小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

第21回日本獣医がん学会 開催

 2019年7月6日(土)、7日(日)、東京コンベンションホールにいて、第21回日本獣医がん学会が開催された。両日とも曇天や雨模様であったが、約830もの参加者、賛助会員17社・協力企業10社からランチョンセミナー協力1社、学会広告協力6社、展示協力12社によって盛大に開催された。
メインシンポジウムは500名収容可能な大ホールにて「犬の軟部組織肉腫」が講演されたが、立ち見となった会場とは別に講演を視聴できるサテライトの講義室も満員となっていた。そのほか総合教育講演、教育講演、一般口演、内科セッション、ランチョンセミナー、症例から学ぶCPCなど、充実したプログラムに加え、認定医認定証授与式、来る2020年3月19日(木)~22日(日)に第22回日本獣医がん学会が共催される世界獣医がん学会に関する詳細が案内されるなど、極めてバラエティに富んだ大会となっていた。
 なお、世界獣医がん学会と共催される次回の日本獣医がん学会は東京での開催となり、その後2022年までは開催地の変更がある。詳細は、日本獣医がん学会ホームページにて随時更新される予定である。


メインシンポジウム会場の様子

第39回比較眼科学会年次大会 開催される

 2019年7月27日(土)、28日(日)の2日間にわたり、大阪・JEC日本研修センター江坂において、第39回比較眼科学会年次大会が開催された。
 初日は特別講演として、池田華子先生(京都大学准教授)「難治性眼疾患に対する新たな網膜神経保護治療薬の開発と現状」、教育講演として真野英俊先生(参天製薬㈱)が「眼科用剤の眼内薬物動態」、一般口演8題が行われた。
 2日目は午前中、臨床部会セッション「網膜剥離への挑戦?レーザーによる予防から硝子体手術による治療まで?」と基礎部会セッション「①ERG検査の基礎から最新動向まで、②毒性質問箱?医薬品開発毒性研究者と眼科専門医とのクロストーク」が、午後には一般口演9題が行われた。
 どの講演も満席または立ち見が出るほど盛況で、新しい知見を得られる充実した2日間となった。
 昨年と同様に初日は台風の影響で雨天となったが、約200名が参加した。次回は沖縄にて、7月10日(金)、11日(土)開催予定。

会場の様子

WJVF第10回大会 開催される

 2019年7月12日(金)~14日(日)、ホテルニューオータニ大阪にて、WJVF(WEST JAPAN VETERINARY FORUM)第10回大会が開催された。

 初のWJVFが2010年6月に公益社団法人 日本動物病院協会(JAHA)と一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)により合同開催されてから10回目となる。JAHA 、JBVPそれぞれの専門活動分野を相互補完し、獣医師と動物病院に役立つ学会として、伴侶動物にかかわるすべての人に開かれた事業とすることを掲げ継続してきた本会、伴侶動物の高齢化など状況の変化も踏まえながら、社会貢献につながる学術情報の提供を続けている。
 毎回数多くの幅広いプログラムが行われるが、今回は“新たなプラス(+)がきっとある”をテーマに「麻酔鎮痛学ストリーム」「皮膚病学ストリーム」「循環器病学ストリーム」という特集枠も設けられ、また今年も同じ会場で連続して同カテゴリーのセミナーを受講することができた。

 「すでにFASAVA-TOKYO 2019ははじまっているような熱気だ」と語る石田卓夫会長。

 今回は3,400名を超える獣医師、動物看護師はじめ獣医療関係者が参加し、第10回目にふさわしい活気ある大会となった。

 WJVF第11回大会は、2020年7月10日(金)~12日(日)ホテルニューオータニ大阪にて開催予定。



石田卓夫先生による開会式の挨拶

一般社団法人 日本獣医眼科カンファランス 2019年記念年次大会 開催される

 2019年7月14日(日)、御茶ノ水ソラシティにおいて、一般社団法人 日本獣医眼科カンファランス(JVOC)2019年記念年次大会が開催された。今回は発足10周年を記念し、「今日までの10年、そしてこれからの10年-小動物臨床における涙液量検査、その意義と実際-」と題し、齋藤陽彦先生(トライアングル動物眼科診療室)を大会長に、一般演題、多施設研究、基調講演、症例検討などが行われた。

 多施設研究では、滝山直昭先生(獣医眼科クリニック名古屋)が犬の白内障の内科的・外科的治療の比較、前原誠也先生(酪農学園大学)が犬の緑内障の内科的・外科的治療の比較、伊藤良樹先生(岡山理科大学)がぶどう膜炎の原因に関する研究について発表された。

 基調講演では、新しい涙液量評価法であるストリップメニスコメトリー検査(SMT)をメインテーマに、宮坂慶一氏(エコー電気株式会社)、村戸ドール先生(慶應義塾大学医学部眼科学教室)、岩下紘子先生、齋藤陽彦先生(トライアングル動物眼科診療室)がそれぞれの立場から解説された。

 今回は、海外からの聴講者のため、初の企画として、日本語と英語の同時通訳が行われた。また、次回2020年の大会長に伊藤良樹先生(岡山理科大学)が選出され、本会のますますの発展が期待される。


会場の様子

2019年春季合同学会 開催

 2019年6月14(金)~16(日)、大宮ソニックシティ(埼玉県)にて、2019年春季合同学会(合同学会長 米澤覚)が開催された。
 日本獣医麻酔外科学会(大会長 宗像俊太郎)、日本獣医循環器学会(大会長 堅木道夫)、日本獣医画像診断学会(大会長 狩野幹也)、日本獣医内視鏡外科研究会(大会長 中市統三)の4団体が集まり展開。加えて、日本獣医顎顔面口腔外科研究会による総会も行われた。3日間の開催日のうち、2日目は荒天、3日目は初夏らしい晴天と天候は不順だったものの、1,300名超(事前登録含む)の多くの来場者が集った。
 各学会の合同企画として麻酔外科・循環器・画像診断学会による「臨床現場即時検査(Point of Care Testing)について~外傷来院時の腹部胸部のエコー評価」(座長:藤田道郎先生〈日本獣医生命科学大学〉、井坂光宏〈酪農学園大学〉)をはじめ、麻酔外科・循環器学会による心疾患動物の全身麻酔」(西村亮平先生、東京大学)などが開催。「臨床現場即時検査(Point of Care Testing)について~」では、人医学領域から救急医療でご活躍される世良誠先生(福井県立病院救命救急センター)が講演され、最先端の人医療と獣医療のコラボレーションが実現した。
 麻酔外科学会では、特別講演としてウィスコンシン大学よりロバート・J・ハーディ先生(座長:浅野和之先生〈日本大学〉、米澤 覚先生〈アトム動物病院 動物呼吸器センター〉に軟部外科と、リンカーン大学よりダニエル・S・マイルス先生(座長:西村亮平先生〈東京大学〉、宮部貴子〈京都大学〉)には麻酔疼痛管理についてお話しいただいた。
 また、教育講演や、若手獣医師による若手獣医師のためのBasicセミナーなども充実したラインナップで開催され、大会中は学生や若い獣医の先生の姿も多くみられた。
 令和という新しい時代に入り初めて開催された同学会は、参加者にとって記憶に残る有意義なものとなった。

講演の様子

懇親会会場にて大会の挨拶をする米澤覚合同学会長と、各大会長

先制動物医療研究会 第5回シンポジウム開催される

 2019年6月9日(土)、日本医科大学橘桜会館2階ホール(東京都文京区)にて、2019年度先制動物医療研究会 第5回シンポジウム「猫の肥満症」が開催された。
 犬や猫でも寿命が長くなるにつれ、ヒト同様に肥満が増加している。特に猫は、その独特な糖脂質代謝機構により、犬に比べ肥満になる傾向が高い。本シンポジウムでは研究会会長である新井敏郎先生(日本獣医生命科学大学)が、猫の肥満の発症のメカニズム、炎症との関連を講演し、血中のアディポネクチン濃度、血清アミロイドA蛋白(SAA)濃度が肥満症の早期診断マーカーとしての重要性が今後さらに高まると結論づけた。また、川角浩先生(日本獣医生命科学大学)は肥満発症のメカニズムにより、肥満に有効なサプリメントは、抗酸化作用と抗炎症作用を有するものが適しており、これら2つの作用を有するアスタキサンチンとケルセチンを肥満動物に与えた実験結果および臨床治験について紹介した。
 Life Diagnosticsの副社長であるLaura C. Chadwick氏がSAA濃度を測定できるSPARCL アッセイキットについてその使い方、さまざまな動物を使った実験結果について発表した。SAA濃度を検出するにはELISAも使用されるが、本キットの方が簡便・迅速に測定することができる。Chadwick氏はさらなる研究開発を進め、病気の早期発見に貢献したいと語った。
 先制動物医療研究会は「人と動物がともに健康に長生きできる社会の実現」に向け、会員を募集している。詳しくはhttps://www.pvm-s.com/を参照のこと。

日本獣医輸血研究会 第1回学術講習会 開催

 2019年5月29日(水)、堀場製作所 東京セールスオフィス(東京・御茶ノ水)にて日本獣医輸血研究会 第1回学術講習会が開催された。2012年に日本小動物血液療法研究会が発足し、輸血療法や献血プログラムに関する啓発活動を行ってきた研究会が、2018年より名称をあらためて行った初の学術講習会である。

 14時~18時までの4時間にわたり実施された本講習会は、前半を基礎編、後半を応用編に分けて展開。
 「①輸血用血液製剤作製のための設備」「②設備の導入方法」を鈴木裕子先生(Pet Clinic アニホス)、「③輸血用採血パックの使用方法」「④輸血採血方法~失敗しないテクニック~」を長島友美先生(ACプラザ苅谷動物病院 市川橋病院)、「クロスマッチ用セグメンントチューブ作製方法」を中村知尋先生(日本小動物医療センター)が基礎編として、応用編は輸血副反応をテーマに「①輸血副反応の種類について②輸血副反応の対処法について」を久末正晴先生(麻布大学)、献血対象動物をテーマに「①献血対象動物の指針について」を小林 輔先生(JVCC二次動物医療センター 目黒病院)、「②献血システム構築の歴史」を内田恵子先生(日本獣医輸血研究会会長)のプログラムが実施され、続く総合討論では日々の診療での疑問点に対し演者の先生方が丁寧に回答され、参加者は輸血への理解を深めた。

 本学術講習会は第1回~第6回まで実施され、すべて受講すると修了証が発行される。また、ホームページ上では輸血のスムーズな実施をめざして、近い将来に動画もアップ予定。
 「この学術集会を通して、まずは参加者がそれぞれに自分の動物病院の輸血状況をしっかりと把握していってもらいたい」。ここからがスタートだと内田会長。輸血療法のさらなる充実と普及を図っていきたいと語る。

内田恵子会長

進行を務めた、周藤行則先生

総合討論の様子

第15回獣医臨床感染症研究会(VICA) 開催

 2019年5月26日(日)、千葉衛生科学検査センター八千代ラボラトリー(千葉県)で、第15回獣医臨床感染症研究会が開催された。
 感染症を専門とする、獣医療・ヒト医療の関係者が集う本研究会では、感染症の診断や抗菌剤の適正な使用法を、現状をふまえながら模索・検討し情報を発信し続けている。

 第15回を迎える今回は、特別講演1として奥村 敦先生(米国アレルギー感染症研究所/コロンビア大学)による「動物由来致死性ウイルス感染症研究の最先端―エボラウイルス感染症から獣医師の身近な感染症まで―」をテーマに、エボラウイルス感染症や、アメリカと日本の獣医環境の相違、SFTSの最新情報、現在ニューヨークで麻疹の非常事態が宣言されていることなど、世界でリアルタイムに進行している事象を紹介された。
 また特別講演2は福井祐一先生(こまち動物病院)が「新たなダニ媒介性感染症Anaplasma phagocytophilum」と題し、茨城県での犬の疫学調査に把握された、SFTSに似た臨床徴候をみせ、ときに死に至る新しいダニ媒介性感染症Anaplasma phagocytophilum について紹介。症例報告、検査方法、効果が見込まれる抗生物質などに言及した。
 参加者たちは熱心に耳を傾け、講演後は積極的な質疑応答が交わされた。

 また本会の最後には、会の内外から寄せられた犬猫への感染が疑われる事案も紹介され、参加者たちへさらなる情報提供を呼びかけた。
 「今後も、より積極的な情報発信につとめていきたい」という村田佳輝会長。意欲に溢れる本研究会の活躍が望まれる。

奥村 敦先生

福井祐一先生

会の内外からの寄せられた事案も紹介。参加者へさらなる情報提供を呼びかける

The 10th Comparative Ocular Surface Diseases workshop 開催される

 2019年2月27日(水)〜3月1日(金)の3日間にわたり、北海道・ニセコノーザンリゾートアンヌプリにおいて、The 10th Comparative Ocular Surface Diseases workshopが開催された。節目の第10回大会である今回、初日のドライラボと2日目のセミナーを取材したので、その概要を報告する。

 初日のドライラボでは、「Ocular Surface Analyser “I.C.P.OSA-VET”」と題し、(株)イナミが取り扱う、マイボーム腺機能と涙液、涙液膜油層評価や非侵襲的涙液膜破壊時間の評価が可能な検査機器を使用したワークショップが行われた。5〜6人のグループに分かれ、それぞれお互いの眼を用いた測定にトライ。自身の動物病院で実際に導入した場合のことを考え、楽しみつつも具体的な操作方法を体感した。ある参加者からの、眼表面の様子を数値として可視化できることで、飼い主への予防啓発の根拠の1つになるのではないかという話が印象的であった。

 2日目のセミナーでは、本大会会長の齋藤陽彦先生(トライアングル動物眼科診療室)のドライアイに関する現状と提言の講演を皮切りに、岩下紘子先生(トライアングル動物眼科診療室)の「Tear osmolarity changes in three dogs with Ocular surface diseases(眼表面疾患の3頭のイヌにおける涙液浸透圧モル濃度の変化)」、本号で執筆されている掛端健士先生(かけはた動物病院)の「4 cases of intracorneal hemorrhage in dogs(犬の角膜内出血の4例)」、同じく執筆されている北村康也先生(八雲動物病院)の「Meibomian gland dysfunction after the onset of bilateral blepharitis in a dog:case report(犬の両側性眼瞼炎発症後のマイボーム腺機能不全の1例)、そして、須賀康晴先生(すが犬猫病院)の「FHV-1 Keratitis: Classification & pathophysiology(猫ヘルペスウイルス-1角膜炎:分類と病態生理学)」「Classification of FHV-1 strain(FHV-1株の分類)」が発表された。

 また、休憩を挟んで、今大会の発起人でもあるD.Maggs先生(カリフォルニア大学デービス校)の「Herpetic corneal diseases in cats:How well have we characterized epithelial versus stromal versus endothelial syndromes? (ネコのヘルペス性角膜疾患:上皮性間質性症候群と内皮性症候群の関連性について)」、今回のゲストスピーカーである鈴木 崇先生(東邦大学医療センター大森病院眼科)による「Diagnosis and treatment for herpetic keratitis and endotheliitis in human(人におけるヘルペス性角膜炎および内皮炎の診断と治療)」が行われた。どの講演後でも、活発な質疑応答が展開され、すべての参加者の意識の高さが垣間見えた。

 参加した太田充治先生(動物眼科センター)は、本大会の意義について、日本の最先端の情報を入手できる場所であり、同時に世界的にみても最先端の情報を入手できる場所で、少しでもその情報に触れるために参加しているとのこと。

 当日はECVO会長のVerbruggen先生をはじめ、ベルギーや韓国からも参加者が集まり、好天の銀世界に囲まれた会場で、お互いの意見を交換した。

会場の様子

第三回 比較臨床麻酔カンファレンス開催

 2019年3月17日(日)、国立科学博物館内日本館2F講堂において一般社団法人日本動物麻酔科医協会(JAVA)主催、VSJ合同会社共同運営による第三回比較臨床麻酔カンファレンスに110名以上が参加し、協賛企業8社で開催された。
 JAVAは「全く痛みのない外科治療を獣医療において定着させる」ことを活動目標の1つとしており、本カンファレンスもその活動の一環として2017年から年1回のペースで開催され、思いを共有する人たちの交流の場となっている。
 内容はKEYNOTE、OPINION、EVIDENCEの3部構成となっていた。KEYNOTEでは「日本の獣医療における麻酔科の近未来」をテーマにシンポジウムが行われ、二次診療病院の周術期管理チームにおいて麻酔科医が不可欠であること、一般診療病院が麻酔科医と協力することのメリット、女性獣医師の活躍の場として麻酔科が優れていることなどが複数の異なる立場から討論された。OPINIONでは「私はこう考える・麻酔計画とトラブルの予防対処」をテーマにパネルディスカッションが行われ、肥満患者、肥大型心筋症、非協力的な性格の患者、不整脈の対処に関して、麻酔科医同士の質問、助言、提案などが忌憚なく活発に行われた。EVIDENCEでは論文の検索から選択基準、読み方、考え方に関する講演が行われた。
 KEYNOTEは藤田淳先生、麻生暁秀先生、牛草貴博先生、古川美帆先生、三好紀彰先生、OPINIONは下田有希先生、古川美帆先生、土居瑛希子先生、鈴木さやか先生、石塚友人先生、飯塚智也先生、佐野洋樹先生、EVIDENCEは石塚友人先生が務められ、主な座長はJAVA代表の長濱正太郎先生が務められた。

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