2025年10月5日(日)、京王プラザホテル(東京都・新宿区)にて第28回日本獣医療倫理研究会(JAMLAS)が開催された。
 今回のテーマは、「リクルートトラブルを研究する」。本研究会会長の白永伸行先生(シラナガ動物病院)の挨拶からはじまり、本研究会顧問弁護士の春日秀文先生(春日法律事務所)からは「今年の動物医療事件裁判例」と題し、ある動物病院で実際にあった判例をもとに、どの部分が争点となったのかを示し、これからの日々の臨床現場に活用できる内容を解説した。
 「失敗から学ぶ採用戦略-人材紹介を利用して」では、平林弘行先生(さくら動物病院)が、「事例紹介」では、弓削田直子先生(VCAJペットクリニックアニホス)が、「東京都獣医師会でのリクルートトラブル防止の取り組み」では、宮下めぐみ先生(エルザどうぶつ福祉病院/東京都獣医師会)が、それぞれの立場から現在臨床現場でよく話に挙がる人材紹介企業や就職説明会など、実際に活用した経験などをもとに、リクルートに関するトラブル、課題およびその対策などについて解説された。
 また、本研究会顧問弁護士である姫井葉子先生(春日法律事務所)からは、従業員を採用する際の法的観点からの留意点について解説され、とくに「合意をするなら採用時に」という言葉が印象的であった。そのあと、「獣医学生の就職動向と課題」では、枝村一弥先生(日本大学)が、大学の観点から獣医学生の就職希望地域に偏重がみられること、獣医学生の就職活動が多様化しており職場環境を重視している学生が多いこと、女性の学生が増えているので今後女性獣医師が活躍できる環境の整備が必要であること、小動物臨床における就職活動中のトラブルが増加していることを解説した。その後の「リクルートトラブルを防ぎ定着させるには」をテーマとしたディスカッションでは、質問が枝村先生に集中し、獣医学生がどのような教育を経て臨床現場にやってくるのか、臨床現場との情報の不足、ズレが顕著に感じられる内容であった。
 テーマの影響からか、今回はこれまで以上に参加者が集まり、現在の日本の臨床現場における求人および人材確保への意識の高さが感じられた。
 

会場の様子