小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

第22回 日本動物リハビリテーション学会学術大会 開催される

 2025年8月30日(土)、東京・日本獣医生命科学大学にて第22回日本動物リハビリテーション学会学術大会が開催された。
 午前には遠山晴一先生(北海道大学大学院保健科学研究院)より、「リハビリテーション医の役割~コメディカルスタッフとの連携を中心に~」の特別講演が行われ、人医療で実施されているリハビリテーション医療の概要と連携について解説された。総会を挟み、午後からは学会長の柄本浩一先生(えのもと動物病院)から「動物リハビリテーションの定義、知ってますか?」の教育講演が行われ、総会に続き当学会の取り組みや今後の展望の説明、リハビリテーションの定義などが解説された。続いて歩行困難のフンボルトペンギンやトイ・プードルの肩関節脱臼症の症例など、日ごろ臨床現場で取り組まれているリハビリテーションの症例発表が各発表者から行われ、参加者が質疑応答なども含め、熱心に聴講する姿が印象的であった。
展示企業も8社が参加し、会場には獣医師・愛玩動物看護師だけでなく義肢装具士や大動物医療の関係者など約80名が参加した。本学会のますますの発展が期待される(学会会員限定の見直し配信あり)。

教育講演の様子

日本獣医眼科カンファランス 2025年 年次大会 開催される

 2025年8月24日(日)、東京・JA共済ビルカンファレンスホールにて(一社)日本獣医眼科カンファランス(Japan Veterinary Ophthalmic Conference、以下JVOC)2025年年次大会が開催された。
 今年はこれまでの会場とは異なる会場で開催され、100名を超える参加者と10社の協賛協力企業が集まった。
 今大会は滝山直昭先生(獣医眼科クリニック名古屋)が大会長を務め、「神経眼科 ~眼の症状に関連する神経疾患について~」というテーマのもと、滝山直昭先生より「眼科で遭遇する神経疾患」の講演、さらに伊藤大介先生(Texas A&M大学)より神経眼科学についての「視覚障害を生じる脳疾患」「眼振を生じる脳疾患」「眼症状を呈する神経疾患」の招待講演が三本立てで行われた。
 今回のテーマである眼の神経疾患に関する講演だけでなく、新役員講演として北村康也先生(八雲動物病院)が研究している「イヌのマイボーム腺の臨床的評価について」の講演もあり、参加者も皆熱心に聴講と質問する様子がみられた。
 JVOC役員である前原誠也先生(ひかり町動物眼科)からは、診療実績および事業報告の発表があり、これまでの活動および今後の活動予定についての報告。また、眼科手術を実践している獣医師やこれから眼科手術をはじめる獣医師を対象に、あらためて基礎講習会や眼科手術研究会の説明が行われた。
次回は、2026年7月26日(日)、御茶ノ水ソラシティカンファランスセンターにて梅田裕祥先生(横浜どうぶつ眼科)を大会長として開催予定である。
 

今回の大会長である滝山直昭先生(獣医眼科クリニック名古屋)
 

招待講演を行った伊藤大介先生(Texas A&M大学)
 

会場の様子

第17回 日本獣医腎泌尿器学会学術集会・総会 開催される

 2025年8月23日(土)、24日(日)に東京・ベルサール飯田橋ファーストにて第17回 日本獣医腎泌尿器学会学術集会・総会が、山﨑寛文先生(日本動物高度医療センター)を大会長として開催された。
 大会テーマは「急性腎障害の最新update」であり、会場には2日間で500名を超える参加者が集まり、各プログラムを熱心に聴講していた。
 1日目には人医療の先生を招き、日本腎臓学会サテライトシンポジウム「CKDの治療薬としてのSGLT2阻害薬~そのメカニズムを紐解く~」が開催され、SGLT2阻害薬における治療やその意義についての4本の講演と総合討論が行われた。また一般社団法人化にあたり、認定試験を含む今後の認定医制度の説明や認定審査委員会主催のアドバンストセミナーおよび認定講習会となる教育講演も同日に行われた。
 2日目には「急性腎障害の最新update~IRISガイドライン2024を紐解く」をテーマに3本の講演と総合討論、また一般演題発表と一般社団法人体制となってから初の第1回定時総会が行われた。
 展示会場ではポスター発表が行われ、コアタイムには展示会場に多くの参加者が押し寄せ、講演会場ともに大変盛況であった。今後の本学会のますますの発展が期待される。

講演会場の様子

アドバンストセミナーの様子

Veterinary Endoscopy Society(VES)/Veterinary Interventional Radiology& Interventional Endoscopy Society(VIRIES) 2025年次大会 開催

 2025年8月4日(月)~8日(金)、国立京都国際会館(京都府)で、世界獣医内視鏡学会(Veterinary Endoscopy Society:VES、Dr. Nicole J. Buote会長)/世界獣医インターベンショナルラジオロジー学会(Veterinary Interventional Radiology & Interventional Endoscopy Society:VIRIES、Dr. Alice Defarges会長)の2025年合同学術集会が開催された。これらの学会の学術集会はコロナ禍以降個別に年一回開催されていたが、今回から合同で開催されることになり、しかもアジアで初めての開催ということで日本が選ばれた。本学会には国内外から多数の参加者が集まり、過去最多の参加人数を記録した。

 VESは獣医内視鏡学、特に内視鏡外科を中心に、VIRIESは非手術下/手術下にてデバイスを用いた低侵襲治療を中心にそれぞれ研究や臨床に取り組んでいる。
 両学会とも低侵襲治療の知識と技術の向上を目指して設立されており、共通の話題も多く取り上げられる。国内外から連日100名近い参加者が集い、臨床研究、ケースレポートやパネルデスカッション等が展開された。また、日本の医師によるキーノート講演も行われ、日本の医療における知識や技術を共有することができた。さらに、日本から参加した獣医師も発表し、会場との積極的な意見交換がなされた。講演会場には熱心な参加者が集い、展示会場も賑わいをみせた。
 前半の8月4日~6日午前はVES、後半の6日午後~8日はVIRIESの大会が実施され、参加者達は早朝より発表に耳を傾けた。VESは2003年に設立、 VIRIESは2016年に設立されたが、世界の獣医師がより積極的に情報共有できるように今後さらに活動を活発化する予定である。日本においても、日本獣医内視鏡外科学会(Japan Society for Veterinary Endoscopic Surgery: JSVES)と日本獣医インターベンショナルラジオロジー学会(Japanese Society of Veterinary Interventional Radiology: JSVIR)が設立されており、それぞれの学会とさらに緊密な連携を取っていくことも再確認された。
 次回は2026年5月11~15日、合同学術集会としてボストンで開催される予定である。動物のQOLの向上のためにも低侵襲治療の正しい情報・技術の普及が重要となってくる。低侵襲治療における両学会の牽引力に、ますます期待が寄せられる。また、国内にいてこのような情報を得るためには、JSVESおよびJSVIRに参加することで容易になると思われる。

 詳細は下記URLより。
【VES】
https://veterinaryendoscopysociety.org/

【VIRIES】
https://viries.org/


講演の様子。登壇者は竹内 僚先生(日本大学)


パネルディスカッションの様子


展示会場の様子


ガラディナーの様子

WJVF第16回大会 開催される

 2025年7月26日(土)、27日(日)、大阪府・ホテルニューオータニ大阪にて、WJVF第16回大会が開催された。今回のテーマは「To Be Strong、“失敗しない” そう言える日まで」。獣医療従事者はAIでも機械でもない失敗から逃れられない「人間」であり、「失敗しない」と断言できるまで、強い気持ちをもって学び続けようという想いが込められている。今回の大会の特徴はBASICとADVANCEをセットにした講義構成となっている。
 (一社)日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)会長の竹村直行先生は、開会式で「私たち獣医師は動物とその家族が楽しく生きていくための手助けをするのが大切なことだと思います。動物とその家族のつながりも治療対象に考えていかなければなりません。そのためには獣医師だけではなく、愛玩動物看護師、ACS、スタッフの方、また関連する企業の方々の力を借りて一丸となって動物医療を少しでもよい方向にいくようにする必要があります。今回のWJVFで発信する情報を活かしてください」と述べた。その後、(公社)日本動物病院協会(JAHA)会長の宗像俊太郎先生、アジア小動物獣医師会(FASAVA)会長でJBVP名誉会長である石田卓夫先生、2025年10~11月に韓国のテグで開催されるFASAVA2025年次大会の大会長であるYi Don Choi先生が挨拶をした。
 講演は、獣医師向け、愛玩動物看護師・ACS・トリマー向け、獣医師・愛玩動物看護師・ACS・トリマー向けに分けられ、外科、内科、腫瘍学、皮膚病学、循環器病学、神経病学など幅広い分野で展開され、参加者は熱心に聴講していた。
 また、獣医師対象、愛玩動物看護師・ACS対象の少人数での実習も2日にわたり12講座が行われ、募集してすぐ定員になる講座もあった。
 27日(日)にはJAHAとの共催で市民プログラム「One well-being 人と犬と社会の関係」「うちの子も参加できる?人と動物のふれあい活動の実際-我が子と一緒に社会貢献!-」も開催された。
 参加者数は1,637名で、獣医師723名、愛玩動物看護師・ACS・トリマー628名、学生243名、市民43名であった。また、協賛企業415名、プレス5名で総数は2,057名となった。
 WJVF第17回大会は、2026年7月25日(土)、26日(日)、ホテルニューオータニ大阪にて開催予定。
 

開会式で挨拶をするJBVP会長の竹村直行先生
 

講義会場の様子

第44回比較眼科学会年次大会 開催される

 2025年7月26日(土)、27日(日)の2日間にわたり第44回比較眼科学会年次大会がパシフィコ横浜アネックスホールにて開催された。前回がオンライン開催であったため、今回は2023年以来の対面形式での開催となり、会場には総勢250名を超える参加者が集まった。
 今大会のメインテーマは「輪 ~基礎と臨床、そして世界と繋がろう~」。大会長を小林由佳子先生(ありす動物眼科クリニック)が務め、「輪」「世界と繋がろう」というテーマのもと、人医療の臨床や大学の先生、アメリカから宮寺恵子先生(ミシガン州立大学)、韓国から劉 鍚鍾先生(Yoolim Animal Eye Clinic)の講演が催された。
展示エリアでは企業ブースとポスター発表、講演会場では一般口演と教育講演、基礎と臨床双方の部会セッションのほか、特別講演とランチョンセミナーの講演が行われた。
 特別講演では2日間とも宮寺恵子先生が登壇し、1日目は「犬の遺伝性疾患を研究して ~遺伝子探索から遺伝子治療まで~」、2日目には「これは遺伝?アイチェックと遺伝子検査」をテーマとした講演が行われた。人医療や獣医療の臨床医と研究者の連携についても解説し、今回の大会テーマに通じる素晴らしい講演であった。
ランチョンセミナーでは、1日目には(株)メニワン主催で、講師である劉 鍚鍾先生の翻訳本の紹介のあと、「小動物獣医眼科領域でのOCTの活用」をテーマとして、OCTの基礎部分の概説と各症例の経過をOCTを使用した際でのみえ方の比較を交えて解説された。近年注目されているOCTがテーマということで聴講者も多くみられた。2日目には千寿製薬(株)主催、人の眼科専門医である前田亜希子先生(神戸アイセンター病院)による「ヒトと動物に共通するRPE65関連網膜症の治療開発と展望」をテーマに、人における医療の経験と知見が獣医療への応用につながる可能性について解説された。
 教育講演では福島潮先生(湘南鎌倉動物病院 動物眼科センター)座長のもと、下山由美子先生(アイデックスラボラトリーズ(株))が「猫のび漫性虹彩メラノーマの病理」のテーマでご講演を行い。2日目最初のプログラムである部会セッションでは、臨床「角膜内皮ジストロフィーの理解と未来への治療戦略」、基礎「動物モデルによる眼疾患研究の最前線」のテーマで講義が行われ、受付開始直後から多くの参加者が講演会場に足を運ぶ様子がうかがえた。
 両日ともプログラムの最後には、締めの講演であるショートセミナーおよび(株)オフテクス主催のイブニングセミナーが用意されていた。今回の学会で得られるものを多くもち帰ろうと、最後まで熱心に聴講する参加者が数多くみられた。
初日の講演後には情報交換会が開催され、理事の先生方や参加者および参加企業の方々も多数みられた。また、夏らしくチェロの演奏やズンバダンスなどの特別企画もあり、にぎやかに盛り上がった。
 今大会の一般口演18題とポスター発表8題のアワード受賞者が2日目に発表された。受賞タイトルと演者は以下の通り。
「犬の前房内チューブシャント設置術後における被膜切除の実施率と視覚予後の検討」齋藤智彦先生(トライアングル動物眼科診療室)、「0.002%オミデネパグイソプロピル点眼液が正常犬の眼圧および瞳孔径に及ぼす影響」辻村ひかる先生(麻布大学付属動物病院 眼科)、「Diagnostic evaluation of unilateral papilledema in a dog with a suprasellar mass and suspected intracranial hypertension using funduscopy, optical coherence tomography and magnetic resonance imaging」Sungbeum Shin先生(Chonnam Naional University)、ポスター賞「カニクイザルの限局性網膜萎縮における全視野及び他局所網膜電図の比較検討」川崎秀吉先生(アステラス製薬(株))
次回第45回比較眼科学会年次大会は、荒木智陽先生((株)新日本科学)が大会長のもと、2026年8月29日、30日に鹿児島で開催予定である。


大会長小林由佳子先生(ありす動物眼科クリニック)による開会の挨拶

会場の様子

アワードを受賞した4名の先生
左から、川崎秀吉先生、Sungbeum Shin先生、辻村ひかる先生、齋藤智彦先生

第32回 日本獣医がん学会 開催

 2025年7月5日(土)、6日(日)、ホテルニューオータニ(東京都)で、第32回日本獣医がん学会が開催された。今学会のメインテーマは「犬の心臓の腫瘍」で、メインシンポジウムの前半は座長の藤井洋子先生(麻布大学)を迎え、野村耕二先生(エム・ティ・スリー)による「病理」、鈴木亮平先生(日本獣医生命科学大学)による「犬の心臓腫瘍における超音波画像診断」、佐藤恵一先生(自由ヶ丘動物病院 動物がんクリニック名古屋)による「心タンポナーデ・貯留液への対応」、楢木佑将先生(動物心臓血管ケアチーム〈JACCT〉)による「犬の心臓腫瘍における心臓CT」、瀬戸口明日香先生(JASMINEどうぶつ総合医療センター)による「内科療法」が実施された。後半は座長に浅野和之先生(日本大学)を迎え、上地正実先生(JASMINEどうぶつ総合医療センター)による「外科療法」、塩満啓二郎先生(どうぶつの総合病院)による「放射線治療について」と続いた。
 教育講演や、病理や内科シンポジウム、症例検討会や顕微鏡実習、ポスター発表、ランチョンセミナー等、今大会も多くのプログラムが実施され、いずれの会場も立ち見がでる盛況ぶりであった。新設された“愛玩動物看護師会員・準会員”も加わり、愛玩動物看護師プログラムも実施され、参加者は2日間で1,000名をこえた。
 また今大会では、学会組織が刷新され、新しい組織が発表された。新会長には小林哲也先生(日本小動物がんセンター)、副会長には新しく呰上大吾先生(東京農工大学)、また継続して杉山大樹先生(ファミリー動物病院)が就任した。その他の委員会のメンバーも刷新された。新会長の小林哲也先生は「日本の小動物のがん研究において国際化を目指し、世界と肩を並べられるよう日本の基礎研究・臨床研究を底上げのため、臨床獣医師の先生方への研究支援に努めていきたい」と決意を表明した。これからも本学会のますますの発展が期待される。
 その他、前回第30回日本獣医がん学会で「がんの発生と悪性化における遺伝子変異と微小環境」を講演された大島正伸先生が大会長を務める第84回日本癌学会学術総会(9月25日~27日/石川県)での当学会と日本癌学会によるジョイントシンポジウムがアナウンスされた。日本癌学会への入会には推薦者が必要であるが、当学会会員であれば、今回は大島先生により配慮いただけることも報告された。
 なお今大会の内容は一部のプログラムをのぞき、7月14日(月)~8月15日(金)までVETSCOPE(https://vetscope.vet/)でもオンライン配信される。
 当学会詳細は下記より。
https://www.jvcs.jp/


メインシンポジウム「犬の心臓の腫瘍」総合討論の様子


石田卓夫前学会会長(中央右)と藤田道郎前当学会雑誌編集委員長(中央左)


新しい学会組織の先生方


新会長の小林哲也先生

「臨床獣医師が押さえておきたいSFTS診療の基礎」セミナー 緊急開催

 2025年6月30日(月)、獣医臨床感染症研究会(会長:村田佳輝先生)主催による、「臨床獣医師が押さえておきたいSFTS診療の基礎」がオンラインにて緊急開催された。
 猫や犬だけでなく人にも感染が波及する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)から、スタッフをどう守るかという懸念が高まるなか、本研究会が急遽、藤井祐至先生(長崎大学 高度感染症研究センター/本会役員)および松本泰和先生(益田ペットクリニック)を招き、緊急セミナーとして開催した。
 セミナーでは、SFTSに感染した猫の診療経験をもとに、診断・治療のポイントや周囲の感染防御などについて藤井先生が解説された。自身もSFTSに感染した経験をもつ松本先生は、重症体験の話も交え、臨床現場で積み重ねられたSFTS症例に関する知見について述べられた。
 昨今、SFTSによる人、猫の死亡に関するニュースが急激に関心を集めるなか、研究会が当初予定していた参加人数を大幅に越え、オンラインサービスの上限枠1,000名を上回る申し込みがあったという。
臨床獣医師として今後どのように情報の周知を図り、自身やスタッフ、飼い主家族を守っていくか、本セミナーをとおして、喫緊に求められる情報を受講者たちは学んだ。
 本研究会の詳細は下記URLより。
https://veterinary-nurse.jimdofree.com/

獣医神経病学会2025(第50回獣医神経病学会年次大会) 開催される

 2025年6月28日(土)、29日(日)、日本獣医生命科学大学(東京都・武蔵野市)にて獣医神経病学会2025が開催された。大会長は原 康先生(日本獣医生命科学大学)が務め、「小動物の脳神経外科」に関する内容を主体としたプログラムが催された。また、今回の会場は「獣医神経病研究会 第1回学術集会」が開催された場所でもある。企業展示に加えて、今回は新たにポスター発表も行われ、50回目の節目にふさわしい華やかな雰囲気であった。
 会場には2日間で170名を超える参加者が集まり、最終プログラムの一般演題発表の時間でも席がほぼ埋まっており皆集中して聴講する様子がとても印象的であった。
 次回第51回獣医神経病学会年次大会は、柄本浩一先生(えのもと動物病院)を大会長として2026年6月27日(土)、28日(日)に北海道札幌教育文化会館にて開催予定。


会場の様子


ポスター発表でにぎわう企業展示会場

犬と猫のサプリメント研究会 第3回セミナー 開催

 2025年6月28日(土)、東京大学農学部(東京都・文京区)にて、犬と猫のサプリメント研究会第3回セミナーが開催された。
 当日は本会の第2回総会のあと、第1部として「犬の特発性てんかんに対するサプリメントを考える」と題し、東京大学の米澤智洋先生が、とくにオメガ3脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)の特発性てんかんへの関与と可能性について解説した。
 第2部では「ペットの異常を『診て・食べて・治す〜生理活性脂質の応用〜」と題し、同じく東京大学の村田幸久先生が、獣医薬理学の観点から自身が研究する生理活性脂質の解析およびその解析から疾患の診断、病態の理解、治療や健康管理への応用について解説した。とくに生理活性脂質によるアレルギー性皮膚炎、膀胱炎、てんかんなど様々な疾患におけるマーカーの有用性について触れ、村田先生のグループが発見した生理活性脂質「5,6-DiHETE」の抗炎症作用について、腸炎や結膜炎、瘙痒や疼痛など多様な病態に効果がある可能性を示唆した。
 他に多くの学会が開催されているなか、企業関係者を含め約30名が集まり、参加者は熱心に耳を傾けた。
 本研究会会長である菊水小さな動物病院の後藤正光先生は「今回のように基礎研究の内容が臨床応用およびサプリメントの開発に直結し得るというスピード感は本研究会の特徴ともいえる。今後も参加者、講演者、企業関係者の輪を広げ、臨床現場の力になることに寄与したい。」と述べた。
 

会場の様子

次のページ »