小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

ASCK開講記念大会 開催される

 2022年8月24日(水)、赤坂インターシティコンファレンス the Amphitheater(東京都)にて、獣医師のためのオンライン動画学習サービス「アスク(ASCK:Animal Specialty College for Veterinarian Knowledge、代表:永田雅彦)」の9月スタートに先立ち、ASCK開講記念大会が開催された。
 本学習サービスは、8年前に永田先生が開設した「ASC College」を前身としている。開設後、より実用的な活用を目指してシステム開発をすすめ、2021年12月には(同)sasaeを設立。永続的な活動とより安定的な運営を可能とした。「視聴する実用書」をコンセプトに、獣医師に向けて最良の標準診療の共有を図るため、スマートフォン、タブレット、PCを用いて「いつでも、どこでも、なんどでも」効率よく学び、活用してもらうことを目的とする。全国の獣医師が、一律に一定以上のスキルを常に維持しつづけてくれることを願って立ち上げられた。卒後教育の一環としての期待も高い。
 本開講記念大会では、代表の永田雅彦先生による代表講演「誰も教えてくれなかった診療の心得」に続いて、柴内裕子先生(赤坂動物病院)による「これから日本のどうぶつ医療をささえる君へ」などのご講演が行われ、開講を祝った。いずれも、獣医学のスキルだけでなく、動物たちへの愛情の大切さや獣医師の果たすことができる社会的役割の重要さが伝えられた。獣医師であり続けることの尊さや意義を、あらためて考えさせられる講演内容であった。
 当日の式典はオンラインでもライブ配信された。また今後、ASCKのLINEへ友達登録や本登録された方々への録画配信も予定されている。「ASCKはアスク(問う)という意味ももつ。飼い主からの問いに、適切に答えられる獣医師であり続けてもらう一助となれれば」と、永田雅彦代表はいう。本オンライン動画学習サービスの詳細は下記URLからも閲覧可。
https://asck.jp

 

会場の様子。当日はオンラインでも配信された

ASCK代表 永田雅彦先生

柴内裕子先生(赤坂動物病院)

 

 

 

第14回 日本獣医腎泌尿器学会学術集会・総会 開催される

 2022年8月28日(日)に、第14回 日本獣医腎泌尿器学会学術集会・総会(主催:日本獣医腎泌尿器学会、大会長:市居 修先生<北海道大学>)が、「国際標準から読み解く腎泌尿器病学」をテーマに、ベルサール飯田橋ファースト(東京都)において開催された。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、会場開催は2019年の第12回大会以来となる。今回は、オンラインで開催された第13回大会の経験も活かし、会場開催に加え、オンラインでのLIVE配信と併せたハイブリッド形式による開催となった。会場では、マスク着用、手指消毒、参加者同士が十分な距離を維持、講演者や質問者など発声が予測される位置にはアクリルパネルを設置、定期的な換気など、感染対策が施されていた。参加登録者は470名、会場参加者は約100名、出展企業は7社であり、学術集会当日のオンライン参加者は、160名となった。
 大会内容は、特別講演、シンポジウム、ランチョンセミナー、一般演題発表と1日を通して充実したプログラムが組まれた。
 特別講演としては「炎症性微小環境3次リンパ組織が制御する腎修復」と題し柳田素子先生(京都大学大学院医学研究科腎臓内科学)が最新知見を紹介された。またシンポジウムでは「国際標準から読み解く尿管閉塞と蛋白尿」と題し、福島建次郎先生(コロラド州立大学小動物内科、どうぶつの総合病院)、德永 暁先生(コロラド州立大学小動物外科、JASMINEどうぶつ総合医療センター)、浅川 翠先生(どうぶつの総合病院)が、多くの知見を紹介された。
 獣医学・医学のスペシャリストによる講演および意見交換、臨床医、大学および企業による症例・研究報告に対して、会場フロアおよびLIVE配信視聴参加者からも同時に質問を受け付け、いずれの講演でも活発なディスカッションが繰り広げられた。

大会長の市居 修先生

会場の様子

第12回 動物看護に関する学術集会 開催

 2022年8月21日(日)、「京都市獣医師会主催 一般市民向け公開企画 京都動物フォーラム2022、第100回近畿地区連合獣医師大会、令和4年度 獣医学術近畿地区学会」がグランヴィア京都(京都府)で開催され、同会において、(一社)日本動物看護職協会による「第12回 動物看護に関する学術集会」が、開催された。
 本学術集会の前半では、アドバイザーとして佐伯 潤先生((公社)大阪府獣医師会会長)、中村陽子先生((一社)日本動物看護職協会副会長)を迎え、羽生千明氏((一社)日本動物看護職協会理事)を司会として進行された。
 プログラムは演題1「人とペット両方の健康と安全を守る機能を備えた防災手帳の作成」(西村裕子氏、千葉科学大学動物危機管理教育センター)、演題2「10年間の入院動物に対する看護計画と看護記録の比較」(山本明菜氏、ダクタリ動物病院京都医療センター)、演題3「神経病疾患の早期回復を達成するリハビリテーションプログラムの重要性」(森惠氏、ダクタリ動物病院京都医療センター)の3つの演題が発表された。
 各演題発表後に、それぞれに質疑応答の時間が設けられ、演題1では「動物支援ナースは災害時にどのような活躍をするのか?」「紹介された災害手帳に記載されているマイタイムラインとはどのように把握しておけばよいのか?」、演題2では「看護計画はどのように立案しているのか?」「動物看護学という学問を確立するために、獣医師との情報共有をどのように行うべきと考えるか、また現段階ではどの程度まで情報共有しているのか?」、演題3では「リハビリテーションプログラムの策定と動物看護師のかかわり、獣医師への報告」「自宅でのリハビリに移行したときの、飼い主へのフォロー」「海外とのちがいや、日本での訪問看護検討の重要性」など、活発な質疑応答がなされ、来年3月には誕生する「愛玩動物看護師」への期待が膨らむ内容となった。
 後半は「愛玩動物看護師国家資格取得と今後の展望」と題し、本協会会長の横田淳子先生が講演された。本協会会員から寄せられた国家資格取得の受験に関する質問や取得後の業務内容に関する疑問に、横田会長が丁寧に回答していった。また本年11月から名称独占となる「愛玩動物看護師」という名称についての会場からの質問に対して「少なくとも11月~来年2023年の3月までの約4ヵ月間を過ぎれば、多くの愛玩動物看護師が誕生し、混乱とはならないであろう」と説明された。さらに「『愛玩動物看護師』が誕生するまでは、本協会で認定している『臨床栄養指導 認定動物看護師』については『動物臨床栄養アドバイザー』と紹介するようにすすめている。
 「(一社)日本動物看護職協会」も、職能団体をうたっている以上、協会名の更新も考えているという横田会長からは、「愛玩動物看護師」の国家資格取得者誕生への強い意志を感じられた。
 また6月28日を「動物看護の日」と制定したこと発表し、(一社)日本記念日協会からの記念日登録証も会場で紹介された。愛玩動物看護師法が制定され動物にも看護が必要であることが法文として明文化された日である。「早く『動物看護学』という分野が確立され愛玩動物看護師の〈教授〉が誕生することが、次の目標」と横田会長。動物看護師の待遇の向上、職域の拡大、そして何より社会への貢献度を高めるために、本協会へのさらなる期待が寄せられる。

横田淳子会長。開会式にて

 

講演の様子。当日は3演題が、発表された。質疑応答も活発に行われた

本協会では、6月28日を「動物看護の日」とすることが発表され、(一社)日本記念日協会からの記念日登録証が紹介された

 

 

第19回日本動物リハビリテーション学会 オンライン学術大会 開催される

 2022年8月7日(日)、第19回日本動物リハビリテーション学会オンライン学術大会が開催された。当日はライブ配信が行われ、特別講演として、理学療法士である加藤仁志先生(医療専門学校水戸メディカルカレッジ)による「運動を科学する!-運動するとき、身体では何が起こっている?-」、理学療法士で、獣医学で学位を取得し、認定動物看護師の資格も併せ持つ日本小動物医療センターの吉川和幸先生による「実践に活かす理学療法トピックス〜後肢が内側に入る椎間板ヘルニア症例編〜」が行われた。また、国立障害者リハビリテーションセンター研究所の河島則天先生をオーガナイザーに迎え、獣医師の長坂佳世先生(D&C Physical Therapy)、玉木春紫先生(すみれ犬猫クリニック)をシンポジストに「イヌ後肢麻痺症例の残存神経機能維持・改善のための新しいアプローチ」と題したシンポジウムが開催された。
 講師の先生からは整形疾患、神経疾患に対するリハビリテーションをはじめ、人における循環器疾患や呼吸器疾患に対するリハビリテーションやQOL維持のための腫瘍や糖尿病に対するリハビリテーションが示唆され、人の知見を獣医療に活用される広がりを感じとることができた。
 当学会はじめての双方向型オンラインセミナーであり、質問も「いいね」ボタンを活用したもので、その場での質疑応答も活発に行われた。
 なお、オンデマンド見逃し配信は2022年9月12日(月)13時から同月26日(月)18時まで。

第9回 猫の集会 盛況のうちに閉会

 今年で9回目を迎える「猫の集会」。新型コロナウイルス感染症蔓延予防の観点から、昨年、一昨年はオンライン配信のみであったが、今年は会場開催とオンライン配信のハイブリッドで開催され、会場となった東京コンベンションホール(東京都中央区)には、獣医療関係者だけでなく、多くの猫の家族が集まった。
プログラムは、獣医療関係者向けに講義(オンライン配信)と実習(会場での実施)が企画され、市民向けには会場におけるステージプログラムとグッズ販売が企画された。市民向けプログラムの参加者たちは、猫グッズを買い求めようと長蛇の列をつくるなど、会場は大きな賑わいをみせた。
市民向けのステージプログラムでは、「猫が一番長生きで健康に過ごせるための秘訣」(石田卓夫先生、赤坂動物病院)、「乳がんで苦しむ猫を「ゼロ」にする! 猫の乳がんのおはなし」(小林哲也先生、(公財)日本小動物医療センター付属日本小動物がんセンター)、「日常に潜むキケン」(服部 幸先生、東京猫医療センター)といった、猫の家族が知りたいテーマをわかりやすく、時にはユーモアも交えて講演された。セミナーの内容を熱心に記述する参加者もいらっしゃるなど、猫の家族にとっても貴重な機会であったことがうかがえた。
 講義プログラムはオンライン配信のみの実施であったが、こちらも「臨床医が語る猫の基礎医学」をテーマに、西村亮平先生(東京大学)による「疼痛管理に必要な生理学と薬理学」をはじめ、竹村直行先生(日本獣医生命科学大学)による「循環器内科に必要な解剖学と生理学と薬理学 ~全身性高血圧~」、宮川優一先生(日本獣医生命科学大学)「腎臓内科に必要な生理学と薬理学」といった、聴き応えのあるセミナーが用意された。
5講座準備された実習は、定員を制限した会場で開催。登壇される先生方の緊張感はもちろん、受講される先生方の、一つでも多くの知識を身に着けようとする緊張感がみなぎる会場でのセミナーはやはり、リアルならではのものだと実感させられた。
 動物の飼育頭数が減少するいっぽうで、飼育動物の平均寿命は延長している昨今。同集会をみても、動物のご家族がいかに動物の健康に関心を寄せているかが伝わってくる。獣医療関係者はもちろん、動物の家族も一緒になって勉強し、楽しめる機会が、今後もますます増えることを期待したい。

ねこ医学会(JSFM)ホームページ

 

市民向けレクチャー「身近に潜む危険」(服部 幸先生)の様子

 

市民向けプログラムの会場は立ち見が出るほどの盛況ぶりであった

日本動物看護学会第31回大会 開催される

 2022年7月31日(日)、日本獣医生命科学大学にて日本動物看護学会第31回大会が開催された。換気・消毒など適切な感染防止策をとりながら、2年ぶりの対面での開催となり、100名ほどが参加した。
 午前中はシンポジウム「愛玩動物看護師誕生に向けて」と題し、3名の日本獣医生命科学大学の先生方が講演を行った。まず、石岡克己先生(本大会長)が「愛玩動物看護師カリキュラム完成までの軌跡」として、これまでの動物看護師の歴史を概説した。続いて、水越美奈先生が「愛玩動物看護師と動物愛護・適正飼養」として、愛玩動物看護師が動物の家族に適正飼養や動物愛護について啓発し、指導することの重要性を説いた。最後に青木博史先生が「愛玩動物看護師に期待される衛生管理」として、愛玩動物看護師が将来的に衛生管理システムを構築するキーパーソンになり、さらに感染管理を実践する専門技術者にもなり得ることを提言した。
 午後は計13題の一般演題発表が行われ、発表者はフロアから意見を伺えた貴重な時間となったと思われる。
 なお、4題の卒後教育セミナーが本大会開催時から2週間限定でWeb公開された。

第41回比較眼科学会年次大会Web開催される

 2022年7月末に比較眼科学会年次大会実行委員(JSCVO)主催による「第41回比較眼科学会年次大会」が、大会メインテーマを「眼検査」、サブテーマを「基礎と臨床 ONE TEAM」としてオンライン配信にて開催された。当初は静岡県において会場開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を鑑み、大会運営の臨機応変な対応によってオンライン開催に変更された。
 日程は、オンデマンド配信による一般演題が7月22日(金)~28日(木)に配信され、この期間中に寄せられた質問の回答日が7月29日(金)に設けられた。さらに7月30日(土)には2022年度 第41回比較眼科学会年次大会として、基礎部会セッション「眼毒性評価の新展開」、Brian Short Consulting, LLC., USA.のDr. Brian Shortによる「Nonclinical Safety Assessment for Intravitreal Drug Development」の日本語字幕付きの特別講演、臨床部会セッション「緑内障に対する眼科検査」がライブ配信された。
 上記日程後の8月29日(月)からは、オンデマンド見逃し配信が2週間にわたり、年次大会申し込み会員に対して実施された。

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第11回 HJS年次大会および第8回 スキンケアベストプラクティス 開催される

 7月20日(水)、21日(木)の2日間にわたり、それぞれ第11回 HJS年次大会および第8回 スキンケアベストプラクティスが東京都立産業貿易センター浜松町館(東京都港区)で開催された。
 第11回 HJS年次大会は「ねこのひみつ」というテーマのもと、猫が隠しもっている様々なひみつについて情報を共有した。講演は、HJS代表の中島尚志先生の「猫の慢性便秘症」からはじまり、続いて原田 慶先生(日本小動物がんセンター)の「猫の口腔にひそむ扁平上皮癌」、小野 啓先生(パル動物病院)の「猫の目のひみつ」、鷹栖雅峰先生(那須野ケ原アニマルクリニック)の「遺伝子からひもとく猫の骨軟骨異形成症」、佐々木一益先生(袋原どうぶつクリニック、秋田県立循環器・脳脊髄センター 研究所脳血管研究センター)の「猫の痛み」、平田雅彦先生(IDEXX)の「猫の膵炎のひみつ」が行われた。そして最後に中島尚志先生の「閉会のあいさつ」で締めくくられた。
 講演前には各先生が猫への想いを語り、和やかな空気のなか講演はすすんだ。質疑応答も活発に行われ、機器の使用方法や診察時の工夫など様々な情報が共有された。
 翌日の第8回 スキンケアベストプラクティスは「皮膚科領域の激痒!激痛!」というテーマのもと、ヒト医療の知見を交えながら獣医療における皮膚疾患やかゆみについて多くの知識を共有した。講演は、高森建二先生(順天堂大学名誉教授・皮膚科特任教授)の「皮膚掻痒の最前線」、宮地良樹先生(静岡社会健康医学大学院大学学長・京都大学名誉教授)の「ヒトのかゆみと皮膚バリアの最前線(録画)」、佐々木一益先生の「犬の皮膚の疼痛と激痒へのアプローチ」、そして中島尚志先生の「犬の痒みとスキンケアの最前線」が行われた。
 前日に引き続き質疑応答が活発に行われ、また、今大会を通じ、今後の研究次第では現在ヒト医療でのみ使用されている製品や薬剤が獣医療においても使用可能となり、治療の選択肢が広がる、そのような可能性を感じる一日となった。
 また両日とも企業展示が10社ほど入り、少しずつオフラインでのセミナー開催がすすんでいる印象をうけた。
 両大会のアーカイブ配信公開期間は、2022年8月10日(水)22:00~8月24日(水)23:00まで。
 なお、両大会の指揮をとった中島尚志先生が代表を務めるHJSのセミナーが9月18日(日)に北海道での開催を予定している。

講演中の中島尚志先生(HJS代表)

日本獣医輸血研究会 第6回学術講習会 開催される

 6回を迎える日本獣医輸血研究会学術講習会がオンラインにて開催された。
 本学術講習会のメインテーマは「外科と輸血」。青木卓磨先生「循環器外科編」(麻布大学)、浅野和之先生「軟部外科編」(日本大学)、「自己輸血編」、藤田 淳先生(日本小動物医療センター/東京大学動物医療センター)、関 瀬利先生「麻酔編」(日本獣医生命科学大学)といった各界で活躍される先生方が、それぞれのご専門分野と輸血のかかわりについて、輸血の適応、手術におけるピットフォールなどを解説された。
 4人の先生方はまた、事前にセミナーを視聴した受講者の方々から寄せられた質問に対して討論するシンポジウム(座長:杉山大樹先生/ファミリー動物病院、久末正晴先生/麻布大学)にも参加され、幅広い質問に一つひとつ丁寧に回答されていた。
 また、今年2022年12月に実施が予定されるJSVTM認定輸血コーディネーターの認定試験の認定プログラムとして、「ドナーからの採血と管理」(小林輔先生、志村坂下動物総合医療センター)、「輸血関連検査」(瀬川和仁先生、せがわ動物病院)が企画された。輸血療法の基礎であり、獣医師はもちろん、動物看護師も知っておくべき内容を、研究会の先生方のご経験も踏まえ詳細に説明された。
 トピックス講演として丸山治彦先生(日本大学)がご担当された「凝固異常をおさらいする」では、凝固カスケードや線溶系、血液凝固因子といった基礎から凝固異常を学び直すことのできる内容であった。
 当初、今年5月に予定されていた「JSVTM認定輸血コーディネーター制度」認定試験は、新型コロナウイルスの感染状況などを鑑み、今年の12月に変更された。同認定試験を機に、近年ますます重要視される輸血療法が、より安全に、より身近な選択肢として多くの動物病院で実施されるようになることを期待したい。
 日本獣医輸血研究会ホームページ https://www.jsvtm.org/

JSVTM認定輸血コーディネーターの認定プログラムとして行われたセミナー「輸血関連検査」(瀬川和仁先生)の様子

 

総合討論の様子。上段左から久末正晴先生(麻布大学)、杉山大樹先生(ファミリー動物病院)、藤田 淳先生(日本小動物医療センター/東京大学動物医療センター)、下段左から青木卓磨先生(麻布大学)、関 瀬利先生(日本獣医生命科学大学)、浅野和之先生(日本大学)

(公社)日本動物病院協会(JAHA)年次大会2022 開催

 2022年6月19日( 日) と20日( 月) の2日間にわたり、
AP東京八重洲(東京都中央区)にて、JAHA年次大会
2022が開催された。本大会のテーマは「人とどうぶつの健
康で幸せな未来を、動物病院と共に創造する」。今年、2年
ぶりに対面での開催となった。
 大会は、CAPPプログラム、VNプログラム、獣医師プ
ログラム、ホスピタルプログラム、動物病院スタッフ向け
プログラムの5つに分かれて行われた。
 「CAPPプログラム」ではコロナ禍での活動の実践・工
夫を中心に紹介された。NPO法人子ども支援センターつ
なっぐの田上幸治先生からは、支援センターや裁判所で付
添犬(コートハウスドッグ)を児童に同伴させる取り組み
や、児童虐待を受けた子どもの支援活動についてはアメリ
カのChildren’s Advocacy Centerの例や、日本における統
計データなどを交え、付添犬の存在によって子どもたちが
心を開き安心して話しだした事例等が取り上げられた。
 最後にコロナ禍での活動の一例として飼い主と犬が自宅
でできるドッグダンスを柴内裕子先生(赤坂動物病院)が
紹介され、CAPPボランティアの方々が実演を行った。
 「VNプログラム」では、2023年2月に実施される愛玩動
物看護師国家試験を見据え、「愛玩動物看護師がチーム医
療で果たす役割と期待」について、酒井健夫先生((一財)
動物看護師統一認定機構)が講演され、国家資格を取得し
た愛玩動物看護師を受け入れる動物病院側の対応、望まれ
る愛玩動物看護師の姿についてチーム動物医療をキーワー
ドに説明された。続いて水越美奈先生、小野沢栄里氏(と
もに日本獣医生命科学大学)、福島徹哉先生(かつまペッ
トクリニック)が登壇し、愛玩動物看護師国家試験、そし
て国家資格取得後の動物病院のありようについて、愛玩動
物看護師、獣医師のそれぞれの立場から発表が行われた。
 「獣医師プログラム」では、内科を中心とする各分野の
症例について、多様な角度から考える症例検討会が行われ
た。初日はモデレーターに塗木貴臣先生(TRVA夜間救急
動物医療センター)、パネリストとして金本英之先生
(DVMsどうぶつ医療センター横浜)、佐藤雅彦先生(どう
ぶつの総合病院)を迎え、2日目は、勝間健次先生(かつ
まペットクリニック)を座長に、石田卓夫先生(赤坂動物
病院)、賀川由美子先生((有)ノースベッツ)、
森 淳和先生(ONEどうぶつ整形外科センター東京)を
アドバイザーに迎え行われた。発表後は熱心な質疑応答が
展開され、参加者の多くが対面ならではのよさを実感でき
たのではないだろうか。
 2年ぶりの対面開催について、会長の川田 睦先生は「会
長に就任して程なくして、新型コロナウイルス感染症への
対策として、オンラインでの開催を余儀なくされました。
リモートやオンラインの大会では、距離や時間の制約なし
に多くの方に参加いただける利点があります。それでもな
お、実際に人と接することでしか得られないものもあると
実感します」とコメント。人と動物をつなぐ強い思いに支
えられ、深い知識を得られる本協会の存在意義が、十全に
発揮された大会であった。

VNプログラムで講演される酒井健夫先生((一財)動物看護師統一認定機構 機構長)。写真下は、獣医師プログラムの様子

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