第12回となる(一社)日本動物看護職協会主催「動物看護大会」が2022年12月12日〜2023年1月8日(当初の終了日2022年12月25日から好評につき延長された)、昨年同様オンラインにて開催された。今回は、愛玩動物看護師国家試験直前のタイミングということから、「愛玩動物看護師 国家資格取得後の未来」をテーマに、国家試験対策に重きを置いたセミナーが多数用意された。

 動物看護師という職業の歴史を振り返る「イギリス・アメリカ・日本の動物看護の歴史から見る愛玩動物看護師」(山川伊津子先生、ヤマザキ動物看護専門職短期大学)をはじめ、動物看護師の資格制度の先進国であるアメリカと日本の現状を比較し、愛玩動物看護師がどのような資格へと発展していくべきかを考える「ケアの質、やり甲斐、利益の交差点:愛玩動物看護師をどう活用するべきか?」(Kenichiro Yagi氏、獣医療救急グループ主任動物看護師兼RECOVERプログラムディレクター)は、改めて今、獣医療関係者が当事者としてみるべき内容ではないかと思われた。

 国家試験対策として「国家試験対策「過去問がないということ」~礎となる技術はある。あとは効率的に~」(西村裕子先生、千葉科学大学 動物危機管理教育研究センター)、「統一認定試験徹底分析 そこから読み解く国試攻略法」(鈴木 勝先生、獣医師国家試験対策研究会代表)といったセミナーでは、どのように試験対策を練るべきかや、効率のよい勉強法が具体的に示され、試験勉強に苦慮する受験生への力強いエールとなったと思われる。

 また、座談会「愛玩動物看護師のこれから ~海外の現状から学ぶ、日本の明るい未来へ向けて~」では、Yagi氏、末松正弘先生(AMC末松動物病院院長)、横田淳子日本動物看護職協会会長、中村陽子同副会長が、それぞれの立場から描く愛玩動物看護師の目指すべき姿や目標を語る、熱のこもった内容であった。なかでも、Yagi氏の「動物看護師は離職率が高い。離職させないためには、周囲から評価を得てモチベーションを維持する必要がある」「そうした点も含めて獣医師にリーダーシップを求めたい」といった言葉は、今後、愛玩動物看護師が活躍するうえで重要なポイントとなっていくのではないだろうか。また、末松先生からは、「愛玩動物看護師が誕生したあとの継続的な支援、待遇をどのようにすすめるかを考える必要がある」といった、獣医師、動物病院の経営者の立場からのお話も伺うことができた。

 愛玩動物看護師の誕生は、当事者である愛玩動物看護師を目指す者だけでなく、すべての動物医療関係者に大きくかかわる出来事でありながらも、これまでは、どのように具体的にかかわるかについてはっきり語られてこなかったのではないかと思われる。同大会のような場を通して、さまざまな立場で愛玩動物看護師という新しい職業について考え、討論することが愛玩動物看護師、ひいてはこれからの獣医療をつくっていくことにつながるのではないだろうか。

(一社)日本動物看護職協会HP https://www.jvna.or.jp/

座談会「愛玩動物看護師のこれから ~海外の現状から学ぶ、日本の明るい未来へ向けて~」の様子



西村裕子先生「国家試験対策「過去問がないということ」~礎となる技術はある。あとは効率的に~」の様子