小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

第21回 日本獣医内科学アカデミー学術大会 開催

 2025年2月14日(金)~16日(日)、日本獣医内科学アカデミー学術大会JCVIM2025(大会⻑:亘 敏広先生〈日本大学〉)が東京国際フォーラム(東京都)で開催された。今回は「学びの継続、知識のアップデート」をテーマに実施され、獣医師向けだけでなく愛玩動物看護師向けのセッションも多く設定され、皮膚科、腎臓泌尿器、画像診断、行動学、救急医療など150を超えるプログラムが提供され、参加者たちは3日間多くの学びを得た。
 昨年に続き今回の学術大会も対面方式にて実施された。企業展示会場はフロアが2つ設定され会場内でシミュレータ等を用いた「わずか45分で胸部圧迫に自信がもてるレクチャー」(森田 肇先生、日本小動物医療センター/塗木貴臣先生、TRVA/杉浦洋明先生、横浜動物救急診療センター)や「上部消化管内視鏡操作の基本と異物摘出実習」(阪本恵美先生、東京大学)などの講義も実施され、セミナー開示と展示会場の行き来を向上させる新しい工夫も試みられた。
 また一般演題発表から「症例検討」「研究」「臨床研究」の3つの部門にわけ獣医系大学教員が審査を行うJCVIMアワードも実施された。JCVIM症例検討アワード、動物看護アワード、臨床研究アワード、研究アワードで各2名ずつが選ばれ、大会期間中に授賞式が行われた。本アワードでは、JCVIM症例検討アワードを「抗ミューラー管ホルモンを測定した卵巣遺残症候群の猫の1例」(生澤碧之佑先生、岡山理科大学)および「喉頭に発生した扁平上皮癌に対し定位放射線治療を実施した猫の1例」(中澤優太先生、日本獣医生命科学大学)、 動物看護アワードを「猫における網状赤血球のHeilmeyer分類」(鈴木友美氏、すわ動物病院)および「院内の愛玩動物看護師教育に関する取り組みの一例」(藤咲 舞氏、ALL動物病院グループ)、臨床研究アワードを「イヌ胃腸管型リンパ腫および慢性炎症性腸疾患における赤血球分布幅の回顧的研究」(堀田康介先生、東京大学)および「節性リンパ腫に罹患した猫の臨床的および臨床病理学的特徴に関する回顧的研究」(浅野敦也、東京大学)、研究アワードを「イヌリンパ系腫瘍細胞に対するオルメトプリムの増殖抑制効果の検討」(伊藤 智先生、東京大学)および「正常胆嚢および胆嚢粘液嚢腫罹患胆嚢由来オルガノイドを用いた陰イオンチャネルの機能評価」(長尾乙磨先生、東京大学)が受賞した。

 3日間で1,500名以上が登録し、会場には約1,000名が参加、次回第22回学術大会は2026年2月20日にパシフィコ横浜ノースにて開催予定。


JCVIMアワード受賞式の様子


ランチョンセミナーの様子

(一社)往診獣医師協会 懇親会開催

 2025年2月9日(日)、(一社)往診獣医師協会(Japan Home Veterinary Care Association :JHVCA)主催により、往診獣医師の意見交換を目的とした懇親会が、小田急ホテルセンチュリーサザンタワー(東京都新宿区)で開催された。
 2022年に設立された当協会は、診獣医師の資質向上、教育・研究の促進に努めながら獣医師による訪問診療を普及・発展させることを目的として、ペットの訪問診療等に関するコンサルタントや訪問診療希望者への支援の充実・促進活動を務める。現在100名近くの往診に特化した獣医師が所属している。
 当日は、往診でカバーできるエリアの地域差や診療の費用、定期的な検査、薬剤処方、往診先の飼い主への対応スキルなどについて、昨年中に本協会が実施したアンケート結果をもとに、活発な意見交換が行われた。
 「往診獣医師はより飼い主の生活に密接した獣医療サービスが求められている。今後は少子高齢化といった社会が抱える問題にも応えていけるよう、他業種との連携を深め、社会貢献にも力を入れていきたい」と代表の丸田香緒里先生はいう。本協会のますますの活躍が期待される。
 本協会の詳細は下記を参照のこと。
https://jhvca.main.jp/


代表の丸田香緒里先生