2023年6月16日(金)~18日(日)、大宮ソニックシティ(埼玉県)にて(一社)日本獣医麻酔外科学会主催による2023年度第106回日本獣医麻酔外科学会学術集会が開催された。
 獣医麻酔外科学の最新の知見や技術を学べる本学術集会は、新型コロナウルス感染症への配慮から第100回は中止、第101~104回はオンラインでの開催であったが、前回2022年度第105回の福岡での学術大会からオンライン・対面のハイブリット方式で実施。今大会は、同様の方式での学会開催ながら、一部のプログラムを除き、大幅に対面方式へシフトし展開することとなり、整形外科委員会、軟部組織外科委員会、麻酔疼痛管理委員会の各専門委員会がパネルディスカッション、シンポジウム、教育講演など充実したプログラムを提供した。

 とくに今大会では「男女共同参画に関する」企画として「獣医麻酔外科領域における男女共同参画チームの実現に向けて」と題したパネルディスカッションが、パネリストに福原美千加先生(みかん動物病院)、武内 亮先生(ネオベッツVRセンター)、野村幸世先生(東京大学消化器外科)、柴崎 努先生(日本マイクロソフト)、座長に岩井聡美先生(北里大学)、秋吉秀保先生(大阪公立大学)を迎え、麻酔・手術への意欲が高い獣医師にとって性別に関係なく参加しやすい環境づくりについて意見交換が行われた。女性の就労割合が増加の一途をたどる獣医業界において非常に大切なテーマと本学会はとらえている。
 また今年8月からスタートする「動物麻酔技能認定医制度」についての説明会も実施され、「動物麻酔技能認定医」の認定により日本での動物麻酔疼痛管理分野の発展と安全性向上を目指すとともに、動物の麻酔疼痛管理学に関する広範な知識と技能、実践能力を備えた臨床獣医師の育成を目指す。説明会の様子はWEBでも視聴可能。
 各講演に熱心に耳を傾ける参加者、登壇者と会場の活発な質疑応答などの姿がみられ、対面方式ならではの熱気あふれる3日間となった。

 また、6月17日(土)に実施された本学会の定時総会では、前期に続き秋吉秀保先生が会長として選任された。情報交換会では、秋吉会長自ら「理事会の仲間です」と、副会長、理事、監事、相談役を一人ずつ紹介され「このメンバーとは今日から2年間一緒に日本獣医麻酔外科学会を先頭に立って運営することとなりました」、「これからの2年間、男女が共同で参画できる手術チーム、そして麻酔チームを目指すとともに、若い人もベテランも楽しみながら学術の発展に貢献できる学術団体として運営していきたいと思っております」と意気込みを語った。

 今大会では会場へは715人、オンラインでは378人が集った。また日本獣医内視鏡外科研究会、獣医顎顔面口腔外科研究会も同時開催された。一部の講演は大会Webサイトからオンデマンド配信され視聴可能。見逃し配信は開催後、2週間を予定。
詳細は下記より。
https://www.jsvas.net/ezm/2023-106/index.html

 次回の第107回本学術集会は12月8日(金)~12月10日(日)名古屋コンベンションホールにて開催。これからも本学会が日本の獣医療界に果たす役割がますます期待される。


シンポジウムの様子。各専門委員会からパネルディスカッション、
シンポジウム、教育講演など魅力的なプログラムが提供された


大会長 田中 綾先生(東京農工大学)。今大会ではほとんどのプログラムを対面方式で実施することとした


情報交換会にて。秋吉会長自ら、副会長、理事、監事、相談役の先生方を
壇上へよび、これからの2年間、本学会を牽引する「仲間」を一人ひとり
紹介した