小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

日本大学 生物資源科学部 獣医学科 獣医倫理・動物福祉学 講義の実施

2025年12月16日(火)、日本大学 生物資源科学部本館第一講義室(神奈川県・藤沢市)で、柴内晶子先生(赤坂動物病院・日本臨床獣医学フォーラム幹事)による獣医倫理・動物福祉学の講義が実施された。

この科目は当大学獣医学科の1年生を対象としており、複数名の実務経験のある教員が授業を担当するオムニバス形式で、毎年後期に開講されている。学生たちが獣医倫理・動物福祉について理解を深め、その考え方を礎に獣医学を学んでいってもらいたいという大学側の考えから実施されている。全15回の講義のうち、柴内先生は非常勤講師として、「伴侶動物に対する獣医療と獣医倫理」と「動物介在療法と獣医倫理」という内容で2回の講義を担当されている。

講義では伴侶動物の歴史や臨床現場での現状、飼い主家族との信頼関係構築、セカンドオピニオンを求める飼い主家族を迎えるあるいは送り出す際の対応、愛する動物が虹の橋をわたる時に獣医師として求められる対応等を、獣医師として会得しておくべき倫理・動物福祉をからめ包括的に紹介。また国家資格化された愛玩動物看護師との連携、ジェネラリストとスペシャリストの関係について、講師自身の動物病院での例を交え紹介された。AAA(Animal Assisted Activity)、AAT(Animal Assisted Therapy)、AAE(Animal Assisted Education)の実践の様子も取り上げ、高齢者や子供たちにどのようなよい効果が期待されるか、動画も交え解説された。2025年2回目の講義は12月23日(火)に実施される。

【日本大学 生物資源科学部 獣医学科については下記より】

https://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~NUBSvmd/

 

講義の様子

柴内晶子先生

 

 

 

2025年度 第111回日本獣医麻酔外科学会 学術集会 開催される

 2025年12月12日(金)~14日(日)、宮城・仙台国際センターにて第111回日本獣医麻酔外科学会 学術集会が開催された(同時開催:第28回日本獣医内視鏡外科学会学術総会)。
 今大会のテーマは「いざ仙台へ!東北から始まる獣医外科の新たな一歩」である。
 1日目の午後からはJSVESのプログラムであるパネルディスカッション「内視鏡外科における技術習得・器械環境整備の壁を超える~初学者からエキスパートまで~」が開催された。2日目からは講演会場が6ヵ所になり、整形外科、軟部組織外科、麻酔・疼痛管理の各プログラムが開催された。プログラムは基調講演、教育講演、シンポジウム、パネルディスカッション、リフレッシャーコース、症例検討会、一般演題、レジデントによる若手獣医師のためのBasicセミナー、専門医と囲むFIRESIDEと多彩であり、どの会場も非常に盛況であった。
 2日目のハートウォーミング企画では、獣医療の世界でこれから女性が活躍できる環境をどのように整備するか、主に人材再開発という視点で、岩井聡美先生(北里大学)と関 真美子先生(日本大学)の座長のもと、4名の先生方による講演が行われた。とくに林 慶先生(コーネル大学)のアメリカにおける獣医療の現状に関する話題では、聴講者との意見交換も活発に行われ、会場内のよりよい環境整備へ向けた熱意が伺えた。
 同日夜には仙台国際ホテルにて情報交換会が開催され、アワードの授与および新たに日本小動物外科専門医の認定を受けた1名の先生の表彰が行われた。
 3日目には基調講演である「ロボット支援手術の現状と未来」が行われ、亀井 尚先生(東北大学大学院医学系研究科消化器外科学)から、人医療でのロボット支援手術のエビデンスを含めた現状や制度が解説された。会場は立ち見が多く出るほどの盛況ぶりであり、2025年7月より国内販売が開始された第5世代の「da Vinci(ダビンチ)」の紹介や、実際の手術の映像などに見入る聴講者の姿が印象的であった。
 小動物外科の手技の教育という部分にとどまらず、獣医療のこれからと本学会自体をよりよいものにしようという熱意が伝わる3日間であった。
 次回の2026年度 第112回日本獣医麻酔外科学会学術集会は、2026年6月19日(金)~21日(日)に、埼玉・大宮ソニックシティにて開催予定。

基調講演の様子

情報交換会でのアワード授与の様子

日本獣医輸血研究会 第13回学術講習会 開催される

 2025年12月7日(日)、ちば愛犬動物フラワー学園にて日本獣医輸血研究会 第13回学術講習会が開催された。
 午前中は日本獣医輸血研究会の認定資格である「JSVTM認定輸血コーディネーター」の認定項目となる2つの講義が行われた。認定項目1は加藤真理子先生(日本獣医生命科学大学付属動物医療センター)の「血液製剤の種類と作製」、認定項目2は石田沙恵先生(苅谷動物病院グループ)の「血液製剤の取り扱いと保存」であった。また、並行してJSVTM認定輸血コーディネーター第4回試験が行われた。
 そして今回初めて、認定コーディネーター限定のセミナーが開催され、クローズドな環境で普段の輸血療法・献血にまつわる悩みの共有、疑問などをディスカッションする大変よい機会になった。
 午後は教育講演があり、瀬川和仁先生(せがわ動物病院)が「生理的な止血機構と検査」を、丸山治彦先生(日本大学)が「犬と猫の先天性止血異常症」を講演した。講演後は、参加者から活発な質疑応答があり、関心の高さが伺われた。
 最後にパネルディスカッション「緊急時の輸血、どうしてる?」が行われた。冒頭に、血液製剤確保の方法、適合試験、輸血療法を適応している疾患や症例の実際を、一次診療について菊田 基先生(浦安中央動物病院)が、二次診療について小島一輝先生(日本動物高度医療センター)が、夜間救急病院について塗木貴臣先生(TRVA動物医療センター)が説明した。その後、呰上大吾先生(東京農工大学)を座長に、普段の輸血療法適応時の流れやタスクフロー、緊急時はどうしているかについてディスカッションが展開された。
 対面参加者数は約40名で、愛玩動物看護師の参加者も多かった。
 本講習会のプログラムのすべてVETSCOPEにて12月15日(月)~翌年1月14日(水)まで視聴が可能である。
 


講義の様子

第12回 猫の集会 開催される

 2025年11月30日(日)、JSFM(Japanese Society of Feline Medicine、ねこ医学会)主催の「猫の集会」が、浜松町コンベンションホール(東京都・港区)にて開催された。
 今回も獣医師・愛玩動物看護師・市民向けの3つのプログラムを軸にセミナーが行われた。出展企業も19社と前回よりも増え、グッズ販売ブースも事前の時間予約が必要なお店もあり、会場は大いに盛り上がった。
 ポスターセッションも前回の3倍近くの数の発表があり、ディスカッションタイムには隣接する展示会場にも多くの人だかりができていた。数多くのポスターセッションのなかでもアワードを受賞したものはすべてウイルスに関する内容であり、本会会長の石田卓夫先生(JSFM会長・赤坂動物病院)からも「獣医療でウイルスをメインにした学会がまだないため、こういった機会を大いに活用してもらいたい」とのコメントがあった。
 また、今回は獣医師対象で「うちの猫、口がいたそうにしています」、愛玩動物看護師対象で「どうも口の様子がおかしいみたい」と近年注目されている歯科に関するテーマが集まり、メインホールのプログラムではどちらも椅子が埋まり、立ち見の参加者も多くみられた。
 参加者は獣医療関係者・一般参加者合わせて合計1,057名の来場となった。


挨拶する本会会長の石田先生


獣医師向けセミナー会場の様子


ポスターセッション会場の様子

小動物臨床血液研究会 30周年記念セミナー 開催される

 2025年11月16日(日)、東京大学弥生講堂にて、小動物臨床血液研究会「30周年記念セミナー」が(公財)動物臨床医学研究所主催により開催された。当研究会は1993年に財団法人鳥取県動物臨床医学研究所(現・(公財)動物臨床医学研究所)の小動物臨床研究会(現・動物臨床医学会)の分科会として小動物臨床における血液病学の発展と普及を目的に発足し、本年で30年になる。
 演題テーマは『貧血』、『造血腫瘍』、『止血異常』の3つで、それに加えて『症例の顕微鏡ディスカッション』が行われた。
 『貧血』では、井手香織先生(東京農工大学)が「一気に再確認!IMHAの治療」、森下啓太郎先生(北海道大学)が「NRIM/PIMAの臨床研究最前線」、『造血腫瘍』では、辻󠄀本 元先生(日本獣医高度医療センター)が「白血病(急性、慢性)を疑う時-一次診療で知っておきたいこと-」と題して講演を行った。
 午後は、酒井秀夫先生(諫早ペットクリニック)の「著明なリンパ球増加を認めた猫の1例」、諏訪晃久先生(すわ動物病院)の「白血化を認めたリンパ腫の犬の1例」、高橋義明先生(ペットクリニックハレルヤ)の「XCIP解析によりクローン性が示唆された慢性骨髄性白血病の犬の1例」の症例を元に、石田卓夫先生(赤坂動物病院)、呰上大吾先生(東京農工大学)、下田哲也先生(山陽動物医療センター)が塗抹標本等を会場のスクリーンに映して、みるべきところ、考え方、治療についてディスカッションを行った。
 その後、『止血異常』について、亘 敏広先生(日本大学)が「体表部に紫斑が見られたら何を考えるか?」を、高橋 雅先生(鹿児島大学)が「一人賛否:DIC・血栓症、臨床現場で正解はあるのか?」を、丸山治彦先生(日本大学)が「先天性止血異常症を整理して理解する-適切な診断を目指して-」と題して講演を行った。
 30周年記念セミナーとあって、午前、午後とも盛りだくさんの内容であった。この日の講演が臨床の現場でも役立てられることであろう。
 次回のセミナーは日本獣医輸血研究会と合同で2026年5月に開催予定。
 

講演の様子

八王子市南大沢地域 ペット同行避難訓練 実施される

 2025年11月8日(土)、東京都・八王子市の南大沢地域自主防災協議会主催の合同防災訓練が実施された。訓練では消火器体験やAED体験、放水見学、ペット同行避難、防災およびペット防災に関する講演などが行われた。
 ペット同行避難訓練はヤマザキ動物看護大学の協力のもと実施され、ペットである犬または猫を飼育している参加者がペットをケージに入れて避難所である南大沢中学校に一緒に避難するものであった。避難場所は人とペットで分けられ、ペットはさらに犬と猫に分けられていた。
 防災訓練はいろいろな地域で定期的に開催されているが、ペット同行避難訓練までできるのは珍しい。参加者は実際にペットと一緒に避難所まで同行したことで、その準備を含めて、災害発生時に自身はもちろん、ペットのために何をすればよいか身をもって体験ができたと思われる。
 「ペット防災」の講演はヤマザキ動物看護大学の福山貴昭先生によって中学校および大学の2ヵ所で行われた。講演では南海トラフ巨大地震がおこった際の地震、津波の広がりについて、ペットのために準備しておく備蓄品、その優先順位、ペット防災袋などについて解説された。また、平成28年熊本地震の際に、避難所として1,300~1,600人の避難者、約100頭の犬猫を受け入れた益城町総合体育館でおこった出来事を具体的に紹介した。ペットの飼い主家族による「飼い主の会」の結成、ペット飼育のルール作り、ペットのマナー啓発および動物保護団体に預ける際の注意喚起など、参考となる事例に参加者は耳を傾けた。
 ヤマザキ動物看護大学には、災害からの復興に必要な物資、人的資源がそろっており、有事の際には地域に協力できることを明らかにした。ペットを飼っている住民にとっては心強いパートナーになり得ると思われる。
 

南大沢中学校で「ペット防災」について講演する福山貴昭先生

北海道小動物獣医師会 第31回年次大会 開催される

2025年11月2日(日)、3日(月・祝)の2日間にわたり、北海道・グランドメルキュール札幌大通公園にて、北海道小動物獣医師会 第31回年次大会が開催された。
2階フロアに4つのセミナー会場を設け、獣医師向けセミナーおよび症例検討会、アニマルケアスタッフ向けセミナーおよび発表会、また企業も含めた合同セミナーが行われた。
獣医師向けとして2日間で6つのセミナー、今井昭宏先生(JASMINEどうぶつ総合医療センター)「リアクティブからプロアクティブへ~いま考える犬アトピー性皮膚炎の長期管理~」〈ゾエティス・ジャパン株式会社提供〉、戸島篤史先生(公益財団法人日本小動物医療センター)「腹部でコレ見落としたら死んじゃいますよ!」、森 拓也 先⽣ (JACCT動物⼼臓⾎管ケアチーム)「⽝の僧帽弁閉鎖不全症の治療最前線! 内科治療のコツと外科治療」、福島建次郎先⽣(どうぶつの総合病院)「尿⽯症・腎疾患アップデート2025」〈⽇本ヒルズ・コルゲート株式会社提供〉、船津敏弘先⽣ (動物環境科学研究所)「災害現場でのVMAT活動から、 ⼈と伴侶動物の災害対策を考える」、永⽥矩之先⽣ (岐⾩⼤学)「⽝の副腎腫瘍の診断アップデート 〜超⾳波検査と内分泌評価の現在地〜」が行われた。
愛玩動物看護師・アニマルケアスタッフ向けとしては、⻘⼭友美先⽣(わんにゃん訪問看護ぴりかのもり)「動物看護に⽋かせない飼い主⽀援―飼い主と共につくる動物看護のかたち―」、村尾信義先⽣(倉敷芸術科学⼤学)「保定技術の進化とチーム医療:オーストラリアで学んだ実践的アプローチ」、佐野忠⼠先⽣(帯広畜産⼤学)「愛玩動物看護師が知っておくと役に⽴つかもしれない周術期のイロハ」、⼭⽥あや先⽣(ライオンペット株式会社)「⻭みがきのプロ直伝! 2500頭の指導経験をもとにした⽝猫オーラルケアの基本とコツ」〈ライオンペット株式会社・物産アニマルヘルス株式会社提供〉の4セミナーが行われた。
また獣医師とアニマルケアスタッフ合同のセミナーとして、⿑藤慶輔先⽣(猛禽類医学研究所)の「絶滅の危機に瀕した猛禽類との共⽣を⽬指して 〜北海道における希少種保全の最前線から〜」という北小獣ならではの講座、さらに企業も参加可能な郡⼭尚紀先⽣(酪農学園⼤学)の「獣医師、動物看護師がともに取り組む⾏動療法。学びと実践に特化した⾏動療法セミナー“診断はどうする?治療法をどのように決定する?”をわかり易く解説。」〈株式会社ミネルヴァコーポレーション提供〉も行われた。
2日間で獣医師134名、愛玩動物看護師・アニマルケアスタッフ189名が参加。企業展示ブースには72社が出展し、豪華な賞品が当たるスタンプラリーなどが実施され賑わった。恒例の懇親会は和やかで、非常に明るく親しみにあふれた雰囲気であった。
昨年の30回記念を超えて31回となり、ますます充実した様相の年次大会であった。

獣医師向けセミナーの様子

 

アニマルケアスタッフ向けセミナーの様子

 

北海道小動物獣医師会会長 掛端健士先生
懇親会でのご挨拶

第13回アジア小動物獣医師会大会(FASAVA2025)
大邱(テグ)大会 開催される

 2025年10月31日(金)から11月2日(日)の3日間にわたり、韓国・大邱(テグ)にて第13回アジア小動物獣医師会大会(FASAVA〈Federation of Asian Small Animal Veterinary Associations〉2025)が開催された。前回2024年7月のクアラルンプール大会から1年、今回は10月末の開催となり、日本をはじめアジア各国、欧米、オセアニア、アフリカなど全世界33ヵ国から4,500名以上の参加者が集まった。
 大邱は、韓国第3の都市といわれ、韓国唯一の都市型モノレールがあり、交通量も比較的多い印象である。会場のEXCO(大邱展示コンベンションセンター)は、大邱市街の北側に位置し、2001年に開館した複合展示施設である。ちなみに日本との時差はない。
 講義は最大10セミナーが並行して開かれ、メインプログラムとして、救急、整形外科、行動、猫、軟部外科、内科、循環器、眼、皮膚、神経、臨床病理、腫瘍など70以上のプログラムが用意された。日本からは浅野和之先生(日本大学)、新居康行先生(JASMINEどうぶつ総合医療センター)、金園晨一先生、佐藤雅彦先生(ともにどうぶつの総合病院)、細谷謙次先生(北海道大学)、是枝哲彰先生(JARVISどうぶつ医療センター Tokyo)の6名の講演が行われた。また、現在サーカス動物病院に所属するYun-Hsia Hsiao先生も登壇した。
 加えて、2日目と最終日には、「Vet Nurse(Korean)」として計12コマが設けられ、日本からは最終日に大熊摩耶氏(愛玩動物看護師、日本獣医生命科学大学)」の講演が行われた。

●初日:肌寒くも気持ちのよい朝を迎え、オープニングセレモニーがスタート。韓国の伝統と革新をイメージしたダンスのあと、FASAVA会長である石田卓夫先生(JBVP名誉会長)他多くの来賓の挨拶が行われた。その後、現WSAVA会長のJim Berry先生の基調講演「The Intersection of Welfare and pain management in Veterinary Medicine(獣医学における福祉と疼痛管理の交差点)」が行われ、アニマルウェルフェア向上のための動物の痛みを見逃さないヒントを、エビデンスやガイドラインを元に解説された。午後のレクチャーのあと、ウェルカムレセプションでは、華やかなショーや来賓挨拶、スポンサーへの表彰などが行われた。会場には、明日からの英気を養うために多くの参加者が集まり、懇親を図った。

●2日目:大邱から約60km海側にある韓国・慶州でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が最終日を迎えるなか、FASAVAでは2日目のプログラムがスタートした。日本からの講演としては、午前に浅野先生の「Surgery for adrenal tumors(副腎腫瘍の外科手技)」「Surgery for liver tumors(肝臓腫瘍の外科手技)」、Yun-Hsia Hsiao先生の「New Horizons in Therapy:Managing CAD through pharmacological approaches」(治療における新しい地平線:薬理学的アプローチによるCADの管理)」、新居先生の「Canine Mitral Valve Repair(MVR):From Indications to Innovations(犬の僧帽弁修復〈MVR〉:兆しから革新へ)」が行われた。どの講演にも多くの聴講者が参加していたが、とくに浅野先生の講演には立ち見がでるほどの盛況ぶりであった。
 午後には、金園先生の「Approach to Vestibular Dysfunction(前庭機能障害へのアプローチ)」「Canine Acute Intervertebral Disc Disease:True or False(犬の急性椎間板疾患)」「How to anticipate elevation of the intracranial pressure prior to MRI(MRI前に頭蓋内圧の上昇を予測する方法)」、佐藤先生の「〜Recent advances in feline medicine〜 Updates on DM,FIP and CKD(〜最近のネコ医学の進歩〜DM、FIP、CKDに関する最新情報)」が行われ、こちらも多くの聴講者であふれかえった。
 この日の夜にはコングレスディナーが行われ、石田会長らがプレゼンターを務めた表彰式やダンスや歌などのショー、そしてコース料理などを参加者は楽しんだ。

●最終日:日本の先生の講演としては午前に細谷先生の「From 10-year experience of IG/IMRT:Have we really advanced to the next stage? How far have we come?(画像誘導/強度変調放射線治療の10年の経験から:私たちは本当に次の段階にすすんだのか、どこまで来たのか」、午後に是枝先生の「Total Hip Replacement in dogs and cats(犬猫の股関節全置換術)」「Surgery in Motion:Lectures and Videos of FHO and THR(動画による手術講義:FHOとTHRについて)」、大熊氏の「Veterinary Nurses for Companion Animal,Now a Nationally Certified License(愛玩動物看護師の国家資格化の現状)」「Hospitalization Nursing Care and Nursing Documentation Process(Animal Nursing Records)(入院看護ケアと動物看護記録)」が行われた。
 クロージングセレモニーでは、ポスターセッションのアワード表彰ほか、次回FASAVA2026が台湾・台北にて2026年10月31日(土)〜11月2日(月)に開催されることが発表された。
 展示会場には、ヒルズ社をはじめ、120に及ぶ企業および関連団体が集まった。日本企業関連のブースも見受けられ、日本と韓国をはじめとするアジア各国との距離がますます近づいている印象を受けた。また、一部の会場では、AIによるリアルタイム翻訳が導入され、参加者は手持ちのスマートフォン等でQRコードを読み取れば英語、韓国語、日本語が飛び交うディスカッションや質疑応答なども瞬時に理解でき、これからの学会の一つのインフラとして非常に効果的であると感じられた。
 アジアの小動物医療の世界で、日本は日本ならではの強みを維持および発揮していけるのか。日本はアジアからの期待に応えられるのか。その際に重要なのは「情報」であり、その取捨選択の判断材料を多くの方が入手できる環境の構築が鍵になると思われる。本大会のすべての参加者は、貴重な「情報」を多く得たにちがいない。

Pick Up:ポスターセッション
 今大会では、ポスターが約200題集まり、日本からも多くの先生方が発表された。そのうち、6題は東京都獣医師会会員による報告であり、池田人司先生(オールハート動物リファーラルセンター)と渡辺靖子先生(自由が丘動物医療センター)がアワードを受賞した。この2名を含む発表者会員6名には東京都獣医師会から渡航費や滞在費などの補助金が支払われた。来年以降も継続して支援するとのことで、アジアの獣医療関係者とのコンタクト、また日本の学会とは異なる熱気を感じられる絶好の機会として、次回の台北大会にてポスター発表を検討されてはいかがだろうか(詳しくは東京都獣医師会まで)。









第15回動物看護大会 開催される

 2025年10月26日(日)、日本獣医生命科学大学E棟(東京都・武蔵野市)で、(一社)日本愛玩動物看護師会(JVNA、会長 横田淳子氏)主催、農林水産省、環境省後援による、第15回動物看護大会が開催された。日本動物看護職協会から日本愛玩動物看護師会と名称変更してからのはじめての開催となる。
 今年のテーマである「明日からのケアが変わる! ライフステージ別動物看護」のもと、教育セミナーでは、森 勇人先生(TRVA動物医療センター)が「そのトリアージ、“なんとなく”で終わらせない!-気づき・考え・動ける愛玩動物看護師になるために-」、富永良子氏(nobita)が「周産期ケア~自宅主産をどうサポートするか」を講演した。多くの聴講者は日々の診療のなかで判断の基準となる新たな知識を得られたと思われる。
 シンポジウムは、シニアケア「動物病院もその先も」で、中村陽子氏(ペットケアホーム フズル)が「動物リハビリテーション」、安部里梅氏(ペットケアホーム リュッカ)が「どうぶつ介護総合施設」について講演した。2名とも起業した愛玩動物看護師であり、それぞれの現場での実例に基づく看護やシニア期の動物と暮らす飼育者の心情について解説された。シンポジウムの最後に、ファシリテーターの横田会長およびフロアの聴講者を交えたディスカッションがあり、有意義な意見交換が行われた。
 本年も採血実習セミナーが開催され、参加者はシミュレーターを用いた採血を講師のアドバイスを受けて行った。
 いなばペットフード(株)企業セミナーとして、谷口 優先生(国立環境研究所)の「伴侶動物との暮らしが人や社会保障にもたらす効果」の講演が実施された。犬と暮らすことで要介護認知症発生リスクが低下すること、伴侶動物と暮らす方の月額介護費用が抑えられることなど、動物がもつ社会の有益性をエビデンスとともに解説された(MVM2026年1月号で同内容の記事を掲載)。
 動物看護研究では9題の口頭演題があり、そのなかから中島佳代子氏(とがさき動物病院)「後躯麻痺での排尿障害を呈する犬に対する入院中の床材の検討」がヒルズアワードを、遠藤さくら氏(ALL動物病院グループ)「入院動物に対する適切な栄養管理体制の構築」がJVNA優秀賞を受賞した。
 閉会式では、近江俊徳先生(日本獣医生命科学大学)が「多彩で充実した内容のプログラムが展開され、どの講演も愛玩動物看護師としての専門性をさらに高めていこうという強い使命感と情熱を感じることができた。動物看護研究では日々の業務のなかから確かな実践を重ねていることがわかった。後に続く方もこれらの研究を参考にさらによりよい研究を行っていただきたい」と総評した。

講演の様子

第46回動物臨床医学会年次大会 開催される

 2025年10月18日(土)、19日(日)にグランキューブ大阪にて、第46回動物臨床医学会年次大会が開催された。
 プログラムとして、ベーシック・ステップアップ・アドバンスの各セミナー、パネルディスカッション、動物病院スタッフセミナー、各研究会のシンポジウムとセミナー、産業動物分科会のプログラム、企業主催のランチョンセミナー、一般口演、症例検討、ポスターセッション、スタッフ口頭発表、市民セミナー、そして本学会が2025年から新たに設立した認定愛玩動物看護師制度の認定講習対象セミナーなど、多くの講演が実施された。各会場には獣医師だけでなく愛玩動物看護師や学生、動物病院スタッフなどが聴講へ集まり大変盛況であった。また今大会では展示会場でも講演スペースが設けられ、参加者が各企業の展示ブースへ足を運びやすい工夫がされていることも印象的であった。
 初日には昨年の一般口演から選考された学会長賞および各文科会アワードの授与が行われ、学会長賞として「犬のポリニューロパチーの臨床的特徴と予後因子」の演題で発表を行った長谷川裕基先生(KyotoAR 動物高度医療センター)が表彰された。夜には展示会場にて参加費無料のウェルカムパーティーが開催され、こちらにも多くの参加者が集まり、乾杯の前に、ご逝去された前理事長の山根義久先生への黙祷が捧げられた。
 全体としては学生や愛玩動物看護師の参加者が増えており、熱心に聴講する姿や情報を集めようとする姿勢が非常に印象的であった。本学会の今後の展開が期待される。
 次回動物臨床医学会第47回年次大会は、2026年10月24日(土)、25日(日)に同じくグランキューブ大阪にて開催予定。

2日目の3階展示会場横でのセミナーの様子

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