小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

クラウドファンディング「山口大獣医学部の挑戦!動物の生体を使わない獣医師教育の実現へ」開催中

 山口大学共同獣医学部は2018年1月15日~3月31日の期間、クラウドファンディング「山口大獣医学部の挑戦!動物の生体を使わない獣医師教育の実現へ」を行っている。
 同大学では動物福祉に配慮するため、2016年度にクリニカル・スキルスラボを立ち上げ、動物モデルの導入を開始。動物モデルや模型を使用することにより、実際の動物の生体を利用しない実習への切替えを進めている。動物の生体を使用しない実習の早期実現に向け、クラウドファンディングを活用し動物モデル購入のための支援を呼びかけている。
詳細は下記サイトより。
https://readyfor.jp/projects/yamaguchi-uvet

第2回シモゾノ学園トリミンピック 開催される

 2017年12月22日(金)、学校法人シモゾノ学園国際動物専門学校、大宮国際動物専門学校は新しいトリミング実践理論「動物に負担のないジェントルトリマー教育」の成果発表会として、「第2回シモゾノ学園トリミンピック(TRIMMINPIC)」を大宮国際動物専門学校にて開催した。
 トリミンピックとは両校の美容・デザイン学科から選抜された学生達によるトリミング競技会で、1年生は2時間、2年生は1時間半の制限時間が設けられている。犬のカット(型)はもちろん、笑顔や犬への声掛けや負担のない技術、タイムなど、従来型のトリミングコンテストとは違う基準で将来のトリミングサロンで活躍を期待される学生たちが技術と気持ちを競った。
 審査員はペットショップの代表者、業界関係者が努め、審査基準は、①Happy=幸せ、人も犬も幸せにするトリマー、②Smile=笑顔、自分が楽しむこと=犬も楽しい、③Enjoy=楽しみ、トリミングを楽しむ、④Pleasure=喜び、犬との空間を喜ぶ、⑤Gentle=優しさ、犬にとって優しい作業の5つの項目である。
 厳しい審査の結果、各学年の1~3位およびジェントル賞が発表された。2年生の1位の学生は去年に引き続き2連覇であった。受賞した学生達は指導いただいた先生や同級生に感謝の言葉を述べ、受賞のうれしさを表現していた。

トリミンピックのシンボルマーク

競技中の様子

 

第60回(一社)比較統合医療学会学術大会 開催される

 2017年12月2日(土)、3日(日)の2日間にわたり、東京都豊島区・帝京平成大学池袋キャンパスにおいて、第60回(一社)比較統合医療学会学術大会が開催された。今回は第60回という節目と第20回を迎える日本補完代替医療学会学術集会との記念合同開催として執り行われ、「人と動物の医療を共に考える」をテーマに特別講演、招待講演、教育講演、一般講演などが行われた。
 主な内容として土曜のシンポジウム1では「漢方」、日曜のシンポジウム2では「動物医療からわかる人の医療」をテーマに行われ、とくにシンポジウム2では、鈴木信孝先生(日本補完代替医学会理事長)と安川明男先生((一社)比較統合医療学会代表理事)が今回のテーマである「人と動物の医療を共に考える」をとりあげ、今後この連携が大きな医学的効果をもたらす可能性があることを示唆した。
 獣医界でも浸透しつつあるOne Health(ワンヘルス)の考え方を、獣医師、動物看護師だけでなく、医師、歯科医師、薬剤師、鍼灸師などが参加する当学会が、あらゆる分野との融合という形で体現した学会となった。

会場の様子

先制動物医療研究会第2回講演会 開催される

 2017年11月25日(土)、日本獣医生命科学大学(東京・武蔵野市)において、先制動物医療研究会第2回講演会が開催された。今回はOne Healthを念頭に、本研究会会長 新井敏郎先生(日本獣医生命科学大学教授)による講演会概要ご紹介に続き、人と動物に共通の動向であるPhytogenic Feed Additive(PFA)応用をテーマとした3講演が行われた。
 EUでは抗生剤に替わる植物由来の抗炎症効果をもつ食品添加物としてPFAを利用する動きが広がっている。木村信熙先生(木村畜産技術士事務所代表・日本畜産技術士会会長)は、「世界の畜産の動向とPhytogenic Feed Additiveの使用」と題し、日本と世界の畜産動向、そこでの薬剤使用からPFA使用への移行状況について、具体例を交えながら解説された。岡田ゆう紀先生(Interseeds Inc. 代表)は「昨今のナチュラルフード事情と酸化防止剤の役割」と題し、主にアメリカにおける小動物向けナチュラルフードに含まれる様々な成分についての検証を紹介された。村井 妙先生(キンダーケア動物病院)は、「肥満動物における抗酸化物質のサプリメント効果」と題し、近年注目されている植物由来の抗酸化物質の犬における影響の調査を報告された。
 「先制動物医療」は各方面から注目されており、様々な分野の連携を図りながら、小動物臨床の新しい可能性を示していることを実感する研究会であった。

新井敏郎先生

第38回動物臨床医学会年次大会 開催される

 2017年11月17日(金)~19日(日)の3日間にわたり、大阪国際会議場(グランキューブ大阪)において、第38回動物臨床医学会年次大会が開催された。約20会場にてパネルディスカッション、セミナー、症例検討、一般口演などが行われ、2,500名を超える参加者が各々の目的に沿った内容のセミナーを受講した。今回の特色としては「動物遺伝子疾患研究会」(委員長:大和 修先生)の設立記念シンポジウムの開催、日本獣医学生協会(JAVS)との共催セミナーの開催などが挙げられる。また、2015年から実施された「獣医総合臨床認定医制度」も3年目を迎え、認定医取得のための試験が本格的にはじまりをみせつつある。
 次回大会は、2018年11月16日(金)~18日(日)、同じく大阪国際会議場にて開催予定。

懇親会にて

北海道小動物獣医師会年次大会2017 開催される

 2017年11月4日(土)、5日(日)の2日間にわたり、北海道・ロイトン札幌において、北海道小動物獣医師会年次大会2017が開催された。第25回とのことで節目となる今回は、獣医師学術セミナー、動物看護師セミナー、獣医師・動物看護師合同セミナーや症例検討会、動物看護師発表会などが行われた。

 初日の獣医師・動物看護師合同セミナーでは、「ワクチンの新しい考え方 安全性と有効性を両立させるためのガイドライン」と題し、辻本 元先生(東京大学)が2015年に公表されたWSAVAワクチネーションガイドラインをもとに、その実施方法、ヘルスチェック、抗体検査の導入などについて解説された。また、AAHA(アメリカ動物病院協会)の2017年版ワクチネーションガイドラインにも触れ、はじめてのWeb page版であり、個別の推奨接種プログラム、抗体検査に基づいた対処法について解説された。

 また、2日目の獣医師ランチョンセミナーでは、「僧帽弁閉鎖不全症の診断と治療~ACVIMコンセンサスのUpdate」と題し、上地正実先生(JASMINEどうぶつ循環器病センター)が、2017年6月のACVIMで口頭発表され、近日論文発表予定である内容を解説された。

 会場には託児所も設置され、赤ん坊を抱っこして会場を歩く参加者の姿も見受けられた。500名を超える参加者は2日間にわたり臨床現場で活用できる情報を学んだ。

会場の様子

Team HOPE ペットの健康診断の日 PRイベント 開催される

 2017年10月4日(水)、東京・恵比寿ザ・ガーデンルームにおいて、Team HOPE ペットの健康診断の日 PRイベントが開催された。当イベントは、Team HOPEが健康診断の受診啓発の一環として、10月13日(じゅういさん)を「ペットの健康診断の日」として登録したことを受け実施された。
 代表の太田亟慈先生(犬山動物総合医療センター)の挨拶のあと、学術アドバイザーである石田卓夫先生(一般社団法人日本臨床獣医学フォーラム会長、赤坂動物病院)講演「病気の早期発見、早期治療で寿命が変わる」が行われ、犬や猫を飼ううえで気を付けるべきチェックポイントや考え方、健康診断の重要性、そして動物病院は「ホスピタル」であり、病気になってからいく場所だけでないことを詳しく解説された。
 続いてのトークセッションでは、白衣姿の太田先生をはじめ、女優の川原亜矢子さんと愛犬のヨジンサちゃん(フレンチ・ブルドッグ)、落語家の林家たい平さん、インスタグラムでも人気の柴のだいふくくんが飼い主とともに登場した。壇上で実際にウェルネスチェックや触診などを行い、太田先生が解説するという流れで、終始和やかな雰囲気でイベントは進行した。
 全国での登録件数も1000件を越え、ますますの発展が期待できるTeam HOPEの活動。獣医界だけでなく社会に向けたこの予防啓発のキャンペーンで、今後も動物病院のこれからの立ち位置を提示していく。

第3回 VSJサミット2017 開催

 2017年9月10日(日)VSJ(Veterinary Services Japan)による第3回VSJサミット2017が、Nagatacho GRID(東京・千代田区)にて開催された。
 オンラインでの活動がメインであるものの、毎年一度「つながり。」をコンセプトにFace to Faceで本サミットを開催。多くのスペシャリストやジェネラリストが集い、今年は「チャレンジ!」をテーマに終日熱い議論が交わされた。Session1「これからの獣医師の働き方改革」、Session2「これからの日本の獣医大学のあり方・役割とは?」、Session3「獣医業界のあらたなサービス」、Session4「日本での動物看護師の現状と活かし方の展望」、Session5「女性獣医師の働き方改革」にフォーカスをあてた。獣医師や動物看護師のワークライフバランスや、勤務医・開業のメリットデメリット、年功序列や、勤務意欲の維持のためにロールモデル提示の提案など、獣医師、動物看護師がそれぞれ職場環境のあかで「いい塩梅」をみつけることが大切さや、そのために職場内の「言える化」「見える化」が大切であることなども示された。
 また、今回のサミットでは、海外の先生とも中継を結び、パデュー大学 獣医行動診療科の尾形庭子先生、Adobe Animal HospitalでVTS(Veterinary Technician Specialists)として救急医療の現場で活躍されるKenichiro Yagi先生とリアルタイムでのセッションが行われ、会場は白熱した。
 Session5「女性獣医師働き方改革」のセッションの前には独立行政法人 家畜改良センター 茨城牧場の白戸綾子先生から、女性獣医師の現状に関する日本獣医師会のアンケート結果等が報告された。続いて子育て奮闘中の女性獣医師の先生方が登壇し、女性獣医師そして女性が多くを占める動物看護師の日本の職場環境の改善点について話し合われた。子育てだけでなく、今後は介護も働き方改革のうえで影響を及ぼしてくるであろうこと、そのためには、まずは「お互い様」の心をもって、職場の仲間を暖かく受け入れるという、気持ちの切り替えが将来の職場環境の改善への第一歩だと思うという登壇者の言葉が印象的であった。
 2018年に第4回も開催の予定。詳細はhttps://www.facebook.com/vsjllc/まで(VSJ事務局:support@vsj.freshdesk.com 三好紀彰先生)。


セッション中の一場面(セッション4動物看護師の現状と活かし方の展望)。モデレーターは辻田裕規先生、スピーカーは佐々木伸雄先生、小笠原聖悟先生、神田鉄平先生、牧田明美先生、そして海外からはKenichiro Yagi先生がリアルタイムで会場とつながり、熱いセッションが展開


サミットの終わりには、100人近い参加者たちから、スピーカー、モデレーターの先生たちへ、惜しみない拍手が送られた

動物看護師公的資格化 現状、課題および取り組み 公表される

2017年8月23日、中央動物専門学校で開催された動物看護教員研修にて、「動物看護師公的資格化 現状、課題および取り組み」について、動物看護師養成専門学校間で情報共有を行った。
教育の高位平準化を推進している専門学校のコアカリキュラム策定委員会はコアカリキュラムについて専門学校からの意見の聴取を行ってきた。専門学校からは、コアカリキュラムの総時間数が多く、独自のカリキュラムが作成しにくいこと、コアカリキュラムの中に重複する教育内容があることが指摘された。その指摘を受けて、重複科目を解消し33科目から28科目へ、授業時間を1,650時間とする新コアカリキュラム案を作成した。また、専門学校各校の特色を生かした科目時間を480時間から630時間に増やし、コアカリキュラムの習得とともに総計2,280時間を資格認定の要件とした。
コアカリキュラム策定委員会は、この新コアカリキュラム案を動物看護師統一認定機構のカリキュラム策定小委員会に提出した。機構の同委員会はこの新カリキュラムを元にパブリックコメントを募集し、全国動物保健看護系大学協会1件および専門学校13件から意見を得た。大学協会からの意見は「専門学校間で意見交換を行って慎重に作成された。大学協会としてはそのカリキュラムを尊重する」というものであった。同委員会は、専門学校からの意見を受け、8月下旬にある機構の理事会を経て、最終的な新コアカリキュラムを正式に発表する予定である。また、新コアカリキュラムに基づく教育は2019年4月からの開始を予定している。

会場の様子

(一社)全国動物教育協会、(一社)全国動物専門学校協会共催 動物看護教育研修 開催される

 2017年8月23日、(一社)全国動物教育協会、(一社)全国動物専門学校協会共催の動物看護教員研修が中央動物専門学校(東京)にて開催された。今回のテーマは「認定動物看護師の職域拡大に向けて(酪農支援)」で、酪農学園大学獣医学群の中田健先生が酪畜産業の概要、生産現場のイメージ作り等を研修の目標に講演を行った。講演では、主に肉用牛、乳牛、養豚、養鶏、使用衛生管理基準等について総括的に説明された。畜産も動物の知識を活かせる職域にもなり得る。畜産の分野も教員が詳しく教えることができれば、動物看護師の職域を広げる機会にもなり、それに興味を持つ学生が増えるであろう。
 同日には、同会場で、(一社)全国動物専門学校協会の「トリミング教員研修会」が開催され、「トリマー各検定」の改定について、トリミング選手権大会の競技要綱変更について説明があった。こちらも関係する専門学校の教員が参加し、変更点についての説明を熱心に聞いていた。
 次回の動物看護研修は2017年11月3日(金・祝)に国際動物専門学校(東京)にて開催される予定。テーマは「動物看護師に必要な畜産学(仮)」で、今回のテーマに連動した研修となる。

研修会に先立ち挨拶される佐々木伸雄先生(動物看護師統一認定機構)

トリミング教員研修会

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