小動物臨床における輸血療法をはじめとした血液療法の正しい知識と献血プログラムの普及、献血ネットワークの構築を目的とする日本獣医輸血研究会学術講習会。昨年2020年開催の第3回に続き、オンラインにて開催された。

 セミナーは、「献血に関する院内システム」(長島友美先生、刈谷動物病院)といった基礎から、外部講師として石田卓夫先生(赤坂動物病院)を迎えた「輸血の前に見直そう!貧血の理解を深めるための90分」や、「臨床輸血のアップデート。最新知見をご紹介します」(瀬川和仁先生、相模原どうぶつ医療センター)など、より専門的な内容にも及んだ。

 また、「献血ドナーの募集って大変。そんな課題を考えるためのワークショップ」で、輸血を行う病院で実際にどのようにドナー登録をすすめているかについて説明されたのち、ワークショップに参加された石原喜代司先生(渡辺動物病院)、鈴木裕子先生(Pet Clinicアニホス)、石田沙恵動物看護師(苅谷動物病院)による座談会も開催。ドナー登録の難しさや院内に供血動物を置くことについてなど、輸血療法の抱える問題点についても理解を深めることのできる内容であった。

 2022年5月には、「JSVTM(日本獣医輸血研究会)認定輸血コーディネーター」認定試験も実施予定とのこと。動物診療施設における安全な輸血の実施と、輸血に関する院内教育において指導的な役割を担うことのできる人材の育成を目的にした同制度の、今後の広がりに注目したい。

 日本獣医輸血研究会「JSVTM認定輸血コーディネーター制度設立のお知らせ」https://www.jsvtm.org/






総合討論(認定プログラムにおける質疑応答)の様子。同研究会会長の内田恵子先生(左)とプログラム委員の中村知尋動物看護師