竹村直行先生(日本獣医生命科学大学)の会長就任後、はじめて開催された「日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)年次大会」。新型コロナウイルス感染症発生の現状を鑑み、昨年に続きオンラインでの開催となったが、視聴期間が2つに分けられ(第1視聴期間:2021年9月19日~2021年10月31日、第2視聴期間:2021年12月1日~2022年1月10日)、最大で12週間もの期間楽しめるよう設定された。また、講演数は大会史上最多となる147にのぼり、参加者は、獣医師、動物看護師、学生といった立場に関係なくすべての講演が視聴可能となっている。

 細かな部分まで確認しながら学ぶことのできる手術手技や検査などが15~30分程度にまとめられた「手技動画特集」や、神経病学、整形外科学、皮膚病学、循環器病学、呼吸器病学、臨床病理学、臨床診断学の9つの分野の先生方が、問診の際の雰囲気づくりからはじまり、どのようにご家族と話をすすめていくか、どのように鑑別するかといった、その先生独自の問診のテクニックを詳細に説明していく「問診学」など、魅力あるセミナーが目白押しだ。

 また、同大会の魅力の1つである市民向け講座は、今大会はすべて無料で視聴することができる。伴侶動物についてのセミナーはもちろん、「マイクロプラスチックによる影響について」(重松賢行先生、環境省)、「気候変動により私達が受ける様々な影響」(岡野祥平先生、環境省)といった、今私たちが知り、取組むべき問題についてのセミナーも企画された。

 大会の恒例となった会長による基調講演の今回のテーマは、「生類憐れみの令は本当に愚策だったのか?」というもの。歴史好きを公言する竹村先生が、これまで愚策とされてきた「生類憐れみの令」と、その令を発した将軍・徳川綱吉について、同時代におきた赤穂事件とともに改めて紐解いていく。

 長引くコロナ禍のなか、学会の会場に足を運び、直接講演を聴くことは叶わなかったが、オンライン開催ならではの魅力を発信する同大会のような学会が、今後ますます増えていくことに期待したい。

 「オンライン日本臨床獣医学フォーラム(JBVP) 第23回年次大会 2021」は、12月1日より第2視聴期間がスタートし、2022年1月10日まで楽しむことができる。
https://www.jbvp.org/2021/

市民向けプログラムでは、「猫にとって快適なトイレ」(宮川優一先生、日本獣医生命科学大学)といった、親しみやすいテーマのセミナーも実施された

石田卓夫先生(前JBVP会長、現JBVP名誉会長)による動物看護師向けプログラム、「1時間で理解する猫の糖尿病」などの講演も行われた