2021年4月8日(木)、超党派「愛がん動物を対象とした動物看護師の国家資格化を目指す議員連盟」第4回総会が開催された。

 最初に、同議員連盟の会長である鈴木俊一先生(自由民主党)が「一昨年の6月に愛玩動物看護師法が全会一致で可決され、農林水産省および環境省が中心となり、来年5月の施行に向けてカリキュラムの検討を鋭意進めていただいた。本格施行以降がより重要であり、よりよい充実した動物看護師の制度がスタートできるようにしていきたい」と挨拶をされた。

 続いて、伏見啓二氏(農林水産省)より「有識者からなる『愛玩動物看護師カリキュラム等検討会』を設置し、愛玩動物看護師の養成に必要な科目等について検討を進め、3月30日に報告書を公表した。今後、関係する制度の整備を進め、来年の施行に向けて引き続き準備を進めていく」、大森恵子氏(環境省)より「今年度は動物看護師の現任者に向けて、国家試験の正しい情報の普及啓発をしていきたい」と述べられた。そして、長田 啓氏(環境省)が愛玩動物看護師の施行に向けた検討状況として、愛玩動物看護師法の概要、業務範囲、施行スケジュール、愛玩動物看護カリキュラム等検討会、講習会の受講区分、大学および養成所において履修すべき科目(全31科目、1,800時間)、受験資格、国家試験および予備試験、現任者の範囲、主務大臣が「現任者と同等以上の経験」として認める期間、実務経験の換算方法および実務経験を有することの証明、名称独占について説明を行った。

 その後、遊座晶子先生(一般社団法人日本動物看護職協会副会長)が現任者の愛玩動物看護師国家資格免許取得支援として「動物看護師の勤務実態に関するアンケート調査」(2020年)および「愛玩動物看護師国家試験対策アンケート 集計結果」 (2021年)を元に、以下の5つを要望として挙げた。

①アンケート回答の3割が「職場の人間関係」で退職をしているので、実務経験年数を証明する際に所属していた施設・事業所・団体への連絡ができない者がいることが想定される。これらの者については、可能な限りの証明書類を提出させ、個別審査を実施するなど、寛大なるご配慮をいただきたい。
②年収240万円未満がアンケート回答の5割いる状況を鑑み、「講習会~予備試験~国家試験~登録」までにかかる費用全体を可能な限り低額に設定していただきたい。
③講習会はすべてをオンライン講習とし、オンデマンド配信としていただきたい。
④「認定コアカリと同等以上の教育の履修」について、公平な評価となるようご対応いただきたい。
⑤現任者の80%が愛玩動物看護師資格の取得を希望しているので、免許取得の環境が整うようご支援いただきたい。


 上記の内容を受けて、山﨑 薫先生(一般社団法人日本動物看護職協会 動物看護師国家資格化推進委員会委員長)も動物看護師の現状、他の資格の例を挙げ、講習会~登録までの金額を低額になるように重ねて訴えた。
 最後に、下薗惠子先生(一般社団法人全国動物教育協会会長)が愛玩動物看護師養成教育の質保証について、とくに養成所に関する要望を訴えた。

 遊座先生、山﨑先生、下薗先生からの要望を受け、赤池誠章先生(自由民主党)からは厚生労働省も関与させていく可能性があること、高木美智代先生(公明党)からは試験についての質問が寄せられた。

 法律の施行まで約1年、第1回の国家試験実施まで約2年。本総会では、今後の制度運用に向けて参考になる具体的な要望・意見が挙げられ、よりよい愛玩動物看護師制度に向けてたいへん意義のあるものであった。

総会の様子