2023年10月15日(日)、東京・新宿京王プラザホテルにてJAMLAS(日本獣医療倫理研究会)第26回研究会が開催された。本年度より、新会長として白永伸行先生(シラナガ動物病院)が就任し、前会長の山村穂積先生(アニホスフォレスト(株))とあわせ、本研究会の開催の挨拶が行われた。
 当日は全部で4演題が行われ、はじめに「使われてしまう名称-商標権とドメイン」と題し、座長に上野弘道先生(本会副会長、日本動物医療センター)を据え、山村穂積先生が講演された。内容は実際に「アニホス」の名称が使用された経験を交え、その経緯と対策を解説するというもので、非常に興味深い内容であった。講演後の質疑応答でも多くの具体的な質問がされ、動物病院名の商標権を取得しておくとトラブル回避につながるという話を中心にすすめられた。また、複数名の顧問弁護士による、エコー検査およびカルテの訴訟に関する位置づけにおける裁判例の紹介や、夜間診療やエキゾチックアニマルの医療水準について、説明義務についての法律上の考え方などが紹介された。その後、ディスカッションが行われ、具体的な例を交え、活発な意見が交わされた。
 来場者は動物病院の先生の他、弁護士の先生および企業関係者なども多く集まった。臨床現場でトラブルになりやすい状況にどう対応するか、訴訟や裁判例を活用し、より安心できる小動物臨床を提供しようとする参加者の熱意を感じる内容であった。新会長の白永先生の「本会は最先端の獣医療を先頭で牽引するのではなく、後方のカバーリングを受け持つ団体である」というコメントが印象的であった。
 

会場の様子