2017年1月28日(土)・29日(日)に、第16回日本獣医がん学会がホテルニューオータニ(大阪)で開催された。
16回目を数える今学会のメインテーマは「形質細胞腫」で、メインシンポジウムでは小笠原聖悟先生(アイデックスラボラトリーズ(株))が「形質細胞腫瘍の臨床病理」と題し臨床病理について、田邊美加先生(動物病理診断センター)が「君の名は?-“形質細胞”の名前がつく腫瘍を理解する-」と題し病理について、小林哲也先生(日本小動物医療センター付属 日本小動物がんセンター)が「形質細胞由来の腫瘍:診断と治療」と題し診断・治療を解説され、その後の総合討論では石田卓夫先生(赤坂動物病院)が座長を務められての総合討論が展開された。検査時の条件の統一の重要性や、細胞をアニメキャラクターにおきかえたわかりやすい解説、治療薬の用い方など、各先生方による丁寧なお話に、会場は熱心に耳を傾け、質問も飛び交い熱気あふれるシンポジウムとなった。また続く同テーマのケーススタディでは9題が発表され「形質細胞腫」に関する理解を深めた。
この他、本会獣医腫瘍科認定医II種対応およびI種対応の講習会やシンポジウムや、企業協力によるランチョンセミナー、また一般口演など、盛りだくさんの内容に、約600人の参加者たちは、充実した2日間を過ごした。「より『がん』の専門性を高めた学会を目指していきたい」と日本獣医がん学会会長の石田卓夫先生は語る。次回は本年夏、東京で開催。
学会・セミナーレポート
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第16回日本獣医がん学会 開催
2017/1/30
獣医オゾン療法臨床報告会 開催される
2017/1/30
2017年1月29日(日)、(株)堀場製作所東京セールスオフィス2階プレミアムホール(東京・神田)にて「獣医オゾン療法臨床報告会」が開催された。
はじめに、「オゾン療法概要」として鷲巣 誠先生(日本医療・環境オゾン学会獣医部会会長、アニマルウエルネスセンター代表取締役)が講演され、オゾンに関する生物学的な効果および臨床応用などを解説された。次に三浦敏明先生(北海道大学名誉教授)による「オゾン療法の作用メカニズムについて」の講演が行われ、抗炎症作用や血流改善などの効果に関して作用機序をふまえながら解説された。
そして、臨床報告として「慢性疾患の犬猫に対してオゾン療法を実施した症例報告」國分 亮先生(みなとよこはま動物病院)、中山一也先生(中山犬猫病院)、山田武喜先生(亀戸動物総合病院)、浜野貴行先生(目白動物病院)、永岡勝好先生(みなとよこはま動物病院)、「オゾン療法の取り組み」阿部知弘先生(アネモネ動物病院)、「オゾン療法情報のあれこれ」田口 徹氏((有)オーテックラボ)が行われた。当日は15時から18時までの予定だったが、大幅に時間を延長し、質疑応答でも活発な意見交換が行われた。
日本獣医学専門医奨学基金(JFVSS)クラウドファンディング開始
2016/12/28
一般社団法人日本獣医学専門医奨学基金(JFVSS、代表:小林哲也先生、http://www.jfvss.jp/)では、2016年12月21日よりクラウドファンディングサイト READYFOR において、米国獣医学専門医の養成をサポートするプロジェクトを開始した。
JFVSSはコロラド大学(CSU)と提携し、CSUの専門医教育プログラムへ奨学生を派遣する活動を行っている。1年おきに1名を選出、奨学生が安心してレジデントプログラムを続けられるよう、多角的、継続的に支援する。
様々な科目の獣医学専門医を国内に増やすことで、犬や猫たちがより高度な医療を受けやすくなることを目指す本活動。クラウドファウンディングという新しい方法により、賛同者の広がりを期待している。詳細は下記サイトより。
https://readyfor.jp/projects/jfvss
第58回 比較統合医療学会大会 開催
2016/12/13
2016年12月10日(土)、11日(日)、日本獣医生命科学大学(東京)において、第58回比較統合医療学会大会が開催された。
10日午後に開会後、岸上義弘先生(岸上獣医科病院)によるシンポジウム「獣医領域の再生医療の実際」、続いて荒島康友先生(日本大学)による教育講演「登校拒否、うつ病様、CFS等を呈すZoonosis~Q熱、パスツレラ症~」が行われた。
11日午前には、太田伸生先生(東京医科歯科大学)による講演「寄生虫感染症と統合医療:治療薬開発の経緯を辿る」が行われた。この講演では、マラリア治療薬であり住血吸虫病治療薬でもある青蒿素などを例として取り上げ、民間で伝承されてきた生薬から治療薬が開発されてきた経緯を紹介、それらの薬効機序解析から、今後期待される薬剤開発の展望や課題などが解説された。比較統合医療の1つの方向性として、伝統的医療に対する科学的アプローチが示される興味深い内容であった。
午後には一般講演7題が発表され、症例発表や感染症認知度調査など、それぞれ幅広い分野での取り組みが示された。
本大会のテーマは「比較統合医療の展望」であり、今後の展開にさまざまな方向性があることを感じさせる大会であった。
大切な家族のために選ぶ自然派フードをコンセプトに、アメリカのペットフード市場で急成長を遂げる大手フードメーカー「ブルーバッファロー」は、2016年12月1日から新発売の「ブルー ナチュラル ベテリナリー ダイエット(NVD)」の発売記念セレモニーを2016年12月11日(日)泉ガーデンギャラリー イベントホール(東京都・港区)で開催。ブルーバッファロー社副社長のTom Pletcherno氏による「ブルー製品について」、同社の研究開発担当上級副社長のGregory Reinhart先生による基調講演「抗酸化成分のパワーと予防医学における食事管理について」に続き、「最新のペットフード情勢と今後求められる先制医療とペットフードとの関係」と題し、氏政雄輝氏((株)VM3)コーディネートの元、新井敏郎先生(日本獣医生命科学大学)、西平衣里氏((公社)アニマル・ドネーション)およびブルーバッファローのGregory Reinhart先生をパネラーとして招き、先制医療、健康寿命の大切さとその将来について、それぞれの立場から解説された。
飼い主を「ペットペアレンツ」とよぶ同社は、ブルーバッファロー財団も起業と同時期に立ち上げており、がんの研究を進めるアメリカの複数の大学に資金提供も行ってるとのこと。家族の一員であるペットのため、そして社会のために努めていきたいという情熱にあふれるセレモニーであった。
第37回 動物臨床医学会年次大会開催される
2016/11/21
2016年11月18日(金)~20日(日)の3日間にわたり、大阪国際会議場(グランキューブ大阪)にて第37回動物臨床医学会年次大会が開催された。
約20会場にて170コマにおよぶパネルディスカッション、セミナー、症例検討、一般口演などが行われ、2,300名を超える参加者が、それぞれ目的の講演を回っていた。講演内容は小動物臨床のみならず、産業動物医療、動物看護師・スタッフ対象、また経営関連の内容から市民公開講座まで多岐にわたり、充実したものであった。
また動物臨床医学会では2015年より「獣医総合臨床認定医制度」を設立、本大会の指定セミナー受講も認定医受験資格取得の必要項目となっており、そのポイント記録用の手帳が入口に並ぶ会場を多く見かけた。
次回大会は、2017年11月17日(金)~19日(日)、同じく大阪国際会議場にて開催の予定となっている。
第5回 ペットとの共生推進協議会シンポジウム 開催
2016/11/14
2016年11月13日(日)、ペットとの共生推進協議会による「第5回 ペットとの共生推進協議会シンポジウム『ペットとの“真の共生”を目指して』人と動物の福祉を推進する~」が、東京大学弥生講堂・一条ホール(東京・文京区)にて開催された。
「ペットとの暮らしが健康寿命を延ばす」をテーマに展開された本シンポジウムでは、基調講演として星 旦二先生(首都大学東京)による「ペットとの暮らしが健康寿命を延ばす」のご講演で健康長寿の背景、要因がつぶさな調査に基づき紹介され、続くパネルディスカッションでは、越村義雄氏(本シンポジウム実行委員長)の司会のもと、パネリストとして柴内裕子先生(赤坂動物病院)、武内ゆかり先生(東京大学)、則久雅司氏(環境省)により、前述の基調講演の内容を振り返りながらのディスカッションが展開された。今年20周年を迎える公益社団法人日本動物病院協会(Japanese Animal Hospital Association:JAHA)のCAPP活動での経験からペットとの共生の有用性が解説され、また自身の体験をもとに獣医行動学の視点からペットを通した飼い主の状況把握の可能性、環境省の動物愛護管理行政や今後取り組むべき方向性などが話題にのぼった。ペットとの共生に関し、それぞれの分野で活躍される先生方のディスカッションに300人収容の会場は立ち見がでるほどであった。本協議会の熱い思いが伝わるシンポジウムであった。
第6回動物看護大会 開催
2016/10/30
2016年10月30日(日)、日本獣医生命科学大学(東京)で、一般社団法人日本動物看護職協会による第6回動物看護大会が開催された。「〜私たちの目指すプロフェッショナルとは!?〜」をテーマに行われた今大会では、初の試みとして海外から講師を招聘。アメリカでVTS(Veterinary Technician Specialist)として活躍するKenichiro Yagi先生(カリフォルニア州Adobe Animal Hospital勤務、Foothill College講師)を招き、第1部「目指せVTS! 動物看護スペシャリストへの道」ではアメリカと日本での動物看護師を取り巻く環境のちがいを、第2部「Just Breathe! Respiratory Emergencies(深呼吸:落ち着いて呼吸困難のアセスメントをする方法)」では、救急医療の現場で呼吸困難に陥った動物への初期アセスメントと処置について講演された。アメリカと日本では動物看護師の職域は異なるものの、動物の看護のプロとして、獣医師からどのような指示を受けても理解を示せるだけの知識を常に身につけておくことが大切であると、Yagi先生はいう。この他、今大会での初の試みとして実習セミナーおよび日本獣医生命科学大学付属動物医療センター見学ツアーを展開された。
「今日の1日が、参加者の方々にとっての明日への一歩になれば」と横田淳子会長。日本での動物看護師が担う役割、法的整備の前進に尽力される本協会の熱意を強く感じる大会であった。
日本動物看護職協会 横田淳子会長
Kenichiro Yagi先生
日本獣医整形外科センター開設記念講演 開催
2016/10/30
2016年10月29日(土)、本センターによる開設記念講演が研究社英語センタービル(東京・新宿)にて、開催された。
整形外科治療で、安心して相談できる施設があれば、かつて助けられなかった動物たちを助けられたかもしれないという思いから、同年7月に立ち上がった本センター。代表の桐原信之先生(所沢アニマルメディカルセンター)、センター長は樋口雅仁先生(動物整形外科病院)、センター協力獣医師として青砥英三先生(アオト動物病院)、是枝哲彰先生(藤井寺動物病院・動物人工関節センター)、川田 睦先生(ネオベッツVRセンター)、林 慶先生(コーネル大学)が名を連ねる。
犬猫の飼育頭数が多い関東圏で、紹介症例をみるとともに、最新の情報を提供し、さらに本センターでの整形外科手術に参加してもらい、直接、手術手技をみて学んでもらいたいという、診療と教育を兼ねた施設である。
開催記念講演会では、「日本獣医整形外科センターがめざすもの」「とう尺骨・上腕骨における粉砕骨折、癒合不全に対する治療法」「股関節疾患、治療の選択、手術の選択②(股関節脱臼再建術と骨頚骨折再建、骨頭回転術による関節温存治療)」樋口雅仁先生(前述)、「骨折治療の基本的なテクニックと知っておくべき基礎知識」「治療を成功させるために確実にマスターすべき跛行診断技術①(身体検査とX線検査を中心とした画像診断の要点)」「股関節疾患、治療の選択、手術の選択①(完璧な骨頭切除術を行うために知っておくべきテクニック)」川田 睦先生(前述)、「治療を成功させるために確実にマスターすべき跛行診断技術②(最新の関節鏡診断、その超解像度がもたらす再新知見)」「全十字靭帯疾患に対する各種外科的療法の現状(LSS、TPLO、TTA、CBLO術式選択のコツ)」「股関節疾患、治療の選択、手術の選択③(股関節全置換術の真実、実際症例から得られる本当の機能回復とは)」是枝哲彰先生(前述)、「整形外科手術の術後ケアとリハビリテーションの実際」木村亮太先生(藤井寺動物病院・動物人工関節センター)、「日本の小動物整形外科教育とリファラルシステムへの期待と展望」林 慶先生(前述)が講演をされた。会場には約150名もの参加者が集い、最新の知見を会得しようと熱心に耳を傾けた。
「動物たちが安心して家へ帰れる、ハッピーエンドの結末を迎えられるよう、努めていきたい」と桐原代表は語る。本センターの今後の展開が期待される。
第2回 VSJサミット2016 開催
2016/10/24
2016年10月23日(日)、VSJ(Veterinary Services Japan)による第2回 VSJサミットが、快・決いい会議室(東京・新宿)で開催された。
「つながり」をテーマに開催された今回は、Session1「日本の各地域における獣医療コミュニティの現状と展望」、Session2「グローバルへ学術情報を発信する:施設を超えた協力体制」、Session3「動物看護師・勤務獣医師の活かし方」、Session4「動物医療における技術&働き方のイノベーション」、Session5「大学と民間施設の教育における役割とは?」、Session6「我々の業界の未来、他業界からはどうみえている?」の6つのSessionにわけて展開。
小笠原聖悟先生(IDEXX/小笠原犬猫病院)、米地謙介先生(奈良動物二次診療クリニック)、長坂佳世先生(D&C Physical Therapy)、末松正弘先生(AMC末松どうぶつ病院)、長濱正太郎先生(VAS 小動物麻酔鎮痛サポート)、伊藤良樹先生(山口大学)、中村篤史先生(TRVA)、神津喜広先生(北摂夜間救急どうぶつ病院)、田邊美加先生(動物病理診断センター)、近藤広孝先生(どうぶつの総合病院)、根尾櫻子先生(麻布大学)、古川敬之先生(日本動物高度医療センター JARMeC名古屋)、氏政雄揮先生(アームズ(株)、(株)ブイエムスリー)、岡田崇司先生(岡田吉和税理士事務所)、辻田裕規先生(どうぶつ眼科クリニック)、藤井裕介先生(アセンズ動物病院)、朴 永泰先生(代官山動物病院)、佐藤昭司先生(北摂ベッツセンター、千里ニュータウン動物病院)と、多くのスペシャリストとジェネラリストをスピーカーやモデレータとして迎え、「業界の今や未来の潮流」について参加者を交えてディスカッションされた。10:00~18:00までワンフロアに100名を超える人が集い熱い議論を交わし、獣医療界をよくしていきたいという熱意あふれるサミットであった。
2017年に第3回も開催の予定。詳細はhttp://www.vsj-llc.net/まで(事務局:松山ほうじょう動物クリニック 三好紀彰先生)。
会場の様子。第1回と同様にスペシャリストの先生方とジェネラリストの先生方による至近距離でのディスカッションが展開された
スピーカー、モデレーターの先生方