2024年11月3日(日)、福岡・TKPガーデンシティ博多にてひふゼミ2024が開催された。
 今大会のテーマは「皮膚のできもの・しこり」で、皮膚科の専門家と腫瘍の専門家が講演した。はじめに「皮膚科がみる皮膚の腫瘍」と題し、永田雅彦先生(ASC)が①皮膚腫瘍とは、②診断で大切なこと、③しこりの診かた、④代表的な皮膚腫瘍についてわかりやすく解説した。
 その後、小林哲也先生(日本小動物がんセンター)が皮膚科の臨床獣医師向けに「腫瘍科がみる皮膚の腫瘍」と題して2部構成で講演した。Part1「肥満細胞腫アップデート」では①プレドニゾロンは術前に使用しても肥満細胞腫の本質は変わらないこと、②領域リンパ節は原則切除すること、③外科マージンは腫瘍の大きさに応じて調整できること、④c-kit遺伝子検査は常に実施すること、⑤分子標的薬はイマチニブで十分であることを説明した。Part2「猫の皮膚扁平上皮癌の新しい治療法」では電気化学療法(ECT)について症例をまじえて適応となる病態、効果について紹介した。
 そして賀川由美子先生(ノースラボ)が「診療に活かす病理検査」と題して講演を行い、病理医が求める写真の撮り方、腫瘍を避け、境界部ではなく病変の中心をとること、クオリティーの高い細胞診標本の作製などについて説明した。
 最後に全員参加型ディスカッション「実はみんなも悩んでる 〜皮膚の腫瘍〜」が行われた。質問はすべてウェブを通して集められ、40の質問に担当する先生方が回答をした。とくに猫の皮膚扁平上皮癌へのECTの使用についての質疑応答が行われ、関心の高さが伺われた。
 ランチョンセミナーでは横井愼一先生(VCA Japan泉南動物病院)の「皮膚科の診断エラー学 しくじり先生 俺みたいになるな!」が日本全薬工業(株)協賛のもと行われた。
 来場者は51名、企業展示は6社であった。後日のウェブ配信での視聴希望者は211名であった。
 なお、来年2025年のひふゼミは新潟での開催を予定している。
 

 

会場の様子