2026年3月7日(土)、8日(日)の2日間にわたり、(一社)日本獣医皮膚科学会による第29回学術大会・総会が国際ファッションセンタービルKFCホール(東京都・墨田区)で開催された。テーマは「アトピー性皮膚炎の最前線から未来へ」。
初日に行われたDr. Peter Hill(Small Animal Specialist Hospital:SASH)による招聘講演「犬アトピー性皮膚炎の診断および管理に関する最新情報」では、本疾患の定義に関する歴史や治療の選択肢等について、40年にわたる一次診療、二次診療およびイギリス、オーストラリアでの経験をふまえ講演された。その他基礎セミナーでは大隅尊史先生(東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院)による「模擬症例で学ぶ:ビデオオトスコープで行う外耳洗浄の実際―手順とコツ、トラブル回避~」、ランチョンセミナーでは「犬アトピー性皮膚炎が治らないときあなたは何を考えますか?」(村山信雄先生、犬と猫の皮膚科/(公財)日本小動物医療センター)が実施され、初日から会場には多くの参加者がつめかけた。
続く2日目は科学講演が実施され、犬アトピー性皮膚炎の診断と治療に関する最新の知見について人医療の治験を交え、福山朋季先生(麻布大学)、中島沙恵子先生(京都大学)が講演。パネルディスカッション「臨床皮膚科医の視点からみたアトピー性皮膚炎診療40年の軌跡~pitfallの解決と今後の課題~」では、大阪はびきの医療センターの片岡葉子先生を迎え実施された。パネルディスカッションには片岡先生(前出)、伊従慶太先生((株)1sec.)、中島先生(前出)、朝比奈良太先生(岐阜大学)を迎え、モデレーターの小林哲郎先生(理化学研究所)のもとで実施された。
また2日目の基礎セミナーは「犬アトピー性皮膚炎に対するスキンケア」(江角真梨子先生、東京農工大学)、ランチョンセミナーは「犬アトピー性皮膚炎のアンカーセラピー:~増悪期の荒波に備える~」(西藤公司先生、東京農工大学/当学会長)、「さらに楽しい総合診療の中の皮膚科を目指して」(伊從慶太先生、(株)1sec)が実施された。2日間を通し、参加者たちはアトピー性皮膚炎への理解を深めた。
今大会では一般講演に14演題が集まり、ポスターセッションで18のポスターが発表され、一般講演から「ヒスタミン皮内反応を応用した外用グルココルチコイド製剤の皮膚浸透評価系の構築」(竹尾記子先生、麻布大学)と「飲水に伴う外耳からの液体流出を主徴とした犬の耳管開放症の1例」(五十嵐里菜先生、兵庫ペット医療センター・JASMINEどうぶつ総合医療センター)、ポスターセッションからは「日本国内における犬アトピー性皮膚炎の臨床的特徴の解析」(森田 直先生、むつみ動物病院)がアワードを受賞した。また優秀論文として「犬の脂漏症におけるオゾンバブル浴の有効性と安全性」(後藤謙治先生、後藤動物病院)が受賞した。
来年2027年の第30回学術大会は記念大会として3月20日(土)、21日(日)にTOC有明(東京都・江東区)で規模を拡大し実施される。テーマは「総合診療の中における皮膚科臨床」を予定。当会のますますの活躍が期待される。

当学会長の西藤先生による開会の挨拶

パネルディスカッションの様子

アワード受賞者、優秀論文賞の受賞者と西藤会長