3月27日、満開の桜が咲き誇る東京都両国・国際ファッションセンタービルで、第25回 日本獣医皮膚科学会 学術大会・総会が開催された。昨年度までオンラインでの開催を余儀なくされたが、今年度は現地会場およびWEB配信(開催:3月18日〜4月27日、4月1日〜27日で会場講演の見逃し配信も実施)によるハイブリッドでの開催が実現した。今回はまた、加納 塁先生(日本大学)が新会長に就任されてはじめての大会であり、アジア獣医皮膚科学会(AiSVD)も共催される記念すべき大会となった。
同大会のメインテーマは、皮膚以外の臓器疾患に由来する皮膚病変の概念を意味する「デルマドローム」。そのため講演は、「科学講演〜痒みと神経〜」(岡田峰陽先生、理化学研究所)をはじめ、「内科医の視点から診る犬の副腎皮質機能亢進症と甲状腺機能低下症」(佐藤雅彦先生、どうぶつの総合病院)、「腫瘍の皮膚転移 / 腫瘍随伴症候群」(原田 慶先生、日本小動物がんセンター)など多岐にわたる内容となった。
会場での講演への参加は、コロナ禍である現在の状況を鑑み、皮膚科学会会員かつ事前登録者のみとされ、また、会場の収容人数を半分以下に設定する、参加者に「健康チェックシート」の提出を呼びかけるなど、最大限の予防措置が取られた。主催者側のそのような努力もあり、久しぶりの学会会場に足を運ばれた先生方の多くは、新しい知識を得る時間を心置きなく楽しまれたのではないだろうか。
オンラインによる学会開催の魅力は、この2年で多くの先生方が実感するところとなったと思われる。いっぽうで、今回のように実際に会場に足を運び、志を同じくする参加者と肩を並べて講演を聴くという経験は、やはり貴重なものであろう。今後はこのようなハイブリッド開催が学会開催の主流になり、参加者が自分のスタイルで楽しめる学会が増えることを期待したい。
次回、第26回学術大会の開催情報が待たれる。
アジア獣医皮膚科学会
(Asian Society of Veterinary Dermatology:AiSVD)
2003年、アジアを一単位とした専門医制度の設立を目指し設立。AiSVDの事業の一つとして、アジア獣医皮膚科専門医協会(Asian College of Veterinary Dermatology:AiCVD)を立ち上げた。国際専門医協会により承認された、皮膚を専門に診察するスペシャリストである獣医皮膚科専門医を擁する。また、日本獣医皮膚科学会主催の皮膚科講習を修了し、所定の基準を満たしたホームドクターは、日本獣医皮膚科学会・認定医となる。