小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

第40回動物臨床医学会記念年次大会 開催

 2019年11月15日(金)〜17日(日)、大阪国際会議場 グランキューブ大阪(大阪府・大阪市)にて、第40回動物臨床医学記念年次大会が開催された。

 本大会の前身である第1回動物病院臨床研究グループ年次大会が開催されてから40年を迎える今大会は、40周年記念大会として、世界獣医師会(WVA)会長のJohnson Chiang先生や、猫腎臓病治療薬としてのAIMについて東京大学の宮崎 徹先生によるご講演、日本学術振興会科学研究費助成事業による研究成果公開促進費の助成を受けた「高齢化社会を迎えて、残されたペット達への対応」という高齢化社会を迎える人とペットの問題にも目を向けた内容など、様々なシンポジストによる講演が展開。また、多くの分科会企画による講演や、ランチョンセミナーが展開され、充実した3日間となった。

 また2019年は、2015年度に設立された「獣医総合臨床認定医制度」が5年目を迎え「獣医総合臨床認定医試験」の受験資格を満たす先生も登場。第1回認定試験が今大会開催中に実施された。2020年1月中には合格者発表予定。

 「40周年を迎え、これからまた新たな一歩がスタートする。昨今の自然災害をうけOne Healthの大切さも実感した。我々は獣医師として何ができるのか考えていきたい」「今年は愛玩動物看護師法案や改正動物愛護法案が通り、今後具体的に施行されれば、獣医会の社会的貢献度はますます高まるであろう」と山根義久先生(公益財団法人 動物臨床医学研究所理事長)は語る。

 元号が令和へと変わり、獣医界を牽引する役割がこれまで以上に期待される。
次回は令和2年11月20日(金)~22日(日)に同会場で開催予定。

第40回動物臨床医学会記念年次大会歓迎交流会の様子。公益財団法人 動物臨床医学研究所理事長の山根義久先生の挨拶

本大会へ長きにわたり貢献された先生方へ表彰

各分科会のアワード受賞式の様子

動物のいたみ研究会シンポジウムの様子

行動学分科会の様子

シモゾノ学園2019年度どうぶつ祭 開催

 2019年11月2日(土)、3日(日)の2日間にわたり、学校法人シモゾノ学園の国際動物専門学校(東京校)および大宮国際動物専門学校(大宮校)において、「どうぶつ祭」が開催された。この催しは、同校で動物看護やトリミング、動物飼育などについて学んでいる学生たちが、日頃の学習の成果を外部に向け発信する場となっている。
 大宮校では、8階建て本館校舎の教室に各学習分野で分かれ、展示やワークショップ、ショーなどを行った。出し物はいずれも学生たちが学んでいる知識や技術を生かした内容となっており、たとえば動物看護の学科では、動物の病気や治療方法についてのクイズに答えながらゲームを楽しむテーマパーク風の展示を行った。トリマーやドッグトレーニングの学科は、犬と学生が共にショーに出演し、学生たちの技術と犬たちの愛らしさや賢さを披露した。また動物飼育の学科では、昆虫や爬虫類、魚類、エキゾチックアニマルの展示やふれあいコーナーを設けており、特にジャコウネコ科のビントロングを、トレーニングの成果とともに紹介するショーは人気で、多くの人が集まっていた。東京校校長の下薗惠子先生によると、学校飼育動物は折々に大宮校付近の小学校の生徒にも公開され、地域の児童学習に貢献しているという。
 「どうぶつ祭」には、地元地域の動物好きの家族、動物看護師やトリマーを目指す高校生などが多く訪れており、校舎内はどこもにぎやかで笑顔にあふれていた。

北海道小動物獣医師会年次大会2019 開催される

 2019年11月2日(土)、3日(日)の2日間にわたり、紅葉色めく北海道・ロイトン札幌において、北海道小動物獣医師会年次大会2019が開催された。令和となって初の開催となる27回目の本大会では、獣医師学術セミナーと動物看護師セミナーを柱に、症例検討会、動物看護師発表会、ランチョンセミナー、企業セミナーなどが行われた。

 初日は計7講演が行われ、獣医師ランチョンセミナーでは、「心原性肺水腫に対する治療戦略」と題し、川瀬広大先生(札幌夜間動物病院)が肺水腫の問題点に対し、ピモベンダンを含む薬物治療のポイントを解説された。また、動物看護師対象のランチョンセミナーでは、愛知県で動物介護専門ケア施設を運営する安部里梅先生(PET CARE HOME Lyuca)の「今すぐ実践!犬の介護で役立つ4つのテクニック」が行われ、老犬介護で経験する食事の問題を中心に解説された。

 2日目も計7講演が行われ、獣医師ランチョンセミナーでは、「5−ALA(5−アミノレブリン酸)の犬猫への応用:腎不全・脂質代謝異常への適用」と題し、後藤正光先生(菊水小さな動物病院)などが、5−ALAがもつ犬猫応用の可能性、たとえば脂質代謝異常、糖尿病、肥満、慢性腎不全などについて論文やデータを交えて解説された。

 本年3月から北海道小動物獣医師会新会長として、掛端健士先生(かけはた動物病院)が就任し、令和の新時代を新たな体制で突き進まんとする気概が見受けられた。約80の展示ブースが並び、会場内は2日間ともに熱気に包まれた。


掛端健士先生


会場の様子

第3回 薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動表彰式にて、獣医臨床感染症研究会(VICA)が「薬剤耐性へらそう!」応援大使賞を受賞

 2019年11月9日(土)野村コンファレンスプラザ日本橋(東京都中央区)にて、内閣官房 国際感染症対策調整室主催による「第3回薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動表彰式&『薬剤耐性へらそう!』応援大使によるトークイベント」が開催された。
 薬剤耐性(AMR)対策の広がりを促進することを目的に2017年から開催されている本イベントは、今年で3回目を迎える。「薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動表彰式」では、AMR対策の普及啓発活動に取り組んでいる個人や団体へ表彰が行われた。

 今年は個人へは2人、団体としては4団体が選出され、獣医療の分野も「小動物臨床現場でのAMR(薬剤耐性)対策活動」の活動名称で「薬剤耐性へらそう!」応援大使賞を、獣医臨床感染症研究会(VICA)が受賞した。
 愛玩動物(ペット)から分離される薬剤耐性菌を調査し、抗菌薬の適正使用の重要性についての普及活動を実施し、大動物と比べ薬剤耐性の普及啓発が十分すすんでいるとはいえないペットを対象とし、連携シンポジウム、定期的な症例検討会、各種専門誌への投稿の普及啓発活動を実施していること、獣医師向けの抗菌剤使用ガイドラインの作成等が予定されていることから、今後もペット分野における薬剤耐性の普及啓発につながることが評価され、今回の受賞へとつながった。

 また後半の「薬剤耐性へらそう!」応援大使によるトークイベントでは、平成28年より応援大使をつとめるタレントのJOY氏、篠田麻里子氏、そして専門家として大曲貴夫先生(国立国際医療研究センター病院、AMR臨床リファレンスセンター センター長)に加え、今年はタレントの荒牧慶彦氏やAMEMIYA氏も参加。AMR対策についてわかりやすく伝えた。またAMEMIYA氏により抗生物質を正しく服用することの大切さをテーマにした歌も披露され、会場をもりあげた。

 毛利 衛氏(薬剤耐性(AMR)対策推進国民啓発会議 議長)は、「薬剤耐性」「薬剤耐性菌」というキーワードをぜひ記憶し周知してもらえたらと語った。
 医療と獣医療の連携が重要である薬剤耐性問題。今後も一層の情報提供、認識の促進が求められる。


毛利 衛、薬剤耐性(AMR)対策推進国民啓発会議 議長

受賞の喜びを語る、獣医臨床感染症研究会(VICA)会長の
村田佳輝先生

登壇者全員にて

表彰式に出席された獣医臨床感染症研究会(VICA)の先生方。
右から本研究会会長の村田佳輝先生、栗田吾郎先生、露木勇三先生、
木村祐哉先生

日本獣医麻酔外科学会 2019年度 関東地区講習会 開催

 2019年11月3日(日)一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会 2019年度 関東地区講習会が、AP横浜駅西口(神奈川県・横浜市)で開催された。
 テーマは「一次診療でも必要な集中治療 あと一歩の踏み込みを考える」。カルフォルニア大学のデービス校からアメリカ公認獣医救急集中治療専門医である上田 悠先生が来日され「集中治療概論 獣医療における集中治療とは?」の講演を筆頭に、杉浦洋明先生(DVMsどうぶつ医療センター横浜)による「心肺蘇生から集中治療へ ROSCした後に…」、長久保 大先生(東京大学)による「循環管理」、塗木貴臣先生(TRVA夜間救急動物医療センター)による「1次診療でも必要な集中治療 呼吸管理編」、柿嶌 圭先生(動物救急センター府中)による「一次診療でも必要な集中治療~あと一歩の踏み込みを考える~中枢神経管理編」の講演が行われた。
 当日は事前登録120名を上回る150名もの参加者が集い、日本ではこれからの展開が期待される「集中治療」に会場は熱心に耳を傾けた。
 また、ランチョンセミナー(協賛:ゾエティス・ジャパン株式会社)では、「高齢犬で増加している運動器疾患の健康維持と慢性痛管理」をテーマに枝村一弥先生(日本大学)が講演され、運動器疾患について、人医療のロコモ体操を獣医療でもとりいれ健康維持に役立てる試みや、非ステロイド系消炎鎮痛剤の新しいスタイルなど、予防から治療、管理まで運動器疾患をとりまく現状を解説された。
 朝10時から夕方の5時まで、参加者たちは充実した時間を過ごした。

講習会会場の様子

アメリカ公認獣医救急集中治療専門医の
上田 悠先生

ランチョンセミナーの様子

一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会 
廉澤 剛会長の挨拶