2025年10月14日(火)、衆議院第二議員会館(東京都千代田区)でNPO法人 人と動物の共生センターによる「生活困窮者のペット飼育問題の解決に向けて」セミナーが実施された。
 本セミナーは、「国内で多発する〈多頭飼育崩壊〉等の問題の背景には、飼育者の精神障害・経済的因窮等の問題が隠れている」「〈動物の問題〉ととらえられやすいが、〈人の困窮・人の福祉の問題〉が、動物の問題という形で表出したもの」「解決には、動物福祉と社会福祉、民間と行政の横断的な協力が必要だが、まだまだ認知されていない。日本全体の問題として取り上げ、関係者と情報共有し、解決への糸口を探りたい」という3つの趣旨をもとに実施された。
本センターの理事長を務める奥田順之先生により生活困窮者ペット飼育の課題や、岐阜市内19ヵ所の地域包括支援センター所属の職員の協力によるアンケート結果、国の政策と現実などが紹介された。続いて支援現場の声として、「人と動物の福祉の繋~高齢社会の中、顕在化してくるペットと高齢者の問題とは~」(森 茂樹氏、かわさき高齢者とペットの問題研究会)の報告が行われた。生活困窮世帯の猫の飼育をメイン事業とする「人もねこも一緒プロジェクト」小池英梨子氏からは2017年から現在までの対応案件の詳細についての報告が行われた。「生活困窮ペット飼育者支援に関する院内勉強会」(亀山嘉代氏、NPO法人ねりまねこ)の発表では東京都練馬区での活動状況が報告され、また医療の立場から「在宅療養患者におけるペット問題」(白神真乃先生、医療法人かがやき総合在宅医療クリニック、「とこのこ」代表)が報告された。
 問題の解決には、飼い主への高齢者が健常な時期に早めに相談できる窓口、教育などの早期介入や、個人情報との兼ね合い、行政との連携やドネーションの重要性が紹介された。
 本セミナーには100名近い参加者が集った。動物の愛護及び管理に関する法律の策定にかかわった議員も臨席し、問題解決に向けた情報共有や提案を呼びかけた。
  “行政”、“ボランティア”、“飼い主と犬や猫”の問題解決のハブ(中継地点)を行政あるいは公的機関におくことで解決できる事案は少なくないのではと、本センター理事長の奥田順之先生はいう。
 福祉問題のからんだペットの飼育問題の解決に向けて、本センターの牽引がますます期待される。
 本センターの詳細は下記より。
https://human-animal.jp/


奥田順之先生の講演の様子


パネルディスカッションの様子・左から森 茂樹氏、白神真乃先生、小池英梨子氏、亀山嘉代氏、ファシリテータを務める奥田順之先生