小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

共同運営夜間救急動物病院連絡会(NANEHA)第6回会合 開催される

 2019年2月16日(土)、共同運営夜間救急動物病院連絡会(Nationwide Jointly Operated Nighttime Emergency Animal Hospital Association、NANEHA)第5回会合が、パシフィコ横浜(日本獣医内科学アカデミー開催期間中/神奈川県)で開催された。本会は、現場スタッフの働き方や夜間という時間帯のスタッフの拡充や勤務中の安全確保などを含めた、夜間救急動物病院の運営、経営を目的とした情報交換を行うことを目的に設立された。会合では全国の共同運営による夜間救急病院の関係者が集まる。現在は24の動物病院が参加。

 会合では2017年から日本でも始動したRECOVER、そして今年7月28日に開催予定のJVECC Fes2019(前身はにっぽん動物救命救急カンファレンス)などについて主に話し合われた。獣医救急集中治療への関心が高まるなか、一般社団法人日本獣医救急集中治療学会(JaVECCS)の設立(2019年3月予定)に向けてRECOVER Initiative JapanやVECCS(米国救急集中治療学会)との連携を進めていくなど、今後の展開を模索した。

 獣医救急集中医療を、日本にとどまらずアジアというフィールドでもイニシアチブをとっていくべきという意欲あふれるJaVECCSと、それらを経営や人材確保等の視点でどのようにサポートしていくか、安定した夜間救急動物病院の運営を担う本連絡会の今後の活動が期待される。

会合の様子

学校法人シモゾノ学園 2019年度年次大会

 2019年2月21日(木)、東京・大田区民ホール アプリコ大ホール において、学校法人シモゾノ学園 2019年度年次大会が開催された。本大会は、専修学校教育を通して人財育成を実践する国際動物専門学校・大宮国際動物専門学校が、学生のキャリアアップを支援するため、約900名の全学生を集めて開催している。今回は特別講演として鎌田伊津子先生(埼玉県金融広報委員会)による「若者が巻き込まれやすいトラブルと対処法について」、井上貴文先生(目黒洗足動物病院)による「動物保護 ~今自分達にできること~」が、また学生たちの行った「社会的基礎力プロジェクト」の発表および優秀作品表彰、国内研修クラスパフォーマンスでの上位クラス発表、動物看護師統一認定資格試験決起会などが行われた。
 シモゾノ学園を卒業する学生のほぼ全員が、動物看護師やトリマーなど動物とかかわる職業の社会人となる。特別講演では、彼らが身近な問題として考えるべき事柄がとりあげられ、鎌田先生は消費生活相談員として、20歳前後の人が巻き込まれやすいネット売買等におけるトラブルの傾向や対策について解説、井上先生は、臨床獣医師であり保護活動に携わる経験から、小動物臨床現場のスタッフとなったとき、動物保護の第一歩として何ができるかについて語られた。
 学生たちは、いつもの教室とはちがう環境で、動物とかかわる職業の社会人となったときのためにどのような心構えが必要か、質疑応答も交え熱心に学んでいた。

会場の様子

ドイツ&オランダ動物保護施設視察ツアー報告会 開催

 2019年2月13日(水)、京王プラザホテル(東京・新宿)で、公益社団法人 東京都獣医師会による平成30年度第2回賛助会員ミーティングに続いて、2018年11月8~15日にかけて催行された「ドイツ&オランダ動物保護施設視察ツアー報告会」が開催された。

 本ツアーは東京都獣医師会の監修のもと実施された視察ツアーで、日本獣医師会会長、東京都獣医師会副会長、都議会議員、開業獣医師、企業獣医師、ペット保険、ペット共棲型老人ホーム、ペット用品販売・卸、ペット葬祭・霊園、建築等、多岐にわたる業界から参加者が集い、ハノーファーティアハイム、オランダ最大の動物保護施設であるDOA(Dierenopvang Amsterdam)、ティアハイムベルリン、ファルケンゼーティアハイム等を訪問した。

 報告会では、「ドイツから学ぶ共生社会と東京都の今後の展開について」を栗林のり子氏(東京都議会議員)、「ドイツでのペット葬儀・埋葬事情」を齋野勝夫氏(城南ペット霊園)、「ドイツにおけるペット保険事情」を兵藤未來氏(アニコムホールディングス株式会社)、「動物保護施設における建築的アプローチ」を金巻とも子(かねまき・こくぼ空間工房)、「ZooZajac(ツォー・ツァヤック)」を坂口清志氏(ジャペル株式会社)、「国民の動物に対する意識」を山川伊津子先生(ヤマザキ動物看護大学)、「ドイツ・オランダ動物保護施設ツアー報告会」を戸上由香梨先生(ハノーファー獣医科大学)、「ドイツ全土に、なぜ1,400以上のティアハイムが存在するのか?」を藤井立哉先生(ペットフード・テクノリサーチ)とそれぞれの視点から発表され、約2時間以上に及ぶ熱意ある報告に会場は熱心に耳を傾けた。

 「たくさんのティアハイムをみてもらうことが、今回のツアーの目標でした。」という本ツアーの中心となり尽力された平井潤子先生(東京都獣医師会事務局長、ANICE代表)。
これからも日本オリジナルの人と動物の共生社会のあり方や、動物業界のこれからについて一緒に考えていきたいと語る。次の視察ツアーが待たれる。

会場の様子

本視察ツアーの監修を務めた
東京都獣医師会、会長村中志朗先生

東京都獣医師会副会長の小林元郎先生は
本ツアーに同行

東京都獣医師会事務局長であり本視察ツアーの
中心メンバーである平井潤子先生

日本獣医再生医療学会 第14回年次大会 開催される

2019年2月2日(土)~3日(日)の2日間にわたり、アットビジネスセンターPREMIUM新大阪において、日本獣医再生医療学会 第14回年次大会が開催された。
今回は「ご家族に笑顔を届けられる細胞療法を実施するには―みんなで考えよう―」をテーマに、学術倫理基礎講習会、症例検討会、学術発表会のほか、韓国における再生医療の現状や、ガイドラインおよび届出制度に関する講演が行われた。また、別会場において培養技術講習会が行われた。
2日目の徹底討論では、はじめに「幹細胞療法の限界?!―失敗症例をもとに考える―」と題し、鳩谷晋吾先生(大阪府立大学)をアドバイザーに、横山篤司先生(さくら動物病院)から幹細胞療法を実施し奏効しなかった症例が複数紹介され、活発な議論が行われた。また、「伴侶動物と暮らすご家族に笑顔を届けられる活性化リンパ球移入療法を考える―LINEで参加―」では、牛草貴博先生(関内どうぶつクリニック)をアドバイザーに、平野由夫先生(ひらの動物病院)司会のもと、獣医師の先生からはもちろん一般の飼い主から集められた細胞療法に関する情報をもとに議論が展開された。
本学会顧問である石田卓夫先生は、初日の挨拶のなかで、再生医療分野を勝ち戦にするためにはエビデンスづくりを一丸となって行うべきであると述べた。2019年の立春を前に多くの参加者が集まり、その熱意に新たな萌芽を感じる学会であった。

会場の様子