2025年5月10日(土)・11日(日)に、(一社)日本獣医再生医療学会(JSVRM)主催による第20回年次大会がパシフィコ横浜(神奈川県)で開催された。今大会は「原点回帰 再生医療をとおして幸せをとどける」をスローガンに掲げ、2日間にわたり実施された。

 初日は本会理事長で大会長である横山篤司先生(さくら動物病院)による講演「幹細胞治療の反復投与と院内での持続可能な運用について考える~当院の13年の実績から~」からはじまり、「イヌとネコのiPS細胞に関する知見最前線」(鳩谷晋吾先生、大阪公立大学)など多くの講演が行われ、またシンポジウム「臨床現場における間葉系幹細胞(MSC)療法の適切なインフォームド・コンセントを考える」では、鳩谷先生(前出)、宮崎 務先生(ダクタリ動物病院 品川ウエルネスセンター)、福田 威先生(動物再生医療技術研究組合)、平野由夫先生(プリモ動物病院グループ)により、MSC療法を飼い主に提案するタイミングや実施に必要な説明、同意書、飼い主の抱く“再生医療”のイメージと実態の乖離をどうすり合わせていくかなどについて、会場も交え活発な意見交換が展開された。
 2日目は「犬の胸腰部椎間板ヘルニアG1・G2症例におけるステムキュアの有効性と安全性の検討」(平野先生、前出)の講演ではじまり、学術発表会、症例検討会の獣医再生医療分野だけにとどまらず、リハビリテーションでは長坂先生をはじめ幅広い分野の報告が行われた。また、2024年にイグノーベル賞を受賞された武部貴則先生(大阪大学、東京化学大学)による「器官機能再建への展望-オルガノイドと腸呼吸-」、JBVP前会長の石田卓夫先生(赤坂動物病院)による「近未来の動物医療」の講演が実施された。本学会が様々な分野や学会と広く連携を図り、今大会のスローガンである「獣医再生医療をとおして幸せをとどける」の実現への姿勢がうかがえた。
 この他、JSVRM学会誌等編集員会の福田 威先生(前出)から機関誌創刊、JSVRM指針担当・動物再生医療推進協議会届出運営委員会の枝村一弥先生から獣医再生医療に関する指針・届出・認定医制度についての説明があった。本学会による獣医再生医療のますますの牽引が期待される。
 次回年次大会は2026年5月に横浜エリアで開催予定。


開会式にて挨拶する横山篤司先生(本学会理事長)


シンポジウムの様子