小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

第13回 動物看護大会 開催

 2023年10月15日(日)、(一社)日本動物看護職協会主催による第13回動物看護大会が、日本獣医生命科学大学 E棟(東京都)にて、開催された。
 2023年2月に第1回愛玩動物看護師国家試験が実施され、同年8月1日の時点で16,728名の「愛玩動物看護師」が誕生した。その大きな牽引役を担う本協会による大会が、4年ぶりに対面での開催にいたった。今大会のテーマは「愛玩動物看護師の次へ ~なりたい自分になる!~」。
 シンポジウム「チーム動物医療~愛玩動物看護師の今とこれから~」では、ファシリテーターに横田会長、パネリストに桐畑る以氏((株)ベトリード 奈良動物医療センター)、中島留美氏((公社)日本小動物医療センター)、神尾英敏氏(グリーンパーク動物病院)を迎え、獣医師とともにチーム獣医療を担う愛玩動物看護師が、一次診療、二次診療、夜間救急診療とそれぞれに異なる施設形態での立場から、臨床現場の現状を共有し、チーム獣医療のこれからの向上を模索した。
 さらに今年は、「犬パルボウイルスと犬ジステンパーウイルスを併発した子犬に対する栄養学的看護介入」(野田純加氏、ALL動物病院 行徳)、「愛玩動物看護師の業務の拡充による生産性向上について」(金城加奈氏、琉球動物医療センター)、「アジソン病の犬に対する動物看護ケアの提案」(柏倉琴葉氏、ALL動物病院 行徳)、「保護猫の譲渡活動とその猫たちの看護」(金子紗生吏氏、動物総合医療センター千葉)、「訪問動物看護における経験の有無の実態と比較」(秋葉奈々氏・松尾 燎氏、ヤマザキ動物看護大学)、「愛玩動物看護師のフリーランスとしての働き方」(新國太朗氏、(一社)SWAP・野崎佳織、Pet Sitter POPPY)、「病院の1日をイベントに」(宮川 楓氏、動物医療センター赤阪)、「変性性脊椎症罹患犬のリハビリテーション」(矢ヶ崎 望氏、小滝橋動物病院グループ)の8題の口頭発表が実施され、本協会が動物看護学の確立にむけて前進していることを実感した。また今大会では、日本獣医生命科学大学獣医保健看護学科の協力による「採血」の実習セミナーを実施。愛玩動物看護師の新たな業務となった「採血」を、参加者たちはしっかりと学んだ。
 「愛玩動物看護師というのはスタート地点、自分の『次』を考えて自分たちがどのようにすすんでいくのかを考えていただければと思います」「本協会は愛玩動物看護師の未来をつくる協会です」という横田会長。日本における愛玩動物看護師の益々の活躍が期待される。
 なお、本学会の様子はアーカイブでも視聴できるよう準備しているとのこと。
 詳細は下記より。

一般社団法人 日本動物看護職協会


開会式にて、本協会 横田淳子会長。国家資格は愛玩動物看護師のスタート地点であり、これからの実際の業務がはじまる。その先を考える手助けができるよう協会として努めたいと語る


シミュレーターを使用した「採血」の実習セミナー。日本獣医生命科学大学獣医保健看護学科の協力のもと実現した今大会からの新しい試み


シンポジウム「チーム動物医療~愛玩動物看護師の今とこれから~」では、一次診療、二次診療、夜間救急診療に勤務する愛玩動物看護師がこれから目指すチーム獣医療を会場とともに模索した


口頭発表のなかから、ヒルズアワードを金子紗生吏氏(動物総合医療センター千葉)による「保護猫の譲渡活動とその猫たちの看護」が、JVNA優秀賞を宮川 楓氏(動物医療センター赤阪)による「病院の1日をイベントに」がそれぞれ受賞した


閉会式での、近江俊徳先生(日本獣医生命科学大学)。口頭発表「発表者は日々の業務や学業のなかから、自らの課題をみつけて、真摯に研究し、今日の発表にいたったのだと思われる。心から敬意を表します」と総評した

ひふゼミ 2023 開催される

 2023年10月8日(日)、大阪・新大阪丸ビル別館にてひふゼミ2023が開催された。今大会では、まずは「これは皮膚病?これは眼科?目の周りの異常」というテーマのもと、皮膚科の専門家と眼科の専門家がそれぞれ講演した。はじめに「皮膚科が診る目の周り」と題し、村山信雄先生(犬と猫の皮膚科)が皮膚科からのアプローチとして、辻田裕規先生(どうぶつ眼科専門クリニック)が「眼科からのアプローチ」と題して、それぞれ登壇した。両先生ともに普段の臨床現場でよくみられる眼周囲の疾患について解説された。ランチョンセミナーでは岩崎利郎先生(ペットの皮膚科)の「アロペシアXの治療の現実」が日本全薬工業(株)協賛のもと行われた。
 症例検討会のあと、島崎洋太郎先生(東京農工大学)の「口と肛門周囲の皮膚疾患」の講演が行われ、その後、全員参加型ディスカッション「実はみんなも悩んでる 〜目や口、鼻、肛門の周りの皮膚病〜」が行われた。時間が足りないほど質疑応答が活発に行われ、とくに多くの皮膚科の先生方が辻田先生に質問をぶつける様子が印象的であった。主に流涙の考え方については多くの意見が交わされた。
 来場者は前回を上回る70名以上、企業展示も6社入り、新たな知見を得ようとする先生方の熱意、そして実際に議題に上る新たな情報はまだまだあるという印象を受けた。
 なお、来年2024年のひふゼミは福岡での開催を予定している。
 

会場の様子

第25回JBVP年次大会2023 開催される

 2023年9月23日(土)、24日(日)、ホテルニューオータニ(東京)で、第25回日本臨床獣医学フォーラム(Japanese Board of Veterinary Practitioners:JBVP)年次大会が開催された。COVID-19の影響でリモートでの開催が続いていた本大会も、対面での開催が実現した。
 今年は2日間の開催となったが、講演を直接聴き、賑やかな会場のなかで獣医師の先生や愛玩動物看護師、看護職スタッフ、学生や企業の方々が対話に花を咲かせる風景は、リモートでは味わえないものであり、来年以降の盛況を大いに予感させられた。「未来へつなぐ もっと考えよう伴侶動物との暮らし―どうぶつにやさしい医療―」のテーマどおり、これからの獣医療の発展には、やはりこのような対面での大会の場は必要不可欠であるといえる。
 例年と同じく、一般向けの講演やプログラムも用意されており、大勢の一般のご家族の来場も目立っていた。
 初日の夜にはウェルカムパーティーが開催され、ポスターセッションにおける優秀者の表彰が行われた。会長の竹村直行先生から直接賞状が授与され、6名が壇上へ上がり、豪奢な会場のなかで、あたたかい喝采で迎えられた。
 講演数も非常に多く、臨床の場に携わる方々すべてに寄与する大会であった。
 2024年のJBVP年次大会も、同じくホテルニューオータニにて開催予定。

JBVP:https://www.jbvp.org/

 


会長の竹村直行先生による開会の挨拶

 


会場の様子

Team HOPE 10周年記念記者発表会 開催される

 2023年9月14日(木)、恵比寿・ザ・ガーデンルーム(東京都)にてTeam HOPE 10周年記念記者発表会が開催された。2013年12月に発足し、ペットの予防医療の普及および啓発をテーマに活動を開始した本団体は今年で10周年を迎えた。賛同動物病院数も2,700を超え、現在の動物の予防医療に対する意識の向上に貢献している団体に成長したといえる。
 本会副代表の西岡賢一先生(パル動物病院グループ総院長)の開会挨拶のあと、講演が行われ、「Team HOPEの理念と10年の歩み」では本団体Founderの太田亟慈先生(犬山動物総合医療センター代表)が登壇し、これまでの経緯に加え、現在の活動とこれからの展望を述べた。次に「これからの犬と猫の健康診断」では本団体学術顧問の石田卓夫先生(JBVP名誉会長)が登壇し、動物の健康が人の健康寿命の延伸を促し、人の医療費の削減につながることを解説した。そして「Team HOPEのこれからの10年に向けて」および「わんにゃん健康マニフェスト」では本団体代表の上條圭司先生(ゼファー動物病院グループ代表)が登壇し、より多くの動物に健康診断を受診してもらえるよう健康診断プロジェクトを発足し、オペレーション/学術チーム、宣伝・広報チーム、組織マネジメントチームの3つのチームによる体制の構築により組織化した予防医療啓発をすすめる構想を示した。また、通年での健康診断の実施、簡単に入力可能な健康診断報告フォームの構築(2024年秋以降を予定)、Team HOPE愛玩動物看護師会員の組織化や資格化などを説明した。わんにゃん健康マニフェストでは、10年後の目標として「日本の犬猫の平均寿命を1年延ばします」「健康診断の受診率を約60%に高めます」「動物病院をシックケアだけでなくヘルスケアの場にします」の3つを掲げた。
 後半では、「Team HOPE健康診断優秀賞」の表彰式が行われ、オンライン参加を含む6家族14頭が受賞した。フォトセッション、質疑応答と続き、質疑応答で石田先生は「動物病院はこれまで消防車として活動していたが、これからは消防署としての見回り(予防)の機能をもつべきだ」と述べた。最後は、本会副代表の淺井亮太先生(動物医療センター もりやま犬と猫の病院院長)の挨拶で閉会した。次の10年の活動も期待したい。

第15回 日本獣医腎泌尿器学会 学術集会・総会 開催される

 2023年8月26日(土)、27日(日)に、第15回 日本獣医腎泌尿器学会泌尿器学会が「プロフェッショナル腎臓病診断学~腎生検の課題と未来」をテーマに開催された(大会長:小林沙織先生/岩手大学)
 COVID−19の感染が拡大した後はオンライン開催やオンラインと現地開催のハイブリッドで行われていた学術集会・総会は、今回、1日目の日本腎臓学会合同企画シンポジウム「獣医療/ヒト医療から発信する腎臓病基礎研究とその敷衍」がリアルタイムでオンライン配信され、午後の「認定講習会を兼ねた教育講演」および2日目の基調講演、一般症例・研究発表が現地開催された。協賛企業は13社(うち会場展示11社)、会場には延べ約500名が参加した。
 合同企画では、「糖尿病性腎臓病モデルマウスの確立~マウスで腎臓病研究を行う意義~」、「イヌはマウスーヒト間のミッシングリンクを埋められるか? ~腎生検によって膜性腎症と診断したフレンチ・ブルドッグの一例を通して~」、「腎臓再生の現状と課題~iPS細胞と異種移植とキメラ技術について~」、「猫の慢性腎臓病を取り巻く実情と展望~慢性腎臓病に対する5-アミノレブリン酸の効果」を研究分野の最先端で活躍される医師と獣医師の先生方4名がご講演された。さらに、医師による基調講演「人医における腎生検の実際と腎病理診断学」および、獣医師によるシンポジウム「腎生検および病理検査の現況と問題点、展望」、「腎生検の実際~腎臓の解剖、腎組織の採取と取り扱い」、「腎生検を実施した臨床例における治療と臨床経過」、ランチョンセミナーをはさんで18演題になる一般演題が発表され、2日にわたる充実したプログラムが展開された。
 また、1日目の講演終了後には、アットホームな雰囲気で情報交換会が行われた。そのなかで、第14回学術集会の症例報告部門で優秀賞を受賞された前田憲孝先生(岡山理科大学)および第1期の日本獣医腎泌尿器学会認定医を取得された林 雄平先生(日本動物高度医療センター<大阪病院>)が受賞と認定医取得の喜び、学会への期待、今後ますます研鑽を積まれることなどをご挨拶された。
 医学と獣医学が交差する基礎研究、卒後教育の一環でもある教育講演、臨床に活かせる基調講演とシンポジウム、一般演題という充実したプログラムに加え、500名近くになる現在の認定医制度参加会員に、認定医取得後の上級認定医には15名が申請しており、今後の学会の発展を予感させるとともに、参加者が学会活動へ抱いている期待感に満ちた大会となった。

第20回日本動物リハビリテーション学会学術大会 開催

 2023年8月27日(日)、第20回日本動物リハビリテーション学会学術大会が、(学)ヤマザキ学園渋谷キャンパス2号館(東京)で、開催された。昨年までCOVID-19感染症を鑑みオンライン上での開催にとどめていた本大会の、3年ぶりの対面開催となった。
今大会では事前に参加者から症例を募集し「症例相談会」という形式をとり参加者たちがディスカッションにより解決策等を一緒に考える展開となった。
 事前に寄せられた多数の演題の中から、次の11の演題が取り上げられた。演題1 「『椎間板ヘルニア』:長期経過に対する内容」、演題2~4 「『胸腰部椎間板ヘルニア』『腰部脊髄疾患疑い』:目標・ゴール設定に関して、車椅子に関して」、演題5 「『壊死性白質脳炎、脳脊髄疾患、整形外科疾患』:後肢過剰伸展の抑制、車椅子上での立位保持など」、演題6、7 「『大腿骨頭切除』:患肢への負重訓練、活動性の低い動物に対して」、演題8 「『股関節形成不全(保存療法)』:症例に対するリハ」、演題9 「『膝蓋骨脱臼・前十字靭帯断裂』:負重時の膝関節伸展及び屈曲困難に対する対応」、演題10 「『レーザー療法』:レーザー療法に関して」、演題11 「『前肢断脚』:義足関係」。
 発表者は、運動療法を中心としたリハビリテーションのゴールの具体的な定め方、術後の管理として追加すべき施術や禁忌の施術、水中トレッドミルの使用、筋力や平衡感覚トレーニング後の車椅子歩行、壊死性白質脳炎に対する運動療法の効果と注意点、義足の使用や義肢装具士との連携など、多岐にわたる課題について、日頃の疑問や不安の解決策を講師や他の参加者とともに探っていった。動物の心理を含めた包括的ケアに関する疑問や不安に対し、座長や当該分野に精通した先生方、そして会場からも積極的な意見や提案が出され、熱気あふれる1日となった。

 今大会は9月中旬から1ヵ月程度、オンデマンドでも配信予定。
 詳細は下記より。
【日本動物リハビリテーション学会(事務局)】
https://www.jaapr.jp/jimukyoku.html


本学会会長の小林孝之先生(アニマルクリニックこばやし)。開会の挨拶にて


会場の様子。演者、専門の先生方、参加者たちが積極的に意見を交わし、会場は熱気に溢れた


本学会副会長の柄本浩一先生(えのもと動物病院)。閉会の挨拶にて

第42回比較眼科学会年次大会 開催される

 2023年8月26日(土)、27日(日)の2日間にわたり、東京・日本獣医生命科学大学において、第42回比較眼科学会年次大会が開催された。今回は2019年第39回以来の対面式開催で、参加者は総数280人となった。
 大会メインテーマは「眼疾患の病態・治療」。年次大会長企画特別講演として山口剛史先生(東京歯科大学市川総合病院眼科)「角膜混濁の病態と治療」、基礎部会セッション・教育講演「網膜疾患の次世代治療」では藤波芳先生(東京医療センター・臨床研究センター)と松尾俊彦先生(岡山大学学術研究院ヘルスシステム統合科学学域)が、臨床部会セッション・教育講演では「レッド・アイ」について岩下紘子先生(トライアングル動物眼科診療室)と前原誠也先生(ひかり町動物眼科)が、臨床獣医師向け眼科セミナーでは「どうする角膜潰瘍 ベーシック&アドバンスセミナー」と題し松浦尚哉先生(ペテモどうぶつ医療センター名古屋)、望月一飛先生(アニマル・アイケア東京 安部動物病院)、福島潮先生(湘南鎌倉動物病院動物眼科センター)が、それぞれ講演された。2日目には太田充治先生(動物眼科センター)と梅田裕祥先生(横浜どうぶつ眼科)による「パルスレーザー 私はこう使います」と題しランチョンセミナーが行われた(協賛:株式会社メニワン)。
 また学会会長企画教育講演では、獣医療界にもかかわる社会問題を取り上げ、「ハラスメントの法律問題-カスタマーハラスメントやアカデミックハラスメントについて考える-」と題して原昌登先生(成蹊大学法学部)が講演された。
 一般講演では、オンライン開催のノウハウを生かし、発表の事前配信と、当日に質疑応答を併用する形式がとられていた。
 1日目の講演後には「名刺交換会」が催され、4年ぶりに対面での交流が行われた。

IDEXX Japan 30周年記念 動物看護師様向けセミナー 開催される

 2023年8月23日(水)、東京・明治記念館にて、IDEXX Japan 30周年記念 動物看護師様向けセミナーが開催された。日本法人として設立30周年を迎えたIDEXX Japanは愛玩動物看護師が国家資格化されたことを受けて、節目の年に動物看護職者を対象とした特別セミナーを企画した。
 はじめに日本全薬工業(株)代表取締役社長の福井寿一氏の挨拶があり、その後IDEXXアメリカ本社社長のジェイ・マゼルスキー氏と福井氏の対談が行われ、日本とアメリカにおける獣医療の現状について意見が交わされた。その後、IDEXXメディカル部門統括責任者のジェイソン・ジョンソン氏から日本を含む20ヵ国で展開するIDEXXラーニングセンターに関する説明が行われた。
 そしてメイン講演がスタートし、はじめに石田卓夫先生(赤坂動物病院、JBVP名誉会長)の基調講演として「愛玩動物看護師の将来 目指せトップガン!」が行われ、主に臨床現場における愛玩動物看護師の心構えについて解説された。つぎにアメリカで動物看護師として活躍し、JaVECCS理事として本誌にも登場しているKenichiro Yagi先生(VETERINARY EMERGENCY GROUP)の講演が行われ、アメリカの動物看護師について、ベーシックスキルとして静脈採血・留置の手技について、さらに救急対応としてトリアージについて解説された。最後に太田亟慈先生(犬山動物総合医療センター)から、動物看護職者がおさえる周術期サポートについて、動物看護職とはどういう仕事なのかなどを交えて解説された。
 全国から300名以上の動物看護職者および関係者が会場に集まり、多くの関係者が動物看護を注視していること、動物看護に対する意識がより高まっていることを実感する1日であった。

第8回日本獣医救急集中治療学会(JaVECCS)2023SUMMER 開催

 2023年8月18日(金)19日(土)、両国KFC Hall&Rooms(東京)で、第8回日本獣医救急集中治療学会2023AUMMERが開催された。今大会のテーマは「体感」。シンポジウムや講演、実習コースが展開された。
 特別講演として「人医療 外傷救急最前線」(小島光暁先生、東京女子医科大学足立医療センター救急医療学科)、「消化器穿孔に対する外科戦略」(岩田泰介先生・日本小動物医療センター、手塚 光先生・名古屋夜間動物救急センター)開催され、また今大会でも症例検討甲子園の決勝を開催。「トラウマ」をテーマに口頭発表が行われるなど、獣医救急医療への理解を深めた。この他、夜間救急の運営に関するミーティングも行われ、運営・経営側も円滑な運営を模索した。
 また今大会では、初の試みとして「CPRバトル」を実施した。「リンゴの樹ER」「所沢ピズモンズ」「TEAM VSEC」「エンジェル」「VECCS横浜」の5つのチームが対戦。予選を勝ち抜いたチーム「所沢ピグモンズ」とチーム「エンジェル」8月19日の決勝に臨んだ。
 「RECOVER」のCPRガイドラインにそって、心肺蘇生(CPR)を実施。心肺蘇生のアルゴリズムに則り、チームで心拍再開に務める。より早く心拍動を再開させたチームが優勝という今大会、初の優勝はチーム「エンジェル」であった。チーム「エンジェル」はメンバー4名が全て愛玩動物看護師であり、かつ、埼玉県、香川県、北海道、東京のそれぞれの動物病院に勤める。この日のためにタッグを組んだ。
 会場は熱気にあふれ、本学会ならではの、獣医救急医療のかかわる仲間が集い、お互いを高め合う2日間となった。
 来年2024年3月9日(土)、10日(日)には、いよいよJaVECCS国際大会(会場:有明セントラルタワー)での開催が決定。
詳細は下記より。
https://www.event.javeccs.com/coming-soon-02
 日本獣医救急集中治療学会(JaVECCS)のこれからの活躍が益々期待される。


第1回CPRバトルを見事勝ち抜き優勝した、
チーム「エンジェル」。今回のために愛玩動物看護師4名でタッグを組んだ


第1回CPRバトル決勝戦後、参加者、審査員、会場全員の様子。
獣医救急医療に携わる参加者同士、互いをたたえ合った


ランチョンセミナーの様子。動物用ワイヤレス超音波画像診断装置の使用感を確認


救急エコー実習の様子

猫のWell-Beingを考える啓発イベント 開催される

 2023年8月8日(火)、東京・赤坂ガーデンシティ内ベクトルスタジオにて、猫のWell-Beingを考える啓発イベントが開催された。

 本イベントは飼い主と獣医療関係者を対象に、8月8日の「世界猫の日」に合わせて開催された。はじめに主催者である日本全薬工業(株)からの企業挨拶が行われ、そのあと東山 哲先生(JSFM副会長/CFC理事/ひがしやま動物病院 院長)と佐藤愛美先生(JSFM実行委員/三鷹獣医科グループ 猫内科部長)のトークセッションが行われた。日本における猫の来院率の低さの原因、キャットフレンドリークリニックで実施されている取り組みの紹介、猫の慢性腎臓病に対する注意点とその対応、定期的な健康診断の重要性など、各先生方が普段臨床現場でどのように猫のWell-Beingを考え、実践しているかを紹介された。

 最後に「猫のWell-Beingをすすめていくうえで大切なことは?」という質問に対し、佐藤先生は猫の健康寿命の延伸、そこにつながる屋内飼育の快適さを挙げ、それが猫に大切にする飼い主の幸せにもつながると述べた。東山先生は、猫のことをさらに知りたい飼い主に対して、丁寧に専門家から説明をし、動物病院と飼い主のよい関係を築くことが大切、とのことであった。

 本イベントで発信された情報が多くの飼い主に届き、飼い主が動物病院を最大限に活用することにより猫のWell-Beingが向上することが広まることを願うばかりである。

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