2020年2月21日(金)~23日(日)、第16回日本獣医内科学アカデミー学術大会(JCVIM2020)が、パシフィコ横浜(神奈川県)で開催された。
実行委員のメンバーに新たに西飯直仁先生(岐阜大学)と小林沙織先生(岩手大学)も加わり全国規模での準備がすすみ、今年もより充実した展示・企画が展開され、多くの共催団体による講演も実施された。日本獣医がん学会、日本獣医腎泌尿器学会、日本獣医皮膚科学会、獣医臨床感染症研究会、小動物ウイルス病研究会、獣医臨床寄生虫学研究会、JSFMねこ医学会、獣医臨床感染症研究会、共同運営夜間救急動物病院連絡会、日本獣医輸血研究会、日本獣医動物行動研究会等、30を超える学会や研究会が参加し、専門性の高いプログラムを展開した。伴侶動物獣医療における幅広い分野のセミナーが、獣医師や動物看護師向けに実施され、参加者たちは3日間、思い思いの会場へ足を運んだ。
また、今大会では新型コロナウイルス感染症の影響により、参加者の安全を優先し、懇親会、アワード受賞式や一部セミナーが中止された。いっぽうで「新型コロナウイルス感染症に対して、我々獣医師がまずは正しい知識をもっておくことがきわめて重要」という主催者側の認識に基づき、多くの獣医師が集まる本学会で緊急企画として、前田 健先生(国立感染症研究所、獣医科学部部長)座長により、高野友美先生(北里大学)、奥村 敦先生(米国アレルギー感染症研究所/コロンビア大学)のご講演による「人と動物のコロナウイルス感染症に関する臨時特別セミナー」が開催される一幕もあった。
なお本年のJCVIMアワード(症例検討アワード、協賛:ファームプレス)は、山口大学の溝口広樹先生による「High-grade B細胞リンパ腫の長期治療中にT細胞リンパ腫を続発した犬の1例」、四国動物医療センターの入江充洋先生による「細胞診でリンパ腫が疑われた重症熱性血小板減少症(SFTS)の猫の1例」が受賞した。
「専門医制度に関してアジア獣医内科学専門医協会(Asian College of Veterinary International Medicine, AiCVIM)は次回のAMAMSにおいて、レジテントプログラムを公表し、アジアでの専門医制度を本格的に始動させる。JCVIMはAiCVIMとの緊密な協力関係のもとで『参加者にとって魅力あるプログラムの提供』を第一の目標とする」という本大会長。
3日間で2,751名の参加者が集った本学術大会。来年の第17回は、2月19日(金)~ 21日(日)にパシフィコ横浜の新施設、ノースにて開催予定。益々の活躍が期待される。
各会場には、感染予防の協力を呼びかけるスライドが掲示されていた
緊急企画「人と動物のコロナウイルス感染症に関する臨時特別セミナー」の会場の様子
学会・セミナーレポート
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第16回日本獣医内科学アカデミー学術大会(JCVIM2020) 開催
2020/3/6
共同運営夜間救急動物病院連絡会(NANEHA)第7回会合 開催される
2020/2/29
2020年2月22日(土)、共同運営夜間救急動物病院連絡会(Nationwide Jointly Operated Nighttime Emergency Animal Hospital Association、NANEHA)第7回会合が、パシフィコ横浜(日本獣医内科学アカデミー開催期間中/神奈川県)で開催された。
夜間救急の現場スタッフの安全確保や職場環境改善、スタッフ拡充等について、夜間救急動物病院の運営・経営の視点から、情報交換を行うことを主な目的に設立された本会には、全国の24の夜間救急病院が集う。
「夜間救急病院から、かかりつけ医へのスムーズな受け渡し」「各病院の給与体系」「スタッフ間での無記名評価のメリット」「スタッフのモチベーション維持」「収益を如何にあげ、スタッフの生活を保障するか」「二次診療との融合」「子育て中の女性スタッフの働きやすさを考え、夜間の救急から集中治療科の充実も視野に入れる」「コメディカルスタッフの拡充」など今回も話題は多岐にわたり、良質な夜間救急病院を目指し、熱心な意見交換が展開された。
本会の活動は今夏より、一般社団法人日本獣医救急集中治療学会(JaVECCS、2019年設立)へ引き継がれる。
日本にとどまらず、アジアというフィールドでもイニシアチブをとっていく意欲あふれるJaVECCSでの、新しい活躍が期待される。
話し合いの様子。NANEHAを設立し、黎明期より本会を牽引してきた佐藤昭司先生が進行を務める
JaVECCS理事長であり、NANEHA初期より参加してきた中村先生が、JaVECCS移行後の展開を説明
学校法人シモゾノ学園 2019年度年次大会 開催される
2020/2/27
2020年2月20日、東京・北とぴあにおいて、学校法人シモゾノ学園 2019年度年次大会が開催された。
学校法人シモゾノ学園(理事長:下薗惠子先生)では、毎年、国際動物専門学校(東京校)、大宮国際動物専門学校(大宮校)合同の年次大会を開催している。本大会では、他分野で活躍する特別講師の講演をはじめ、学生たちの行ったグループ研究の優秀作品発表および表彰、夏に行われた両校の「どうぶつ祭」や学内活動における各種表彰などが行われる。
今回の特別講演には、「動物ものまね芸」を寄席で演じる江戸家まねき猫氏が招聘された。動物の鳴き声を出すコツや、鳴き声の意味、芸を磨くため動物と接した体験などを語ったうえで、得意芸である鶏や猫の鳴き声などが披露された。
学生たちの人材育成プログラム「社会的基礎力プロジェクト(MSP)」には、研究成果のポスター作成のみならず、口頭での解説とパフォーマンスも含まれている。優秀作品に選ばれた各チームは、子育てする女性の就労、野生熊との共生への取り組み、豚熱(豚コレラ)対策といった現代的なテーマを扱い、文字通り「チームワーク」の成果をみせる発表を行った。
さらに本大会は、間近に控えた動物看護師統一認定資格試験の決起会であり、また次年度の就職活動激励会ともなっている。動物業界で求められる専門的な知識・技術を身に付け、社会で活躍するための試練に挑戦する学生たちに、下薗僚章先生(大宮国際動物専門学校校長)が激励の言葉をかけ、大会は終了した。
動物看護師の国家資格化に向け、各専門学校はカリキュラム充実を図っており、意識も高まりつつある。過渡期にある学生たちだが、明るさと力強さを感じさせる本大会であった。

開会の挨拶をされる下薗惠子先生

会場の様子
日本動物病院マネージャー協会 第11回研修会 開催される
2020/2/19
2020年2月12日(水)、品川・ザ ランドマークスクエアトーキョー(東京都港区)において、日本動物病院マネージャー協会 第11回研修会が開催された。当会は2010年8月に動物病院マネージャー会として発足し、2014年7月に現在の一般社団法人 日本動物病院マネージャー協会(JAM)となり、年に2回(主に2月と8月)研修会を実施している。
今回は「最高の動物病院を創る ~組織の指示系統のあり方を考える~」をテーマに、「最高のパフォーマンスを引き出す組織作りのポイント」(氏家貴秀氏、ロイヤルカナン ジャポン)、「他社事例に学ぶ! 10割の人材を即戦力にする心理学的アプローチ」(香山万由理氏、(株)クラフトアール)の2部構成で展開された。前半では、よくある組織の課題からはじまり、その課題解決のための目標の設定からその達成までに必要なマネジメントシステムについて解説された。後半では、事故を生み出すエラーの連鎖(エラーチェーン)の元となる思い込みや記憶ちがい、険悪な人間関係などを少しでも減らすための対策を、元国際線CAの経験を交えながら解説された。会場には、多くの参加者が集まり、グループワークなどでも互いの意見を交換した。
次回第12回研修会は2020年8月18日に上記同会場にて開催予定。

会場の様子
日本動物看護学会第28回大会/第12回関西地区例会 開催される
2020/2/12
2020年2月8日(土)、9日(日)の2日間にわたり、奈良・王寺町やわらぎ会館において、日本動物看護学会第28回大会/第12回関西地区例会が開催された。これまで大学および専門学校による開催であったが、初の学会主催、そして初の関西地域での開催という特色のある大会となった。
「自分たちで創る! 動物看護の一歩を始めよう」をテーマに、一般市民向け講演、国家資格進捗状況報告、企業展示、口頭発表、サーキットセミナー、ランチョンセミナーなど、多岐にわたる様々な講演が行われた。
初日の公開講座では、聖徳太子の愛犬で、王寺町にゆかりのある‘雪丸’に関する歴史について、日本動物看護学会理事長の桜井富士朗先生が講演された。また、ペットの防災について、大下動物病院の大下 勲先生がVMATの活動に触れながら解説された。
なお、犬の雪丸は人の言葉を理解し、お経を読み、遺言をのこしたとの伝承がある。王寺駅や道路には雪丸の絵や雪丸の足跡のマークなどがあり、会場となった王寺町は動物に馴染みのある地域であることを感じた。
また、初日にはキャットリボン活動に関して、2日目にはスキンケアに関するランチョンセミナーが行われた。
懇親会では理事の先生方が狩猟にて得られた猪鍋が振る舞われ、参加者は舌鼓を打った。次回は2020年10月に東京で開催予定。

会場の様子

雪丸
2020年2月2日(日)、フクダ エム・イー工業株式会社主催セミナーが、AP秋葉原(東京都・台東区)で開催された。
「すぐに役立つ 麻酔モニタの見方と活用 ~換気、呼吸の異常に素早く対処する~」をテーマに、佐野忠士先生(酪農学園大学)が講演。麻酔モニタ看視のポイント、グラフの見方、数値のもつ意味など、麻酔モニタの見方を基礎からしっかりと学べるような内容となっており、会場には多くの参加者が集った。
呼吸器系、循環器系、体温、覚醒期のモニタリングを切口に、人が五感を用いて動物の状態を継続的に看視するとともに、装置を使った客観的なデジタルデータにより的確にモニタすることの重要性を解説。
また高齢動物、超高齢動物の麻酔管理の注意点や危険性、麻酔管理の前に把握しておくべき点、モニタ指針まで話題はおよんだ。
講演の最後には「グラフィックで理解する 一歩先ゆく麻酔モニタリング」を謳い、呼吸グラフィック機能「PV-LOOP」搭載モニタの活用法も語られた。これは、ひと呼吸ごとの「気道内圧」と「換気量」をループとして図に表したもので、視覚的に犬猫の肺のふくらみをとらえる機能となっている。そうした新技術も取り入れつつ、呼吸の変化に素早く気づき対処することの重要性を訴えた。
参加者は麻酔モニタについて基礎からしっかりと学ぶことができ、充実した時間を過ごした。
佐野忠士先生。モニタ数値による客観的基準と、
五感による状態の看視がモニタ管理では大切と語る
会場には多くの参加者が集い、熱心に耳を傾けた
日本獣医再生医療学会 第15回年次大会 開催される
2020/2/3
2020年1月25日(土)~26日(日)の2日間にわたり、ビジョンセンター横浜において、日本獣医再生医療学会 第15回年次大会が「安全と信頼 そして発展」をスローガンに開催された。
1日目は教育講演である獣医免疫学 総論、獣医多血小板血漿療法、獣医免疫細胞療法、獣医間葉系幹細胞療法およびガイドライン・届出制度に関する講演などが行われた。
2日目の午前中は「再生医療技術の応用とその将来」について、動物リハビリテーション、競走馬臨床、獣医眼科臨床、獣医療の各分野からの講演があった。また、症例検討会、学術発表会が並行して行われた。
2日目の午後は特別講演として、籠谷勇紀先生(愛知県がんセンター研究所)による「ヒト医療におけるがん免疫療法の最新の知見とその将来-遺伝子改変による持続的治療効果を有する抗腫瘍T細胞の開発―」および石田卓夫先生(赤坂動物病院)による「獣医間葉系幹細胞療法・自己活性化リンパ球移入細胞療法における臨床獣医師の役割-エビデンスを集積しよう-」が行われた。
世界でも最先端の体制づくりがすすめられているという、この獣医再生医療・細胞療法分野において、参加者の多くはこの現在進行形の歩みを肌で感じているにちがいない。

会場の様子
2020年1月10日(金)〜12日(日)の3日間にわたり、大阪・大阪国際交流センターにおいて、第99回日本獣医麻酔外科学会/第111回日本獣医循環器学会/第66回日本獣医画像診断学会 2019秋季合同学会が開催された。
今回も三学会合同企画をはじめ、特別講演、教育講演、リフレッシャーコース、パネルディスカッション、症例検討会、一般講演、Basicセミナーなど、計9会場にて様々な講演が行われた。
初日の三学会合同企画では、「骨・軟骨における再生医療の未来像」と題し、大阪大学、京都大学および京都大学 iPS細胞研究所の先生より、金属3Dプリンタの応用、iPS細胞由来軟骨、大腿骨頭壊死症に対する成長因子を用いた再生治療など、最先端の再生医療に関する講演が行われた。
2日目には、整形外科および軟部組織外科のパネルディスカッションなどのほか、愛玩動物看護師法制定に関する基調講演およびパネルディスカッションが展開されるなど、講演内容も多岐にわたった。
全体を通して、立ち見の会場も多く、展示ブースも約50社が軒を連ね、3日間にわたり多くの先生方が充実した時間を過ごした。次回2020春季合同学会は2020年6月19日(金)〜21日(日)、大宮ソニックシティにて開催。とくに日本獣医麻酔外科学会は第100回の節目の回であり、ますますの盛り上がりが予想される。
第3回みちのくウェットラボ道場 開催される
2020/1/7
2019年12月19日(木)、第3回みちのくウェットラボ道場がTKP仙台南町通カンファレンスセンター(宮城・仙台市)にて開催された。「みちのくウェットラボ道場」は、東日本大震災より復興した東北の活気を全国の先生方に届けたい、東北から日本の獣医業界を盛り上げたい、という思いのもと、東北出身もしくは東北に所縁のある獣医師が中心となり、一昨年に立ち上がった実習セミナーである。
第3回は以下のようなマイクロサージェリーおよび歯科がテーマで、参加者はどちらか一方のテーマを選択して講義・実習を受けた。
[マイクロサージェリー]拡大鏡、顕微鏡を用いたマイクロサージェリー実習~見えなかったものが見える世界で~
講師:岩井聡美先生(北里大学)/小山田和央先生(松原動物病院)/山崎寛文先生(日本動物高度医療センター 東京)
[歯科]丸1日歯科実習!これで歯周病の予防治療と抜歯が習得できる!
~歯科治療に必要不可欠な、抜歯とフラップの作成、歯周病を積極的に治す歯周外科処置などの講義と実習~
講師:戸田 功先生(とだ動物病院)/江口徳洋先生(Vets Dental & Oral Surgery Office)
実習、見学を含め76名が参加し、参加者は貴重な経験ができたと思われる。第4回は2020年12月に開催予定である。
マイクロサージェリー実習
歯科講義
「SFTS疑いの猫が来院したらどうする?」セミナー 開催
2019/12/24
2019年12月6日(金)、東京農工大学府中キャンパス・50周年記念ホール(東京・府中市)で、東京農工大学農学部附属農学フロンティア機構、国際家畜感染症防疫研究教育センター、動物医療センター主催により、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)を発症した、または発症した疑いのある伴侶動物の対応について、藤井祐至先生(岐阜大学)が講演された。
SFTSを発症した伴侶動物に対して自身が実際に治療をした経験をもとに展開された本セミナーでは、「SFTSとは?」「実際の現場では?」の2つのテーマをもとに展開。
「SFTSとは?」では、自然界におけるSFTSウイルスの感染環の説明からはじまり、人での死亡率や日本での届け出の多い時期や地域、日本で犬猫のSFTS発症が報告された地域等が紹介され、SFTSの現状と概要について会場は理解を深めた。
また「実際の現場では?」の講演では人での診療の他、伴侶動物でのSFTSの臨床的特徴について話が続き、実際に経験したSFTS発症猫の事例を取り上げ、具体的な検査、診断、治療について紹介された。
また、動物病院に勤務するスタッフへの二次感染予防として個人的防具(PPE)を着用する必要性についても紹介された。
講演後の質疑応答では、「(SFTSが)治癒したかどうか、どのように判断すればよいのか」「安楽死も選択肢にいれるべきなのか」「有効な消毒薬は?」「SFTSを発症した愛玩動物が自分の病院で亡くなったら、その後の対応は?」「SFTSを発症した犬猫が入院する場合、他の入院動物たちからどのように隔離をすればよいのか」など会場では具体的な対応について多くの先生が質問され、司会の村田佳輝先生(東京農工大学・むらた動物病院)の進行のもと、藤井先生が一つひとつ丁寧に回答されていった。
「獣医師としてSFTS(ウイルス)を人に感染させないことが、私たちの責務だと思います」と最後に藤井先生が獣医師としてSFTSに向かう姿勢について強く訴えられたのが印象的であった。
藤井祐至先生
司会の村田佳輝先生
会場には多くの参加者が集い、熱心に耳を傾けた