2015年5月30日(土)、31日(日)日本獣医生命科学大学E棟で、日本獣医臨床病理学会2015年大会が開催された。

 初日には日本獣医臨床病理学会と動物臨床免疫療法研究会の合同シンポジウム(1)「免疫応答と疾病の発生・進展との関係~疾病の発生予防と治療を目指して~」、金沢大学がん進展制御研究所所長の大島正伸先生を招いた特別講演「慢性炎症が促進するがんの発生」、教育講演「腫瘍と炎症~細胞診でどう見分ける?~」、ドライラボ「専門医に聞く 細胞診 ライブ・ディスカッション」と一般演題、2日目にはDr.Mads Kjelgaard-hansenを招いた教育講演「Canin major acute phase proteins:From biochemistry and physiology to clinical application 犬の急性相蛋白~生化・生理学から臨床応用まで~」、学会総会、実験動物中央研究所の末水先生と国立成育医療研究センターの藤原成悦先生を招いた日本獣医臨床病理学会と動物臨床免疫療法研究会の合同シンポジウム(2)「疾病モデルを用いた病態の解明~獣医臨床研究会におけるNOGマウスの有用性を考える~」が実施された。

 初日の合同シンポジウム(1)では、伴侶動物における担がん個体の免疫抑制細胞、抗体療法の開発の現状、がんの進展と炎症との関係についての講演があり、最後の特別講演では大島先生より慢性炎症とがんの発生との密接な関係について最近の研究結果を交えた講演がされ、シンポジストと参加者との間で伴侶動物におけるがんの発生について意見交換がされた。教育講演では、前半は腫瘍と炎症を鑑別診断する方法、後半は細胞診で腫瘍と炎症を見分けるポイントについて講演があり、基礎からわかりやすい各カテゴリー別の特徴についての解説に、会場の参加者は熱心に耳を傾けていた。ドライラボではスクリーンに映し出された標本スライドの画像を診ながら、専門医と参加者との活発な意見交換がなされた。2日目の教育講演では、Dr.Madsから犬の急性相蛋白について最新の研究成果を交えて臨床応用の有用性について講演がされ、参加者との活発な意見交換がなされた。合同シンポジウム(2)では、重度免疫不全マウスNOGマウスを用いた疾患モデルについて、末水先生からは総論、藤原先生からは人のEBウイルス疾患、日本獣医生命科学大学の道下先生からは犬の乳がんについて講演があり、シンポジストと参加者との間で獣医臨床研究におけるNOGマウスを用いた疾患モデルの有用性について意見交換が行われた。

会場の様子