小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

日本獣医輸血研究会 第3回学術講習会 開催される

 2020年11月20日(金)〜12月16日(水)、オンラインにて日本獣医輸血研究会 第3回学術講演会*が開催された。

 今回の学術講演会は、獣医師、獣医学生だけでなく、動物看護師、動物看護学生も視聴対象とされ、また、輸血の基礎から、獣医師、動物看護師がすぐに臨床現場で活用できる実践的な内容までを含む講習会となった。

 受講者の認定プログラムとして実施されたのは、「輸血用血液製剤」(講師:仙波恵張先生、日本動物医療センター)、「輸血準備 輸血量・速度の設定」(講師:荻野直孝先生、ALL動物病院行徳/(株)wizoo)、「輸血モニタリング」(講師:中村知尋看護師、日本動物医療センター)の3講座。実際に輸血を行うにあたり、使用する輸血用血液製剤はどのようなものが適当であるか、輸血前の準備の内容、輸血する血液量や輸血の速度の設定、そして輸血中のモニタリングは何に注意をすべきか――といった、輸血療法の一連の流れを知ることのできるプログラムであった。

 今回の講習会のトピックとして、輸血が重要な治療として活用される救急医療の現場で活躍される塗木貴臣先生(TRVA夜間救急動物医療センター)を迎え、「救急における輸血」についての講義も行われた。

 講習会の最後には、事前に本講習会の視聴者から受け付けた質問に答える形で総合討論が行われ、より理解を深めることのできる時間となった。

 長引くコロナ禍によりオンラインでの開催となった本学術講習会だが、輸血に対する知識の底上げを図り、よりよい治療に活かしたいという主催者、受講者両者の思いがしっかりと感じられるものであった。第4回学術講演会の開催の発表が待たれる。


*日本獣医輸血研究会 学術講演会
日本獣医輸血研究会では認定制度を設置しており、全4回の学術講演会の認定プログラムを受講することで認定試験の受験資格が付与される。
認定試験を受験するためには本研究会の会員登録が必要となる。
詳細は同研究会ホームページを参照のこと。
https://www.jsvtm.org/


仙波先生「輸血用血液製剤」の講義の様子


荻野直孝先生の講義では、実際の輸血中の様子も紹介された

第41回動物臨床医学会年次大会 オンライン学会 開催される

 2020年11月22日(日)~23日(月)の2日間(アーカイブ配信:当初、終了後1週間であったが、その後、好評につき2週間まで延長された)、第41回動物臨床医学会年次大会がオンライン配信にて開催された。前回、記念すべき40回目という大きな節目を迎えた同大会は今年度、長引くCOVID-19の影響からオンラインでの開催を与儀なくされたが、はじめての試みを盛況のうちに終了させた。

 2日間で28セミナーが開催され、「知っておくべき猫の整形外科疾患」(本阿彌宗紀先生)、「心臓病に対してどんな利尿薬をどう使うか―フロセミドからトルパプタンまで―」(合屋征二郎先生)ではLIVE配信で質疑応答も受け付け、リアルタイムで参加する魅力を感じられるセミナーとなった。加えて、水谷哲也先生(東京農工大学)、木村佑哉先生(北里大学)によるセミナー「臨床獣医師は新型コロナウイルスにどこまで気を配るべきか」は、すべての獣医師の先生に訴えかけるテーマであった。

 次回、第42回動物臨床医学会年次大会の開催については今後告知される予定だが、このコロナ禍での開催を経て、変化していくであろう同大会に大いに期待を抱かせる内容となった。

宮川優一先生(日本獣医生命科学大学)のセミナーのテーマは「慢性腎臓病の管理に重要なリン・カルシウム代謝異常とFGF-23」

学校法人シモゾノ学園『シモゾノ学園どうぶつ祭』開催

2020年11月1日(日)に東京都世田谷区の国際動物専門学校で『国際★どうぶつ祭』、埼玉県さいたま市の大宮国際動物専門学校で『大宮国際★どうぶつ祭』が開催された。
例年であれば2日間開催し、1,000名を超える地域の方々も参加するイベントであるが、今年度は新型コロナウイルス感染症対策で、在校生の保護者と、進学を希望する高校生のみを対象とし、来校者数管理のため午前と午後の完全予約制での1日開催となった。
本来このイベントは、学生たちの学びはもちろん、日頃からお世話になっている地域の方々へ動物の魅力を伝えることを目的のひとつとし、地域貢献・社会貢献となるよう開催している。多くの人が来校できないことは残念ではあったが、さまざまな学校イベントを中止せざるをえない状況の中で、学生たちの思い出づくりとしても意味ある1日となった。
学生たちは学びの成果を発表するため、それぞれ特徴のあるイベントを行った。
動物飼育系の学科では、エキゾチックアニマルとのふれあいや、アニマルショー、また海の動物を紹介するためのタッチプール、水槽展示を行った。
ドッグトレーナーの学科は、トレーニングの成果であるデモンストレーションを披露し、犬との信頼関係を表現した。これは学校動物との信頼関係がなければできないパフォーマンスとなっており、来校した方々に動物たちの魅力を伝えることができた。
動物看護系の学科では、動物看護に関わる体験コーナーを実施。
トリマーの学科では、学生たちが作った犬用の洋服でドッグ・ファッションショーを開催、カラーリング・デザインカットを施したプッチー(トイ・プードルの人形)の展示などを行った。
その他にも、いろいろな動物たちとのふれあいや、景品付きのゲーム、新しい生活様式に合わせたデコレーションマスクづくりなどのブースもあった。来校者に喜んでもらうためのこうしたイベントを、学生たちが考えた。
『どうぶつ祭』は、卒業後に動物業界の仕事に就くことを目指す学生たちにとって、お客さまとのコミュニケーション力を身につけるための大切なイベントでもある。就職を控えた学生たちの実践力を伸ばす、貴重な機会ともなった。