2024年1月12日(金)CAICM(内閣官房内閣感染症危機管理統括庁)主催によるシンポジウムが、東京、千代田区の東京国際フォーラムで開催された。テーマは「新たな感染症危機にいかに備えるか~国民の生命・健康と生活・経済の両立を目指して」。
 冒頭の、岸田文雄内閣総理大臣のビデオメッセージにはじまり、主催者である新藤義孝氏(感染症危機管理担当大臣)による挨拶、続いて齋藤智也先生(国立感染症研究所 感染症危機管理研究センター長)による基調講演が行われた。基調講演で登壇した齋藤先生は「パンデミックと行動計画」をテーマに、パンデミックの歴史や感染症における危機管理のサイクル、発災前の予防・早期探知の重要性、発災後のフェーズごとの対応、ガイドラインや特別措置法などの法的整備などを紹介。次のパンデミック、発災に備え「平時も有事も読んでもらえる行動計画をたて、その計画を常に読んでもらえる」ようにすることの重要性を訴えた。

 後半のパネルディスカッションは、モデレーターに稲継裕昭先生(早稲田大学 政治経済学術院)を迎え、10名の有識者をパネリストとして招き実施。昨年2023年9月1日に発足した「内閣感染症危機管理統括庁(Cabinet Agency for Infectious Disease Crisis Management :CAICM)」についての紹介が行われた。本庁は感染症危機管理のいわゆる「扇の要」にあたる組織であり、パンデミックをおこす感染症や薬剤耐性(AMR)感染症の対応においても中心となって指揮をとるとのこと。また想定される有事と平時の行動計画や感染症危機管理対応訓練の全体像なども解説された。厚生労働省からは、本省の改組、感染症法の改正や“国立健康危機管理研究機構”いわゆる日本版CDCの新設などについて紹介された。また、2019年からのコロナ禍での大学教育、医療、企業活動の様子や、情報の慎重な取り扱い、都市部と地方との双方向のフラットなネットワークづくりの必要性などについて多角的な意見が述べられた。

 令和6年能登半島地震の発災から間もない開催となった本シンポジウム。会場参加者は78名、オンライン視聴者は427名にのぼり、今後CAICMが担う役割の重要性を改めて認識させられるシンポジウムとなった。

CAICM(内閣感染症危機管理統括庁)に関する詳細は以下より。
https://www.cas.go.jp/jp/caicm/index.html


パネルディスカッションの様子。モデレーターに稲継裕昭先生(早稲田大学 政治経済学術院)を迎え、大曲貴夫先生(国立国際医療研究センター国際感染症センター)、工藤成生氏((一社)日本経済団体連合会、危機管理・社会基盤強化委員会)、佐々木昌弘氏(厚生労働省 健康・生活衛生局感染症対策部)、佐藤好美氏(産経新聞社論説委員)、鷲見 学氏(内閣官房内閣感染症危機管理統括庁)、瀬戸泰之(東京大学医学系研究科)、奈良由美子先生(放送大学教育学部)、平井伸治氏(鳥取県知事、全国知事会新型コロナウイルス緊急対策本部長)、福島靖正氏(国立保健医療科学院※前厚生労働省医務技監)、村上陽子氏(日本労働組合総連合会)の10名の有識者をパネリストとして招き実施


内閣総理大臣 岸田文雄氏。「令和6年能登半島地震において本庁の果たす役割は大きい。コロナ禍での経験をふまえ新たな行動計画に生かし感染症への備えを万全にし、皆が安心して豊かな暮らしを送れるように」と会場へメッセージを送った


感染症危機管理担当大臣 新藤義孝氏。1月1日に発生した令和6年能登半島地震にふれ哀悼の意を示すとともに本庁が大いに貢献し、復旧・復興・被災者支援に向け力を尽くすことを改めて明言


斎藤智也先生。発災に備え「平時も有事も読んでもらえる行動計画をたて、その計画を常に読んでもらえる」ようにすることの重要性を訴えた