうちに将来についての考えを重ね、すべての学生が活躍できる未来を期待したい。
会場の様子
ファシリテーターの太田先生
VETONSと東京都獣医師会による災害互助システム協定締結式 開催
2025/6/3
2025年6月3日(火)、東京都・新青山ビル西館にて、(公社)東京都獣医師会と(株)VETONSは「獣医療業界における災害互助システム構築に関する連携協定」を発表した。
本協定は(株)VETONS(代表取締役:羽田和政氏)と(公社)東京都獣医師会(会長:上野弘道先生)が、災害時における獣医療支援体制を迅速に実現することを目的とするものである。
(株)VETONSが開発した獣医師専用災害互助システム「RIMOT」により、平時からの防災に留まらず、発災時には愛犬愛猫の飼い主家族が必要とする同行避難・同伴避難に関する情報や近隣で対応可能な動物病院の情報など、被害状況と支援要請を可視化した情報を入手することが可能となる。発災時は人命優先であることはもっともであるものの、飼い主家族にとっては愛犬愛猫を置き去りにすることに強い抵抗を感じる人が多い。「発災時から5日間の正しい情報の共有や飼い主家族が心身ともに孤立しない状況を提供することが大切」と上野先生はいう。
また年内には飼い主向けにも同様の機能をもつアプリケーションを発表予定で、獣医師専用アプリケーション「RIMOT」と双方向の情報交換も可能になる。正しい情報を互いに得やすくなるとともに、各避難所の現状情報のタイムラグも解消されることが見込まれる。「“向こう三軒両隣”という意識をもつことが大切です。また発災時は被災地以外のエリアにいる獣医師の助けが必要となります。東京都獣医師会だけでなく、他府県にもこうしたシステムが普及し、獣医師・飼い主家族双が万が一に備える一助となればと思う」と上野先生(前出)は話す。本締結式には東京都議会議員として20年間防災の現場に携わってきた早坂よしひろ氏も臨席し、東京都としても今後の展開に大きな関心を寄せていると述べた。
締結式に臨む上野先生(左)と羽田氏(右)
臨席した東京都議会議員 早坂よしひろ氏
獣医師専用災害互助システム「RIMOT」の画面