小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

日本獣医輸血研究会第8回学術講習会および第57回小動物臨床血液研究会 開催される

 2023年5月28日(日)、日本獣医生命科学大学において日本獣医輸血研究会第8回学術講習会および第57回小動物臨床血液研究会が開催された(見逃し配信期間:6月5日(月)〜7月2日(日))。今回は、日本獣医輸血研究会と、1993年に「小動物臨床における血液病学の発展と普及を目的」として発足した小動物臨床血液研究会とによる共催であり、このはじめての試みは両研究会にとって、また両研究会会員にとって意義深いものになったと思われる。
 
 また、前回同様、対面セミナーと見逃し配信によるハイブリッド形式で開催された。ようやくCOVID-19に対する懸念が弱まり、対面式のみの開催に踏み切る学会も増えるなかでの配信について、輸血研究会会長・内田恵子先生は、「東京の会場にどうしても足を運べない地方の先生や動物看護職の方が、参加できることをとても喜んでくださっている」とお話しくださった。
 
 セミナーは、日本獣医輸血研究会による「輸血副反応」(久末正晴先生、麻布大学)、「輸血に関連する院内システム」(鈴木裕子先生、Pet Clinic アニホス)をはじめ、小動物臨床血液研究会による「血が止まりません―どうする鑑別と治療」(高橋 雅先生、鹿児島大学)、「再生性貧血の原因には何がありますか?」(森下啓太郎先生、北海道大学)といった充実した講義に加え、輸血前に欠かすことのできないクロスマッチ検査についての手技を一つひとつ丁寧に解説する「クロスマッチ手技」(中村知尋愛玩動物看護師、日本小動物医療センター)、各病院で実際に行われているクロスマッチの方法を発表する「実践クロスマッチ!うちはこうしている」といった、参加者が誰でもすぐに検査できるようになることを念頭に企画された講演も見どころであった。
 
 当日は、昨年末に行われた第1回JSVTM認定輸血コーディネーター認定試験の合格者も発表された。今回、認定者は8名の獣医師、愛玩動物看護師であり、認定委員長の呰上大吾先生(東京農工大学)から、「皆さんとても優秀な成績でした」と素晴らしいお言葉が贈られた。
 
 配信による受講は7月2日まで可能。
 
【セミナー内容】
●日本獣医輸血研究会
1. 輸血副反応(認定プログラム7)
久末正晴(麻布大学)
2. 輸血に関連する院内システム(認定プログラム8)
鈴木裕子(Pet Clinic アニホス)
3. クロスマッチ手技(教育講演)
中村知尋(日本小動物医療センター)
4. 実践クロスマッチ!うちはこうしている(ワークショップ)
菊田 基(浦安中央動物病院)
長島 友美(苅谷動物病院グループ)
大塚 真子 (山陽動物医療センター)
座長: 荻野直孝(ALL動物病院 行徳)
 
●小動物臨床血液研究会
1. 血が止まりません―どうする鑑別と治療
高橋 雅(鹿児島大学)
2. 再生性貧血の原因には何がありますか?
森下啓太郎(北海道大学)
3. 赤血球の形態観察 再生性貧血の鑑別はほぼこれで完璧です
井手香織 (東京農工大学)
 
日本獣医輸血研究会HP  https://www.jsvtm.org/
小動物臨床血液研究会HP  https://dourinken.com/forum/ketsuken/
 

高橋 雅先生によるご講演の様子


 

第1回JSVTM認定輸血コーディネーター合格者の皆さんと、内田恵子先生、呰上大吾先生

(一社)日本獣医再生医療学会(JSVRM)第18回年次大会 開催される

 2023年5月28日(日)、日本獣医再生医療学会(The Japanese Society for Veterinary Regenerativee Medicine:JSVRM)第18回年次大会が、横浜ワールドポーターズ(神奈川県)で開催された。

 今回の大会は「エビデンスをもとにした再生医療 何が真実か?」をテーマに展開。午前中のシンポジウムでは「MSC血管内投与を用いた椎間板ヘルニアの治療:どこまでがエビデンスなのか」と題し、座長を本大会長の枝村一弥先生(日本大学)と原田恭治先生(日本獣医生命科学大学)が務め、「①オーバービュー」原田恭治先生(日本獣医生命科学大学)、「②犬の脊髄損傷に対する幹細胞治療の開発:基礎エビデンスを中心とした解説」藤田直己先生(東京大学)、「③臨床研究データから見る犬椎間板ヘルニアに対するMSCの可能性」福田 威先生(PARM)、「動物用再生医療等製品〈ステムキュアⓇ〉の開発と供給」永原俊治氏(住友ファーマアニマルヘルス(株)※6月1日より物産ファーマアニマルヘルス(株))の4名が発表した。続いてパネルディスカッションが実施され、治療のメカニズムや治療戦略、ベネフィットとリスクのバランスを中心に意見交換が行われた。

 午後の基調講演では、人における再生医療について、世界と日本とのちがいや、免疫チェックポイント分子阻害薬の現状、および免疫チェックポイント抗体の臨床研究データの発表の他、獣医内科系疾患領域への再生医療の期待や、ChatGPTによる回答も交え、獣医再生医療領域におけるエビデンスの構築について紹介され、獣医再生医療が社会的信頼と実績を積み上げていく道筋が示された。
その道筋を大きく前進させる「獣医再生医療認定医制度」が今年(2023年)に設立され2025年には第1回認定試験がスタートする予定であることが今大会長を務める枝村一弥先生(日本大学)から発表された。

 また本大会では、北米獣医再生医療学会からAmir Kol先生を招き、感染症やMSCに関するランチョンセミナーが開かれ、(一社)日本再生医療学会の常務理事で2024年に大会長を務める寺井祟二先生(新潟大学)による基調講演「間葉系幹細胞および細胞外小胞(エクソソーム)の肝疾患に対する応用」も実施された。この他、大会の最後では、優れた発表者(ポスター発表者を含む)3名が選ばれ、表彰された。

 午前9時~午後6時まで実施された本年次大会会場へは100名以上が集い、オンラインでも40名以上が参加し、本分野への期待と関心の高さがうかがえた。
来年第19回は5月開催予定。本学会の今後の活動への期待が高まる。

 ※6月5日~7月3日まで、要参加登録にて一部プログラムを
  オンデマンド配信中。詳細は下記より。
  https://www.jsvrm.org/18thannualconference


パネルディスカッションの様子。
左から原田恭治先生、藤田直己先生、福田 威先生、永原俊治氏


北米獣医再生医療学会のAmir Kol先生による講演


今大会長の枝村一弥先生から指針・届出についての解説や、
「獣医再生医療認定医制度」の設立と第1回認定試験について紹介された


今大会も、優秀な発表者3名が選ばれた。本学会理事長の横山篤司先生から
アワードを授与

第38回世界獣医会議(WVAC2023) 開催される

 2023年4月26日(水)から29日(土)までの4日間にわたり、台湾・台北にて第38回世界獣医会議(World Veterinary Association Congress、WVAC)が開催された。本会は世界獣医学協会(WVA)が主催する年次大会であり、前回の第37回は昨年、2022年にアラブ首長国連邦のアブダビで開催された。今回も臨床獣医学、公衆衛生、動物福祉などの小動物にかかわる専門分野のほか、産業動物のテーマも含まれるプログラムが組まれた。
 MRTの最寄駅から直通で会場に入ると、4階に展示会場、7階に9つの講演会場が用意され、過去のMVM本誌に登場しているDouglas DeBoer先生、Philip Fox先生をはじめ、日本からも石田卓夫先生ほか複数の日本の先生による講演が組まれていた。ポスターセッションでも日本の先生方による発表が見受けられた。参加者も世界会議のため、多くの国々から参加者が集まり、最新情報を共有しあう場所となっていた。
 展示会場では、90以上の企業がブースを出展、世界的に有名な企業の台湾法人が主に出店していたが、日本から直接ブースを出す企業もあり、日本と台湾の距離の近さが感じられた。また、台湾で広く展開している動物病院がブースを出展していた。台湾は日本における九州と面積(約36,000平方km)も動物病院数(1,300~1600件)も近い。日本と台湾がお互いに協力し合い、高め合う土壌がさらに深まっているように感じられた。

展示会場の様子


セミナーの様子

ペットとの共生推進シンポジウム 開催される

 2023年4月1日(土)、東京ビックサイト(東京都)にて、ペットとの共生推進協議会の主催により「ペットとの共生推進シンポジウム」が開催された。
 本協議会は、犬や猫をはじめとするペットとともに暮らすことによる効果を、広く日本国内へ啓発することを目的に2010年11月に設立。その効果に関する情報の収集・分析・提供、および啓発に努める。
今回のシンポジウムでは、「すべてのペットと快適に暮らすポイントとは?」をテーマに、林 良博先生(東京大学)、柴内裕子先生(赤坂動物病院)、山﨑恵子先生((一社)アニマル・リテラシー総研)を迎え展開。ファシリテーターは本協議会の実行委員長の越村義雄氏が務め、「ペットへの健康配慮」、「ペットと暮らす魅力」、「ペットと長く暮らすためにペットの病気のサインをいかにとらえるか」について3名の先生が、それぞれの知見や経験をまじえ紹介。
 
 「近年は〈ペットは家族〉という飼い主が多いが、今一度、本当に〈家族〉となっているか見直すべきと思う……その動物種が本来暮らしていた気候や環境、歴史を慮ることが大切」、「動物が嫌いな人との円滑な関係を育むことも大切。衛生面からも散歩中のトイレは水や塩素で洗い流すだけでなく、これからはペットシーツを上手に活用していくべき」と“ペットシーツ運動”と謳いネクストアクションについても具体的に提案された柴内先生、「ペット(動物)と飼い主(人)が“お互い”にHappyでなければよい効果は生まれにくい」、「ペットロスは辛い経験です心に刺さった棘のよう…しかしその棘はやがて心と融合し丸くなり、優しさの糧となります」という山﨑先生は、“ノンバーバルコミュケーション”の素晴らしさや“スモールアニマル”への認知を深めることが大切と力説された。「地球上には人がつくり出した動物がいる……そうした動物に対して、人はもっと責任をもたなければならない」という林先生は、さらに「日本での犬の飼育頭数が減少していることを知ってもらいたい」と、かつて1,300万頭いた犬が現在は700万頭まで減少し、犬との暮らしが危機的に減少している状況であることへ警鐘をならした。
 この他フードの話、疾患の話など、ペットとのよりよい共生のための話は多岐におよび、会場に集った多くの飼い主たちは、時間がたつのを忘れ、登壇された各先生方の話に熱心に耳を傾けた。
 
 「世界では戦争や地域紛争があり、ペット平和に暮らすことが望めない人が多くいます」という赤津功一会長。これからもペットとの平和な暮らしに貢献していきたいと語った。今後も本協会の益々の活動が期待される。
「ペットとの共生推進協議会」の詳細は下記より。
https://pet-kyousei.info
 
 また、本シンポジウムは第12回「インターペット~人とペットの豊かな暮らしフェア~」(2023年3月30日(木)~4月2日(日)開催/主催:(一社)ペットフード協会、(一社)日本ペット用品工業会、メッセフランクフルト ジャパン(株))中に実施された。
 

ディスカッション中の様子
 

ペットとの共生推進協議会 赤津功一会長。ペットとの平和な暮らしに今後も貢献していきたいと語る
 

本協議会の実行委員長の越村義雄氏。本シンポジウムでファシリテーターをつとめた
 

林 良博先生(東京大学)
 

柴内裕子先生(赤坂動物病院)
 

山﨑恵子先生((一社)アニマル・リテラシー総研)

日本小動物歯科研究会30周年記念講演・式典、
第31回日本小動物歯科研究会症例検討会・総会
開催される

 2023年3月25日(土)・26日(日)、アキバプラザ(東京・千代田区)において、日本小動物歯科研究会30周年記念講演・式典および第31回日本小動物歯科研究会症例検討会・総会が開催され、約100名の参加者が集まった。
 25日の30周年記念講演では、佐藤秀一先生(日本大学)が「歯周外科治療最前線」と題し、人の歯周病治療における外科療法や歯周組織再生療法について講演された。続くパネルディスカッションは「口腔歯科疾患に対する治療のトラブル症例」と題し、大風百合子先生(風の森動物病院)、倉田大樹先生(ワールド動物病院)、小暮啓介先生(フジタ動物病院)、網本昭輝先生(アミカペットクリニック)、江口徳洋先生(Vets Dental & Oral sugery Office)により5 症例の問題がそれぞれ発表され、検討が行われた。さらに26日には18題におよぶ症例発表が行われ、活発に意見が交わされた。
 30周年記念式典においては祝辞や協賛団体への感謝状授与等が行われ、また記念パーティではコロナ禍により顔を合わせる機会が少なくなっていた参加者が親睦を深めた。

総会の様子

第2回獣医事審議会免許部会・中央環境審議会動物愛護部会愛玩動物看護師小委員会(合同会合) 開催される

 2023年3月17日(金)、農林水産省三番町共用会議所にて、第2回獣医事審議会免許部会・中央環境審議会動物愛護部会愛玩動物看護師小委員会の合同会合が開催された。
 本会合では、愛玩動物看護師資格制度がその法の目的の達成に資するよう、その免許の付与および行政処分を適切に実施して愛玩動物看護師に対する信頼性を確保し、獣医療分野及び動物愛護・適正飼養分野両方の側面より、愛玩動物看護師制度を広く普及していくため、審議が行われる。
 本会合は西村亮平委員(東京大学)を座長とし、公益社団法人日本獣医師会、一般社団法人日本動物看護職協会、大学、弁護士、消費者団体などの代表で構成され、全9名の有識者からなる。事務局は農林水産省および環境省となっている。
 第2回会合では第1回での「愛玩動物看護師の免許付与手続き」に続き、「愛玩動物看護師の行政処分の考え方(案)」の審議が行われた。審議の中で、行政処分の程度を①その事案の重大性、②愛玩動物看護師に求められる職業倫理、③愛玩動物看護師の業務に関連して国民や社会に与える影響等に応じて判断すべきとされた。また、愛玩動物看護師の独占業務である「診療の補助」については、獣医師法第17条に規定する診療の一部であり、その業務は獣医師との緊密な連携の下に行われることから、愛玩動物看護師に対する行政処分に関する判断基準は、「獣医師に対する行政処分に関する基本的な考え方」(平成27年10月30日付獣医事審議会免許部会)を基本とすべきであるとされ、座長が事務局案の一部文言を修正することで「愛玩動物看護師に対する行政処分に関する基本的な考え方」が了承された。
愛玩動物看護師の免許付与手続きと行政処分に関する基本的な考え方が取りまとめられたことから、これらに基づき愛玩動物看護師国家試験合格者の名簿登録と免許交付がすすめられることとなる。
 その後、中山裕之委員(東京大学名誉教授)から、第1回愛玩動物看護師国家試験の実施状況について報告があり、山﨑 薫委員(ヤマザキ学園理事長)及び横田淳子委員(一般社団法人日本動物看護職協会会長)から、心配されていた天候の影響もなく安堵した旨のコメントがあった。
 また、事務局から、環境省が実施した「愛玩動物看護師法附帯決議に係る実態調査」についての報告があり、現在結果をまとめているところで、その後に評価・分析予定であるとの説明があった。
 さらに、事務局から、「獣医療現場における愛玩動物看護師の職責・役割」について、わかりやすいイメージ図を用いた説明があり、西村座長より、今後実際に愛玩動物看護師が活躍する動物病院の状況も踏まえて、本会合で検討していく旨発言があった。
 最後に西村座長より、本会合では来年度も継続して愛玩動物看護師制度のあり方などを検討していくとの発言があり、閉会となった。

第2回合同会合の様子(農林水産省三番町会議所にて)

第26回日本獣医皮膚科学会学術大会・総会 開催される

 2023年3月12日(日)、国際ファッションセンタービル KFCホール(東京・墨田区)にて第26回日本獣医皮膚科学会学術大会・総会が開催された。
 本大会はメインテーマを「猫アトピー症候群/猫の皮膚科のup date」とし、様々な先生方が登壇、皮膚科の診療・治療方法の情報をアップデートしようと、多くの先生方が来場した。
 メイン会場を二会場用意し、招聘講演、科学講演、ランチョンセミナー、シンポジウム、一般講演、ポスターセッションなど、多くの発表が行われた。企業も約20社が展示出展し、企業担当者と参加者の間でも様々なやりとりがくり広げられた。
 また、スライドや写真、動画を用いた通常スタイルの講演もさることながら、ポスター展示前で行われたポスターセッションも、階下への移動が生じるにもかかわらず、ブース内を歩くのもままならないほどの大盛況となっていた。展示者と閲覧者が多くの質疑応答や意見交換を行い、まさに皮膚科のアップデートがなされている場となっていた。
 日本獣医皮膚科学会主催のもうひとつの姿である、「臨床」に重きをおいた「ひふゼミ」は本年秋に大阪にて開催が決定している。
 なお、今大会は同学会HPでのアーカイブ配信を予定している。
 期間:2023年3月20日(月)10:00〜2023年4月20日(木)17:00
 

ポスターセッションの様子

全国5会場対面形式+オンラインプログラム 日本臨床獣医学フォーラム地区大会2023 開催される

 2023年3月の約1ヵ月にわたり、全国5会場にて日本臨床獣医学フォーラム地区大会2023が開催された。COVID-19感染症の影響により近年オンライン開催が行われていた本大会も2023年は対面形式での開催となり、3月5日(日)の京都・東北(仙台)を皮切りに、19日(日)の九州(福岡)、26日(日)の北海道(札幌)・名古屋にてそれぞれ実施された。
 内容については各会場ともに獣医師継続教育プログラム、愛玩動物看護師およびアニマルケアスタッフ(ACS)セミナー、獣医師および愛玩動物看護師、アニマルケアスタッフ対象のランチョンセミナーなどが行われた。各会場ともに著名な先生が講師として登壇、また展示企業も多く参加し、セミナーの合間には展示会場も多くの参加者でにぎわった。
 なお、本大会の新しい試みとして、1会場の申込で最大3会場の参加が可能であった。ある参加者は別の会場で申し込んだが、ちょうど家族旅行で近くにいたので1コマだけ聴講しにきたとのこと。これも全国で展開する本大会ならではのシステムといえよう。

参加者数は以下の通り(JBVP正式発表より)
 京都  獣医師  50名、動物看護職者  22名、その他23名
 東北  獣医師 165名、動物看護職者 195名、その他143名
 九州  獣医師 152名、動物看護職者 133名、その他133名
 北海道 獣医師 112名、動物看護職者 113名、その他76名
 名古屋 獣医師  86名、動物看護職者  29名、その他73名

 JBVP会長の竹村直行先生は「オンラインはもちろん有用ではあるが、対面の臨場感や緊張感を味わいながらの学習はとても有意義なものであると考えている。臨床現場での知識やスキルの向上につなげてほしい」とのこと。
 翌月4月1日(土)~6月30日(金)には、本大会の一環としてオンライン合同地区大会が開催。「消化器祭り」と題し、5会場でのプログラムとは別に、新たに23の消化器プログラム、計25のプログラムを配信。オンラインと会場開催をそれぞれ独立して実施することで、より多くの方の学習機会を提供しようとする意気込みが感じられる。
 本年7月の大阪でのWJVF、9月の東京でのJBVP年次大会は会場開催のみとのことであり、COVID-19感染症の影響前の状況にすぐに戻ることは難しいかもしれないが、それでも本会の2023年における地区大会の会場開催はターニングポイントとして大きな一歩であったと感じる。不可逆的に変化した卒後教育の在り方をリードしていく本会の動向がこれからも気になるところである。

開会の辞を述べるJBVP会長の竹村直行先生


京都地区大会


東北地区大会


九州地区大会


北海道地区大会



名古屋地区大会

第19回日本獣医内科学アカデミー学術大会 開催

 2023年2月26日(日)、東京国際フォーラム(東京都)にて、(一社)日本獣医内科学アカデミー(JCVIM)による第19回日本獣医内科学アカデミー学術大会(JCVIM2023)が開催された。
 COVID-19の影響により2020年2月第16回学術大会以降、2021年2022年はオンライン開催であったが、今大会から症例検討・研究発表に限定し対面開催にて実施した。

 当日の発表内容では、腫瘍、血液・免疫学、栄養学、皮膚科学、行動学、循環器、消化器、画像診断、呼吸器、眼科と多分野にわたり、朝10:30~夕方18:30まで、150名を超える参加者が集い、思い思いの発表に足を運んだ。「実際に演者を前に聴講できたことは感慨深かった」「質疑応答を重ねるうちに会場が熱気に溢れていった」と、参加者たちが対面開催の感想を述べているのが印象的であった。発表内容は後日オンデマンドでも配信予定。

 発表のなかからJCVIM Award受賞者も決定された。研究Awardを木村和人先生(大阪公立大学)の「輸血への応用に向けた赤芽球由来イヌiPS細胞の作製と赤血球への分化誘導」と西堀翔真先生(山口大学)の「ネコPD-1/PD-L1の結合を阻害する抗ネコPD-1キメラ抗体の開発」、弊社ファームプレスも協賛した症例検討Awardを山口敬央先生(北海道大学附属動物病院)の「新規遺伝子変異を同定した猫の肥大型筋ジストロフィーの1例」と、宮城沙妃先生(北海道大学附属動物病院)の「頭部MRI検査のT2*強調画像低信号病変が石灰化転移病変と診断された犬の1例」、臨床研究Awardを太田茉耶先生(岐阜大学応用生物科学部附属動物病院)の「犬の歯肉に発生した扁平上皮癌に対する加速分割照射の有効性と有害事象の検討」と谷口哲也先生(日本獣医生命科学大学/兵庫ペット医療センター東灘病院)の「犬の呼吸器疾患451頭における解剖学的部位と臨床徴候の関連性について」が受賞した。
 
 また症例検討・研究発表以外の、共催団体企画や検定講習会、企業主催プログラム、そして130題以上にのぼる教育講演は、2月17日(金)~3月21日(火)までオンラインで開催。
 詳細は以下より。
https://www.jcvim.org/

 今回の展示ブースは弊社を含め4出展のみであったが、次回2024年第20回は、同会場にて本格的な対面学会が予定されており、以前のような大規模な展示も予定されている。


会場の様子


参加者は目当ての発表会場へ向かう

第4回 ヒトと伴侶動物の比較医学研究会 開催される

 2023年3月1日、東京農工大学140周年記念会館において、第4回 ヒトと伴侶動物の比較医学研究会(会長:東京医科大学教授/落谷孝広先生)が開催された。同研究会は2017年に発足したが、途中、COVID-19の感染拡大の影響もあって2019年6月に国立がん研究センターにおける第3回以来の開催となった。
 同研究会は基本理念として追求する「ヒト医療と獣医療との連携」から、「ヒト・伴侶動物の疾患に共通するエレメントから、新たな診断・治療法を創造し、生命科学の発展に寄与することを目標」としている。今回のテーマは癌撲滅にフォーカスした「血中マイクロRNAによるがん撲滅への新たな歩み」であり、異なる分野の最前線で活躍する獣医師、医師らによって講演された。
 伴侶動物である犬の骨肉腫はヒトと疫学や病態など発症形態が類似しており、発現しているマイクロRNAの塩基配列までもが同様であることからヒト骨肉腫の自然発がんによる治療モデルとして有用とされている。このような共通事項からも分野を越えた協力体制による生命科学の発展を目指し、会場には、獣医師、医師、薬剤師、血中マイクロRNAを研究中の学生、関連企業などから約100名が参加した。各講演後にはそれぞれの立場や見方・考え方から活発なディスカッションが交わされていたことからも、今後の展望に寄せる期待の大きさがうかがわれた。
 また新会長に水野拓也先生(山口大学共同獣医学部獣医臨床病理学分野教授)、副会長には岐阜大の森 崇先生(岐阜大学応用生物科学部共同獣医学科臨床獣医学講座/獣医分子病態学研究室教授)が就任された。
問い合わせ:株式会社メディカル・アーク info@medical-ark.com

<当日のプログラムは以下の通り>
【基調講演】
「ヒトと伴侶動物における医療の絆」伊藤 博先生(東京農工大学名誉教授)、
「Exosomes in Companion Animals: An Innovative Approach to Treat Pre-Disease」落谷孝広先生(東京医科大学医学総合研究所分子細胞治療研究部門教授)
【ランチョンセミナー】
「エクソソーム オーケストラ ビジョン」西平 隆氏(Exo Earth株式会社)
【特別講演】
「犬自然発がんモデルにおけるmicroRNA網羅解析の臨床応用とトランスレーショナル研究」池田凡子先生(株式会社メディカル・アーク)、
「dPCRを用いたイヌの血中マイクロRNAによるがんの検出」Dr. PRIYANTHI MANGALII(株式会社アニマルステムセル)(株式会社メディカル・アーク出向)
「犬のがん診療におけるmicroRNA研究―岐阜大学における戦略と現状」森 崇先生、
「ヒト泌尿器癌、特に前立腺癌におけるエクソソーム・マイクロRNA研究と社会実装~泌尿器科医から見る課題と展望~」田村貴明先生(千葉大学大学院医学研究院泌尿器科学/東京医科大学医学総合研究所分子細胞治療研究部門助教)、
「動脈硬化性疾患と血中細胞外小胞miRNAの研究」栗山直也先生(旭川医科大学外科学講座血管・呼吸・腫瘍病態外科学分野/東京医科大学医学総合研究所分子細胞治療研究部門)、
「MCED(多がん早期検出)検査による新時代の幕開け」松﨑潤太郎先生(慶應義塾大学薬学部薬物治療学講座准教授)、
「アカデミアと企業との“知”の連携」吉田 大氏(野村貿易株式会社)

会場の様子

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