2025年11月16日(日)、東京大学弥生講堂にて、小動物臨床血液研究会「30周年記念セミナー」が(公財)動物臨床医学研究所主催により開催された。当研究会は1993年に財団法人鳥取県動物臨床医学研究所(現・(公財)動物臨床医学研究所)の小動物臨床研究会(現・動物臨床医学会)の分科会として小動物臨床における血液病学の発展と普及を目的に発足し、本年で30年になる。
 演題テーマは『貧血』、『造血腫瘍』、『止血異常』の3つで、それに加えて『症例の顕微鏡ディスカッション』が行われた。
 『貧血』では、井手香織先生(東京農工大学)が「一気に再確認!IMHAの治療」、森下啓太郎先生(北海道大学)が「NRIM/PIMAの臨床研究最前線」、『造血腫瘍』では、辻󠄀本 元先生(日本獣医高度医療センター)が「白血病(急性、慢性)を疑う時-一次診療で知っておきたいこと-」と題して講演を行った。
 午後は、酒井秀夫先生(諫早ペットクリニック)の「著明なリンパ球増加を認めた猫の1例」、諏訪晃久先生(すわ動物病院)の「白血化を認めたリンパ腫の犬の1例」、高橋義明先生(ペットクリニックハレルヤ)の「XCIP解析によりクローン性が示唆された慢性骨髄性白血病の犬の1例」の症例を元に、石田卓夫先生(赤坂動物病院)、呰上大吾先生(東京農工大学)、下田哲也先生(山陽動物医療センター)が塗抹標本等を会場のスクリーンに映して、みるべきところ、考え方、治療についてディスカッションを行った。
 その後、『止血異常』について、亘 敏広先生(日本大学)が「体表部に紫斑が見られたら何を考えるか?」を、高橋 雅先生(鹿児島大学)が「一人賛否:DIC・血栓症、臨床現場で正解はあるのか?」を、丸山治彦先生(日本大学)が「先天性止血異常症を整理して理解する-適切な診断を目指して-」と題して講演を行った。
 30周年記念セミナーとあって、午前、午後とも盛りだくさんの内容であった。この日の講演が臨床の現場でも役立てられることであろう。
 次回のセミナーは日本獣医輸血研究会と合同で2026年5月に開催予定。
 

講演の様子