小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

「SFTS疑いの猫が来院したらどうする?」セミナー 開催

 2019年12月6日(金)、東京農工大学府中キャンパス・50周年記念ホール(東京・府中市)で、東京農工大学農学部附属農学フロンティア機構、国際家畜感染症防疫研究教育センター、動物医療センター主催により、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)を発症した、または発症した疑いのある伴侶動物の対応について、藤井祐至先生(岐阜大学)が講演された。

 SFTSを発症した伴侶動物に対して自身が実際に治療をした経験をもとに展開された本セミナーでは、「SFTSとは?」「実際の現場では?」の2つのテーマをもとに展開。
「SFTSとは?」では、自然界におけるSFTSウイルスの感染環の説明からはじまり、人での死亡率や日本での届け出の多い時期や地域、日本で犬猫のSFTS発症が報告された地域等が紹介され、SFTSの現状と概要について会場は理解を深めた。
 また「実際の現場では?」の講演では人での診療の他、伴侶動物でのSFTSの臨床的特徴について話が続き、実際に経験したSFTS発症猫の事例を取り上げ、具体的な検査、診断、治療について紹介された。
また、動物病院に勤務するスタッフへの二次感染予防として個人的防具(PPE)を着用する必要性についても紹介された。

 講演後の質疑応答では、「(SFTSが)治癒したかどうか、どのように判断すればよいのか」「安楽死も選択肢にいれるべきなのか」「有効な消毒薬は?」「SFTSを発症した愛玩動物が自分の病院で亡くなったら、その後の対応は?」「SFTSを発症した犬猫が入院する場合、他の入院動物たちからどのように隔離をすればよいのか」など会場では具体的な対応について多くの先生が質問され、司会の村田佳輝先生(東京農工大学・むらた動物病院)の進行のもと、藤井先生が一つひとつ丁寧に回答されていった。

 「獣医師としてSFTS(ウイルス)を人に感染させないことが、私たちの責務だと思います」と最後に藤井先生が獣医師としてSFTSに向かう姿勢について強く訴えられたのが印象的であった。

藤井祐至先生

司会の村田佳輝先生

会場には多くの参加者が集い、熱心に耳を傾けた

VSJ SUMMIT 2019開催される

 2019年11月23日(土)、VSJ SUMMIT 2019がNagatacho GRiD(東京・永田町)において開催された。当日は全国から約95名の参加者が集まり、終日の雨にもかかわらず、活発なディスカッションが交わされた熱いミーティングとなった。VSJ SUMMITの目的は、獣医師・動物看護師・企業が「つながる」「業界の未来を語る」ことである。今回は「リーダーシップ ~Leadership~」をテーマに、動物業界の今、そして未来の潮流に関する講演が行われ、フロアからの質問や提案も含め、多くのアイディアがシェアされ、獣医業界のスペシャリスト・ジェネラリストが交流を深めた。
 プログラムに登場したSpeakerは教育者、認定専門獣医師、動物病院院長、日本国内外を問わず活躍中の獣医師・動物看護師、看護師、動物業界の起業家など多岐にわたっている。内容については以下の通り。
KEYNOTE 「動物看護師の国家資格化について~法律の側面から~(下薗惠子先生)」、Session1 「動物看護師に必要なリーダーシップとは? 国家資格と将来(Kenichiro Yagi氏、西村裕子先生、下薗惠子先生、村尾信義氏)」、Session2 「PetTECH ペット業界におけるテクノロジーの新潮流とリーダーシップ~(山入端佳那氏、堀 宏治氏、三本壮馬先生)」、Session3 「専門医療に求められるリーダーシップとは?(上地正実先生、小笠原聖悟先生、末松正弘先生、辻田裕規先生)」、Session4 「動物病院のマネジメント論とリアル 現場の事象から学ぶ(西山ゆう子先生、中村篤史先生、三好紀彰先生、朴 永泰先生)」。
 翌日には動物看護師に特化した「VNJサミット2019」が日本獣医生命科学大学にてはじめて行われ、両講演ともに現在の獣医療をピンポイントに切り取る内容であった。

VSJ SUMMITのSession前に登壇したSpeakerの先生方

VSJ SUMMITのSessionの様子

VNJサミットの様子