小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

第25回日本獣医療倫理研究会(JAMLAS)・(一社)日本獣医エキゾチック動物学会 共催セミナー 開催される

 2022年10月30日(日)、東京・新宿区の京王プラザホテルにて、第25回日本獣医療倫理研究会(JAMLAS)・(一社)日本獣医エキゾチック動物学会共催セミナーが開催された。
 今回は《ウサギと小鳥の診療における各講師のインフォームドコンセント方法と弁護士からのアドバイス》と題し、まず臨床獣医師4名の先生方による発表が行われた。「小鳥診療の現状」を西谷 英先生(バーズ動物病院・横浜)、「ウサギの診療の現状」を伊藤寿朗先生(アイリス動物病院・仙台)がそれぞれ臨床現場における小鳥とウサギに対する実際の診療方法について解説した。そして、「ウサギ診療において講師が行っているインフォームドコンセント方法」として、加藤 郁先生(加藤どうぶつ病院・鳥取)と戸﨑和成先生(アンドレ動物病院・宇都宮)の両名から自身の病院での対応を含めて解説が行われた。
 次に弁護士の立場から「エキゾチック動物診療の裁判例、解決例の紹介-うさぎ骨折事故に即して-」と題し、JAMLAS会員弁護師団の春日秀文先生、姫井葉子先生(ともに春日法律事務所)から、飼い主との交渉など具体的な裁判の事例が紹介された。
 発表に続く質疑応答およびディスカッションでは、具体例を交えて、エキゾチックアニマルに対する過失の対応策、裁判での判断基準など熱気のあるやりとりが行われた。
 閉会の挨拶では、日本獣医エキゾチック動物学会副会長の田向健一先生(田園調布動物病院)より、「飼い主からエキゾチック動物と思われていない小鳥やウサギの診療の質の向上に獣医師が取り組むことが診療動物を増やす意味でも必要」との持論を展開した。
 本セミナーは前回に続き、現地での対面開催となり、10月最後の日曜日、よい陽気のなか開催された。約150名の参加者は、臨床現場でこれからも多く遭遇するであろうエキゾチックアニマルへの対応に関して、熱心に聴講していた。

会場の様子

ひふゼミ 2022 開催される

 10月16日(日)、愛知県のウインクあいちにてひふゼミ2022が開催された。今大会では「肢端 ・ 肉球の皮膚疾患を攻略せよ!」というテーマのもと、臨床現場で獣医師の先生方が遭遇した症例を含めた開設により知識を共有した。講演は「手足を舐めるのが止まらない!~皮膚病?くせ?ストレス?の見分け方~」と題し、大嶋有里先生(犬と猫の皮膚科)が「皮膚科からのアプローチ」として、藤井仁美先生(Ve.C. 動物病院グループ)が「行動科からのアプローチ」としてご登壇した。ランチョンセミナーでは西藤公司先生(東京農工大学、アジア獣医皮膚科専門医)の「肉球の皮膚疾患」(録画配信)、一般講演では栃尾 巧先生(藤田医科大学)の「プレバイオティクスErythritol(ERT)によるブドウ球菌属の増殖抑制効果」、岩崎 望先生(ペテモどうぶつ医療センター幕張新都心)の「落葉状天疱瘡の治療にオクラシチニブを使用したミニチュアダックスフンドの一例」、近藤 仁先生(こんどう動物病院)の「猫の進行性組織球症の1例」と続いた。そして、今井昭宏先生(JASMINE どうぶつ総合医療センター皮膚科 ・ 耳科)の「趾間がパンパンに腫れています~肢端せつ腫症の診断と治療~」、全員参加型ディスカッション「実はみんなも悩んでる~肢端・肉球の皮膚疾患、こんな時どうしてる?これで本当に良いの?~」と続き、幕を閉じた。
 各講演では、すでに証明されている事実だけでなく、各先生の経験則を交えながら、小動物の皮膚に関する情報を幅広く交換した。質疑応答では登壇者が質問者へ意見をきく場面もあり、参加している全員で獣医療のなかの皮膚という分野への理解や対応方法をふかめようとする確かな意志を感じた。
来場者は50名以上、企業展示も5社入り、オフラインでのセミナー開催・参加がこれからよりすすんでいく印象をうけた。
 なお、来年のひふゼミは大阪での開催を予定している。

講演中の様子