2025年10月26日(日)、日本獣医生命科学大学E棟(東京都・武蔵野市)で、(一社)日本愛玩動物看護師会(JVNA、会長 横田淳子氏)主催、農林水産省、環境省後援による、第15回動物看護大会が開催された。日本動物看護職協会から日本愛玩動物看護師会と名称変更してからのはじめての開催となる。
 今年のテーマである「明日からのケアが変わる! ライフステージ別動物看護」のもと、教育セミナーでは、森 勇人先生(TRVA動物医療センター)が「そのトリアージ、“なんとなく”で終わらせない!-気づき・考え・動ける愛玩動物看護師になるために-」、富永良子氏(nobita)が「周産期ケア~自宅主産をどうサポートするか」を講演した。多くの聴講者は日々の診療のなかで判断の基準となる新たな知識を得られたと思われる。
 シンポジウムは、シニアケア「動物病院もその先も」で、中村陽子氏(ペットケアホーム フズル)が「動物リハビリテーション」、安部里梅氏(ペットケアホーム リュッカ)が「どうぶつ介護総合施設」について講演した。2名とも起業した愛玩動物看護師であり、それぞれの現場での実例に基づく看護やシニア期の動物と暮らす飼育者の心情について解説された。シンポジウムの最後に、ファシリテーターの横田会長およびフロアの聴講者を交えたディスカッションがあり、有意義な意見交換が行われた。
 本年も採血実習セミナーが開催され、参加者はシミュレーターを用いた採血を講師のアドバイスを受けて行った。
 いなばペットフード(株)企業セミナーとして、谷口 優先生(国立環境研究所)の「伴侶動物との暮らしが人や社会保障にもたらす効果」の講演が実施された。犬と暮らすことで要介護認知症発生リスクが低下すること、伴侶動物と暮らす方の月額介護費用が抑えられることなど、動物がもつ社会の有益性をエビデンスとともに解説された(MVM2026年1月号で同内容の記事を掲載)。
 動物看護研究では9題の口頭演題があり、そのなかから中島佳代子氏(とがさき動物病院)「後躯麻痺での排尿障害を呈する犬に対する入院中の床材の検討」がヒルズアワードを、遠藤さくら氏(ALL動物病院グループ)「入院動物に対する適切な栄養管理体制の構築」がJVNA優秀賞を受賞した。
 閉会式では、近江俊徳先生(日本獣医生命科学大学)が「多彩で充実した内容のプログラムが展開され、どの講演も愛玩動物看護師としての専門性をさらに高めていこうという強い使命感と情熱を感じることができた。動物看護研究では日々の業務のなかから確かな実践を重ねていることがわかった。後に続く方もこれらの研究を参考にさらによりよい研究を行っていただきたい」と総評した。

講演の様子