小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

2025年度 第111回日本獣医麻酔外科学会 学術集会 開催される

 2025年12月12日(金)~14日(日)、宮城・仙台国際センターにて第111回日本獣医麻酔外科学会 学術集会が開催された(同時開催:第28回日本獣医内視鏡外科学会学術総会)。
 今大会のテーマは「いざ仙台へ!東北から始まる獣医外科の新たな一歩」である。
 1日目の午後からはJSVESのプログラムであるパネルディスカッション「内視鏡外科における技術習得・器械環境整備の壁を超える~初学者からエキスパートまで~」が開催された。2日目からは講演会場が6ヵ所になり、整形外科、軟部組織外科、麻酔・疼痛管理の各プログラムが開催された。プログラムは基調講演、教育講演、シンポジウム、パネルディスカッション、リフレッシャーコース、症例検討会、一般演題、レジデントによる若手獣医師のためのBasicセミナー、専門医と囲むFIRESIDEと多彩であり、どの会場も非常に盛況であった。
 2日目のハートウォーミング企画では、獣医療の世界でこれから女性が活躍できる環境をどのように整備するか、主に人材再開発という視点で、岩井聡美先生(北里大学)と関 真美子先生(日本大学)の座長のもと、4名の先生方による講演が行われた。とくに林 慶先生(コーネル大学)のアメリカにおける獣医療の現状に関する話題では、聴講者との意見交換も活発に行われ、会場内のよりよい環境整備へ向けた熱意が伺えた。
 同日夜には仙台国際ホテルにて情報交換会が開催され、アワードの授与および新たに日本小動物外科専門医の認定を受けた1名の先生の表彰が行われた。
 3日目には基調講演である「ロボット支援手術の現状と未来」が行われ、亀井 尚先生(東北大学大学院医学系研究科消化器外科学)から、人医療でのロボット支援手術のエビデンスを含めた現状や制度が解説された。会場は立ち見が多く出るほどの盛況ぶりであり、2025年7月より国内販売が開始された第5世代の「da Vinci(ダビンチ)」の紹介や、実際の手術の映像などに見入る聴講者の姿が印象的であった。
 小動物外科の手技の教育という部分にとどまらず、獣医療のこれからと本学会自体をよりよいものにしようという熱意が伝わる3日間であった。
 次回の2026年度 第112回日本獣医麻酔外科学会学術集会は、2026年6月19日(金)~21日(日)に、埼玉・大宮ソニックシティにて開催予定。

基調講演の様子

情報交換会でのアワード授与の様子

日本大学 生物資源科学部 獣医学科 獣医倫理・動物福祉学 講義の実施

 2025年12月16日(火)、日本大学 生物資源科学部本館第一講義室(神奈川県・藤沢市)で、柴内晶子先生(赤坂動物病院・日本臨床獣医学フォーラム幹事)による獣医倫理・動物福祉学の講義が実施された。

 この科目は当大学獣医学科の1年生を対象としており、複数名の実務経験のある教員が授業を担当するオムニバス形式で、毎年後期に開講されている。学生たちが獣医倫理・動物福祉について理解を深め、その考え方を礎に獣医学を学んでいってもらいたいという大学側の考えから実施されている。全15回の講義のうち、柴内先生は非常勤講師として、「伴侶動物に対する獣医療と獣医倫理」と「動物介在療法と獣医倫理」という内容で2回の講義を担当されている。

 講義では伴侶動物の歴史や臨床現場での現状、飼い主家族との信頼関係構築、セカンドオピニオンを求める飼い主家族を迎えるあるいは送り出す際の対応、愛する動物が虹の橋をわたる時に獣医師として求められる対応等を、獣医師として会得しておくべき倫理・動物福祉をからめ包括的に紹介。また国家資格化された愛玩動物看護師との連携、ジェネラリストとスペシャリストの関係について、講師自身の動物病院での例を交え紹介された。AAA(Animal Assisted Activity)、AAT(Animal Assisted Therapy)、AAE(Animal Assisted Education)の実践の様子も取り上げ、高齢者や子供たちにどのようなよい効果が期待されるか、動画も交え解説された。2025年2回目の講義は12月23日(火)に実施される。

【日本大学 生物資源科学部 獣医学科については下記より】

https://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~NUBSvmd/

 

講義の様子

柴内晶子先生

 

 

 

日本獣医輸血研究会 第13回学術講習会 開催される

 2025年12月7日(日)、ちば愛犬動物フラワー学園にて日本獣医輸血研究会 第13回学術講習会が開催された。
 午前中は日本獣医輸血研究会の認定資格である「JSVTM認定輸血コーディネーター」の認定項目となる2つの講義が行われた。認定項目1は加藤真理子先生(日本獣医生命科学大学付属動物医療センター)の「血液製剤の種類と作製」、認定項目2は石田沙恵先生(苅谷動物病院グループ)の「血液製剤の取り扱いと保存」であった。また、並行してJSVTM認定輸血コーディネーター第4回試験が行われた。
 そして今回初めて、認定コーディネーター限定のセミナーが開催され、クローズドな環境で普段の輸血療法・献血にまつわる悩みの共有、疑問などをディスカッションする大変よい機会になった。
 午後は教育講演があり、瀬川和仁先生(せがわ動物病院)が「生理的な止血機構と検査」を、丸山治彦先生(日本大学)が「犬と猫の先天性止血異常症」を講演した。講演後は、参加者から活発な質疑応答があり、関心の高さが伺われた。
 最後にパネルディスカッション「緊急時の輸血、どうしてる?」が行われた。冒頭に、血液製剤確保の方法、適合試験、輸血療法を適応している疾患や症例の実際を、一次診療について菊田 基先生(浦安中央動物病院)が、二次診療について小島一輝先生(日本動物高度医療センター)が、夜間救急病院について塗木貴臣先生(TRVA動物医療センター)が説明した。その後、呰上大吾先生(東京農工大学)を座長に、普段の輸血療法適応時の流れやタスクフロー、緊急時はどうしているかについてディスカッションが展開された。
 対面参加者数は約40名で、愛玩動物看護師の参加者も多かった。
 本講習会のプログラムのすべてVETSCOPEにて12月15日(月)~翌年1月14日(水)まで視聴が可能である。
 


講義の様子