小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

第三回 比較臨床麻酔カンファレンス開催

 2019年3月17日(日)、国立科学博物館内日本館2F講堂において一般社団法人日本動物麻酔科医協会(JAVA)主催、VSJ合同会社共同運営による第三回比較臨床麻酔カンファレンスに110名以上が参加し、協賛企業8社で開催された。
 JAVAは「全く痛みのない外科治療を獣医療において定着させる」ことを活動目標の1つとしており、本カンファレンスもその活動の一環として2017年から年1回のペースで開催され、思いを共有する人たちの交流の場となっている。
 内容はKEYNOTE、OPINION、EVIDENCEの3部構成となっていた。KEYNOTEでは「日本の獣医療における麻酔科の近未来」をテーマにシンポジウムが行われ、二次診療病院の周術期管理チームにおいて麻酔科医が不可欠であること、一般診療病院が麻酔科医と協力することのメリット、女性獣医師の活躍の場として麻酔科が優れていることなどが複数の異なる立場から討論された。OPINIONでは「私はこう考える・麻酔計画とトラブルの予防対処」をテーマにパネルディスカッションが行われ、肥満患者、肥大型心筋症、非協力的な性格の患者、不整脈の対処に関して、麻酔科医同士の質問、助言、提案などが忌憚なく活発に行われた。EVIDENCEでは論文の検索から選択基準、読み方、考え方に関する講演が行われた。
 KEYNOTEは藤田淳先生、麻生暁秀先生、牛草貴博先生、古川美帆先生、三好紀彰先生、OPINIONは下田有希先生、古川美帆先生、土居瑛希子先生、鈴木さやか先生、石塚友人先生、飯塚智也先生、佐野洋樹先生、EVIDENCEは石塚友人先生が務められ、主な座長はJAVA代表の長濱正太郎先生が務められた。

日本獣医皮膚科学会第22回学術大会・総会 開催される

 2019年3月10日(日)、国際ファッションセンター(東京都・墨田区)において、日本獣医皮膚科学会 第22回学術大会・総会が開催された。
 今回のテーマは「皮膚免疫」。海外招聘講演としてはDouglas DeBoer先生(University of Wisconsin)「皮膚疾患に対する免疫療法の実際」が、科学講演では久保亮治先生(慶応義塾大学)「表皮の3次元構造から理解する皮膚の機能と疾患病態」、小林哲郎先生(NIH)「アトピー性皮膚炎とマイクロバイオーム」が行われた。
 またシンポジウムは「皮膚免疫に着目した治療のアップデート」と題し、福山朋季先生(麻布大学)「オクラシチニブの新しい作用メカニズム」、伊從慶太先生(Vet Derm Tokyo)「オクラシチニブの使い方」、大隅尊史先生(東京農工大学)「ステロイドの使い方」、大嶋有里先生(犬と猫の皮膚科)「シクロスポリン・インタードッグの使い方」の講演が行われた。
 一般演題が9題、ポスターセッションは23題が発表されたほか、大隅先生と村山信雄先生(犬と猫の皮膚科)の「PRO/CON Debate 減感作療法行う、行わない?」、横井愼一先生(泉南動物病院)、伊從先生がモデレーターとなった「みんなで症例検討会」、また大隅先生、江角真梨子先生(Vet Derm Tokyo)、関口麻衣子先生(アイデックスラボラトリーズ(株))、村山先生がそれぞれ小会場で行う「円卓会議」など、討論を含むプログラムも多く盛り込まれ、聴講者も積極的に参加していた。
 次回は2020年3月8日(日)、大宮ソニックシティに会場を戻して開催の予定。

会場の様子

第15回日本獣医内科学アカデミー学術大会 開催

 2019年2月15日(金)~17日(日)、第15回日本獣医内科学アカデミー学術大会が、パシフィコ横浜(神奈川県)で開催された。
今年もJCVIM主催による多くのプログラムが展開され、教育講演、ステップアップセミナーやシンポジウムなど、伴侶動物獣医療における幅広い分野のセミナーが、獣医師や動物看護師へ向け実施された。また今年も多くの共同団体による講演も実施された。日本獣医がん学会、日本獣医腎臓泌尿器学会、日本獣医皮膚科学会、日本獣医臨床病理学会、ねこ医学会、獣医臨床感染症研究会、共同運営夜間救急動物病院連絡会、日本獣医輸血研究会、日本獣医動物行動研究会等、20を超える学会や研究会が参加し、専門性の高いプログラムを展開した。
 3日間でもすべて受講しきれないほどの充実した内容に、参加者たちはお目当ての会場へ足を運んだ。

 本年のJCVIMアワード(症例検討アワード、協賛:ファームプレス)は、北海道大学の田村昌大先生による「Shear Wave Elastography (SWE)により重度肝線維化を予測出来た若齢犬の1例」、岐阜大学の野村 咲先生による「オクラシチニブによる運動誘発性横紋筋融解症が疑われた犬の一例」が受賞された。

 「これからはアジアで専門医を育てる時代であり今大会は新しい潮流のターニングポイントと捉えている」という本大会。3日間で2,977名の参加者が集った。2020年の第16回本学術大会は、2月21日~ 23日に同会場にて開催予定。

JCVIMアワード、授賞式の様子