小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

第24回人と動物の共通感染症研究会 学術集会 開催

 2024年10月19日(土)、東京大学農学部1号館(東京・文京区)にて、第24回人と動物の共通感染症研究会 学術大会が対面およびオンライン配信によるハイブリットで開催された。

 動物由来感染症に関する学術研究の推進ならびにその成果の普及を図り、動物由来感染症の発生の予防およびその蔓延の防止に寄与することを目的に2001年に発足した本研究会。これまで獣医学、医学のそれぞれの分野で研究が推進されていたが、本研究会の発足により複数の専門分野の研究者や臨床医が一堂に会し、情報を交換する場がつくられた。

 今回、24回目を迎えた学術集会では、7題の口頭発表、3題の教育講演が実施された。口頭発表では「敗血症を伴う急性劇症型の転帰をたどったG群溶血連鎖球菌感染症の犬の1例」村田佳輝先生(むらた動物病院)、「免疫効率の高い犬用経口狂犬病生ワクチンの開発に向けた、犬扁桃扁平上皮細胞馴化ワクチン株の樹立」巽 洋希先生(岐阜大学)をはじめ、エキゾチックアニマルの感染症、犬の結核などに話題が及んだ。また教育講演では食中毒をテーマに、エルシニア感染症、寄生虫(クドア)による食中毒、食品中に混入するかび毒まで、動物由来感染症にかかわる様々な分野の先生方が発表、会場やオンライン参加者からも質問が寄せられ、会場は熱気にあふれた。

 多分野にまたがる専門家が集う本研究会が、動物由来感染症の予防や蔓延防止に果たす役割が今後ますます期待される。

 次回第25回本研究会学術集会は2025年10月に開催予定。
 本研究会詳細は、下記より。
http://hdkkk.umin.jp/


口頭発表の様子

日本獣医臨床病理学会2024年 年次大会開催される

 2024年10月13日(日)に東京・日本獣医生命科学大学にて、日本獣医臨床病理学会2024年 年次大会が開催された。
 今年は呰上大吾大会長(東京農工大学)のもと「腫瘍と臨床病理」をテーマにシンポジウムや教育講演が行われた。またハンズオン・トレーニングとして、テーブルごとに少人数で行う実習もあり、聞くだけでなく熱心に実際の作業を行う様子を垣間みることができた。
今年は参加人数が約130名、出展企業が10社あったことに加えて、企業ブース内での講演が実施されていたため、どのエリアにも人が多くいる印象であった。
 学会終了後の懇親会では、理事の先生方と学生、さらに企業の方々が入り混じり和気あいあいと歓談する様子が見受けられた。また、そのなかで学会長である米澤智洋先生(東京大学)より来年以降には法人化を視野に入れるとの発表があり、本学会のさらなる発展を予感させるものがあった。
 

展示ブース会場での講演の様子
 

ハンズオン・トレーニングの様子

第45回動物臨床医学会年次大会 開催される

 2024年10月5日(土)、6日(日)の2日間にわたり、グランキューブ大阪(大阪国際会議場)にて、第45回動物臨床医学会年次大会が開催された。
 西村亮平先生(東京大学名誉教授)学会長のもと、各分科会や研究会による豊富なセミナーやパネルディスカッション、公募での一般口演、症例検討、動物病院スタッフ口頭発表、ポスターセッション、企業展示など多くの企画が実施され、海外から招かれた陳 武先生(北京農学院)およびダンカン・ラッセル先生(ノースカロライナ州立大学)の講演およびパネルディスカッションが行われた。日本の先生を交えて最新知見の共有もなされ、多くの聴講者が各会場に足を運んだ。
 初日の夜には隣接するリーガロイヤルホテルにて歓迎交流会が開催された。会場には海外からの先生を含む多くの参加者が集まり、食事を楽しみながら会話に花を咲かせた。理事長の下田哲也先生(山陽動物医療センター)はその挨拶のなかで「本会は臨床獣医師の臨床獣医師による臨床獣医師のための会である」とし、45回の開催を振り返った。日本の獣医療における伝統と変革が混在する現在、次回以降の本会の動向にこれからも注目が集まると思われる。
 次回第46回動物臨床医学会年次大会は、同会場にて2025年10月18日(土)、19日(日)に開催予定。

歓迎交流会での下田哲也理事長の挨拶

会場の様子