小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

第44回動物臨床医学会年次大会 開催される

 2023年11月18日(土)、19日(日)の2日間にわたり、大阪・大阪国際会議場(グランキューブ大阪)にて、第44回動物臨床医学会年次大会が開催された。本会は昨年2022年に引き続いての対面開催となったが、前回より規模を拡大しての開催となり、前年比の1.5倍となる参加者総数2,381名の活気に溢れた大会となった。
 大会内容も小動物臨床栄養学研究会、動物のいたみ研究会といった分科会ごとのセミナーや症例検討、一般口演、ポスターセッション、パネルディスカッションなどと幅広く、多くの講演で席が埋まり、立ち見も出るなど大いに盛況だった。学生や愛玩動物看護師の姿も多くみられ、講師と参加者のこれからのつながりが深まってゆく期待も感じられた。
 協力企業数も計162社で、全国から幅広いジャンルの企業出展が目立った。
 また、本年7月より山根義久先生から下田哲也先生へ理事長が交代となった。リーガロイヤルホテルでの歓迎交流会で、下田先生が述べた「本年次大会は、犬ぞりを引くように皆で運営していこう」という言葉は大変印象深いものであった。山根先生の理念がこれからも受け継がれてゆくことが伝わる交流会となった。
 対面での大会開催は、獣医師、愛玩動物看護師、講師、学生、企業関係者が活発に交流をおこなう貴重な場である。本大会はこれからも日本の動物臨床へ大きく寄与し、新たな気づきを得られる場となるはずである。
 次回の第45回年次大会は、例年の11月開催から変更となり、2024年10月5日(土)~10月6日(日)に同会場にて開催予定。
 
 

畜ガールズセッション 産業動物分科会
 

歓迎交流会で挨拶する下田哲也理事長

北海道小動物獣医師会年次大会2023 開催される

 2023年11月4日(土)、5日(日)の2日間にわたり、北海道・ロイトン札幌にて北海道小動物獣医師会2023が開催された。本大会は4年振りに2日間の対面形式にて実施され、獣医師対象、動物看護職者対象の2つのセミナーを軸に展開した。なお、オンラインでのアーカイブ配信が後日設定され、とくに北海道にある専門学校の学生はオンラインでの参加となる。
 初日の土曜は、獣医師ランチョンセミナーとして金井一亨先生(北里大学)が眼疾患と感染症について、獣医師学術セミナーとして川瀬広大先生(札幌夜間動物病院)が救急および集中治療について講演され、動物看護職セミナーとしては泉澤 有先生(北海道顎口腔外科センター)の獣医歯科および口腔外科の基礎についての講演などが行われた。また、企業セミナーとして、メディアでも著名な渡辺光博先生(慶應大学)が人医療における5-ALAの可能性について講演され、ミトコンドリアの活動に効果の期待できる5-ALAは、病気を治すのではなく、病気のもととなる老化に対して大きな武器になると述べた。
 2日目の日曜は、獣医師学術セミナーとして高野友美先生(北里大学)がFIPの診断および治療について講演され、動物看護職セミナーとしては坂東 元先生(旭山動物園)の野生動物種との向き合い方についての講演などが行われた。また、獣医師ランチョンセミナーとして堀 泰智先生(大塚駅前どうぶつ病院心臓メディカルクリニック)がACVIMガイドラインのMMVDのアップデートについて解説された。そして、企業セミナーとして枝村一弥先生(日本大学)が犬猫のOAに関する最新治療について講演された。獣医師・動物看護職者合同プログラムとしては氏政雄揮先生(アームズ(株))が動物病院の運営について、郡山尚紀先生(酪農学園大学)が問題行動について、村田佳輝先生(むらた動物病院)が人獣共通感染症について講演された。
 このほか、2日間にわたり、獣医師症例検討会や動物看護師発表会などが行われた。
 紅葉するも日差しの眩しい陽気のなか、2日間で獣医約120名、動物看護職者約170名が参加、企業も約60社が集まり、展示会場も多くの方で賑わった。託児所も用意され、すべての参加者への心遣いが垣間見えた学会運営であった。
 

4年振りの対面形式での開催におしよせる参加者
 

村田先生による人獣共通感染症講演