小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

共同運営夜間救急動物病院連絡会(NANEHA) 開催 

 2016年8月22日(月)、共同運営夜間救急動物病院連絡会(NANEHA; Nationwide Jointly Operated Nighttime Emergency Animal Hospital Association)が北摂夜間救急動物病院(大阪)で開催された。本会は、夜間救急動物病院の運営、経営などを中心とした情報交換を行うことを目的に、全国の共同運営による夜間救急動物病院の関係者が集まった団体であり、今回3回目の集まりに際し、NANEHA(ナネハ)の名称のもと、運営していくこととなった。
 NANEHA発足後の第1回目となる今回は、人材確保の難しさ、夜間の防犯、動物看護師の夜間救急医療へのかかわり方、コスト面などについて話し合われた。またアメリカにて救急医療の現場で活躍されている専門医の上田 悠先生(カルフォルニア大学デービス校)を招いてアメリカでの救急医療や勤務形態などについての話しもあり、アメリカでの救急医療と比較しながら、日本での救急医療の現場の改善について、運営側の立場として活発な意見交換がなされた。
 本会は今後も定期的に開催し、共同運営の夜間救急動物病院の質の向上に努める。
 夜間救急医療への関心を高め、共同運営だからこそできることを模索しつつ、より有意義な情報交換を行っていきたいという、熱気にあふれた会となった。


会議風景

一般社団法人日本動物病院マネージャー協会第4回大会実施される

 2016年8月10日(水)、ザ ランドマークスクエアトーキョー(東京都港区)において、一般社団法人日本動物病院マネージャー協会第4回大会が実施された。

 第2回定期総会のあと、研修会として第1部「獣医師のリクルート~今どきの獣医学生が望む臨床の現場とは~」と題し、王禅寺ペットクリニックの川瀬英嗣先生が講演された。合同就職説明会時に獣医学生に行ったアンケートをもとに、選考で最も信じる情報、実習先で何をみているかなど、非常に具体的な内容で、現在の獣医学生の実像と動物病院側の理想像のギャップが浮かび上がる内容であった。

 つづいて第2部「マネージャーの仕事とアウトソーシング~院長、その仕事、他の人でもできませんか? こんなにある、動物病院での獣医療以外のお仕事~」と題し、ワラビー動物病院グループの溝口健太氏が講演された。マネージャーとして実際にあった給与や社会保険料などに関する経験などを事例にアウトソーシングの重要性と活用法を解説された。

 なお、先の定期総会において、これまで溝口氏が務めていた会長職に、亀山動物医療センター事務長の亀山良久氏が就任、副会長に大久保文葉氏(大久保動物病院)、日下部ゆみ氏(新座・平塚動物総合医療センター)が就任するなど、新体制が発足した。そして、今回も100名を超える聴講者が集まる状況をみると、獣医界におけるマネージャーの重要性はますます高まっていると思われた。

会場の様子

FUJIFILM MEDICAL SEMINAR 2016 in東京 

 2016年8月7日(日)、FUJIFILM MEDICAL SEMINAR 2016 in東京が、富士フイルム本社(東京ミッドタウン)で開催された。
 POC検査を用いての迅速判断と治療について、松木直章先生(東京大学)が「甲状腺機能亢進症の迅速診断と治療」、大野耕一先生(東京大学)が「肝酵素上昇をみたら;POC検査での次のステップ」について講演された。
 本セミナーでは、メイン会場である東京会場の他に、webセミナールームを設置し、TKP札幌カンファレンスセンター(北海道)、TKPガーデンシティ仙台(宮城県)、島根イン青山(東京)、富士フイルム名古屋ビル(愛知県)、ホテルメルパルク大阪(大阪)、RCC文化センター(広島県)、ウェルピア伊予鳳凰の間(愛媛県)、富士フイルムメディカル 九州地区本部(福岡県)、さらに参加者多数のため急遽、和歌山にも会場を設け同時進行でセミナーを配信。講演後は各会場からスマートフォンを利用しての質問が直接メイン会場に寄せられ、演者の先生方が回答されるという形式の質疑応答が行われ、メイン会場150名を超える参加者とともに、全国のwebセミナールームの約350名の参加者は、充実した時間を過ごした。会場では、今年8月1日に発売された動物病院用カセッテDRシステム「CALNEO Smart V」や、10月に新登場する総胆汁酸検査(TBA)なども紹介され、参加者たちは、富士フイルムの掲げる「確かな技術であること。」「確かな進化であること。」を実感できる4時間となった。

松木直章先生

大野耕一先生

会場の様子

Team HOPE 関東地区特別講演 開催

 2016年8月3日(水)、Team HOPE関東地区特別講演が品川シーズンテラス(東京)にて開催された。
 「健康診断スクリーニング検査に超音波検査を加えてみよう」と題し、石田卓夫先生(赤坂動物病院・Team HOPE学術顧問)が講演。検査の順序、スクリーニング検査の意義、臨床検査に超音波検査を組み込むことによる優位点を、多くの画像や動画を交え、機材の特徴から手技にいたるまで、わかりやすく解説された。「超音波検査は動物を右下に寝かせて時計回りに実施する、毛は刈らない、一ヵ所で気になる所見がみつかってもその時点で止まらず最後まですべての検査を実施しきる」「異常所見や気になる点がみつかったら、2次検査を実施し、毛刈りや麻酔を用いての検査はそのステップで行うとよい」などハードルが高いと思いがちな超音波検査のポイントを具体的に説明。健康な状態での検査に対する飼い主の不安や犬猫のストレスを軽減し、健康診断の敷居を低くすることの大切さをご自身の経験談を交えて90分にわたりお話しされた。100名を超える参加者たちは、自身の病院での健康診断の導入や予防医療の大切さを、改めて学び実感する講演となった。
 Team HOPEの会員数は700件を超え、活動のステージが第2ステージに入ったという太田亟慈代表。関東地区も含め、今後も全国で規模の大小を問わずに地区セミナーを開催し、Team HOPEの理念を共有する仲間を増やし、皆で獣医医療界の向上を目指していきたいとのこと。

講演会場の様子

石田卓夫先生

一般社団法人日本獣医眼科カンファランス2016年年次大会開催される

 2016年7月30日(土)、31日(日)の2日間にわたり、一般社団法人日本獣医眼科カンファランス2016年年次大会が開催された。初日は山の上ホテル(東京・御茶ノ水)において、限定特別セミナーが開催され、ミシガン州立大学准教授でアメリカおよびヨーロッパの獣医眼科専門医のAndras Komaromy先生が「緑内障による失明から守る最新アプローチ~遺伝子治療の可能性~」について講演された。緑内障の基礎から画像検査および機能検査、原発性開放隅角緑内障および閉塞隅角緑内障に関する遺伝学、細胞培養、前眼部および後眼部の遺伝子治療、幹細胞療法など多角的な観点から講演が展開された。

 2日目は、東京コンファレンスセンター(東京・品川)で実施され、一般演題からはじまり、シンポジウム「網膜と視覚に迫る」では、齋藤陽彦先生(トライアングル動物眼科診療室)座長のもと、「網膜電図と視覚」(前原誠也先生、酪農学園大学)、「ぶどう膜炎にみられる漿液性網膜剥離と視覚」(滝山直昭先生、日本大学)、「裂孔性網膜剥離のバリエーションと視覚」(若生晋輔先生、トライアングル動物眼科診療室)がそれぞれ解説された。総合討論でも、講演者3名がそれぞれの講演に質問を行い、フロアからも多くの質問が飛び交った。

 午後は、Andras Komaromy先生による網膜変性症の最新アップデートと題し、「突発性後天性網膜変性症候群-病態への新しい考え方とアプローチ」と「進行性網膜萎縮における最新治療-遺伝子治療の可能性」の2テーマが4時間以上にわたり講演された。

 梅雨明け後、最初の週末に開催された当会は、夏真っ盛りのなか2日間とも満席であった。

初日の様子

2日目の様子