小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

FUJIFILM MEDICAL SEMINAR 2016 in東京 

 2016年8月7日(日)、FUJIFILM MEDICAL SEMINAR 2016 in東京が、富士フイルム本社(東京ミッドタウン)で開催された。
 POC検査を用いての迅速判断と治療について、松木直章先生(東京大学)が「甲状腺機能亢進症の迅速診断と治療」、大野耕一先生(東京大学)が「肝酵素上昇をみたら;POC検査での次のステップ」について講演された。
 本セミナーでは、メイン会場である東京会場の他に、webセミナールームを設置し、TKP札幌カンファレンスセンター(北海道)、TKPガーデンシティ仙台(宮城県)、島根イン青山(東京)、富士フイルム名古屋ビル(愛知県)、ホテルメルパルク大阪(大阪)、RCC文化センター(広島県)、ウェルピア伊予鳳凰の間(愛媛県)、富士フイルムメディカル 九州地区本部(福岡県)、さらに参加者多数のため急遽、和歌山にも会場を設け同時進行でセミナーを配信。講演後は各会場からスマートフォンを利用しての質問が直接メイン会場に寄せられ、演者の先生方が回答されるという形式の質疑応答が行われ、メイン会場150名を超える参加者とともに、全国のwebセミナールームの約350名の参加者は、充実した時間を過ごした。会場では、今年8月1日に発売された動物病院用カセッテDRシステム「CALNEO Smart V」や、10月に新登場する総胆汁酸検査(TBA)なども紹介され、参加者たちは、富士フイルムの掲げる「確かな技術であること。」「確かな進化であること。」を実感できる4時間となった。

松木直章先生

大野耕一先生

会場の様子

Team HOPE 関東地区特別講演 開催

 2016年8月3日(水)、Team HOPE関東地区特別講演が品川シーズンテラス(東京)にて開催された。
 「健康診断スクリーニング検査に超音波検査を加えてみよう」と題し、石田卓夫先生(赤坂動物病院・Team HOPE学術顧問)が講演。検査の順序、スクリーニング検査の意義、臨床検査に超音波検査を組み込むことによる優位点を、多くの画像や動画を交え、機材の特徴から手技にいたるまで、わかりやすく解説された。「超音波検査は動物を右下に寝かせて時計回りに実施する、毛は刈らない、一ヵ所で気になる所見がみつかってもその時点で止まらず最後まですべての検査を実施しきる」「異常所見や気になる点がみつかったら、2次検査を実施し、毛刈りや麻酔を用いての検査はそのステップで行うとよい」などハードルが高いと思いがちな超音波検査のポイントを具体的に説明。健康な状態での検査に対する飼い主の不安や犬猫のストレスを軽減し、健康診断の敷居を低くすることの大切さをご自身の経験談を交えて90分にわたりお話しされた。100名を超える参加者たちは、自身の病院での健康診断の導入や予防医療の大切さを、改めて学び実感する講演となった。
 Team HOPEの会員数は700件を超え、活動のステージが第2ステージに入ったという太田亟慈代表。関東地区も含め、今後も全国で規模の大小を問わずに地区セミナーを開催し、Team HOPEの理念を共有する仲間を増やし、皆で獣医医療界の向上を目指していきたいとのこと。

講演会場の様子

石田卓夫先生

一般社団法人日本獣医眼科カンファランス2016年年次大会開催される

 2016年7月30日(土)、31日(日)の2日間にわたり、一般社団法人日本獣医眼科カンファランス2016年年次大会が開催された。初日は山の上ホテル(東京・御茶ノ水)において、限定特別セミナーが開催され、ミシガン州立大学准教授でアメリカおよびヨーロッパの獣医眼科専門医のAndras Komaromy先生が「緑内障による失明から守る最新アプローチ~遺伝子治療の可能性~」について講演された。緑内障の基礎から画像検査および機能検査、原発性開放隅角緑内障および閉塞隅角緑内障に関する遺伝学、細胞培養、前眼部および後眼部の遺伝子治療、幹細胞療法など多角的な観点から講演が展開された。

 2日目は、東京コンファレンスセンター(東京・品川)で実施され、一般演題からはじまり、シンポジウム「網膜と視覚に迫る」では、齋藤陽彦先生(トライアングル動物眼科診療室)座長のもと、「網膜電図と視覚」(前原誠也先生、酪農学園大学)、「ぶどう膜炎にみられる漿液性網膜剥離と視覚」(滝山直昭先生、日本大学)、「裂孔性網膜剥離のバリエーションと視覚」(若生晋輔先生、トライアングル動物眼科診療室)がそれぞれ解説された。総合討論でも、講演者3名がそれぞれの講演に質問を行い、フロアからも多くの質問が飛び交った。

 午後は、Andras Komaromy先生による網膜変性症の最新アップデートと題し、「突発性後天性網膜変性症候群-病態への新しい考え方とアプローチ」と「進行性網膜萎縮における最新治療-遺伝子治療の可能性」の2テーマが4時間以上にわたり講演された。

 梅雨明け後、最初の週末に開催された当会は、夏真っ盛りのなか2日間とも満席であった。

初日の様子

2日目の様子

日本ヒルズ・コルゲート主催「ここまできた!腎臓病の早期診断」セミナー 開催

 2016年7月24日(木)、アイデックスラボラトリーズ本社(東京)にて、日本ヒルズ・コルゲート主催による腎臓病の早期発見と早期治療に関するセミナーが開催された。
 「ここまできた!腎臓病の早期診断」と題し展開された本セミナーでは、前半は「慢性腎臓病のペットにより長く健康に暮らしてもらうために」と題しKathy L. Gross先生(Hill’s Pet Nutrition, Inc)が、後半は「犬猫のCKDの早期診断」と題し宮本賢治先生(日本小動物血液透析協会・エンジェル動物病院)が講演された。どちらも慢性腎臓病の犬猫がより長く健康に暮らしてもらうために大切な早期の診断について、本年7月より日本でも利用可能となった新しいCKD診断検査方法であるSDMA検査を交え、栄養学の介入とその効果や臨床現場で押さえておきたいポイントなどが解説された。
 会場には100名近くの参加者が集い、講演後は慢性腎臓病の犬猫の早期発見による臨床現場での効果的な対応方法など、活発な質疑応答がなされ、あらためて慢性腎臓病そして早期発見への関心の高さがうかがえた。

会場の様子

Kathy L. Gross先生

宮本賢治先生

国際動物専門学校・大宮国際動物専門学校「国際★どうぶつ祭」 開催される

 2016年7月23日(土)、24日(日)、国際動物専門学校にて今年で11回目を数える「国際★どうぶつ祭」が開催された。
国際動物専門学校には、動物看護・理学療法学科、動物看護・栄養学科、美容・デザイン学科、自然環境・動物飼育学科、しつけ・トレーニング学科があるが、それぞれの学科の特性を活かしたプログラム「ワンちゃんの身体検査&リハビリ!動物病院体験」「トレーナー犬ふれあい」「犬のデモンストレーション&トレーニング体験」「犬猫のリボン作り・エクステ作り・迷子札作り」「ワンちゃんのおやつ作り」「ワンちゃんのファッションショー」などが学生たちの手により行われた。プログラムによっては犬、インコ、爬虫類などに触れるコーナー、連れてきたペットに参加してもらうコーナー、クイズコーナー、ミニゲームもあり、来場者の楽しそうな様子がうかがえた。会場には、ペットを連れた方や、家族連れの方、学生の父兄、近所の子供たちなどさまざまな方が来場し、大きな賑わいをみせていた。
 なお、同じ日程で大宮国際動物専門学校でも5回目となる「大宮国際★どうぶつ祭」が開催された。両校の総来場者数は2,936名で、前年の2,323名を大きく上回る結果となった。

ワンちゃんのファッションショーの様子

第57回比較統合医療学会大会 開催される

 2016年7月2日(土)、3日(日)、日本獣医生命科学大学(東京)において、第57回比較統合医療学会大会が開催された。
 2日は、「米国の新しいヘルスケアの潮流―統合医療を中心に」と題し、安西英雄先生(アンザイ アンド アソシエイツ)の講演が行われ、日本のこれからの獣医療を考えていくうえで、たいへん参考となる内容であった。3日午前中は、鈴木信孝先生(金沢大学)のシンポジウム「補完代替医療と汎動物学」、岡田ゆう紀先生(日本獣医生命科学大学)のシンポジウム「アメリカの針診療の資格取得のシステムについて(Chi institute 小動物)」、富岡美千子先生(北里大学)のシンポジウム「ウマの鍼灸学トレーニングプログラム受講」が、午後には一般講演5題が発表された。また会期中は会場内にポスター発表3題が展示されていた。
 今大会は、昨年2015年11月に「日本伝統獣医学会」より「比較統合医療学会」と会名変更してから初の学会となる。本学会はヒトと動物、現代と伝統、西洋と東洋といった医療分野を比較統合した考察、議論の場となり、それぞれの医療分野に寄与することを目的とし、今後も活動を続けていく。

会場の様子

WJVF第7回大会 開催

 2016年7月8日(金)~10日(日)、ホテルニューオータニ大阪にて、WJVF第7回大会が開催された。今年は金曜日の午後からのスタートとなり、初日から多くの獣医師の先生方や動物看護師の方々が集った。
 「獣医師セッション」「スペシャリストに聞いてみよう」「動物看護師セッション」「獣医師・動物看護師共通セッション」「実習」にカテゴリー分けしたプログラム構成で、呼吸器、循環器疾患や、画像診断学、腫瘍学、神経学、軟部・整形外科学、眼科学や口腔外科、内分泌学、麻酔学や行動学など、今年もプログラムは多岐にわたった。市民公開講座が今年は別の日程であったにも関わらず、1,700名を超える獣医療関係者が参加され、目的の会場へ足を運び、充実した3日間を過ごした。また恒例のスタンプラリーやFacebookページに各出展企業が紹介されるといったイベントが今年も実施され、企業展示ブースも大いに盛り上がった。
 2019年の9月に東京で開催されるFASAVAとの共同開催に向け、JAHA、JBVPとともに共通の理念をもち、伴侶動物医療の向上、そして高齢者が動物と暮らしやすいような社会づくりに貢献していきたいと石田卓夫会長。JBVP同様WJVFのさらなる発展、社会貢献への思いが強く感じられた。
 WJVF第8回大会は、2017年7月7日(金)~9日(日)ホテルニューオータニ大阪にて開催予定。

開会式にて石田卓夫会長

会場の様子

第3回 猫の集会 開催される

2016年7月3日(日)、品川インターシティホール(東京)にて、「臨床獣医師・動物看護師のための勉強会 第3回猫の集会」が開催された。主催はISFM(国際猫医学会)の日本組織である、Japanese Society of Feline Medicine(JSFM、ねこ医学会)。今回は獣医師向けの「Academic session」と動物看護師・スタッフ向けの「CFC session」に分かれ展開された。

 「Academic session」では「猫の腎臓病を網羅する―CKDを中心に―」をテーマに、「Overview:腎臓病と心臓病の関連」「内科学・治療」を竹村直行先生(日本獣医生命科学大学)、「臨床病理学・診断学」石田卓夫先生(赤坂動物病院)、「画像診断学」戸島篤史先生(日本小動物医療センター)が講演され、用語を的確に用いることの大切さや、SDMA検査等、猫の腎臓病のブラッシュアップとともに最新のトピックも盛り込まれたセッションとなった。「CFC session」では、「腎臓病猫の看護管理学」難波信一先生(マーブル動物医療センター)、「栄養管理 基礎~応用」上田綾子氏(ロイヤルカナンジャポン)、「猫の行動学・問題行動」入交眞巳先生(日本獣医生命科学大学)、「猫にやさしい診療・入院管理編」桑原 岳先生(くわはら動物病院)が、講義された。この講義は、ライブビューイングで実施され、参加者たちは少人数の教室でそれぞれ学ぶことができた。2017年にはカリキュラム制度が導入される予定である。

 また今回は、猫の集会の開催前に「CFC特別セッション」がランチョンセミナー形式で実施された。班ごとに分かれてハード面、ソフト面での工夫について発表され、参加者たちは、日々の猫の診療をとりまく疑問や悩みを共有しあい、白熱したセッションとなった。
今後も猫医学の底上げに尽力していきたいという石田卓夫会長。今回は500名を上回るの参加者が集った。

会場の様子

第15回日本獣医がん学会 開催される

 2016年6月25日(土)、26日(日)東京コンベンションホール(東京)にて、第15回日本獣医がん学会が開催された。
 初日のシンポジウムは2テーマを設けて行われ、午前中は「腫瘍摘出後の再建外科を医学から学ぶ」をテーマに頭頚部の機能温存と生存率の向上を目指した再建術と超選択的動注化学療法や、上部消化管外科における機能温存再建手術について、午後は「疼痛管理」をテーマに、犬猫の痛みの評価や鎮痛薬、外科施術手技に応じた周術期疼痛管理、担癌患者の症例を交えた癌性疼痛管理やインフォームドコンセントについて講演が行われた。
 2日目のメインシンポジウムでは「頭頚部扁平上皮癌」をテーマにして「頭頚部扁平上皮癌の臨床病理」平田雅彦先生(アイデックス ラボラトリーズ)、「頭頚部扁平上皮癌の病理」賀川由美子先生(病理組織検査ノースラボ)、「頭頚部扁平上皮癌の画像診断」和田昌絵先生(ORM神経病・読影センター)、「頭頚部扁平上皮癌の外科」相川 武先生(相川動物医療センター)、「頭頚部扁平上皮癌の内科・放射線療法」細谷謙次先生(北海道大学)の講演がなされ会場の先生方は熱心に耳を傾けた。
 また、前回のがん学会に引き続きランチョンセミナーが行われた。石田卓夫先生(赤坂動物病院)による「すべての化学療法実施症例にペディオコッカスを」(協賛:共立製薬)、小笠原聖悟先生による「ゼロから学ぶ骨髄検査~手技から診断まで~骨髄検査材料の採材と標本準備」(協賛:アイデックス ラボラトリーズ)、青木琴代先生による「ランチョンだから話せる!キャミック画像診断」、久楽賢治先生による「腫瘍疾患に生かすCT・MRI画像診断」(協賛:キャミック)、大参亜紀先生(東京大学)による「CHOPプロトコルを使いこなしてみよう!~犬の多中心型リンパ腫を中心として~」(協賛:ファームプレス)と、前回より2枠増えての展開となった。
 この他、一般口演、教育講演およびⅡ種対応の総合教育講演(8項目)も行われた。
 次回第16回は、2017年1月28日(土)、29日(日)大阪で実施予定。

会場の様子

第54回日本大学獣医学会 開催される

 2016年6月25日(土)、日本大学生物資源科学部1号館(神奈川県)において、第54回日本大学獣医学会が開催された。
 午前中は日本大学生物資源科学部獣医学科の各研究室より一般講演10題(うち紙上発表1題)が発表された。午後から行われた教育講演では、テーマを「今、知っておくべき猫の医学」とし、日本大学からは五味浩司先生(獣医解剖学研究室)「猫と犬の比較解剖学」、枝村一弥先生(獣医外科学研究室)「実は多い高齢猫の関節疾患」、亘 敏広先生(獣医内科学研究室)「猫の消化管疾患 IBD?それともリンパ腫?」が、また学外からも、入交眞巳先生(日本獣医生命科学大学)「猫の行動から猫を知る」、永田雅彦先生(どうぶつの総合病院)「“ねこ”の皮膚科診療」、難波信一先生(マーブル動物医療センター)「猫の糖尿病治療~そんなに簡単??~」、全6題の講演が行われた。
 今回の総参加者数は200名を上回り、日本大学校友の先生方、また数多くの在学生が集まり、ほぼ満席の状態で熱心に聴講していた。長い伝統に培われた連携によって若い世代の成長を後押しする貴重な学会でもあり、今後も長く充実した活動が期待される。

会場の様子

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