2016年9月23日(金)~25日(日)、第18回 日本臨床獣医学フォーラム年次大会が東京、ホテルニューオータニで開催された「もっと考えよう 伴侶動物との暮らし-どうぶつにやさしい医療-FUTURE:今こそ、伴侶動物医療の未来を見つけよう」をテーマに、今年も小動物臨床獣医師、VNおよび市民対象のプログラムが展開された。画像診断、腫瘍、神経病、軟部外科、整形外科、放射線、歯科、皮膚病、循環器、栄養、行動等、今大会も多岐にわたったプログラム構成に、参加者たちは目的の講演へ足を運び、熱心に耳を傾けた。
今年も金曜日の早朝からプログラムが組まれ、初日の朝から会場はすでに満席、立ったまま聴講する参加者の姿が目立った。
また、2019年に東京で開催されるFASAVAを控え、今回は英語によるプログラムも随所にあり、また海外からの演者も多数招聘された。
「2019年FASAVAにむけて、海外からの参加者への対応を進めていきたい。JBVPはより国際色豊かになっていく」と石田卓夫会長。東京都獣医師会とともに、FASAVAを成功させ、伴侶動物医療の未来が一層素晴らしいものになるように、という意気込みがあふれる今大会であった。
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第18回 日本臨床獣医学フォーラム年次大会2016 開催
2016/9/26
第159回日本獣医学会学術集会 開催
2016/9/21
2016年9月6日(火)~8日(木)、第159回日本獣医学会学術大会が日本大学生物資源科学部(神奈川)で開催された。
今大会のスローガンは「獣医学が紡ぐOne Health」。One Health関連の司宰機関企画のシンポジウムをはじめ、大動物、小動物、野生動物にかかわる多数のシンポジウムや勉強会が行われた。
International Society for Human and Animal Mycology (ISHAM)獣医-医藻類ワーキンググループ共催シンポジウムでは、加納 塁先生(日本大学)をはじめ、海外からJacques Guillot先生(フランス)、Vanessa R. Barrs先生(オーストラリア)、Richard Malik先生(オーストラリア)を招いて展開され、マラセチアやクリプトコックス、アスペルギルスといった真菌を原因とする感染症について、感染経路や治療などについて海外の状況に参加者たちは熱心に耳を傾けた。日本での現状をふまえた質問など活発な意見交換がなされ、参加者たちの熱意があふれるシンポジウムであった。いっぽうOSCE委員会医療面接分科会によるスーパーバイザー講習会では、全国の獣医大学の先生方が集まり、獣医大学生のための医療面接実習を指導する「スーパーバイザー」についての講習会が行われた。スーパーバイザーは、実習において、獣医師役の学生、バーバル(言葉によるコミュニケション)およびノンバーバル(言葉以外のコミュニケーション)をチェックする学生、模擬クライアントのすべてをとりまとめる役目を持つ。講習会では、学生や模擬クライアントにボランティアで協力していただき、スキルアップのために医療面接実習にてどのように学生に指導していくか、その構成やテクニックについて学んだ。
台風の影響が懸念されたが全日程を通じて多くの参加者が集い、One Healthの推進への熱意が感じられる3日間であった。
2016年9月4日(日)、ベルサール渋谷ファースト(東京都渋谷区)において、オーラベット®新発売記念セミナー「Dr.Brook Niemiecによる口腔疾患の最新情報」が実施された。
Dr.Brook Niemiecはアメリカ獣医歯科学会およびヨーロッパ獣医歯科学会の認定歯科専門医で、獣医歯科学会前会長、世界小動物獣医学会の代議員であり、獣医歯科に関する多くの著書を手がけている。今回各60分、計360分にわたり「歯周病、病因とその影響」「歯周の治療」「犬と猫の口腔病理に関する最新情報」「より易しい抜歯法(疼痛管理含む)」「外科的抜歯および合併症」「歯科X線検査のテクニックと読影」の6テーマについて解説が行われた。さらにQ&Aの時間も設定され、非常に充実した内容であった。
また今回の講演は日本小動物歯科研究会後援のもと行われ、座長には歯科研究会理事の網本昭輝先生(アミカペットクリニック)、大場茂夫先生(日本大学獣医学科)、本田 洋先生(本田動物病院)らが名を連ねた。
講演では最新知見に基づく検査から外科的治療の具体的なポイントのほか、歯周病の全身への影響、 無麻酔下での歯科処置の危険性、そして術前検査の重要性が紹介、解説された。とくに歯垢が24時間で形成されることから、口腔衛生管理には積極的なホームケアひいては飼い主教育が重要であり、今回のオーラベット®は噛むことによる物理的作用とデルモピノールによる化学的作用の組み合わせにより、ホームケアの一助になり得ると解説された。
犬の飼育頭数の減少が懸念されるなか、とくに犬のデンタルケアは現在の動物病院が抱える問題を改善する大きな手段の1つであるといえる。約250名の聴講者が長時間熱心に耳を傾けている姿から、臨床現場における獣医歯科情報のニーズは年々高まっていると思われた。
R.E.A.D.プログラム 開催
2016/9/20
2016年9月3日(土)、三鷹市立三鷹図書館(東京)でReading Education Assistance Dog(R.E.A.D.)プログラムが、JAHA(公益社団法人 日本動物病院協会)のCAPP活動の1つとして新たに展開された。
R.E.A.Dプログラムは「犬に本を読んであげる」という方法で人の読書能力を改善することを目的に、1999年にアメリカで発祥したプログラム。日本においては、子どもたちが人と話すときに緊張状態に陥らない、自分の伝えたいことをストレスなく相手に伝えられるといった、他とのコミュニケーション能力や自尊心を高めるのに大きな役割を果たすという。今回、JAHA、フォトジャーナリストの大塚敦子さん、そして三鷹市立図書館の協力により実現した。
本プログラムは、事前にボランティアの方々と犬たち、そして子どもたちとオリエンテーションを行い、「突然走らない」「大声を出さない」「突然触らない」など犬との接し方を学び、またアレルギーの問題など衛生面もクリアしたうえで、本番を迎えた。
12名の4~12歳の子どもたちが、各々のパートナーとなる犬一頭(CAPP活動犬)とその飼い主(ボランティア)とともに、区切られたスペースにソフトなマットを敷いて腰を下ろし、子どもたちがそれぞれに選んできた本を、犬に読み聞かせた。
「犬との正しい接し方を学び、そのからだの暖かさや毛並の柔らかさに触れながら得意に本を読み聞かせることで、自信、自尊心の醸成にも役立つ。集合住宅に住む都会の子どもたちに身近な命に気付いてもらえた」「将来的に動物病院もかかわっていくためには、子どもの学習の基本と、動物行動学の知識をしっかりと習得することが大切」と本活動をとりまとめる柴内裕子先生(赤坂動物病院)。今回だけでなく、2回目、3回目とできる限り開催していきたいと三鷹図書館の田中博文館長はいう。R.E.A.D.プログラムの今後の広がりが期待される。
「温かいね…」。
R.E.A.D.プログラム オリエンテーションでの一場面
同オリエンテーションの様子。
子どもたちは、犬との関わりあい方も学ぶ
R.E.A.D.プログラム 本番。
子どもたちが自分で選んだ本を犬に読んであげた
第9回 日本獣医腎泌尿器学会学術集会・総会 開催される
2016/9/9
2016年8月21日(日)、東京都千代田区の連合会館において、第9回日本獣医腎泌尿器学会学術集会・総会が開催された。
午前中は「猫CKDにおける腎性貧血」をテーマとしたパネルディスカッションが行われ、宮川優一先生(日本獣医生命科学大学)による「猫CKDにおける腎性貧血の重要性」、山野茂樹先生(うえだ動物クリニック)による「猫CKDにおけるESA(赤血球造血刺激因子)療法」、岩井聡美先生(北里大学)「猫CKDにおけるErythropoiesis-stimulating agents耐性」の3題が発表された。腎性貧血治療のエビデンスが少ない猫における、エリスロポエチン産生低下や鉄欠乏への対処について、その重要性が解説され、実践的な方法も提示される内容であった。また、ランチョンセミナーでは阪本浩和先生(株式会社カネカ)「ネコ・エリスロポエチンの開発」が、午後からは全12題の一般症例・研究発表が行われた。
参加人数は150名を超え、会場は午前中からほぼ満席の状態であり、今回テーマとなった猫CKDにおける腎性貧血への関心の高さがうかがえた。
共同運営夜間救急動物病院連絡会(NANEHA) 開催
2016/8/29
2016年8月22日(月)、共同運営夜間救急動物病院連絡会(NANEHA; Nationwide Jointly Operated Nighttime Emergency Animal Hospital Association)が北摂夜間救急動物病院(大阪)で開催された。本会は、夜間救急動物病院の運営、経営などを中心とした情報交換を行うことを目的に、全国の共同運営による夜間救急動物病院の関係者が集まった団体であり、今回3回目の集まりに際し、NANEHA(ナネハ)の名称のもと、運営していくこととなった。
NANEHA発足後の第1回目となる今回は、人材確保の難しさ、夜間の防犯、動物看護師の夜間救急医療へのかかわり方、コスト面などについて話し合われた。またアメリカにて救急医療の現場で活躍されている専門医の上田 悠先生(カルフォルニア大学デービス校)を招いてアメリカでの救急医療や勤務形態などについての話しもあり、アメリカでの救急医療と比較しながら、日本での救急医療の現場の改善について、運営側の立場として活発な意見交換がなされた。
本会は今後も定期的に開催し、共同運営の夜間救急動物病院の質の向上に努める。
夜間救急医療への関心を高め、共同運営だからこそできることを模索しつつ、より有意義な情報交換を行っていきたいという、熱気にあふれた会となった。
一般社団法人日本動物病院マネージャー協会第4回大会実施される
2016/8/17
2016年8月10日(水)、ザ ランドマークスクエアトーキョー(東京都港区)において、一般社団法人日本動物病院マネージャー協会第4回大会が実施された。
第2回定期総会のあと、研修会として第1部「獣医師のリクルート~今どきの獣医学生が望む臨床の現場とは~」と題し、王禅寺ペットクリニックの川瀬英嗣先生が講演された。合同就職説明会時に獣医学生に行ったアンケートをもとに、選考で最も信じる情報、実習先で何をみているかなど、非常に具体的な内容で、現在の獣医学生の実像と動物病院側の理想像のギャップが浮かび上がる内容であった。
つづいて第2部「マネージャーの仕事とアウトソーシング~院長、その仕事、他の人でもできませんか? こんなにある、動物病院での獣医療以外のお仕事~」と題し、ワラビー動物病院グループの溝口健太氏が講演された。マネージャーとして実際にあった給与や社会保険料などに関する経験などを事例にアウトソーシングの重要性と活用法を解説された。
なお、先の定期総会において、これまで溝口氏が務めていた会長職に、亀山動物医療センター事務長の亀山良久氏が就任、副会長に大久保文葉氏(大久保動物病院)、日下部ゆみ氏(新座・平塚動物総合医療センター)が就任するなど、新体制が発足した。そして、今回も100名を超える聴講者が集まる状況をみると、獣医界におけるマネージャーの重要性はますます高まっていると思われた。
FUJIFILM MEDICAL SEMINAR 2016 in東京
2016/8/16
2016年8月7日(日)、FUJIFILM MEDICAL SEMINAR 2016 in東京が、富士フイルム本社(東京ミッドタウン)で開催された。
POC検査を用いての迅速判断と治療について、松木直章先生(東京大学)が「甲状腺機能亢進症の迅速診断と治療」、大野耕一先生(東京大学)が「肝酵素上昇をみたら;POC検査での次のステップ」について講演された。
本セミナーでは、メイン会場である東京会場の他に、webセミナールームを設置し、TKP札幌カンファレンスセンター(北海道)、TKPガーデンシティ仙台(宮城県)、島根イン青山(東京)、富士フイルム名古屋ビル(愛知県)、ホテルメルパルク大阪(大阪)、RCC文化センター(広島県)、ウェルピア伊予鳳凰の間(愛媛県)、富士フイルムメディカル 九州地区本部(福岡県)、さらに参加者多数のため急遽、和歌山にも会場を設け同時進行でセミナーを配信。講演後は各会場からスマートフォンを利用しての質問が直接メイン会場に寄せられ、演者の先生方が回答されるという形式の質疑応答が行われ、メイン会場150名を超える参加者とともに、全国のwebセミナールームの約350名の参加者は、充実した時間を過ごした。会場では、今年8月1日に発売された動物病院用カセッテDRシステム「CALNEO Smart V」や、10月に新登場する総胆汁酸検査(TBA)なども紹介され、参加者たちは、富士フイルムの掲げる「確かな技術であること。」「確かな進化であること。」を実感できる4時間となった。
松木直章先生
大野耕一先生
会場の様子
Team HOPE 関東地区特別講演 開催
2016/8/5
2016年8月3日(水)、Team HOPE関東地区特別講演が品川シーズンテラス(東京)にて開催された。
「健康診断スクリーニング検査に超音波検査を加えてみよう」と題し、石田卓夫先生(赤坂動物病院・Team HOPE学術顧問)が講演。検査の順序、スクリーニング検査の意義、臨床検査に超音波検査を組み込むことによる優位点を、多くの画像や動画を交え、機材の特徴から手技にいたるまで、わかりやすく解説された。「超音波検査は動物を右下に寝かせて時計回りに実施する、毛は刈らない、一ヵ所で気になる所見がみつかってもその時点で止まらず最後まですべての検査を実施しきる」「異常所見や気になる点がみつかったら、2次検査を実施し、毛刈りや麻酔を用いての検査はそのステップで行うとよい」などハードルが高いと思いがちな超音波検査のポイントを具体的に説明。健康な状態での検査に対する飼い主の不安や犬猫のストレスを軽減し、健康診断の敷居を低くすることの大切さをご自身の経験談を交えて90分にわたりお話しされた。100名を超える参加者たちは、自身の病院での健康診断の導入や予防医療の大切さを、改めて学び実感する講演となった。
Team HOPEの会員数は700件を超え、活動のステージが第2ステージに入ったという太田亟慈代表。関東地区も含め、今後も全国で規模の大小を問わずに地区セミナーを開催し、Team HOPEの理念を共有する仲間を増やし、皆で獣医医療界の向上を目指していきたいとのこと。
講演会場の様子
石田卓夫先生
一般社団法人日本獣医眼科カンファランス2016年年次大会開催される
2016/8/3
2016年7月30日(土)、31日(日)の2日間にわたり、一般社団法人日本獣医眼科カンファランス2016年年次大会が開催された。初日は山の上ホテル(東京・御茶ノ水)において、限定特別セミナーが開催され、ミシガン州立大学准教授でアメリカおよびヨーロッパの獣医眼科専門医のAndras Komaromy先生が「緑内障による失明から守る最新アプローチ~遺伝子治療の可能性~」について講演された。緑内障の基礎から画像検査および機能検査、原発性開放隅角緑内障および閉塞隅角緑内障に関する遺伝学、細胞培養、前眼部および後眼部の遺伝子治療、幹細胞療法など多角的な観点から講演が展開された。
2日目は、東京コンファレンスセンター(東京・品川)で実施され、一般演題からはじまり、シンポジウム「網膜と視覚に迫る」では、齋藤陽彦先生(トライアングル動物眼科診療室)座長のもと、「網膜電図と視覚」(前原誠也先生、酪農学園大学)、「ぶどう膜炎にみられる漿液性網膜剥離と視覚」(滝山直昭先生、日本大学)、「裂孔性網膜剥離のバリエーションと視覚」(若生晋輔先生、トライアングル動物眼科診療室)がそれぞれ解説された。総合討論でも、講演者3名がそれぞれの講演に質問を行い、フロアからも多くの質問が飛び交った。
午後は、Andras Komaromy先生による網膜変性症の最新アップデートと題し、「突発性後天性網膜変性症候群-病態への新しい考え方とアプローチ」と「進行性網膜萎縮における最新治療-遺伝子治療の可能性」の2テーマが4時間以上にわたり講演された。
梅雨明け後、最初の週末に開催された当会は、夏真っ盛りのなか2日間とも満席であった。