小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

第33回日本獣医がん学会 開催される

 2026年1月24日(土)、25日(日)、ホテルニューオータニ大阪(大阪府)にて、第33回日本獣医がん学会が開催された。
 今大会のメインシンポジウムのテーマは「咽頭・喉頭・気管の腫瘍」で、前半は座長に杉山大樹先生(ファミリー動物病院、本学会副会長)を迎えて行われた。「咽頭・喉頭・気管の腫瘍 総論」を藤原亜紀先生(日本獣医生命科学大学)、「咽頭・喉頭・気管の画像診断」を山城徳之先生(合同会社VECTA、株式会社JACCT、近畿動物医療センター)、「生検」を藤原亜紀先生(前出)と末松正弘先生(AMC末松どうぶつ病院 呼吸器・循環器センター)、「病理」を田邊美佳先生(動物病理診断センター)、金 尚昊先生(北海道大学)が担当した。後半は廉澤 剛先生(日本小動物医療センター)に座長が替わり「咽頭・喉頭・気管の腫瘍に対する放射線腫瘍」を根本有希先生(山口大学)、「気道閉塞から呼吸を取り戻す! 咽頭・気管に対するインターベンションおよび外科治療」を末松先生(前出)と展開された。
 病理×画像診断シンポジウム、外科シンポジウム、症例検討会、顕微鏡実習、教育講演、一般口演では24本の報告と4本のポスター発表が実施された。また、ペトヤク(株)、(株)ANCHORS、(株)すとろーはうす、(株)HACHIの協賛によりランチョンセミナーが行われた。またモーニングセミナーにも早朝にもかかわらず多くの参加者が足を運んだ。また前学会よりはじまった愛玩動物看護師企画も、小山田和央先生(松原動物病院)による「外科療法総論」、田戸はるひ氏(Vetscom)による「腫瘍外科看護 ~チーム医療の要となる! 腫瘍外科における愛玩動物看護師の役割~」、清水夕貴氏(岡山理科大学)による「どうぶつの“いたみ”を看る」の講演が行われた。さらに「顎骨切除の“その後”を支える―動物看護師ができること、すべきこと―」をテーマとしたパネルディスカッションでは宮浦百合子氏(松原動物病院)、市川奈央子氏(動物総合医療センター)、佐藤越子氏(ゼファー動物病院)が事例報告で登壇した。
 また本学会でも引き続き獣医腫瘍科認定医講習会を兼ねる総合教育講演(腫瘍の臨床診断と治療8科目)も実施された。
 2日間で約700名の参加者が集い、獣医腫瘍への知識を深めた。
 新会長の小林哲也先生のもとで本格始動となる今大会では、SNSをはじめとしたソーシャルメディアの活用、夢基金、アジアの学会への参加など、時流に合わせた新しい学会の方向性が発表された。
 日本にとどまらずアジアにおける本学会の活躍へ、ますます期待が高まる。


病理×画像診断シンポジウム「脾臓病変にどう挑むか?『切る・刺す・見守る』の判断基準、次の一手は?」の様子
賀川由美子先生(ノースラボ)、戸島篤史先生(日本動物医療センター)、小林哲也先生(日本小動物がんセンター、本学会長)のテンポよいやり取りに、会場が盛り上がった


外科シンポジウム「四肢腫瘍切除後の皮膚欠損をどのように治療するか」の様子
演者の浅野和之先生(日本大学)、小山田和央先生(松原動物病院)、高木 哲先生(麻布大学)が会場の参加者を交え、皮膚再建について活発に意見を交わした


メインシンポジウム「咽頭・喉頭・気管の腫瘍」の総合討論の様子


一般口演の様子
24演題が発表された


ポスターセッションの様子
それぞれ3分間の発表ののち、質疑応答の時間が設けられた

(一社)日本獣医インターベンショナルラジオロジー学会第2回学術集会 開催

 2026年1月10日(土)・11日(日)、日本大学生物資源科学部本館(神奈川県・藤沢市)にて、(一社)日本獣医インターベンショナルラジオロジー(Interventional Radiology:IVR)学会(会長 浅野和之先生〈日本大学〉)が開催された。
 IVRは、X線透視やCTなどの画像診断機器のガイド下にてカテーテルや針を用いて行う診断や治療の総称であり、開胸や開腹をせずに診断や治療を行う非侵襲的手法である。人医療だけでなく、小動物医療においても普及しつつあり、技術向上のみならず、安全な実施や適応判断を含めて検討すべき課題は多く、本学会はその課題の克服と幅広い普及を目指している。

 プログラムの初日は、午前中にドライラボ「IVRの基礎講習、基本手技の習得」が行われ、午後はシンポジウム1「Precision surgeryを支えるデバイス 超音波吸引装置の真価を引き出す」をテーマに田村 啓先生(東京農工大学 小金井動物救急医療センター)、浅野先生(前出)による「獣医学での超音波吸引装置の臨床応用」が講演され、医学領域から本田吾郎先生(東京女子医科大学 肝胆膵外科)をお招きして「医学における肝胆膵領域に対する超音波吸引装置の臨床応用」が講演された。その後、医学領域における超音波吸引装置の使用法を実際を学んだ上で獣医学領域にどのように応用できるかについて熱い議論が交わされた。

 2日目は、午前中の「VIRIES~国際学会を体感しよう~」では、石垣久美子先生(本会理事、日本大学)により「VIRIESとは?」をテーマに、2025年8月に日本・京都で実施された「Veterinary Endoscopy Society(VES)/Veterinary Interventional Radiology& Interventional Endoscopy Society(VIRIES)の国際大会」の報告および、VIRIESの安全・活発に意見交換できる組織文化等、詳細が紹介された。続いて、実際にVIRIES京都大会で発表された池田正悟先生(千村動物病院)による犬の肺動脈狭窄に対するステント治療、竹内 僚先生(日本大学)による猫の難治性排尿困難に対する人工尿道括約筋(AUS)設置に関する講演が行われた。午前中最後のプログラムとして今年5月に実施される「2026年度VIRIES」の紹介と参加の呼びかけが行われた。
 昼には朝日インテック株式会社協賛のランチョンセミナーが実施され、低侵襲治療に役立つ新規デバイスとして細径内視鏡やマイクロカテーテルが紹介された。
 午後のシンポジウム2は「肝臓腫瘍に対する治療戦略と展望」をテーマに、「肝臓腫瘍に対するIVR」について川村悠太先生(川村動物病院)、「肝臓腫瘍に対する放射線治療の現状」について森 崇先生(岐阜大学)、「肝臓腫瘍に対する外科戦略」について浅野和之先生(前出)が講演された。最後に総合討論が行われ、それぞれの治療法の特徴が整理されるとともに、今後の適応についても議論がなされた。

 「IVRという治療は、まだ100%確立された治療方法ではありません。したがって、みんなで様々な議論を重ねていく上で適応を見極める必要があります。」と、本会会長の浅野先生が、IVRに対する考え方を述べた。さらに、北米を中心としたVIRIES、ヨーロッパの低侵襲治療学会と本学会は連携していき、グローバルに展開していくことを約束しています。「本学会に留まらず、ぜひVIRIESのホームページをみて、参加をして、できれば発表もしていただき、IVRの発展に寄与していただければと思います。低侵襲治療を学ぶ意欲のある方は、ぜひ本学会と同様、VIRIESに関心をお寄せいただきたい。とても暖かい学会ですので、世界各国の先生方から様々なアドバイスをもらえるでしょう。」
 次回の本学会学術集会は日本大学にて今年同様に2027年1月初旬に予定されており、VIRIESは2026年5月13日~15日に、VES(獣医内視鏡学会)とボストンにて共催される予定である。
 小動物への低侵襲治療の牽引役として、本学会の果たす役割は益々大きくなると期待される。
 詳細は以下より。

【(一社)日本獣医IVR学会】
https://www.jsvir.net/index.html
【VES】
https://veterinaryendoscopysociety.org/
【VIRIES】
https://viries.org/


日本IVR学会長 浅野和之先生(前出)


「シンポジウム1 Precision surgeryを支えるデバイス 超音波吸引装置の真価を引き出す」のご講演の本田先生(前出)。人医療の立場からIVR治療について解説された


初日、総合討論会の様子。左から、本田先生(前出)、浅野先生(前出)、田村先生(前出)。ファシリテーターは須崎信茂先生(本会副会長、すざき動物病院)と石垣久美子先生(前出)


石垣先生(前出)による2025年8月に日本・京都で実施されたVES/ VIRIES国際大会の報告、およびVIRIESの紹介


ランチョンセミナーの様子。講師は浅野先生(前出)、協賛は朝日インテック株式会社


シンポジウム2「肝臓腫瘍に対する治療戦略と展望」総合討論の様子。左から浅野先生、森先生、川村先生。ファシリテーターは高橋秀児先生(高橋動物病院)と石垣先生