小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

学校法人シモゾノ学園 2019年度年次大会

 2019年2月21日(木)、東京・大田区民ホール アプリコ大ホール において、学校法人シモゾノ学園 2019年度年次大会が開催された。本大会は、専修学校教育を通して人財育成を実践する国際動物専門学校・大宮国際動物専門学校が、学生のキャリアアップを支援するため、約900名の全学生を集めて開催している。今回は特別講演として鎌田伊津子先生(埼玉県金融広報委員会)による「若者が巻き込まれやすいトラブルと対処法について」、井上貴文先生(目黒洗足動物病院)による「動物保護 ~今自分達にできること~」が、また学生たちの行った「社会的基礎力プロジェクト」の発表および優秀作品表彰、国内研修クラスパフォーマンスでの上位クラス発表、動物看護師統一認定資格試験決起会などが行われた。
 シモゾノ学園を卒業する学生のほぼ全員が、動物看護師やトリマーなど動物とかかわる職業の社会人となる。特別講演では、彼らが身近な問題として考えるべき事柄がとりあげられ、鎌田先生は消費生活相談員として、20歳前後の人が巻き込まれやすいネット売買等におけるトラブルの傾向や対策について解説、井上先生は、臨床獣医師であり保護活動に携わる経験から、小動物臨床現場のスタッフとなったとき、動物保護の第一歩として何ができるかについて語られた。
 学生たちは、いつもの教室とはちがう環境で、動物とかかわる職業の社会人となったときのためにどのような心構えが必要か、質疑応答も交え熱心に学んでいた。

会場の様子

ドイツ&オランダ動物保護施設視察ツアー報告会 開催

 2019年2月13日(水)、京王プラザホテル(東京・新宿)で、公益社団法人 東京都獣医師会による平成30年度第2回賛助会員ミーティングに続いて、2018年11月8~15日にかけて催行された「ドイツ&オランダ動物保護施設視察ツアー報告会」が開催された。

 本ツアーは東京都獣医師会の監修のもと実施された視察ツアーで、日本獣医師会会長、東京都獣医師会副会長、都議会議員、開業獣医師、企業獣医師、ペット保険、ペット共棲型老人ホーム、ペット用品販売・卸、ペット葬祭・霊園、建築等、多岐にわたる業界から参加者が集い、ハノーファーティアハイム、オランダ最大の動物保護施設であるDOA(Dierenopvang Amsterdam)、ティアハイムベルリン、ファルケンゼーティアハイム等を訪問した。

 報告会では、「ドイツから学ぶ共生社会と東京都の今後の展開について」を栗林のり子氏(東京都議会議員)、「ドイツでのペット葬儀・埋葬事情」を齋野勝夫氏(城南ペット霊園)、「ドイツにおけるペット保険事情」を兵藤未來氏(アニコムホールディングス株式会社)、「動物保護施設における建築的アプローチ」を金巻とも子(かねまき・こくぼ空間工房)、「ZooZajac(ツォー・ツァヤック)」を坂口清志氏(ジャペル株式会社)、「国民の動物に対する意識」を山川伊津子先生(ヤマザキ動物看護大学)、「ドイツ・オランダ動物保護施設ツアー報告会」を戸上由香梨先生(ハノーファー獣医科大学)、「ドイツ全土に、なぜ1,400以上のティアハイムが存在するのか?」を藤井立哉先生(ペットフード・テクノリサーチ)とそれぞれの視点から発表され、約2時間以上に及ぶ熱意ある報告に会場は熱心に耳を傾けた。

 「たくさんのティアハイムをみてもらうことが、今回のツアーの目標でした。」という本ツアーの中心となり尽力された平井潤子先生(東京都獣医師会事務局長、ANICE代表)。
これからも日本オリジナルの人と動物の共生社会のあり方や、動物業界のこれからについて一緒に考えていきたいと語る。次の視察ツアーが待たれる。

会場の様子

本視察ツアーの監修を務めた
東京都獣医師会、会長村中志朗先生

東京都獣医師会副会長の小林元郎先生は
本ツアーに同行

東京都獣医師会事務局長であり本視察ツアーの
中心メンバーである平井潤子先生

日本獣医再生医療学会 第14回年次大会 開催される

2019年2月2日(土)~3日(日)の2日間にわたり、アットビジネスセンターPREMIUM新大阪において、日本獣医再生医療学会 第14回年次大会が開催された。
今回は「ご家族に笑顔を届けられる細胞療法を実施するには―みんなで考えよう―」をテーマに、学術倫理基礎講習会、症例検討会、学術発表会のほか、韓国における再生医療の現状や、ガイドラインおよび届出制度に関する講演が行われた。また、別会場において培養技術講習会が行われた。
2日目の徹底討論では、はじめに「幹細胞療法の限界?!―失敗症例をもとに考える―」と題し、鳩谷晋吾先生(大阪府立大学)をアドバイザーに、横山篤司先生(さくら動物病院)から幹細胞療法を実施し奏効しなかった症例が複数紹介され、活発な議論が行われた。また、「伴侶動物と暮らすご家族に笑顔を届けられる活性化リンパ球移入療法を考える―LINEで参加―」では、牛草貴博先生(関内どうぶつクリニック)をアドバイザーに、平野由夫先生(ひらの動物病院)司会のもと、獣医師の先生からはもちろん一般の飼い主から集められた細胞療法に関する情報をもとに議論が展開された。
本学会顧問である石田卓夫先生は、初日の挨拶のなかで、再生医療分野を勝ち戦にするためにはエビデンスづくりを一丸となって行うべきであると述べた。2019年の立春を前に多くの参加者が集まり、その熱意に新たな萌芽を感じる学会であった。

会場の様子

第20回 日本獣医がん学会 開催される

 2019年1月26日(土)、27日(日)、ホテルニューオータニ大阪において、第20回日本獣医がん学会が開催された。両日の参加者は650名にのぼり、賛助会員16社・協力企業9社からランチョンセミナー協力2社、学会広告協力6社、展示協力12社であった。
 メインシンポジウム「肥満細胞腫」は症例検討も含め学会2日目を丸1日使って講演された。「肥満細胞腫」は過去の日本獣医がん研究会時代(2006年)に開催した第23回日本獣医がん研究会以来のメインテーマである。学会1日目には認定医Ⅱ種講習会対応の総合教育講演、外科および内科の教育講演、外科シンポジウム、一般口演/臨床研究が実施された。
 演者や講演アドバイザーだけでなくフロア参加者からも広く知見を求める熱心な意見交換が満席の各会場でみられた。
なお、次回大会は7月6~7日に「犬の軟部組織肉腫」をメインテーマに東京で開催予定(http://www.jvcs.jp/society/index.html)であり、さらに来る2020年3月にはやはり東京にて世界大会と合同開催が予定されている。2022年までの学会開催案内が日本獣医がん学会ホームページ(http://www.jvcs.jp/secretariat/2018-12-18.html)に掲載されている。

会場の様子

第97回日本獣医麻酔外科学会/第109回日本獣医循環器学会秋季合同学会 開催される

 2019年1月12日(土)・13日(日)の2日間にわたり、仙台城址近くの仙台国際センターにおいて、第97回日本獣医麻酔外科学会/第109回日本獣医循環器学会秋季合同学会が開催された。

 今回も特別講演、合同シンポジウムのほか、教育講演、リフレッシャーコース、シンポジウム、パネルディスカッション、症例検討会、一般講演、動物看護師対象セミナーなど、計7会場にて外科および循環器の最新情報を盛り込んだセミナーが行われた。また、シュミレーターを使用したリカバーCPRの体験特別会場も設けられた。

 初日には、上地正実先生(JASMINEどうぶつ循環器病センター)講演の「僧帽弁閉鎖不全症の診断と治療-ACVIMコンセンサスの最新情報-」が行われ、現在進行中のACVIMにおけるコンセンサスの改定ポイントを含めた最新知見が解説された。

 2日目の午前中にはシンポジウムとして、「災害派遣医療チーム(DMAT)専門医師から学ぶ災害時の獣医療」が行われ、立石順久先生(成田赤十字病院、千葉大学)の「災害時における災害拠点病院・DMATをはじめとした医療供給体制の現状と課題」の講演をはじめ、VMAT獣医師についてを藤本順介先生(ふじもと動物病院)、人とペットの災害対策ガイドラインについてを田口本光氏(環境省)、東日本大震災に伴う被災ペットの救護についてを平野井 浩氏(福島県保健福祉部食品生活衛生課)が解説された。

 会場によっては席が足りないほどの盛況ぶりであり、懇親会では仙台ならではの出し物が催され、2日間にわたり多くの先生方が充実した時間を過ごした。

会場の様子

尾形庭子先生 「子犬の本」第2版 出版記念講演 開催

 2018年12月20日(木)パナソニック東京汐留ビル(東京・港区)で、尾形庭子先生(パデュー大学獣医行動科)による「『子犬の本』第2版 出版記念講演」が開催された。テーマは「飼い主さんと動物病院をつなぐ、動物行動学~一般診療における『子犬の本』の使い方」。
 米国獣医行動学専門医であり、また日本獣医動物行動研究会の幹事も務める尾形先生は、自身の勤務地であるアメリカと日本の違いも考慮にいれ「1.主訴に頼った受け身な診察になっていませんか?」「2.個体の行動や性格を相談されても返事に困っていませんか?」「3.紹介制度を上手に利用していますか?」「4.日常診療時最低限必要な行動学の道具や使い方をマスターしていますか?」「5.病院スタッフを十分活用していますか?」「6.行動学に使用する薬剤のアップデートしていますか?」をキーワードに、日々の診療で動物病院がどのように動物行動学を取り入れていくか、意識向上の具体例をあげ、参加者へわかりやすく紹介した。
 飼い主が自身と暮らす犬や猫に問題行動が発生する前、飼い主がトラブルを抱え込む前、病気になる前から絆を深めていくことの大切さを、監修を務める「子犬の本」の活用法も含め講演され、会場は熱心に耳を傾けた。

 また、アメリカを中心に2016年よりスタートしたWEB教育コース「Fear free program」についても触れられた。ペットのストレスや不安・恐怖の軽減を目的に行動科や麻酔科をはじめとした獣医内科分野等の専門家の監修協力による本プログラムは、日本にも導入予定とのこと。

 本講演の主催はVSJ,LLC。オンラインで獣医師・動物看護師向けの教育サービス「VSJカレッジ」を実施している。代表の三好紀彰先生は「病院力」をテーマに今後も展開していきたいとのこと。まさに「病院力」を高めてくれる尾形先生の本講演は大阪でも開催された。

尾形庭子先生

会場の様子

VSJ代表の三好紀彰先生

第39回動物臨床医学会年次大会 開催

 2018年11月16日(金)~18日(日)の3日間にわたり、大阪国際会議場(グランキューブ大阪)において、第39回動物臨床医学会年次大会が開催された。今回も20会場にて多くの分科会のセミナーやパネルディスカッション、症例検討、一般口演などが行われ、多くの参加者が興味のあるセミナーを行き来する姿が見受けられた。
 今回は市民公開シンポジウムとして、「あなたとペット動物の災害対策-特にペットとの同行避難の為に-」が設けられたこと、また前回まで5階にあった企業展示会場が10階に移り、5階ではペット情報サイト「Sippo」の写真展が行われるなど、獣医療界をより現状に即した形にしていこうとする意識が感じられる大会であった。
 次回節目となる第40回記念大会は、2019年11月15日(金)~17日(日)、同じく大阪国際会議場にて開催予定。

会場の様子

第62回 比較統合医療学会学術大会 開催される

 2018年11月10日(土)、11日(日)の2日間にわたり、日本獣医生命科学大学・日本医科大学武蔵境校舎(東京)において、第62回 一般社団法人比較統合医療学会学術大会・第21回 日本補完代替医療学会学術集会が開催された。今回は「人間と動物の健康促進・未病改善をめざして」をテーマとして、獣医療と医療の双方から、漢方や栄養療法、多岐にわたる治療技術など、幅広い研究が紹介された。
特別講演として鳥巣至道先生(宮崎大学)「小動物消化器外科領域で用いている統合医療の現状と課題」、安川明男先生(西荻・上石神井動物病院)「The effect of Low Reactive-Level Laser Therapy (LLLT) with Helium-Neon Laser on Operative Wound Healing in a Rat model」ほか全8題、教育講演1題、一般講演は両日で37題におよび、さまざまな新知見や治療の試みが発表されていた。
一般社団法人比較統合医療学会学術大会は今年度まで年2回開催であったが、来年度から年1回としてさらなる内容の充実を図ることとなる。今後も、新しい獣医療の可能性を模索する場として展開することが期待される。

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北海道小動物獣医師会年次大会2018 開催される

 2018年11月3日(土)、4日(日)の2日間にわたり、北海道・ロイトン札幌において、北海道小動物獣医師会年次大会2018が開催された。第26回となる今回は、獣医師学術セミナーと動物看護師セミナーをメインに、獣医師・動物看護師合同セミナー、症例検討会、動物看護師発表会などが行われた。
 初日の獣医師学術セミナーでは、「開業医が知っておくべき眼科疾患の一次処置」と題し、都築圭子先生(東京大学)が、緊急の一次処置が必要な眼科症例、適切な一次処置で悪化を防げる眼科疾患を挙げ、専門病院に紹介する前に各動物病院で可能な処置のポイントを解説した。初日はこのセミナーを皮切りに計5講演が行われた。
 また、2日目には計7講演が行われ、動物看護師ランチョンセミナーでは、「高齢犬・猫のより良い生活応援のために!」と題し、佐野忠士先生(酪農学園大学)が“できる”看護として、食事と適度な運動、いたみの評価、薬剤やサプリメントの使用などを解説した。
 会場では約80社の企業ブースが立ち並び、震災の影響もなく、セミナーや展示からよりよい情報を得ようと、のべ450名を超える参加者が集まった。

会場の様子

日本動物看護学会第27回大会開催

 2018年10月27日(土)、28日(日)の2日間にわたり、学校法人シモゾノ学園大宮国際動物専門学校および大宮ソニックシティ小ホール(埼玉)において、日本動物看護学会第27回大会が開催された。
今回のテーマは「職業社会人における動物看護学」であった。まず開会にあたり『プロフェッショナリズムを持った動物看護師の確保と「One Family, One Health」の推進を』と題し、酒井健夫先生(公益社団法人日本獣医師会副会長)による主催団体企画講演が行われた。また学会・主催団体合同企画シンポジウム「動物看護師資格の国家資格化について」においては、下薗惠子先生(一般社団法人全国動物教育協会会長)、石岡克己先生(全国動物保健看護系大学協会カリキュラム委員長)、横田淳子氏(一般社団法人日本動物看護職協会会長)、原 大二郎先生(一般財団法人動物看護師統一認定機構理事)により、動物看護師資格国家資格化に向けての積年の取り組みを再確認し、コアカリキュラム・統一試験など教育の高位平準化の進行、現在の具体的な活動や法整備への働きかけなどが講演された。横田会長は講演のなかで「動物看護師は、動物を助けたいという思いのみならず、飼い主を支え、社会に貢献するという意識をもたなくてはならない」と、会場の動物看護師や学生によびかけた。2日目の学会主催シンポジウムは「ここまで来た! 代替教材の今」と題し、小沼 守先生(千葉科学大学)座長、山下眞理子先生(学校法人シモゾノ学園)の司会で、桜井富士朗先生(慶応義塾大学)、阿部仁美先生(帝京科学大学)、荒川真希先生(ヤマザキ動物看護大学)、菅澤圭二氏(株式会社ラスターテック)により、現在の生体代替モデルとそれらを用いた学習の効果などが紹介された。また一般演題は口頭発表13題とポスター発表13題にのぼった。
現在、小動物臨床の現場では、動物看護師を含むチーム獣医療という考え方が広まってきている。今回の参加者はのべ500名を超え、動物看護師の職域の確認、また学問分野としての動物看護学の確立を、改めて掲げる大会であった。次回、第28回大会は2020年2月8日(土)、9日(日)、奈良県にて開催される。

会場の様子

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