2023年5月28日(日)、日本獣医再生医療学会(The Japanese Society for Veterinary Regenerativee Medicine:JSVRM)第18回年次大会が、横浜ワールドポーターズ(神奈川県)で開催された。

 今回の大会は「エビデンスをもとにした再生医療 何が真実か?」をテーマに展開。午前中のシンポジウムでは「MSC血管内投与を用いた椎間板ヘルニアの治療:どこまでがエビデンスなのか」と題し、座長を本大会長の枝村一弥先生(日本大学)と原田恭治先生(日本獣医生命科学大学)が務め、「①オーバービュー」原田恭治先生(日本獣医生命科学大学)、「②犬の脊髄損傷に対する幹細胞治療の開発:基礎エビデンスを中心とした解説」藤田直己先生(東京大学)、「③臨床研究データから見る犬椎間板ヘルニアに対するMSCの可能性」福田 威先生(PARM)、「動物用再生医療等製品〈ステムキュアⓇ〉の開発と供給」永原俊治氏(住友ファーマアニマルヘルス(株)※6月1日より物産ファーマアニマルヘルス(株))の4名が発表した。続いてパネルディスカッションが実施され、治療のメカニズムや治療戦略、ベネフィットとリスクのバランスを中心に意見交換が行われた。

 午後の基調講演では、人における再生医療について、世界と日本とのちがいや、免疫チェックポイント分子阻害薬の現状、および免疫チェックポイント抗体の臨床研究データの発表の他、獣医内科系疾患領域への再生医療の期待や、ChatGPTによる回答も交え、獣医再生医療領域におけるエビデンスの構築について紹介され、獣医再生医療が社会的信頼と実績を積み上げていく道筋が示された。
その道筋を大きく前進させる「獣医再生医療認定医制度」が今年(2023年)に設立され2025年には第1回認定試験がスタートする予定であることが今大会長を務める枝村一弥先生(日本大学)から発表された。

 また本大会では、北米獣医再生医療学会からAmir Kol先生を招き、感染症やMSCに関するランチョンセミナーが開かれ、(一社)日本再生医療学会の常務理事で2024年に大会長を務める寺井祟二先生(新潟大学)による基調講演「間葉系幹細胞および細胞外小胞(エクソソーム)の肝疾患に対する応用」も実施された。この他、大会の最後では、優れた発表者(ポスター発表者を含む)3名が選ばれ、表彰された。

 午前9時~午後6時まで実施された本年次大会会場へは100名以上が集い、オンラインでも40名以上が参加し、本分野への期待と関心の高さがうかがえた。
来年第19回は5月開催予定。本学会の今後の活動への期待が高まる。

 ※6月5日~7月3日まで、要参加登録にて一部プログラムを
  オンデマンド配信中。詳細は下記より。
  https://www.jsvrm.org/18thannualconference


パネルディスカッションの様子。
左から原田恭治先生、藤田直己先生、福田 威先生、永原俊治氏


北米獣医再生医療学会のAmir Kol先生による講演


今大会長の枝村一弥先生から指針・届出についての解説や、
「獣医再生医療認定医制度」の設立と第1回認定試験について紹介された


今大会も、優秀な発表者3名が選ばれた。本学会理事長の横山篤司先生から
アワードを授与