小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

会場+オンライン開催 日本臨床獣医学フォーラム地区大会2024 開催される

 2024年3月を中心に、全国4会場にて日本臨床獣医学フォーラム地区大会2024が開催された。3日(日)の東北(仙台)・名古屋を皮切りに、10日(日)には京都、17日(日)には九州(福岡)にてそれぞれ開催された<なお、北海道地区大会は本年6月16日(日)開催予定>。
 各会場ともに獣医師継続教育プログラム、愛玩動物看護師およびアニマルケアスタッフ(ACS)セミナー、獣医師および愛玩動物看護師、ACS対象のランチョンセミナーなどが行われた。今回は1会場の申込で最大4会場の参加が可能であった。各会場ともに、獣医師の先生はもちろん、とくに愛玩動物看護師およびACSの方の参加が目立ち、動物看護職者のみなさんの知識を吸収しようとする意欲、その知識を現場に生かそうとする意気込みの高さを感じることができた。
 翌月4月1日(月)~6月30日(日)には、本大会の一環としてオンライン合同地区大会が開催。今回は「春の麻酔祭り」と題し、5会場でのプログラムとは別に、計30ものオリジナルプログラムが現在配信中である。
 本年7月27日(土)・28日(日)のWJVF(大阪開催)、同じく本年9月21日(土)・22日(日)のJBVP年次大会(東京開催)を含め、これら春から秋までの定期的な学習機会の提供は、本会が掲げる「充実した継続教育」の理念に沿うものであり、今後ますますの発展が期待される。

東北地区大会展示会場の様子

名古屋大会動物看護職者対象セミナーの様子

京都地区大会獣医師対象セミナーの様子

九州地区大会会場の外観

第13回インターペット~人とペットの豊かな暮らしフェア~ 開催

 2024年4月4日(木)~7日(日)に、(一社)ペットフード協会、(一社)日本ペット用品工業会、メッセフランクフルト ジャパン(株)主催で、第13回インターペットが東京ビックサイト(東京都江東区)で開催された。
 日本最大級のペット産業見本市として2011年にスタートした本イベントには、ペットビジネスや動物病院など、ペットにかかわる多くの参加者が国内外から集まる。第13回には、4日間で6万7022名と3万376頭のペットが来場し、情報が共有された。
 初日にはインターペットアワードの授賞式が執り行われ、柴内裕子先生(赤坂動物病院名誉院長)、タレントの井上咲楽さんが受賞された。
 授賞式後は本アワードを受賞した柴内裕子先生による特別講演会「伴侶動物は人類の宝もの」が行われ、戦時中から現代までに大きく変化をとげた人とペットの関係や、犬との暮らしの効果として高齢者の認知症発生のリスクが40%低くなり、予防効果だけでなく現在11兆円以上に上る介護給付金が約半額に抑制される可能性などについて紹介された。さらに、高齢者を対象とした「動物(ペット)民生委員制度(仮称)」の設立についても提案された。また、高齢者・医療・児童機関への訪問、リードプログラム、司法の場での犬の同伴などからなるCAPP活動(Companion Animal Partnership Program)についても紹介された。本活動は37年間、約2万8000回にわたり、一度も事故をおこさず実施されている。本活動を通じてわかったこととして、小児がん入院病棟へのセラピー犬の訪問によるオキシトシン(幸せホルモン)とコルチゾール(ストレスホルモン)の計測結果や、入院中の子供たちにとってよい結果を得られることが紹介され、小動物の存在の大きさをあらためて実感させられた。「One Health One Medicine」についても触れられ、獣医療と人医療が協力することで解決される様々なトピックにも話題は及び、参加者たちは熱心に耳を傾けていた。

 2024年9月20日(金)~22日(日)には第2回インターペット大阪が、2025年4月3日(木)~6日(日)は第14回インターペットが開催される。
詳細は以下より。
https://interpets.jp.messefrankfurt.com/tokyo/ja.html


インターペットアワード授賞式にて。右から柴内裕子先生(赤坂動物病院)、井上咲楽さん、児玉博充氏((一社)ペットフード協会 会長)


特別講演会「伴侶動物は人類の宝もの」で、保護犬を暖かく迎えいれてくれた俳優の遠藤憲一氏を紹介する柴内裕子先生


「ビジネスフォーラム①ペット産業における成功事例とこれから注目される分野とは」の会場にて。左から進行の越村義雄氏((一社)ペットフード協会 名誉会長)、川島元樹氏(ライオンペット(株)代表取締役社長)、山本俊之氏(ロイヤルカナン ジャポン(同)社長)、苅谷卓郎先生((株)苅谷動物病院グループ 代表取締役社長)、山田 悟氏(ジャペル(株)常務取締役 管理本部長)


「ビジネスフォーラム②少子高齢化にペット産業は何をすべきか」の会場にて。左から進行の越村義雄氏(前出)、上野弘道先生((公社)東京都獣医師会会長)、児玉博充氏(前出)、山本洋介氏((一社)日本ペット用品工業会 会長)、鄭 宏氏((一社)日本ペット産業振興会 副会長)

獣医臨床感染症研究会(VICA)第21回セミナー 開催

 2024年3月31日(日)、獣医臨床感染症研究会の2023年度総会およびセミナーが、千葉県獣医師会館(千葉県千葉市)、およびオンラインにて開催された。
 今大会では「被災時の感染症」をテーマに、「西日本豪雨災害岡山県獣医師会の対応~岡山VMAT結成・令和6年能登半島地震の現状~」を甲斐みちの先生(岡山県獣医師会副会長、岡山VMAT隊長)、「被災地で気を遣う人の感染症」を髙橋 孝先生(北里大学)、「被災地で気を遣う動物の感染症」を栗田吾郎先生(北里大学)が発表。発災後の被災地での医師と獣医師のそれぞれの観点から、役割や留意すべき感染症について、具体的な活動時の写真やデータを交え紹介された。東日本大震災や西日本豪雨災害での経験も交え、発災後の通電火災の恐ろしさ、同行避難と同伴避難のちがい、避難所での実態、犬・猫と人のかかわりの地域特性まで網羅された内容に参加者たちは熱心に耳を傾けた。
 「これからも医療・獣医療にかかわる先生方のアドバイスを受けながら活動の充実に努め、学会の設立を目指していきたい」という村田佳輝会長。
 今後も本研究会の果たす役割にますます期待が寄せられる。

本研究会の詳細は以下より。
https://veterinary-nurse.jimdofree.com/


2023年度総会の様子


セミナーの様子。「被災時の感染症」をテーマに展開


当研究会の活動が小動物での未知の感染症を把握し、薬剤耐性菌、敗血症に着目し社会へ周知する一助となれればと思う、と村田会長。当研究会は今後、学会の設立を目指す

第32回日本小動物歯科研究会症例検討会・総会 開催される

 2024年3月24日(日)、東京都・品川フロントビル会議室にて第32回日本小動物歯科研究会症例検討会・総会が開催された。
 参加者総数は100名を超え、賛助企業も13社と多く、会場いっぱいに企業や参加者たちの交流が目立つ様子であった。
 まず、会長の藤田桂一先生のご挨拶から始まり、午前中は藤田桂一先生、倉田大樹先生、幅田 功先生3名の座長のもと9症例の発表があった。
 お昼にはランチョンセミナーもあり、昼食とともに井上 智先生、中尾龍馬先生2名による特別講演で質疑応答を交えながら、熱心に拝聴する様子がうかがえた。
 午後には江口徳洋先生、片野浩二先生、網本昭輝先生、大場茂夫先生4名の座長のもと13の症例発表があった。総勢7名の座長と処置に対する症例や機器を使用した際の症例、飼い主に指導する際の症例など全22症例、発表者それぞれの着目している部分がよくわかり活発に意見が交わされていた。
 すべての発表が終わりアワード贈呈では奥村聡基先生(パーク動物病院 愛知動物歯科)の「根分岐部が露出した歯を保存した犬の1例」「巨大な骨透過像が歯内療法で良化した犬の1例」2題がライオンペット(株)アワード、マースジャパンリミテッドアワード両方の最優秀賞を受賞し、ライオンペット(株)アワードの優秀賞には高橋 香先生(鹿児島大学共同獣医学部附属病院)が受賞。さらに同点で4名、網本宏和先生(アミカペットクリニック)と小暮啓介先生(フジタ動物病院)がライオンペット(株)アワード優秀賞を、山本瑛之先生(フジタ動物病院)、鐘ヶ江晋也先生(アミカペットクリニック)がマースジャパンリミテッドアワード優秀賞をそれぞれ受賞する結果となった。
 今回の検討会では質問をする先生も多数みられ、会長の藤田桂一先生もおっしゃっていたが非常にレベルが高く同率が4名も出る結果となり、これからの日本小動物歯科研究会とともに次回の症例検討会にも期待をしていきたい。
 

会場の様子
 

会長の藤田桂一先生、アワード受賞の5名<左から高橋香先生、網本宏和先生、奥村聡基先生、小暮啓介先生、山本瑛之先生(鐘ヶ江先生不在)>、今回の協賛企業の2社