2021年1月26日〜2月16日、オンライン配信での開催となった第23回日本獣医がん学会。新型コロナ感染症拡大による緊急事態宣言下の開催となったが、メインシンポジウム「猫の口腔内扁平上皮癌」をはじめ、総合教育講演8科目、教育講演3演題、内科シンポジウム「骨髄増殖性疾患を理解する」など、例年通り充実したプログラムが展開された。

 メインシンポジウムの特別対談として開催されたのは、「飼い主として闘った猫の口腔内扁平上皮癌~家族目線の体験を振り返る専門医との対談~」(座長:高橋雅先生、鹿児島大学)。動物の飼い主であり主治医でもある大隅尊史先生(東京農工大学付属動物医療センター)が、飼い主かつ主治医の立場から、口腔内扁平上皮癌に罹患した猫の病歴と治療のすすめ方、そして当時の心境を語り、その治療内容に対して、がんの専門医である小林哲也先生(日本小動物がんセンター)が評価しアドバイスしていくという内容。がん治療がもつ様々な側面と主治医としての決断、その治療に立ち向かう動物と家族の奮闘、専門医が語る治療の難しさ――そうしたものが治療の時系列とともに語られた、じつに貴重なセッションとなった。

 また、メインシンポジウムの総合討論では、事前に視聴者から募集した質問に登壇者が答える形ですすめられた。座長である杉山大樹先生(ファミリー動物病院)をはじめ8名の先生方による討論は、多くの質問と答えが行き交う、オンラインであることを忘れるほど手応えのある内容であった。

 この総合討論をはじめ、多くのセミナー、セッションが予定時間を超えて行われ、講師の先生方、視聴の先生方の熱意が感じられた本学会。次回、第24回の日本獣医がん学会の開催日程などについては、日本獣医がん学会ホームページ(http://www.jvcs.jp/)にて逐次発表される予定。

メインシンポジウムの特別対談の様子