2019年2月27日(水)〜3月1日(金)の3日間にわたり、北海道・ニセコノーザンリゾートアンヌプリにおいて、The 10th Comparative Ocular Surface Diseases workshopが開催された。節目の第10回大会である今回、初日のドライラボと2日目のセミナーを取材したので、その概要を報告する。

 初日のドライラボでは、「Ocular Surface Analyser “I.C.P.OSA-VET”」と題し、(株)イナミが取り扱う、マイボーム腺機能と涙液、涙液膜油層評価や非侵襲的涙液膜破壊時間の評価が可能な検査機器を使用したワークショップが行われた。5〜6人のグループに分かれ、それぞれお互いの眼を用いた測定にトライ。自身の動物病院で実際に導入した場合のことを考え、楽しみつつも具体的な操作方法を体感した。ある参加者からの、眼表面の様子を数値として可視化できることで、飼い主への予防啓発の根拠の1つになるのではないかという話が印象的であった。

 2日目のセミナーでは、本大会会長の齋藤陽彦先生(トライアングル動物眼科診療室)のドライアイに関する現状と提言の講演を皮切りに、岩下紘子先生(トライアングル動物眼科診療室)の「Tear osmolarity changes in three dogs with Ocular surface diseases(眼表面疾患の3頭のイヌにおける涙液浸透圧モル濃度の変化)」、本号で執筆されている掛端健士先生(かけはた動物病院)の「4 cases of intracorneal hemorrhage in dogs(犬の角膜内出血の4例)」、同じく執筆されている北村康也先生(八雲動物病院)の「Meibomian gland dysfunction after the onset of bilateral blepharitis in a dog:case report(犬の両側性眼瞼炎発症後のマイボーム腺機能不全の1例)、そして、須賀康晴先生(すが犬猫病院)の「FHV-1 Keratitis: Classification & pathophysiology(猫ヘルペスウイルス-1角膜炎:分類と病態生理学)」「Classification of FHV-1 strain(FHV-1株の分類)」が発表された。

 また、休憩を挟んで、今大会の発起人でもあるD.Maggs先生(カリフォルニア大学デービス校)の「Herpetic corneal diseases in cats:How well have we characterized epithelial versus stromal versus endothelial syndromes? (ネコのヘルペス性角膜疾患:上皮性間質性症候群と内皮性症候群の関連性について)」、今回のゲストスピーカーである鈴木 崇先生(東邦大学医療センター大森病院眼科)による「Diagnosis and treatment for herpetic keratitis and endotheliitis in human(人におけるヘルペス性角膜炎および内皮炎の診断と治療)」が行われた。どの講演後でも、活発な質疑応答が展開され、すべての参加者の意識の高さが垣間見えた。

 参加した太田充治先生(動物眼科センター)は、本大会の意義について、日本の最先端の情報を入手できる場所であり、同時に世界的にみても最先端の情報を入手できる場所で、少しでもその情報に触れるために参加しているとのこと。

 当日はECVO会長のVerbruggen先生をはじめ、ベルギーや韓国からも参加者が集まり、好天の銀世界に囲まれた会場で、お互いの意見を交換した。

会場の様子