小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

日本動物看護学会第24回大会~20周年記念大会~開催される

 2015年7月4日(土)、5日(日)の2日間、日本獣医生命科学大学において、日本動物看護学会第24回大会~20周年記念大会~が開催された。雨天のなか、2日間で200名を超える参加があった。
 日本動物看護学会は、創設以来20年にわたり動物看護学の学術的側面を強化してきている。今大会ではメインテーマを「進化する動物看護学~さらなる動物看護学の発展をめざして、過去・現在・未来~」とし、日本の動物看護学と学会の歴史を振り返るとともに、今後を展望するプログラムとなった。
 会期両日とも「20周年シンポジウム」が開催され、1日目は桜井富士朗先生(帝京科学大学)、松原孝子先生(日本獣医生命科学大学)、左向敏紀先生(日本獣医生命科学大学)による「日本動物看護学会の20年」、2日目は「広がりゆく動物看護師の職域」と題し、動物看護学を学び動物病院以外の職場で働く人14人が、それぞれ知識と経験を生かした仕事内容を語った。また学会企画シンポジウムでは、現在大きな論点となっている「動物看護学教育と公的資格化」を取り上げ、公的資格化に向けての課題が、佐々木伸雄先生(動物看護師統一認定機構機構長)はじめ5名の先生方より提示された。
 卒後セミナー・講習では、食事管理、高齢動物、動物の交通事故などがテーマにあがり、「病気だけでなく動物全体を看る」動物看護学の広がりを示していた。

会場の様子

WJVF第6回大会 開催

 2015年7月10日(金)〜12日(日)、大阪市のホテルニューオータニ大阪および隣接する松下IMPビルにて、WJVF第6回大会が開催された。今年から金曜夕方からのスタートとなり、初日から多くの獣医師の先生と動物看護師が参加された。

 「獣医師セッション」、「スペシャリストに聞いてみよう」、「動物看護師セッション」、「実習」、「市民公開講座(11〜12日)」にカテゴリー分けされたプログラム構成で、獣医師、動物看護師、一般市民対象の講演が行われた。
 動物救急医療学、猫医学、腫瘍学や神経病学等プログラム内容は多岐にわたり、目白押しの充実したプログラムに参加者たちは熱心に耳を傾けた。
 また、企業展示ブースでは、景品が当たるスタンプラリーや前年に続きWJVFのFaceBookページに各出展企業が紹介されるなど、主催者側の熱意が伝わり、今大会も参加者全員が満足できる工夫がみられた大会であった。

 石田卓夫会長は開会式で、来年は金曜午後からと時間を繰り上げての開催を発表され、JBVP同様、今後もさらなる発展への意欲が感じられた。


開会式での石田卓夫先生

第13回日本獣医がん学会 開催される

 2015年7月4日(土)、5日(日)東京コンベンションセンター(東京都中央区京橋三丁目1-1 東京スクエアガーデン5F)において、第13回日本獣医がん学会が開催された。
 初日の「シンポジウム 併用放射線療法のススメ」では、放射線を専門とする先生方がそれぞれの症例をベースに治療法を紹介した。「パネルディスカッション:サージカルマージンを考える」では、病理と外科の先生方が、マージンについて検討を行った。
 2日目のシンポジウムでは口腔内悪性黒色腫をテーマに臨床病理、病理、外科的治療と予後、放射線治療、内科治療の5講演が行われた。犬の口にできる腫瘍は悪性ものが多く、重度の歯周病が腫瘍のケースもある。本シンポジウムでは、一般臨床医に対してどのように診断、治療すべきかを改めて確認させる場となった。会場は、用意した椅子がすべて埋まるほど盛況で、関心の高さが伺えた。
 同学会では一般口演、教育講演、サイコオンコロジーシンポジウムおよび認定医Ⅱ種試験対応の総合教育講演:腫瘍の臨床診断と治療(8 科目)も行われた。2日目には第5回獣医腫瘍科認定医Ⅱ種試験の合格者の授与式があり、29名が新たにⅡ種認定医となった。
次回第14回は泌尿器疾患をメインテーマに2016年1月30日(土)、31日(日)大阪で実施予定。


会場の様子

第2回 猫の集会 開催される

 2015年6月28日(日)、東京・品川インターシティホールにて、「獣医師・動物看護師のための勉強会 第2回猫の集会」が開催された。主催はJapanese Society of Feline Medicine(JSFM、ねこ医学会)であり、ISFM(国際猫医学会)の日本組織である。
 第2回のテーマは「猫の消化器疾患を知る−その1 嘔吐—」。
 「体系的な診断から誤診をなくす−嘔吐か吐出か? 急性か慢性か?−」石田卓夫先生(赤坂動物病院・JSFM代表)、「がん以外と嘔吐」中島亘先生(日本小動物医療センター)、「がんと嘔吐」小林哲也先生(日本小動物医療センター付属日本小動物がんセンター)による講演の後、辻本 元先生(東京大学)、西村亮平先生(東京大学)、賀川由美子先生(ノースラボ)を交えての総合討論が行われた。
 休憩を挟んで後半の技能講習「キャットフレンドリーになるために」では、竹内晶子先生(赤坂動物病院)、入交眞巳先生(日本獣医生命科学大学)、服部 幸先生(東京猫医療センター)、上田綾子氏(ロイヤルカナン ジャポン)により、診察時の猫の扱い方、暴れさせないための行動心理と実践について、実際の映像を交え、保定の方法等について説明された。
 500人を超える参加者が集まった第2回猫の集会。ISFMの日本におけるナショナルパートナーとしてJSFMは、今後ますます猫医療のレベルアップと福利向上を牽引していく。


会場の様子

第8回災害動物医療研究集会 開催される

 2015年6月28日(日)、日本獣医生命科学大学(東京都・武蔵野市)において、災害動物医療研究会による第8回研究集会が開催された。代表の羽山伸一先生(日本獣医生命科学大学)の挨拶の後、初のワークショップが展開。参加された会員の先生方を4グループに分けて、同行避難、学校飼育動物、ボランティアの有り様、地元との協力体制、公的機関との関わりなど、日頃から感じる問題点、課題を取り上げての白熱した意見交換が行われた。集約された意見は、災害時の動物医療支援活動を円滑に進めるための支援チーム養成プログラム作成に役立てられる。「絵に描いた餅にならないように、我々は考えていかなければならない。」と話す代表の羽山先生。
 研究会では今後、カリキュラム作り等、上記支援チーム養成プログラムをより具体的に推し進めていく。詳細は、災害動物医療研究会ホームページ http://www.javdm.org/ 、問い合わせは研究会事務局まで。

代表の羽山伸一先生


ワークショップの様子

2015春季合同学会(第90回日本獣医麻酔外科学会、第102回日本獣医循環器学会、第57回日本獣医画像診断学会)開催される

 2015春季合同学会(第90回日本獣医麻酔外科学会、第102回日本獣医循環器学会、第57回日本獣医画像診断学会)が、2015年6月19日(金)~21日(日)の3日間にわたり大宮ソニックシティにおいて開催された。
 今回の合同シンポジウムは、日本獣医麻酔外科学会・日本獣医画像診断学会による「脳腫瘍治療の現状と進歩」、日本獣医麻酔外科学会・日本獣医循環器学会による「血栓症の治療を考える」、日本獣医循環器学会・日本獣医画像診断学会による「心エコーの可能性を追求する」をテーマに行われた。
 また、20日には獣医麻酔外科学会が本年度より一般社団法人化したことを受け、日本獣医麻酔外科学会としての臨時総会が開催された。廉澤 剛会長(酪農学園大学)の説明のもと、理事5名の選出、世界獣医麻酔会議の経過報告、HPのリニューアルとFacebookの新設などの報告がなされた。また、一般講演アワードでは、計6題が選ばれ、懇親会にて表彰式が行われた。
 本大会の日本獣医麻酔外科学会大会長である浅野和之先生(日本大学)は、今回はじめて本大会の参加者が1,000名を超えたことを発表した。講演も、会場によっては人があふれるほどの盛況ぶりをみせ、展示会場では勉強熱心な比較的若い先生や獣医学生の姿が目立ち、展示企業も過去最大数ということで、今後もますますの発展を感じさせる3日間であった。

各学会の大会長である中山智宏先生(左)、浅野和之先生(中央)、亘 敏広先生(右、ともに日本大学)

第2回 Team HOPEイベント2015開催される

 2015年6月17日(水)、第一ホテル東京にて、Team HOPEイベント2015「Team HOPEが推奨するペットの健康診断と、これからの予防医療」が開催された。当会関東地区委員長の上條圭司先生(ゼファー動物病院)、協賛委員である山本俊之氏(ロイヤルカナン ジャポン)の開会のご挨拶のあと、同じく当会関東地区委員長である川瀬英嗣先生(王禅寺ペットクリニック)から「Team HOPE健康診断項目」の発表について説明が行われた。基本的データから身体検査、問診、視診・触診、聴診、血液検査、便検査、尿検査およびX線検査までおさえるべき項目を提唱し、全国における健康診断の基準化を図りたいとのことであった。
 また、特別講演としてTeam HOPE学術アドバイザーである石田卓夫先生(一般社団法人日本臨床獣医学フォーラム会長、赤坂動物病院)による「新しい獣医学の実践:病気になったら治す獣医学 vs 病気になる前に動く先手必勝の獣医学 」の講演が行われた。予防できる病気を予防するのは獣医師の使命であり、健康診断とは病気を早期にみつけると同時に病気がなく、問題がないことを確認し、飼い主に動物が健康であると伝える点に価値があると解説された。検査を行いながら飼い主に最低3回は獣医師の先生自身が何をしているかについて説明することによりコミュニケーションが構築できるということ、数値ではなく臓器で説明する大切さ、健康診断を価値のあるものにするために獣医師の先生の知識および意識が必要であることを説明された。
 今年2回目となる今回、北海道から沖縄まで、全国から獣医師の先生が集まった。19:30からのスタートではあったが、約160名の参加者と回を重ねるごとに盛り上がりをみせ、獣医界における予防医療の意識の高まりが感じられた。

川瀬英嗣先生(左)と石田卓夫先生(中央)と上條圭司先生(右)

日本獣医臨床病理学会2015年大会 開催

 2015年5月30日(土)、31日(日)日本獣医生命科学大学E棟で、日本獣医臨床病理学会2015年大会が開催された。

 初日には日本獣医臨床病理学会と動物臨床免疫療法研究会の合同シンポジウム(1)「免疫応答と疾病の発生・進展との関係~疾病の発生予防と治療を目指して~」、金沢大学がん進展制御研究所所長の大島正伸先生を招いた特別講演「慢性炎症が促進するがんの発生」、教育講演「腫瘍と炎症~細胞診でどう見分ける?~」、ドライラボ「専門医に聞く 細胞診 ライブ・ディスカッション」と一般演題、2日目にはDr.Mads Kjelgaard-hansenを招いた教育講演「Canin major acute phase proteins:From biochemistry and physiology to clinical application 犬の急性相蛋白~生化・生理学から臨床応用まで~」、学会総会、実験動物中央研究所の末水先生と国立成育医療研究センターの藤原成悦先生を招いた日本獣医臨床病理学会と動物臨床免疫療法研究会の合同シンポジウム(2)「疾病モデルを用いた病態の解明~獣医臨床研究会におけるNOGマウスの有用性を考える~」が実施された。

 初日の合同シンポジウム(1)では、伴侶動物における担がん個体の免疫抑制細胞、抗体療法の開発の現状、がんの進展と炎症との関係についての講演があり、最後の特別講演では大島先生より慢性炎症とがんの発生との密接な関係について最近の研究結果を交えた講演がされ、シンポジストと参加者との間で伴侶動物におけるがんの発生について意見交換がされた。教育講演では、前半は腫瘍と炎症を鑑別診断する方法、後半は細胞診で腫瘍と炎症を見分けるポイントについて講演があり、基礎からわかりやすい各カテゴリー別の特徴についての解説に、会場の参加者は熱心に耳を傾けていた。ドライラボではスクリーンに映し出された標本スライドの画像を診ながら、専門医と参加者との活発な意見交換がなされた。2日目の教育講演では、Dr.Madsから犬の急性相蛋白について最新の研究成果を交えて臨床応用の有用性について講演がされ、参加者との活発な意見交換がなされた。合同シンポジウム(2)では、重度免疫不全マウスNOGマウスを用いた疾患モデルについて、末水先生からは総論、藤原先生からは人のEBウイルス疾患、日本獣医生命科学大学の道下先生からは犬の乳がんについて講演があり、シンポジストと参加者との間で獣医臨床研究におけるNOGマウスを用いた疾患モデルの有用性について意見交換が行われた。

会場の様子

第1回 日本獣医動物行動研究会総会 開催される

 2015年5月14日(木)、東京大学弥生キャンパス 中島薫一郎記念ホール(東京都・文京区)にて第1回日本動物行動研究会総会が行われた。伴侶動物の問題行動や行動診療の発展に長く寄与してきた獣医動物行動学研究会であるが会発足から10年以上たち、認定医制度がスタートしたことや、今後は海外も視野に入れた、より積極的な活動実施を目指し「日本獣医動物行動研究会」と名前も新たに研究会をリニューアルした。

 第1回目の総会では、各役員が選出され、会長には武内ゆかり先生(東京大学)、事務局長に南 佳子先生(みなみ動物病院)が選出された。また実践教育委員会、卒後教育委員会、認定医試験委員会から本年度の事業計画が説明され、2015年の積極的な活動が期待できるものであった。

 総会に先立って実施された教育セミナーでは、「行動治療の進め方」(南 佳子先生、みなみ動物病院)、「犬における問題行動と身体疾患の関連」(水越美奈先生、日本獣医生命科学大学動物医療センター行動治療科)、「犬の問題行動症例におけるMRI・脳波測定の有用性」(荒田明香先生、ACプラザ苅谷動物病院・東京大学動物医療センター行動診療科)、「猫の不適切な排泄に関するガイドライン」(藤井仁美先生、GREEN DOG代官山動物病院獣医行動診療科)による発表があり、行動学診療の総論や犬や猫に関する個別のケースをとり上げたセミナーに、会場は、日本における獣医動物行動学の研究に関する理解を深めた。また総会後の懇親会では、新たなスタートに会員の先生方が親睦を深めた。

 本研究会はすでに会員限定のE-mailによる個人症例相談を行っているが、加えて、実践力強化を目的とした症例検討会を9月、12月に予定している。
 研究会の詳細についてはhttp://vbm.jp/ を確認。

総会にて武内ゆかり会長(右)と、南 佳子事務局長(左)

日本獣医皮膚科学会第18回学術大会・総会開催される

 2015年3月15日(日)、大宮ソニックシティにて日本獣医皮膚科学会第18回学術大会・総会が開催された。特別講演ではRoyal Veterinary CollegeのDavid H.Lloyd先生を招いた招聘講演「伴侶動物における皮膚細菌感染症のマネジメント」の他、科学講演、シンポジウム、一般講演、ポスターセッション、ランチョンセミナーといった様々な講演が行われた。

 本年からポスターディスカッションが展示会場と同じ4階に設置され、展示ブースにも多くの先生方が足を運ばれた。

 シンポジウム「難治性感染症克服のための第一歩」では、現在進行している膿皮症のガイドラインについて山﨑真大先生(岩手大学)が講演され、ガイドライン作成経過を報告されたうえで、何が問題なのかを提示できることも重要であること、今後多くの先生の協力が必要であることを述べた。

 次回は2016年3月13日(日)開催予定。

会場の様子

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