2025年11月8日(土)、東京都・八王子市の南大沢地域自主防災協議会主催の合同防災訓練が実施された。訓練では消火器体験やAED体験、放水見学、ペット同行避難、防災およびペット防災に関する講演などが行われた。
 ペット同行避難訓練はヤマザキ動物看護大学の協力のもと実施され、ペットである犬または猫を飼育している参加者がペットをケージに入れて避難所である南大沢中学校に一緒に避難するものであった。避難場所は人とペットで分けられ、ペットはさらに犬と猫に分けられていた。
 防災訓練はいろいろな地域で定期的に開催されているが、ペット同行避難訓練までできるのは珍しい。参加者は実際にペットと一緒に避難所まで同行したことで、その準備を含めて、災害発生時に自身はもちろん、ペットのために何をすればよいか身をもって体験ができたと思われる。
 「ペット防災」の講演はヤマザキ動物看護大学の福山貴昭先生によって中学校および大学の2ヵ所で行われた。講演では南海トラフ巨大地震がおこった際の地震、津波の広がりについて、ペットのために準備しておく備蓄品、その優先順位、ペット防災袋などについて解説された。また、平成28年熊本地震の際に、避難所として1,300~1,600人の避難者、約100頭の犬猫を受け入れた益城町総合体育館でおこった出来事を具体的に紹介した。ペットの飼い主家族による「飼い主の会」の結成、ペット飼育のルール作り、ペットのマナー啓発および動物保護団体に預ける際の注意喚起など、参考となる事例に参加者は耳を傾けた。
 ヤマザキ動物看護大学には、災害からの復興に必要な物資、人的資源がそろっており、有事の際には地域に協力できることを明らかにした。ペットを飼っている住民にとっては心強いパートナーになり得ると思われる。
 

南大沢中学校で「ペット防災」について講演する福山貴昭先生